2009年06月 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「まぼろしの市街戦」観ました

 | 戦争  Comment(9) 
Tag:イギリス フランス

まぼろしの市街戦
製作:フランス/イギリス’67
原題:(仏)LE ROI DU COEUR(英)KING OF HEARTS
監督:フィリップ・ド・ブロカ
ジャンル:★コメディ/戦争

【あらすじ】第一次世界大戦下フランス。英軍を街ごと爆破するため、独軍は街に時限爆弾を仕掛けた。フランス語が堪能な伝令兵プランピックが爆弾撤去に向かうが、街は避難した住人の代わりに逃げ出した精神病患者で溢れていて…。

爆薬の知識も持たない通信兵が決死の覚悟で任務につくが、街は病院から抜け出した患者たちが思い思いの”役”を演じて、愉快で楽しいまぼろしの日常をつくりあげていた…というお話。
敵兵の目を誤魔化すため”ハートの王”と名乗り患者を装ったことや、病棟の鍵の閉め忘れで始まったことなのに、主人公は街の人々が患者だとしばらく気付きません。彼らに”ハートの王”に祭り上げられて初めて気付くんですが、すでに間違った伝令を送ったあと。そのせいで、このファンタスティックな空間に軍人たちが入り込んできます。

サーカスの動物たちが歩き回り、患者たちは好きな自分になって遊び、ハートの王の婚約者は綱渡りで会いにくる…。そんな夢の世界の”王”であり、殺伐とした世界の”軍人”でもある主人公は、しだいに患者たちの側に溶け込み、”外の世界”がいかに狂っているかに気付きます。
主人公と街の外に逃げるのを拒むシーンや、フランス軍の到着をみて”たっぷり遊んだからもう帰ろう”と病院へ戻っていくシーンはなんとも物悲しく、楽しく優しさに包まれたカーニバルが終わってしまったのだと痛感させられました。
ラストの主人公の決断にはほっとするものの、そこにしか救いがないというのが切ないです。

映画「真夏の夜の夢(1959)」観ました

真夏の夜の夢(1959)
製作:チェコ’59
原題:SEN NOCI SVATOJANSKE
監督:イジー・トルンカ
原作:ウィリアム・シェイクスピア
ジャンル:★アート

【あらすじ】妖精の女王ティターニアを振り向かせるため、森の王オーベロンはいたずら者の妖精パックに”一目見た者を好きになる魔法の花”を取りに行かせた。その頃、婚礼の準備で賑わう町から、恋に悩む4人の男女と素人劇団が森にやってくる。

小学校の頃いちど読んだきりの「真夏の夜の夢」に、トルンカの人形アニメで再びまみえる事となりました。前回観た「チェコの古代伝説」と比べると入り込みやすいんですが、喜劇というよりは幻想的な世界を楽しむ芸術作品という感じです。町のこじんまりした様子から、森の妖精たちが舞い踊る夢のような場面に移ったときは世界が変わったようでした。

気になったのは、オーベロンとティターニアが私の覚えているのと違うんですよね。私の記憶ではこの2人夫婦だった気がするんですが、こちらではオーベロンが言い寄っているだけのように見えるし、魔法の花を使う理由も振られた腹いせのようでした。(器ちいせぇ…)しかも、最後は花を使って自分に惚れさせて…。彼が最低な男になっていて、最後まで幻想的な雰囲気に浸れなかったのがちょっと残念。

この後、朝を迎えて恋人たちは町へ戻り、素人劇団が劇を披露します。
人形たちがライオンや恋人たちの前に立ちふさがる壁の扮装をしたり、丸顔のおじさんがランタンで顔を照らして月を演じていたり、不思議な感じで可愛らしいんですよね。
妖精たちがつくりだす世界と、人間のつくりだす世界の二つを楽しめたと思います。

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映画「フィラデルフィア物語」感想

フィラデルフィア物語
トレイシーの妹が面白可愛い。
製作:アメリカ’40
原題:THE PHILADELPHIA STORY
監督:ジョージ・キューカー
原作:フィリップ・バリー
ジャンル:コメディ/ドラマ

【あらすじ】結婚を控えたフィラデルフィアの名門家令嬢トレイシー。2年前に彼女と喧嘩別れしたデクスターは、友人と偽った雑誌記者コナーらと屋敷に乗り込む。トレイシーはすぐさまそれを見破るが、彼女に未練があるデクスターは簡単には引き下がらず…。

上流階級の恋愛コメディで、冒頭の無声の喧嘩シーンはインパクトがありました。なんせ令嬢であるはずのトレイシーが、憎々しげにデクスターのゴルフクラブをへし折ってしまうんですから(笑)
これは期待出来るかなと思い、トレイシーがデクスターたちの思惑を見破ったり、”不倫で父が不在”なのを誤魔化そうと家族で大仰な芝居をしたりするのを楽しんで観ていたんですが、だんだん何がしたいのか分からなくなりついていけなくなってしまいました。ちょっと、私の好みとは違ったようです。

↓以下ネタバレ
この後、デクスターに”君は女神の様だけど寛容さに欠ける”と言われ、父親には”娘が優しければ男は浮気なんてしない”などと言われ(なんじゃそりゃ!?)、トレイシーは凹んで酒を煽ります。そして、泥酔してコナーといちゃいちゃしていたところを目撃され、結婚はご破算。コナーに(彼の恋人の前で)プロポーズされるもきっぱり断り、結婚式に来てくれたひとに悪いからと以前出来なかったデクスターとの結婚式を挙げるのでした…。
最後の怒涛の展開にはついていけないというか、本当にそれでいいの?と首を傾げてしまいました。デクスターとトレイシーは仲良くやっていけるかもしれないけど、振られたコナーが戻って嬉しそうにしていた恋人さんが理解不能です。トレイシーの父親に、コナーの浮気癖がどこからくるものなのかぜひ説明していただきたい。

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映画「老人と海」観ました

 | ドラマ  Comment(2) 
Tag:ジョン・スタージェス

老人と海
製作:アメリカ’58
原題:THE OLD MAN AND THE SEA
監督:ジョン・スタージェス
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】メキシコ湾での漁を生業とする老人がいた。この80日間というもの魚は獲れず、老人を慕っていた少年も父親の言いつけで別の舟に乗っていた。85日目、大物の予感に舟を出した老人は、沖合いで確かな手ごたえを感じる。

原作は一度しか読んでませんが、老人の生き様が忠実に描かれていたと思います。
ほとんどが老人の独白で構成されているのに、その力強さにぐいぐいと引き込まれます。彼の表情が深い味わいを持っていて、思い描いていたイメージがそのまま抜け出てきたようでした。
カジキが初めて姿を見せたシーンでは、あからさまな合成だったものの老人への感情移入も手伝って興奮しました。捕まえて舟の横につないだカジキはぷかぷか浮いてしまうような偽物ですが、襲ってきたサメは本物を使っているらしく、(可哀想だけど)迫力があります。
少年との交流も心温まるもので、海に出てから「あの子がいれば…」と何度も呟く老人の姿や、「運に見放された」とこぼす老人に「運は僕が持っていくよ」とまた一緒にいくことを約束するシーンに、2人の確かな絆を感じました。

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映画「失われたものゝ伝説」観ました

失われたものゝ伝説
製作:アメリカ/イタリア’57
原題:LEGEND OF THE LOST
監督:ヘンリー・ハサウェイ
ジャンル:★アドベンチャー/ロマンス

【あらすじ】仏領スーダンの町。裕福な旅行者ポールが、喧嘩で留置場に入れられていたジョーを案内人に砂漠へ出る。後から追って来た娼婦ディタを加え、彼らは10年前にポールの父親が見つけたという”消えた都”を目指す。

襲ってくる悪の組織がいるわけでもなく、匠の技が光るトラップが待ち構えているわけでもなく、砂漠の渇きや人間の弱い心とたたかう地味~なロマンティック・アドベンチャーでした。
登場人物も少なく、消息不明になった父親の志を継ぎ、消えた都の宝を見つけて世の中のために使おうと張り切る、紳士的な青年ポール。彼の財布をすり捕まりそうになるが、彼に助けられ生き方を変えようとする町の娼婦ディタ。案内人として雇われ、顔なじみのディタがポールに好意的な事に焼きもちを焼くジョーの三人くらいしかいません。

広大で美しい砂漠を彼らは突き進み、毒虫や砂嵐からディタを守るうちにポールは彼女に惹かれ始め、それが気に入らないジョーは何かと宝探しを諦めさせようとします。衝突を繰り返しながらついに遺跡に辿り着き、3人の心も一度はひとつに纏まるものの、あるものを見つけた事でポールは打ちひしがれてしまうのでした。
はっきり言って、ここまで観れば誰でも先が読めるような分かりやすい展開ですが、それでも彼らの変わりようは楽しめます。
派手さが全くなくてもアドベンチャーとして成り立つものなんだと妙に感心してしまいました。

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映画「皇帝ペンギン」観ました

 | ドキュメンタリー  Comment(2) 
Tag:フランス

皇帝ペンギン
製作:フランス’05
原題:LA MARCHE DE L'EMPEREUR
監督:リュック・ジャケ
ジャンル:★ドキュメンタリー

【あらすじ】冬間近の南極大陸。皇帝ペンギンたちが海から100km離れたオアモックへ辿り着いた。産卵を終えたメスはエサを求め海へと旅立ち、メスが戻るまでの120日間、オスは仲間と寄り添い-40度の寒さに耐えながら卵を守り続ける。

動物好きにはたまらない作品。
ヒナが孵ってからはニマニマしっぱなしでした。(キモいな、自分)
南極の一面氷の世界も美しく、この地で生きることの厳しさに比例するかのようです。
そんな厳しい世界で生きる皇帝ペンギンたちが、仲間同士協力し合い、夫婦で支えあいながら新しい命を育む姿が描かれます。(たった3人で撮影したとか!)
彼らの徹底された集団行動には驚かされることが多く、人間もこれくらい厳しい環境で暮すことになったら同じ様に協力し合えるだろうかと考え込んでしまいました。
寒さに対抗するため密集し、内側と外側のペンギンが順々に整然と入れ替わっていくこと。冬の間ブリザードに耐え、やっと卵を産むと、オスが卵を預り体力のないメスが先にエサをとりに行くこと。本能による行動なのだとしても、彼らの生き方は美しく、惹きつけられます。
子供を失ったメスが他のメスの子供を奪おうとすることもあるようですが、最終的には群れを外敵から守る側に回るというのも感動的。
ただ、ナレーションの他にペンギン親子の心の声がセリフとして入るのは、嫌という程ではないにしろ余計な気がします。観る人の想像力に任せてよかったんじゃないかなぁ…。

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映画「黄金の腕」観ました

 | 社会派  Comment(2) 
Tag:オットー・プレミンジャー

黄金の腕
製作:アメリカ’55
原題:THE MAN WITH THE GOLDEN ARM
監督:オットー・プレミンジャー
原作:ネルソン・アルグレン
ジャンル:★ドラマ/サスペンス

【あらすじ】麻薬中毒で半年の療養所生活を終えたフランキー。彼はドラマーとして人生をやり直そうとするが、ディーラーの腕を買う胴元や売人ルイ、彼を繋ぎ止めるため立てない振りをする妻ゾシュらが邪魔をする。彼の味方は愛人モリーだけだった。

「黄金の腕」というタイトルやドラマーを目指している事から、裕次郎的な青春ドラマなのかと思いきや、薬物依存症を取り上げた真面目な社会派ドラマでした。タイトルはディーラーのほうにかかってるんですね。
なんでも、当時タブーだった”麻薬”を題材にしたせいで検閲に引っかかったとか。薬物乱用に対する注意を喚起する内容だと思うんですが、何がどうタブーなのかよく分かりません。マフィアの圧力でもあったんでしょうか?

それはさておき、この作品を観て一番に思い出したのがアルコール依存症を扱った「失われた週末」です。酒と麻薬じゃレベルが違う気がしてたんですが、当事者にしてみればどちらでもさして変わらない事に気付きました。いちど嵌ってしまえば、独りでその地獄から抜け出すことはできないんですよね。
ですが、周りの人間に支えられていた「失われた週末」とは違い、こちらは悪意を持った人間たちが、一度は立ち直った彼を追いつめていきます。

中でも強烈なのが彼の妻ゾシュ。
登場シーンでは”半年振りの夫の帰りに喜ぶ健気な妻”といった様子でしたが、彼がドラマーになると言い出した途端に表情を曇らせます。彼女にとって堅気かどうかに意味などなく、”今まで通り”であることが重要でした。
その理由は、夫の浮気に気付き”立てない振り”を続ける彼女にとって、一番大切なのが現状維持だからなんですよね。たぶん。
ですから、麻薬に対しても、「お金を持っていかれるのは困るけど…」程度の関心しかありませんし、逮捕や入院で離れ離れになる可能性があることなんて(今のところ)頭にありません。
彼女の頭にあったのは、「とにかく今まで通りにしていれば、夫が愛人と去ることはない」ということだけだったように思えます。
こうやって書いてみるとずいぶん自分勝手な女に見えますが、元はといえば主人公が悪いんですよね。飲酒運転で彼女に重傷を負わせ、覚悟も無いのに結婚し、彼女と向き合えず愛人をつくり、そのうえ麻薬に手を出して…。きっと、ディーラーになったのも、イカサマをする様になったのも、悪い仲間とつるんでいて”なんとなく”だったんじゃないでしょうか?
彼の弱さに振り回されてあんなふうになってしまったかと思うと、彼女が少し哀れに思えます。

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映画「チェコの古代伝説」観た

チェコの古代伝説
製作:チェコスロバキア’52
原題:STARE POVESTI CESKE
監督:イジー・トルンカ
原作:アロイス・イラーセク
ジャンル:歴史劇/ファンタジー

【あらすじ】チェフによってプルタバの湖畔に辿り着いた人々がいた。彼らは木を倒し、家を造り、農耕を始め、その地に根付いていった。その地はチェフの名にあやかって”チェヒ”と名付けられ、彼の死後リプシェという女性が国を治める。だが、やがて彼らのなかに女性の支配者を望まないものが現れ…。

人形アニメ大国チェコの巨匠イジー・トルンカの作品です。
この前の「バヤヤ」がわたし好みだったので楽しみにしていたんですが、今回は歴史劇なうえ説明がほとんどなく、あまりストーリーを楽しむ事が出来ませんでした。
解説を調べてみたところ、建国の歴史を6つのエピソードで描いていたらしく、思い返してもどこからどこまでが一つのエピソードだったのかすら判別できない始末。人間でさえ見分けられない時があるのに、沢山の人形が登場して名前をほぼ呼ばないのはキツいです。チェコの歴史に詳しい人じゃないと、一回で理解するのは難しいかも。

とはいえ映像の美しさは相変わらずで、恋人たちが森で夢のようなひと時(ひざ枕でいちゃいちゃ)を過ごすシーンや、湖での描写は目を見張るほど。youtubeあたりで”jiri trnka”と検索すると幾らでもでてくるようなので、気になる方はそちらでどうぞ。(面倒臭がりでスミマセン) 元々セリフがほとんどないので、言葉が分からなくても問題ないと思います。
トルンカ作品は三つしか観てませんが、「飛び立つ鳥」「芽吹く植物」「音楽とダンス」がよく出てくるんですよね。
…何か意味があるんでしょうか?

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映画「戦う幌馬車」観た

 | 西部劇  Comment(2) 

戦う幌馬車
製作:アメリカ’67
原題:THE WAR WAGON
監督:バート・ケネディ
原作:クレア・ハフェーカー
ジャンル:西部劇

【あらすじ】自分の牧場を守ろうとし、逆に陥れられ無実の罪で投獄されたトウ。3年で仮釈放となった彼は、ピアースが彼の牧場から得た砂金の奪還計画を実行に移す。手始めに特技をもつ仲間たちを集めるが、ピアースも彼を殺そうと企み…。

重装甲馬車をニトログリセリンでふっとばし、50万ドルの砂金を奪って復讐しようという娯楽作品。
3年越しの計画らしく準備も実行もポンポン進み、気楽に観ていられます。ただ、主人公側が始終優勢で大したトラブルもなく、ちょっと物足りない気も。トウが陥れられた時のエピソードも交えれば、ピアースがもっと悪役らしく見えた気がします。
酒場の大乱闘やニトロを仕掛けるシーンなど見せ場もありますが(あれ、装甲馬車は?)、印象に残ったのはコミカルなラストシーン。ピアースにトウ殺害を依頼されながらトウと組む方を選んだローマックスが、今までヒョイッと跳ねるようにやたら恰好良く馬に乗っていたのが、最後の最後で失敗しちゃうんですよね(笑)
なんだか微笑ましい気持ちになってしまいました。

映画「真昼の死闘」観た

 | 西部劇  Comment(0) 
Tag:ドン・シーゲル

真昼の死闘
製作:アメリカ’70
原題:TWO MULES FOR SISTER SARA
監督:ドン・シーゲル
ジャンル:★西部劇/コメディ

【あらすじ】男たちに襲われかけていた尼僧サラを助けたホーガン。彼女はメキシコ軍のために募金をしたとかでフランス軍に追われていた。革命騒ぎに乗じて大金を盗みたいと考えた彼は、彼女と共にメキシコ軍指揮者ベルトラン大佐のもとを訪ねる。

原題は"Two Mules for Sister Sara"で、サラが主役のコミカルな西部劇でした。”Mule”はロバのことで、がんこ者という意味もあるようです。
ホーガンももちろん立派な主役で、通りすがりにサラを助け、無法者から容赦なく武器など強奪。彼女の話しを聞き金儲けを企むという流れ者らしい登場をしています。でも、彼女と一緒にいるうちに完全に喰われてしまうんですよね。困っている人は見過ごせなかったり、色っぽいシスターにたじたじだったりと、トータル的に”いいひと”になっております。

一方サラはというと、無法者たちを埋葬し貴重な水まで使うような世間知らずだと最初は思っていたんですが、ガラガラヘビを使って追っ手をやり過ごしたあたりから「おおっ!?」と思う事がしばしば。生きるためなら蛇だって食べるし、傷ついたラバを元気なロバと交換してきたり、隠れて飲酒・喫煙も。先住民に囲まれても、十字架で追い払ってしまいます。
どんな不良シスターだよ、と思っていたら、矢に撃たれたホーガンを涙目で手当てしたり、高いところが苦手だったりと可愛いところも。
列車爆破の際、酔って狙いが定まらないホーガンをぶん殴るシーンが素敵です。

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何も考えずに観れる映画2本立て

 | まとめ感想  Comment(0) 

フォルテ(2001)
「フォルテ:TOWN & COUNTRY」
2001年アメリカ、ピーター・チェルソム監督
<建築家ポーターは妻エリーとの結婚25周年を祝い、友人のグリフィン、モナ夫妻とパリ観光を楽しむ。だが、NYへ戻ってすぐモナが夫の浮気現場を目撃。妻に頼まれ落ち込むモナを励ましに行ったポーターは、つい彼女と関係を持ってしまう。>

浮気ものは嫌いなんて言っていたのに、これはドロドロした部分を描かず主人公のダメ男っぷりを全面に持ってきていて、もう笑うしかないというか…上手く誤魔化されてしまいました。
オチなしヤマなしで盛り上がりに欠けるものの、ダメ男の哀愁とグダグダ感とシュールな画が妙にマッチしていて心地いいです。イラストは仮装パーティに出かける主人公(白くま)たち。スケベでも可愛く見える罠。

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「ターク182(怒りの街ニューヨーク):TURK 182!」
1985年アメリカ、ボブ・クラーク監督
<NY下町で、消防士の兄と暮す20歳の青年ジミー。ある日、兄が火災現場から少女を救い入院するが、非番という理由で保険が給付されず怒りを覚える。市長に直訴しても冷たくあしらわれ、彼は“ターク182”と名乗り市長選妨害に出る。>

市長に自慢の兄を”酔っ払い”と侮辱され、嫌がらせを始めるお話。
まあ、嫌がらせといっても選挙活動のたびに落書きのメッセージを送る位で、その目的も世間の注目を集めて兄への仕打ちを訴えようというもの。
ヒーローとなった”ターク182”の正体がジミーと知った時の友人たちの様子が面白いです。なんかもう、子供が目を輝かせているようで。
目新しいことは起きませんが、最後みんなに見守られながら命がけで橋のメッセージを完成させるシーンは見ていてスカッとしました。

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映画「ミニヴァー夫人」観ました

 | 戦争  Comment(2) 
Tag:ウィリアム・ワイラー

ミニヴァー夫人
製作:アメリカ’42
原題:MRS. MINIVER
監督:ウィリアム・ワイラー
原作:ジャン・ストラッサー
ジャンル:★ドラマ/戦争

【あらすじ】1939年、ロンドン郊外に家族と暮すミニヴァー夫人。ある日、バラに「ミニヴァー夫人」とつけさせてほしいと駅長に頼まれ、こころよく了解する。だが大学から長男ヴィンが帰った日、村の名門ベルドン家のキャロルが頼みごとにやって来て…。

いわゆる戦意高揚映画だそうです。確かにラストの牧師の演説は違和感がありますが、予備知識なしで観たので素直にベルドン夫人との交流と家族ドラマに感動しました。
無駄遣いを夫婦で打ち明けあったり、花の品評会を楽しみにしていたりと幸せな日常から始まり、しだいに戦争に脅かされていく過程が丁寧に描かれています。その不安感は観ている側にも伝わってきて、まだ戦争の怖さを理解していない幼い息子が「もう戦争終わっちゃったの?」「まだよ。」「よかった~」と話しているシーンでは、母親の気持ちを考えると泣きそうになりました。

そして、深く心に残ったのはやはり日常生活の部分。
大学で社会主義に目覚めたヴィンと、祖母のため駅長のバラの出品を諦めさせてほしいと頼みに来たキャロルとの、口論から始まった恋。祖母であるベルドン夫人は相手が平民だと言って反対しますが、二人の強い想いやミニヴァー夫人の説得からついに結婚を認めます。やがて迎えた品評会の日、審査員の決定を覆して駅長のバラ「ミニヴァー夫人」に一等を贈るくだりは感動的です。
わたし的には、ここで終わっても良いと思えるくらい好きなシーンです。

再見追記<2017/06/28>
内容をほとんど忘れていたので再見。
冒頭の物欲に流される夫婦に「あれ、こんな人たちだっけ?」と思ってしまったり。そういえばブルジョア家庭の話でした。
つまり一般的なブルジョア家庭の平和な日常がコレということか。戦争が始まるかもしれないという時期に、つい現実逃避したくなったのかもしれないけど。
前半で印象に残ったのが次男とにゃんこの可愛さでした。演技なのか素なのか、子供らしい言動と無邪気な笑顔に癒されます。にゃんこが大好きで避難する時も一緒で可愛さ倍増。
この次男の可愛さと、長男と貴族の孫娘のロマンスがあるので、ミニヴァー夫人の良妻賢母っぷりが際立ってました。
長男と旦那が出動?してる時に負傷したドイツ兵と遭遇したくだりで、ミニヴァー夫人は彼を”敵”というよりは息子と同じように戦っている兵士として見ているのに対し、ドイツ兵の方は明らかに裕福な暮らしをしていたミニヴァー夫人を”憎むべき敵”として認識するところは考えさせられます。
でも、身分に関係なく町の人たちが亡くなって「一致団結して戦おう!」に繋げるあたりプロパガンダ作品だなぁとしみじみ…。
やはり、バラの品評会で実際のバラを見たら心に嘘をつけなくて、駅長のバラに一等を贈るくだりが一番映像的にも物語的にも美しいと思います。そこで終わってもいいけど、でもさすがにこれだけだと戦争の恐ろしさを伝えきれてないからなぁ…。

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映画「ゾラの生涯」観ました

 | 伝記/自伝/実話  Comment(3) 

ゾラの生涯
製作:アメリカ’37
原題:THE LIFE OF EMILE ZOLA
監督:ウィリアム・ディターレ
ジャンル:★伝記

1862年、パリ。親友セザンヌと貧乏生活を送っていたゾラは、訳あり娼婦の話しをもとに本を書き一躍売れっ子作家に。彼は真実と正義を追い求め、軍の批判さえ堂々と行った。歳月が流れ、若き日の情熱を忘れかけていた彼の元に、軍によって売国奴に仕立てられたドレフュス大尉の妻がやって来る。

ドレフュス事件(wikipedia)を受け、名声や富、そして命さえも投げ出す覚悟でフランス陸軍を糾弾した、作家エミール・ゾラの生涯を描いた伝記映画です。
ことの始まりは、機密漏洩の犯人がフランス人ではまずいと、陸軍上層部がユダヤ人のドレフュス大尉を問答無用で犯人に仕立て上げたというもの。機密漏洩ルートを明らかにするより、軍のメンツが大事という思考には呆れてしまいます。
彼らは”軍の威信”を守るため、真実を語ろうとする者を有罪に、国家を脅かそうとした犯人を無罪にしていきます。余生を楽しもうとしていたゾラは、これを知り再び闘士を燃やし始めるのでした。
彼が新聞に載せた大統領への手紙”私は弾劾する”や、裁判での大演説には思わず拳を握り締めてしまいます。まさに「ペンは剣よりも強し」ですね。この言葉の語源は事件の55年前、イギリスの小説家・リットンの戯曲『リシュリュー(1839)』の中のセリフからきているので、ゾラは本当にこの言葉を使ったのかもしれません。
彼の苦労が報われ、悪魔島でやつれたドレフュスが釈放され、呆然と檻から出て外の明るさに引き返し、また外へ…を繰り返すシーンが印象に残ります。

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映画「麗しのサブリナ」観ました

 | ラブコメ/ロマコメ  Comment(10) 
Tag:ビリー・ワイルダー

麗しのサブリナ
製作:アメリカ’54
原題:SABRINA
監督:ビリー・ワイルダー
原作:サミュエル・テイラー
ジャンル:★ロマンス/コメディ

【あらすじ】大富豪ララビー家の次男デビッドへの想いを断ち切るため、パリの料理学校に入学した運転手の娘サブリナ。2年後、洗練されて戻った彼女にデビッドは夢中になるが、弟の政略結婚のため仕事一筋の兄ライナスが彼女に近づく。

これで4度目のご紹介にになりますね。やっぱりビリー・ワイルダー監督の作品は面白いです。
物語は、プレイボーイに恋しているサブリナの様子から始まり、木の上やら物陰から切なそうに眺めるストーカー気味な彼女が見られます(笑)
といっても、全然可愛いんですよね。デビッドが相手にしないのは、幼馴染の可愛さに気付かないという感じみたいです。
そんな悩める彼女の味方が、お抱え運転手をする父親。なかなかに素敵なセリフを聞かせてくれる、いいお父さんでした。他の使用人たちとも仲良しで、サブリナがみんなの娘のように見えます。
一方、ララビー家の父親は、日常生活も人間関係も仕事中心に回っているような思考回路の持ち主。しかも、クローゼットに隠れて葉巻を吸ったり、オリーブがビンから出せなかったりと、どこか頼りない。ライナスが生真面目な仕事人間になるのも肯けます。
でもそんな渋くて恰好良いライナスにも、弟を彼女から引き離すために”ポケットにグラスを入れた弟を座らせ、お尻を怪我させろ作戦”を実行する非情(おちゃめ)な一面も。やっぱり親子ですね。
割と無表情な役なのですが、サブリナとともに揺れ動く感情の機微を見せてくれます。
最後まで目が離せない素敵なロマンティック・コメディでした。

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映画「不知火檢校(しらぬいけんぎょう)」観ました

 | 時代劇  Comment(0) 
Tag:森一生 日本

不知火檢校(しらぬいけんぎょう)
このシーンをじっくり見たら、手に力が入ってなくて安心(笑)
製作:日本’60
監督:森一生
原作:宇野信夫
ジャンル:時代劇

【あらすじ】貧しい家に生まれ、両親のために人から金を騙し取る盲目の少年がいた。成長し按摩師となった徳の市は、罪悪感の欠片もなく悪の限りを尽くしてのし上がる。やがて、仲間をけしかけ師匠を殺し、盲人の最高職位・檢校となるが…。

あまりの悪役ッぷりに唖然としながら観てしまいました。
ピカレスク時代劇っていうんですか?悪漢が主役の。時代劇なのにピカレスクって…語呂がいいような悪いような。
それはさておき、この男の”悪”は少年時代から始まっていました。お祭でお酒を騙し取って両親を喜ばせる(騙し取ったことは内緒)くらいは可愛いもので、金持ってそうな男に手紙を読んでもらい『一両同封すると書いてあるのに入ってない、泥棒だ!』と詐欺師顔負けの仕事をしてみせます。
この頃から、まるで罪の意識を感じていないのが末恐ろしい!!
当然、大人になっても道徳心は芽生えず、更に悪に磨きをかけます。
しゃくで苦しむ旅人と出会い、百両持っていると知ると躊躇なく男を殺害。それを目撃していたヤクザの倉吉には口止め料五十両を渡し、今度また会いましょうと知人の証明にお守りを借ります。そして、それを死体に握らせ…。
彼にとって金や出世がすべてで、他のものは取るに足らないどうでもいいことなんですよね。
彼の欲望は尽きることがなく、隙や弱みに付け込んで女性を慰み者にし、それを苦に自殺しても「死ぬほどのことじゃないのに」と鼻で笑います。そして、偶然再会した倉吉とそ知らぬ顔で仕事をし、「ついでに」と師匠殺害までやらせてしまいました。

ここまでくると、最初の親孝行(に見えなくもない)少年時代はなんだったのかと思えてきます。もしかしたら、生きるのに必要な存在だったから良い顔をしていただけなのでしょうか?
どこまでも”悪”でしかない彼の存在感は相当なもので、全然好きではないけど強烈なインパクトを残しました。時代劇はあまり観ないほうですが、たまにドギツイのにあたって驚かされます。