忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「抱擁(2002)」感想

 | ロマンス  Comment(4) 
Tag:イギリス

抱擁(2002)
製作:アメリカ/イギリス’02
原題:POSSESSION
監督:ニール・ラビュート
原作:A・S・バイアット
ジャンル:★ロマンス/文芸

【あらすじ】本に挟まった古い手紙を発見したローランドは、それが愛妻家で有名な詩人アッシュのラブレターだと直感する。詩人ラモットがその相手だと考えた彼は、ラモットの研究をするモードと共に真実を突き止めようとする。

とてもロマンチックな映画でした。
古いラブレターから浮かび上がってくる詩人の恋の物語。それを犯罪すれすれの方法(てゆうか犯罪?)で辿るうち、二人の間にも…
という素敵なラブストーリーです。

↓以下、ネタバレ・毒舌含む。
でも思い返してみると、酷い事してるんですよね詩人カップル。
不倫で大切な人たちを傷つけたんですから。
それなのにラモット嬢、「この苦しみに見合うだけのものを手に入れた」と申しております。苦しんだのは貴方だけじゃないですよっ。最低二人が犠牲になってますが、彼女達が何か得たんですか?
レズビアンと不妊奥様の「子供が出来なくても愛があれば」という想いを踏みにじり、ちゃっかり子供を授かったラモット嬢。里子に出した娘に嫌われて「当然の報い」みたいなことを言ってますが、後悔してない(=反省してない?)彼女の自己満足にも思えます。
…う~ん、考えてたら本当に酷い人に思えてきた。唯一の救いは、娘の幸せそうな姿が見れたことでしょうか。
こんなに書いてしまいましたが、映画としては面白かったと思います。現在と過去の切り換えが見事だし、二人の間で交わされる言葉の数々は繊細で情熱的。時折り見せるラモット嬢のどこか幻想的な微笑。そして美しい情景。
何も考えず、ロマンチックな雰囲気に酔うのが良いかと。

B00009SF9R抱擁 [DVD]

■ Comment

ちょっと詩人カップルが

かっわいそうになりまして(笑)。一つだけ。一応、映画でもセリフでほのめかされているのですが、エレン・アッシュは不妊奥様ではなく、セックス恐怖症奥様、永遠の処女妻です。それも一つの愛の形ではあるのでしょうけれども、強いられた夫にしてみれば、空しくなってくるのも自然のように感じました。とはいえ、私も映画はあんまりにもきれいに描きすぎ、と不満です。トラックバック、させていただきました。
2009/11/18 (Wed) 02:18  郎女編集〕  

郎女さん、いらっしゃいませ!

コメント&TBありがとうございます。こちらからも返信しておきました。
ちょっと古い記事なので、記憶が曖昧ですが、しっとりした空気感のある映像が美しい作品でしたよね・・・たしか?

> 一応、映画でもセリフでほのめかされているのですが、エレン・アッシュは不妊奥様ではなく、セックス恐怖症奥様、永遠の処女妻です。

おぉ、そうだったんですか!全く気付いてなかったみたいですね、過去の私(笑)
確かにそれは辛いかもしれません。恐怖症克服も叶わなかったのでしょうか?
離婚も許されない時代(もしくはクリスチャン?)だったでしょうから、男性としては絶望的・・・。

とても参考になりました、今度観るときはそれを踏まえて彼らをみてみますね♪
あとで郎女さんのブログにもお邪魔させていただきます。
2009/11/18 (Wed) 11:18  宵乃  

ご訪問、ありがとうございました

だれかに、エレンのことを語りたかったんです。実は、映画を見たときは、「不妊症? セックス恐怖症?」と迷いました。アッシュのセリフで、確か「いろんな形の愛があっていい」とか言ってましたので、「じゃあ処女妻か」と思いはしたんですが、二人の結婚の事情とかが描かれていませんので、いまひとつ、二人の感情もわかり辛かったんです。原作では、エレンは牧師の長女で、父親がアッシュとの結婚を許さず、21歳のときにアッシュが見初めてから36歳になるまで、ずっと妹たちの母親がわりになって過ごしたんです。
エレン36歳、アッシュ34歳の晩婚で、新婚旅行において、エレンはどうしてもアッシュを受け入れることができず、追い詰められた獲物のように錯乱したらしいんです。アッシュがだめ、というより、男がだめ、だったんですが、長年待って念願かなって結婚した妻がそんな状態ですから、アッシュは自分を獣のように感じて、非常に傷ついたわけでして、「君の身体が目的だったわけじゃない、精神的に愛しているんだから」ということを証明しようと、永遠の処女妻を受け入れたようです。

レスビアンの方も、原作を読んだかんじでは、後世の評論家が二人をレスビアンと評しただけで、クリスタベルはけっして、レスビアンであったわけではなさそうです。自殺した相手の女性は、レスビアンであったのでしょうけれども、クリスタベルは肉体的な関係を受け入れてはいなかった、と思います。原作では、現代のクリスタベル、モード・ベイリーに、レスビアン(バイセクシャルですが)の友人がいるのですが、モードは肉体関係をきっぱり断ってまして、ただ、芸術的(あるいは学問的)にお互いを高められる女の友情を信じていただけなんです。
彼女が自殺したのは、自分よりもアッシュの方が、クリスタベルの文学的才能を高めるつきあいができる相手だと知っていたからで、それさえできないのだとすれば、自分には存在価値がない、ということなんじゃないでしょうか。

また長々と書いてしまいましたが、だれかに語りたかった、ということで、お許し下さい。レスビアン云々は、あまり深く考えてなかったんですが、ご感想に誘発されまして、ちょっと考えてみました。ありがとうございました。
2009/11/18 (Wed) 20:54  郎女編集〕  

Re: ご訪問、ありがとうございました

郎女さん、いらっしゃいませ♪

> だれかに、エレンのことを語りたかったんです。

ありますあります、そういうこと。わたしでよければ、いつでもお相手しますよ。

> 実は、映画を見たときは、「不妊症? セックス恐怖症?」と迷いました。
二人の結婚の事情とかが描かれていませんので、いまひとつ、二人の感情もわかり辛かったんです。

そうですよね、わたしも郎女さんの解説を読んで、そんないきさつがあったのかと驚きました。15年も待って、さらに耐え続けていたなんて・・・。しかも、愛するひとに拒絶&錯乱されて深く傷ついたにも関わらず・・・

> 「君の身体が目的だったわけじゃない、精神的に愛しているんだから」ということを証明しようと、永遠の処女妻を受け入れたようです。

ここまでできるとは・・・。彼に対する印象が180度変わりました。それに、奥さんの苦しみ・不安も計り知れないものがあったんでしょうね。形のないものが原因だと自分を責めるしかないですし。

> レスビアンの方も、原作を読んだかんじでは、後世の評論家が二人をレスビアンと評しただけ
> 彼女が自殺したのは、自分よりもアッシュの方が、クリスタベルの文学的才能を高めるつきあいができる相手だと知っていたから

そうすると、映画のほうは本当に表面的なことしか描いていないってことに・・・。(現在の2人が想像できる範囲でしか描かなかったとか?)彼女に対する印象も180度変わってしまいました。郎女さんが”ちょっと詩人カップルがかっわいそうになりまして”と仰った気持ちが今ならわかります(笑)
いやぁ、郎女さんの丁寧な解説・感想のお陰で、この作品に対する理解を深めることができました。この記事を見に来てくれた方にも、充実したコメントという思わぬ特典に喜んでもらえそうです。
本当にありがとうございました~!
2009/11/19 (Thu) 11:58  宵乃  
名前
タイトル
URL
本文
非公開コメント

■ Trackback

この記事のトラックバックURL
トラックバック一覧
『抱擁』 映画と原作
すみません。シリーズの途中で、ちょっと寄り道を。 19世紀のイギリスが舞台になっているというので、かなり以前に買って、一度は見ていたDVDです。 抱擁 [DVD]ワーナー・ホーム・ビデオこのアイテムの詳細を見る  最初に見たときの印象は、それほど強いものではなかっ...
郎女迷々日録 幕末東西|2009-11-18 00:00