忘却エンドロール

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OVA「御先祖様万々歳!」思い出し感想

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Tag:日本

御先祖様万々歳!
製作:日本’89
監督:押井守
ジャンル:SF/ミステリー/コメディ

【あらすじ】平凡な毎日に退屈していた高校生・犬丸は、ある日、彼の孫娘と名乗る麿子という美少女と出会う。未来では、タイムマシンを使って御先祖様に孝行するのが流行っているというのだ。だがそこにタイムパトロールと名乗る男が現れ、家族はバラバラに。犬丸は麿子との逃避行にかこつけて、禁断の恋を楽しもうとするが…。

映画の記事がないので、久しぶりに思い出し感想でも。
かつて、BSアニメ特選で急遽最終回(5・6話?)が放送中止になり、その後、かなり間を置いてから観たOVA作品です。その時、最後まで通しで観て思ったのが、「放送しなくて正解」ということでした(笑)
最初からどこか不穏な空気をはらんでいたものの、人形みたいな登場人物(関節部に線?)が、舞台劇風の演出にまどろっこしい台詞回しで会話するのが癖になって、当時は結構夢中になってたんですよね。『インパクトの瞬間、ヘッドは回転するっ!』は意味もわからず笑ってたし(当時のCMの台詞らしい?)。

でも実際はドタバタコメディなんかではなく、既成観念にとらわれず監督の趣味全開でつくった、謎に満ちた悲劇っぽいもの、といったところ。
基本的には、劇中劇を延々とやってる感じなので、”物語の中の麿子は何者だったのか”という謎と、”どこからどこまでがお芝居なのか”という二つの謎があるんですよね。その見方によって、悲劇ともとれるし(劇中劇はどう転んでも悲劇だと思うけど)、ただの虚構の中の虚構と距離を置いて見られるわけです。
私が観たことがある作品の中では「千年女優」みたいなタイプで、見終わって「スッキリ納得」とはならない作品だと思うし、一度見たら頭にこびりついて離れない、印象に残る作品になってます。

→以下、ネタバレあり!

物語の中の麿子の正体ですが、二通りの見方が出来ます。
一つは、彼女が言うように本当に未来から来た犬丸の孫娘だという見方。しかし、このルートを選ぶと、何とも後味の悪い展開が待っていて、劇中劇とはいえ子供が見るBSアニメ特選で流すにはショッキングな内容です(汗)
それが、麿子の父親の母親、つまり麿子の祖母に当たる人が麿子自身だったというもので、しかもそれを打ち明けた父親は麿子の目の前で自殺(するところは見せずに幕だったはず)。
息子(父親)を産まなければ自分は生まれず、産めば父親(息子)が目の前で自殺する…つまり心中しようと言ってるようなものなんですよ。残酷にもほどがありますよね。

一方、彼女が未来人と言うのは真っ赤な嘘で、麿子とタイムパトロールを演じる男は詐欺師コンビだという見方です。
これは彼女の言葉を疑った犬丸の母が、興信所に調べさせたところ発覚した情報で、これまでいくつもの家族が彼女の出現により家庭崩壊を起こしていました。
しかし、ハッキリと証拠も出ていたのに、先ほどの父親の告白エピソードがこの情報の後にくるため、どちらを信じていいのか分からなくなるんですよね。
詐欺師としての彼らの目的が家庭崩壊にあるなら、もうすでに成功していると言ってもいい状況です。あんな茶番を演じる必要があるとすれば、彼らが詐欺行為を役者のような気分で楽しんでいる…つまり演じたいから演じたというくらいしか思いつきません。
そして、主役としてこの物語に幕を下ろし、次の獲物を探しに姿を消すため、というところでしょうか。

悲しいのがこの”最後には麿子は姿を消す”という共通点で、麿子が何者だろうと犬丸は彼女と一緒にはいられないということです。ラストは、消えた麿子を探してさまよう犬丸が雪の中に倒れ込み、なんとも寂しい終わり方でした。
ただ、このラストシーンと、後半のどこかにあった”駅で麿子と再会するシーン”は、他の劇中劇とはぜんぜん雰囲気が違ったんですよね。
もし、この二つが劇中劇ではなく、それらを演じていた犬丸役の青年と、麿子役の少女のエピソードだったとしたらどうでしょうか?
彼らは同じ劇団の仲間で、何度も一緒に芝居をし、青年は彼女に想いを寄せていた…。でもある日、彼女は突然姿を消し、彼は犬丸と同じように彼女を追い求める。「なぜ彼女は消えたのか」と考える彼の脳裏には、物語の最後に姿を消した”麿子”が浮かび、しだいに物語と芝居の区別がつかなくなってきて…みたいな。
まあ、現実まで悲劇にする必要はないですし、この作品で描かれていたのはすべて劇中劇だと考えてもいいんですけどね。
…思い出し感想なのに長々語ってしまいましたが、前提が記憶違いという可能性は大いにあるので、話半分に聞いておいて下さい。

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