忘却エンドロール

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映画「瀧の白糸 (1933)」観ました

 | ドラマ  Comment(2) 
Tag:日本

瀧の白糸 (1933)
製作:日本’33
監督:溝口健二
原作:泉鏡花
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】両親を失った士族の青年、欣さんに一目惚れした水芸の女太夫、滝の白糸。自分のために仕事を失ったと知った彼女は、彼に法律の勉強を続けさせると決意する。だが、水芸は冬に仕事がなく、しかも義理人情に厚い彼女はなけなしのお金を他人のために使ってしまい…。

これはラストの流れに時代を感じるけど、かなり見ごたえある作品でした。
「瀧の白糸」は何度も映画化されてるようで、これはフィルムが存在する中では一番古いものなんだとか。確かにフィルムはかなり傷んでいたものの、それでも伝わってくる入江たか子の美しさに、何度もはっとさせられました。

その入江たか子さん演じるのが、水芸で人気の「瀧の白糸」。彼女がホントいい人で、序盤で描かれる欣さんとの馴れ初めエピソードではまるで少女のような可愛さを見せてくれるのに、一座の人気芸人としての顔は「姐さん」って感じなんですよ。”粋な女”とはこういうものだというのを見せてくれます。

秋冬は”冬枯れ”と言うほど仕事がなくて苦しいし、愛する男が立派な法律家になれるよう何よりもお金が必要なのに、母の死に目に会いたいという仲間(もちろん嘘)や、引き裂かれそうな若いカップルがいれば、どうしても見捨てられません。
とくに若い二人には自分の未来を重ね、駆け落ちを手引きした挙句に、なけなしのお金を渡して笑って送り出すんですね。
その性格のが災いして窮地に陥っていくさまは痛ましいものの、ストーリー展開が見事で目が離せませんでした。

→以下、ネタバレ注意!

思いがけず人殺しになってしまい、死ぬ前に一目彼に会いたい、お金を届けたいと東京に飛んでいくエピソードは泣けます。
あいにく彼は留守だったんだけど、いつも彼が自分の事を想っていてくれたと聞き、「殺人犯になってしまった今、会えなくてかえって良かったのだ」と思い直すところはもう…!(涙)
弁士が上手だったので、ここはグイグイ引き込まれました。

全体的に出来すぎ感は否めないものの、彼女を匿ったのが以前助けたカップルだったり、法廷で出会う検事が実は…という展開も、この作品が公開された頃にはこういう展開が好まれたんだろうし、テンポ良く進んでいくのでそこまで気にならないんですよね~。

ただ、てっきり正当防衛や情状酌量でそこまで重い罪にはならないだろうと思っていたのに、死刑になってしまったのは驚きました。
まあ舞台は明治ですから、女性の芸人風情が、悪人とはいえそれなりの地位にいる男を殺したらこうなる時代なんでしょう。これ以降に作られた作品では、(制作された)時代に合わせて展開が変えられてるようです。

終盤の白糸と欣さんのやり取りは『愛が重すぎる!』と思ったけども、切なくてホロリときました。ラストは遣り切れないなぁ…。
悲恋ものと言っても、欣さんは感謝の念の方が強くて、自分のために恩人を不幸にしてしまったことに耐えられなかったんだと思います。
彼女はそんなことは望んでなかったとは思うものの、きっとあの世で再会したら「やっと一緒になれる」と喜ぶんだろうなぁ。なんとなく「飢餓海峡」の八重さんを思い出すお話でした。

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■ Comment

No title

いつか無声映画大会でもやりますか?(^^)
2015/07/07 (Tue) 21:46  ポール・ブリッツ編集〕  

>ポールさん

いらっしゃいませ!
無声映画大会ですか~。それはさすがに作品を選べない方が続出してしまいそうで(汗)
これがオススメというのがなければ、いまどきサイレントを手に取ろうという人は少数派でしょう。
私たち少数派がサイレント映画を観て、地道に紹介していきましょうね♪
2015/07/08 (Wed) 07:33  宵乃〔編集〕  
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