家族 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「アメリカン・ビューティー」観た

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アメリカン・ビューティー(1999)
原題:AMERICAN BEAUTY
製作:アメリカ’99
監督:サム・メンデス
ジャンル:★ドラマ/ブラックコメディ

【あらすじ】妻キャロリンと高校生の娘ジェーンと平凡な毎日を送っていたレスター。だがある日、勤めていた広告代理店からリストラ宣告を受ける。自暴自棄になりかけていたところ、娘の友人アンジェラを一目見て、すべてがバラ色に。一方で、彼らの歯車は少しづつ狂い始め…。

初見時は、よくわからない悲惨な映画だなぁと思ったこの作品。再見したら、思いがけずしみじみと感動してしまいました。
確かに悲惨であることには違いないものの、ラストは初見時と違って悲壮感をまるで感じなかったんですよ。家族にしてみたら、たまったもんじゃありませんが。
この作品の言いたかったことって結局、リッキーが言っていたこと…「全てのものの背後には生命と慈愛の力があって、何も恐れることはない」つまり裏返すと「世界の美しさ、愛(神の存在)に気付けない人は不幸だ」ということなんだと思います。(神抜きで言うなら「人生を愛せるかどうか」に近いかな?)

冒頭から描かれるのは”ハッピーじゃないけど、とくべつ不幸でもない”という”ありふれた日常”で、それでも彼らは「なんで自分は幸せになれないんだろう」と思っている様子。そしてそれを、身近な誰かのせいだと思ってるんですよね。
レスターは妻と娘が変わってしまったと思っているし、奥さんは甲斐性なしの夫のせいで成功できないと思い、娘は自分に関心を持たない両親を憎んでいる。
どれもあながち間違ってはいないものの、自分から積極的に改善しようともしません。それよりも、別の何かで埋める方が簡単とばかりに(周りに目を向けることは大切ですね)、レスターは女子高生に恋い焦がれ、妻は不倫に走り、娘は自分を見つめてくれるリッキーに興味を…。

中盤になるともう”ありふれた日常”とは言えなくなってきて、時には痛々しいくらい滑稽に、時にはヒヤリと恐ろしくなるほどに、偽りのなかで孤独に苛まれている人々が描かれています。
とくにリッキーの家族はインパクトあって、鬱状態の母親はかろうじて家事はできるものの、いつも心ここにあらずの無表情。こんな生きる屍状態を放置しているというだけで、父親の抱える闇の深さが伝わってきました。

そんな中、ジェーンとリッキーの心が触れ合い、あの台詞が出るんですね。
そしてレスターの方も、唐突にそれを見つけます。
アンジェラの「初めてなの」という告白で、憑き物がおちたかのように彼女への欲望を失ったレスター。それはきっと、彼女の中に無垢な子供と同じような神聖性を見たからでしょう。それが幼い頃の娘に自然と抱いていただろう「幸せになってほしい」という父親としての気持ちを呼び起こしたんだと思います。
アンジェラが傷ついていることを理解し、やさしく抱きしめ彼女を肯定する(あのおじさんもこれを求めていたんだろうなぁ…)。アンジェラを通してジェーンを理解し、父親としての自分を取り戻した彼にとって、もう世界は孤独でも苦痛でもありません。
いるだけで幸せだと思える相手がいることが、どんなに幸福なことか。その幸福をしみじみ実感しながら家族写真を眺める姿に、思わず涙が…。
他人から見て悲惨なラストでも、彼にとってはハッピーエンドだったのではないかとすら思えてきました。

ちなみに、タイトルは原題と同じ「アメリカン・ビューティー」。キャロリンが育てている真っ赤なバラの品種名であり、レスターがアンジェラに抱くイメージであり、その名の通り「アメリカの美しさ」という意味を持つ皮肉めいたタイトルです。
そんな虚栄美を象徴するかのような赤いバラと、レスターの体から流れて落ちる真っ赤な血。その背後にも、生命と慈愛の力が存在していたのでしょうか。
穏やかな表情を浮かべるレスターを見て、笑みを浮かべるリッキーが印象的でした。

映画「恋のじゃま者(1986)」観ました

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原題:NOTHING IN COMMON
製作:アメリカ’86
監督:ゲイリー・マーシャル
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】シカゴの広告代理店でCM製作を務めるエリート・デヴィッドは仕事にも女性にも不自由のない生活を送っていた。そんなある日、母親が家を出たと父親から知らされる。両親が抱えていた夫婦問題と父親の我侭に振り回され、仕事も手に付かない状態が続くが…。

地味ながら、リアルな家族のドラマをユーモアを織り込みつつ描いた秀作だったと思います。
この邦題じゃ恋の邪魔をされるロマコメみたいですがぜんぜん違って(仕事の邪魔にはなってた)、両親の抱えていた問題や父子の確執など、いつか乗り越えなければならないものが男盛りにいっぺんにやってきたというだけ。恋はしているものの女の扱いは上手いから困ってないし、両親の破局を乗り越えて成長し、遊びの恋も卒業するという感じ。
映画でやり手の広告マンというと嫌な奴が多いのに、この主人公は多少ウザイけど(会社のクールなおばさんを毎朝笑わせようと奮闘)仕事に真摯で、信頼する仲間と楽しんで仕事をしています。
人望も厚く、彼が本当に参った時には「たかがCMだ。後は任せろ」と仲間が気遣ってくれるし、取引相手より家族を優先して先方を怒らせた時も、親友で上司のナイスハゲ(キラッ☆)がパパッと尻拭いしてくれるんですよね。しかも、デヴィッドの父親の事も心配してくれて。
そんな仲間に支えられ、ドロドロ家族問題にも頭を抱えながら「父親と知り合いたい」と立ち向かっていく様子には力強さを感じました。
父親が嫌な奴で全体的には重い内容だったものの、最後まで嫌な気分にならずに観られたのは、主人公の人柄と諦めない姿勢のおかげだったと思います。
…あと、カツラネタ(笑)
トム・ハンクスは若い頃から上手いですね~。

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映画「ベルンの奇蹟」観た

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Tag:ドイツ

ベルンの奇蹟
原題:DAS WUNDER VON BERN/THE MIRACLE OF BERN
製作:ドイツ’03
監督:ゼーンケ・ヴォルトマン
原作:クリストフ・ジーメンス
ジャンル:★ドラマ/スポーツ

【あらすじ】1954年夏、敗戦後ドイツの工業地帯エッセン。サッカーが大好きな11歳のマチアスは、地元のサッカー選手ラーンを心から慕っていた。だがある日、戦争で捕虜になっていた父リヒャルトが11年ぶりに帰ってくる。厳格な父親であろうとする父に、マチアスや家族は戸惑い…。

とても優しい気持ちになれる作品でした。
1954年のワールドカップを題材にしているものの、メインはある家族のドラマです。
個人的にはサッカーパートはあんまり印象に残ってなくて、むしろスイス合宿での青い空が印象に残ってますね。主な舞台が薄暗いドイツの炭鉱町なので、そのギャップが主人公の心情にリンクしてました。
戦争帰りで家族との距離を埋められず、つい威圧的になってしまう父親のせいで、大好きなサッカーから遠ざかってしまうんですよ。彼にとってサッカーは希望そのものなので、ラーンが行ってしまえば太陽も翳ってしまいます。
しかも、この父親が不器用すぎて見てられない…。悪い人ではないというのはわかるものの、もし主人公と同じ立場だったらあんなふうに理解を示すことはできないと思います。
主人公の周りの人は誰も彼もがいい人で、彼が辛い時は必ず支えてくれる人がいるし素晴らしい助言をくれたりするので、できすぎだなぁと思う瞬間はあったものの、素直な気持ちで観れば感動ものでした。
実は主人公は出征後に生まれたので父親とは初対面なんだけども、だからこそ捕虜として過ごした辛い日々の事を聞けたし、父親も素直に話すことができたのかなぁと思います。やはり辛い気持ちを吐き出させる事が第一ということでしょう。父親の話をサッカー中継より優先したとこは尊敬します。
同じ表情で笑う父子、新聞記者と奥さん、主人公の友達の女の子なども良かった。
ただ、誕生日のくだりは…バケツの中を映す必要があったの?
↓以下ネタバレ注意!

日本だとウサギは捨てるところがないと言われていたし、ドイツと言えば腸詰というくらいで食べつくすイメージなんですが…。
調理技術がなかったのかもしれないけど、あんな体験をした父親が、まだまだ貧しいのにあんなに可食部や毛皮を棄てているのは違和感があるというか、それをわざわざ見せるのはショッキングなシーンを入れたかっただけなのではと疑ってしまいます。
ショックを受ける表情と悲鳴だけでよかったような…?
ここさえなければ私的にほぼ満点だったので残念です。

映画「我が大草原の母」観た

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Tag:中国

我が大草原の母
原題:額吉(エージ)
製作:中国’2010
監督:ニンツァイ
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】1960年代の中国。飢饉のため親と離れざるを得なかった上海の子供たちが、養子となるため内モンゴルに送られた。シリンゴル草原でつつましく暮らすチチグマは、夫の反対を押し切り、ジェンジェンとユーションの2人を家族に迎える。子供たちはモンゴル遊牧民として育つが、20年後、生みの親が現れ…。

製作は中国だけど、監督はモンゴルの人でモンゴル視点で描いてました。
飢饉で多くの孤児が出て、内モンゴルの人たちが”国家の子供たち”を受け入れるんだけども、その飢饉の事を「あれは酷い災害だった」みたいに言ってたんですよね。
雨が降らなかったのかなと思ってたら、大躍進政策で起きた飢饉の事でした。
人災でそこまで…。
教科書で読むのとはやっぱり違います。
ハッキリ言ってないのは製作が中国だからなのかもしれませんが、後半はこの政策で苦しんだ人たちの気持ちも痛いほど伝わってきました。
子供を愛しているから、少しでも生き残る可能性が高い方に賭けるしかない…。
覚悟してやった事でも、後悔せずにはいられない親たちの姿に胸が痛みます。

もちろん、前半のモンゴル遊牧民の助け合い精神や慈愛の心も丁寧に描かれていて、引き取られた子供視点で、エージ(母親)の愛情に触れ「自分はここにいてもいい」と思えるようになるくだりは涙が…。
お祖母さんの歌になんともいえない心地よさを覚えるというシーンも良かったです。
愛情って音楽でも伝わるんですよね。

映画「エリザベスタウン」観ました

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エリザベスタウン
原題:ELIZABETHTOWN
製作:アメリカ’05
監督:キャメロン・クロウ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】10億ドルもの大損害を出し、会社をクビになったデザイナーのドリュー。そこへ父親が心臓発作で亡くなったという報せが。葬儀のためにケンタッキー州の小さな街エリザベスタウンへと向かった彼は、飛行機の中でお節介焼きで陽気なフライト・アテンダント、クレアと出会い…。

序盤の飛行機でのドリューとクレアの出会いから涙がこみ上げてきてしまいました。父親が亡くなったことを言わなくてもクレアが察して、でも察した事を気付かれないように今までどおりの明るい態度で気遣いを見せるところがもう…優しい!
エリザベスタウンについてからの思いがけない歓迎っぷりも、こんな町あるんだろうかと思いつつ、あんな心理状態だった彼への父親からの贈り物みたいで泣けます。
序盤にドリューが即席で作ったマシンとか、中盤にやんちゃで手がつけられない少年に見せた「人の話を聞く」ビデオ教材とか、ところどころ笑いが入るのも良いんですよね。メリハリあって。
主演のオーランド・ブルームは、イケメンで人懐っこい表情を最大限活かしてるって感じでした…個人的には物足りない感じでしたが。
キルスティン・ダンストは美形ではないものの、女性としての洗練された美しさを持ってて、素直に綺麗な人だなぁと思います。
でもって、母親役のスーザン・サランドンは女優として輝いてました。夫を亡くしてから、がむしゃらに自分のやりたかった事を習い始めるシーンとか、出演時間は少ないけど印象的。
最後のスピーチも習ったばかりの事を拙いながらも一生懸命披露していて、本当に旦那さんが好き(原動力)なんだなぁとまた涙が…。この作品は私を何回泣かせるつもりなのか!
しかも、終盤の1人で3人旅が素敵でね…。あのタイミングで「パパ大好き!」は反則でしょ。もう涙腺が崩壊ですよ。
悲しみはひとりになってからふと襲ってくるものなんだろうけど、このクレアの用意してくれたマップのおかげで、一人であって一人じゃないんです。
本当に優しさに包まれた作品でした。

映画「幸福(しあわせ)のスイッチ」観た

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Tag:日本

幸福(しあわせ)のスイッチ
製作:日本’06
監督:安田真奈
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】家族より“お客様”を優先する電器屋の父に反発し、実家を離れて東京でイラストレーターとして働く21歳の怜。上司と衝突して会社を辞めたところに、妹の香から長女の瞳が倒れたとの手紙が。あわてて実家へと帰省した怜だったが、入院したのは瞳ではなく骨折した父で…。

キャスティングがよかったですね~。それぞれのキャラに合っていて、とくに長女役の本上まなみさんがほわわんとしてて、上野樹里演じる怜の発するギスギス感を和らげてました。
彼女のひねくれ方がほんと素直で、謝れない性格とか「こうはなっちゃいかんなぁ」と思うんだけども、身に覚えがあったり。
ストレス発散方法が、お店で回収した使えなくなった電球の処理(破壊)ってのも共感できます。壊して良いものを思いっきり壊すとスカッとするよね!(笑)
そんな彼女が反発していた父親の仕事を手伝う事で、今まで見えなかった父親の一面が見えてきて…となるわけですが、ふっと肩の力が抜けて素直に謝れるようになったきっかけが、お客さんの何気ない「ありがとう」の言葉だったというのが地味に感動。
補聴器のエピソードも思わず涙腺緩みましたよ。そうか~、耳が悪くなると日常会話だけでなく自然界の色んな音も聞こえなくなっちゃうんだ…。
あってもなくてもいいような電化製品でも、世界が変わるような電化製品でも、買った人がみんな幸せそうにしていて心が温かくなりました。
ただ、怜を甘やかしすぎの彼氏は居なくてもよかった気が…。キス魔のいいかげん男は味があってよかったんだけど(怜に持たせるお土産がナイス!)
観終わってから知ったんですが、この作品は和歌山県田辺市を舞台としたご当地映画らしく、和歌山弁(田辺弁)が話せることがキャスティングの条件だったようです。どうりで方言も違和感なかったわけだ~。
ロケ地も厳選されてて、のどかで田辺らしい風景が楽しめます。
前向きに大らかな気持ちにさせてくれる良作でした。

映画「彼岸花」観ました

 | 家族  Comment(4) 
Tag:小津安二郎 日本

彼岸花(1958)
作中に彼岸花は登場しません。
製作:日本’58
監督:小津安二郎
原作:里見とん
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】娘の節子に良い縁談がないかと考えていた平山。だがある日、節子との結婚を了解して欲しいという青年・谷口が現れる。節子が相談なしに結婚の約束をしたと知り、激怒した彼は結婚に反対。そんな時、節子の友人・幸子が、自分の縁談で困っていると相談にきて…。

忙しかったので”ながら観”してしまったんですが、途中から声をたてて笑ってしまいました。いっつも同じような話なのに、なんで面白いんだろう~?
とにかく頑固親父の平山が面白いんですよ。娘が自分に相談もなしに結婚の約束をした上に、自分以外は節子の味方という事で、もう完全にすねてしまいます。
今まで、知人に同棲した娘の相談をされても他人事だったのに、こうなって急に我が事のように思えてきたり(笑)
娘の友人の”トリック”のくだりも最高でしたね。自分の娘の時とは全く違う反応!
それが当然といえば当然なんだけど、同時期にここまで正反対の態度を見せられると笑うしかありません。
娘のために、ビシッと夫の矛盾を突く奥さんもカッコよかったです。
なのに、この男の往生際の悪さときたら…。だんだん頑固オヤジというより駄々っ子のように…。
「人生は矛盾だらけ、矛盾がないのは神様だけだ!」と開き直った時は、奥さんの額に青筋浮いてくるんじゃないかと心配してしまいました(笑)
傍から見てると面白いけども、娘の幸せがかかってるお母さんにとっては、こんな面倒な夫、頭が痛かったに違いない。夫が結婚式用の衣装?を用意していることに気付いた時の、一仕事終えたような笑顔がよかった。
ところどころ見逃してるし、いつかしっかり再見したいです。

<再見追記:2015/12/04>
今回はきちんと観ました。概ね初見時と同じように呆れ半分で楽しめたし、節子が選んだ男性が父親そっくりだと気付いて大笑い。
結婚のことは母親から話してもらうと言っていたのに(その時は同意してたと思われる)、それを無視して勝手に父親に話しに言ったあげく、節子もこのことは知ってると大嘘ついてんの!
父親からみて第一印象最悪なのもわかるし、最初から自分で決めていて人のいう事なんて聞かないところは節子の父親そっくり。これは結婚してからお母さんと同じように苦労するわ~と思いました。
そんな男に娘はやらないと言い張る父親は、奥さんを苦労させた自覚があるのかね(笑)
同属嫌悪するのもいいけど、父親そっくりの男を選ぶなんてよっぽどパパ大好きってことだよ!

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映画「天国の約束」観た

 | 家族  Comment(3) 

天国の約束
原題:TWO BITS
製作:アメリカ’95
監督:ジェームズ・フォーリー
ジャンル:★ドラマ

1933年、大恐慌のアメリカ。12歳のジェンナーロは、新しい映画館が今日の18時までなら半額だと聞き大はしゃぎ。だが、母親も、自分が亡くなったら25セントやると約束していた祖父もお小遣いをくれない。彼は街でお金を稼ごうとするが…。

わが街 セントルイス」に続き、またもや大恐慌時代の映画です。
あらすじでちょっと引いたんだけども、心温まる良作でラストはホロリ。
大人たちのイラつきや疲労感、子供の素直な欲求、そしておじいさんとの別れの準備。あの時代の良い所も悪いところも地味~に描いてました。
大人が少年に対して、やたらと八つ当たり気味な会話をしたり、すぐに我に返って大人らしい対応をし直すところもなんかリアル。
終盤でお祖父さんが言う「もう25セントは必要ないのか?それともほしくないのか?」「まるで違うとも。腹は食べ物が必要だが、心は夢がほしいんだ。」というセリフの通りですね。
生きるためにお金を必要としている大人たちは、映画を観るという夢のためにお金(仕事)をほしがる少年に、つい反感を抱いてしまうよう。
そして、観る前にひっかかっていた”お祖父さんが亡くなったら25セントもらえる”という約束。冗談めかして「今頂戴よ」と言う事はあっても、心の中ではずっとお祖父さんと一緒にいたいと思っているのがわかって(モノローグで説明しちゃってたけど)すんなり観られました。
お小遣いをもらえなくても「じゃあ自分で稼ごう」と思えるいい子だし、仕事は最後までやりきり、できなかったらお金を返そうとする立派な子なので安心して観られます。
まあ、一日でここまで起こるのは映画ならではという感じで、現実味に欠けるかもしれませんが、冒頭の結婚式と葬式のダブルブッキングなど、最初から映画的で気になりませんでした。
お医者さんの奥さんや、お祖父さんを憎むお婆さんとのくだりなど、12歳の少年が一日で経験するには辛すぎたけどね~。
ラストは少年とお祖父さんとの絆にじんわり心が温かくなります。お祖父ちゃんの25セントと、約束が、少年に笑顔を!
「求めよ!」という力強い言葉の意味もきっとわかるようになって、彼は立派に成長していくのだと思えました。
ちなみに、原題は25セントの事です。

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映画「私の中のあなた」観ました

 | 家族  Comment(13) 

私の中のあなた
製作:アメリカ’09
原題:MY SISTER'S KEEPER
監督:ニック・カサベテス
原作:ジョディ・ピコー
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】白血病の娘ケイトを救うため、遺伝子操作によってドナーの適性をもって生まれてきた11歳の妹アナ。とても仲の良い姉妹だったが、ある日突然「自分の体のことは自分で決める」と臓器提供を強いる両親を相手に訴訟を起こす。その裏にはある思いが隠されていて…。

なんとなく内容を知っていて、自分がどう感じるか不安だったんですが、本当にいい作品でした。
とくに気がかりだったのは、母親に嫌悪感を覚えてしまうかもしれないという事。でも、鬼気迫る様子に驚く事はあっても、ケイトを想うあまり周りが見えなくなってしまった彼女を不愉快に感じる事は一切なく、胸が痛むばかりでした。ケイトの幸せを見守る時の表情から、彼女が本当に娘を愛してるのが伝わってきたからでしょうね。
見せ方はとても丁寧で、物語の中心である女性陣だけでなく、こういう話だと空気になりがちな男性陣も静かに見せてくれます。ダンスパーティに娘を送り出すシーンとか、姉の絵を風に任せるシーン、弁護士さんが「休憩したくてワザと倒れた」と飄々と答えるシーンが良かった!
真実が明かされていく終盤も、驚かせるという感じではなく、観ていればすんなりわかるというか、これが自然な流れだと思えるもので、実に冷静に?感動を味わえました。泣けるような感動というより、心の平穏を得られたような感動?
また、嫌な人たち、鈍感な人たちも描かれてるんだけど、終盤はまるで家族が共有する世界の外側にいるような描かれ方になるんですよね。彼らの言葉なんて街の騒音と同じになってしまう…それほどの家族の強い絆を感じました。
あと、どうでもいいけど、息子役のエヴァン・エリンソン君は、大好きな海外ドラマCSI:マイアミで、主人公の息子役の子なんですよね~。たぶん2~3年間の成長過程を観てるから、こうやって立派に映画俳優やってるのを観られて嬉しかったです。
エンドロールの後、翻訳家が戸田奈津子と出て若干不安になったけど(笑)、観られて良かったと心から思える作品でした。

映画「リトル・ダンサー」観ました

 | 家族  Comment(5) 
Tag:イギリス

リトル・ダンサー
同じ坂道を駆け上がる親子のシーンを繋げてみた。
製作:イギリス’00
原題:BILLY ELLIOT
監督:スティーヴン・ダルドリー
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】父や兄がストライキで闘うなか、なけなしのお金でボクシング教室に通う11歳のビリー。しかしある時、同じ場所で行われていたバレエ教室に興味を覚えたビリーは、父に隠れてバレエを習い始める。

大筋は覚えてるのに感動のシーンなどはほぼ忘れていて、自分で★つけたのに面白かったか疑心暗鬼で再見。…泣きました。
どうしてこんなにすっかり忘れられるんだろう!
バレエとか彼のダンスのよさはぜんぜんわからなかったけど、音楽の感動を体で表現したいという衝動が伝わってきました。本当に音楽もダンスも大好きなんだよね!
影の努力や、バレエの先生の娘とのませたやり取り、ゲイに目覚めつつある親友とのやり取りなども微笑ましい。
ストライキの見せ方も僅かな時間で印象に残ったし、「わたしはダンサーになれた」が口癖なお祖母ちゃんも個性的。病気で亡くなった母親との繋がりであるピアノの使い方も上手かったと思います。
後半、ビリーを応援しようと覚悟を決めてからの家族(とくにお父さん)の結束には泣かされました。「ビリーはまだ11歳なんだ、夢を叶えてやりたい!」と叫ぶシーンは涙腺崩壊。合格通知のそわそわする家族には笑いました。
ダンスの先生やお兄ちゃんとの別れのシーンも良かったなぁ。
ただ、男がバレエをやる事やゲイへの偏見が残っている事をもう少し描いた方が、前半に父親が断固反対してた気持ちも伝わってきた気がします。
観終わってしみじみ「いい映画を観たな」と思える作品でした。

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映画「東京物語(1953)」観ました

 | 家族  Comment(10) 
Tag:小津安二郎 日本

東京物語(1953)
製作:日本’53
監督:小津安二郎
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦が、成人した子どもたちの家を訪ねる。だが、子どもたちはそれぞれ生活に精一杯で、彼らに構っている暇もない。唯一、戦死した次男の未亡人だけが、二人に優しい心遣いを示し…。

小津監督というと、娘の結婚にまつわる作品ばかり観ていて、さすがにうんざりしてたんですけど、見逃していたこの作品は違ったんですね~新鮮でした。
大らかなお母さんが良かったです。まるで仏様みたいというか、すべてを包みこむ優しさを持っていそうというか、一度抱きしめてもらいたい!(笑)
印象に残ったのは、幼い孫を連れて土手に散歩に出かけ、「お前も大きくなったらあんなふうになるん?その時、お祖母ちゃんおるかのう?」というような事を言うシーン。
老夫婦が子供たちに冷たくあしらわれるのが切ない作品なんだけども、現代ではありふれた光景で感覚が麻痺してるのか、そこまで琴線に触れる事もなかったんですよね(全体の空気は凄く好き)。でも、このシーンは胸の内にある寂しさや喪失感なんかがポロっと零れ落ちた感じで、目の前の孫に答えを求めてるわけじゃないのに言わずにはいられない気持ちがたまらなかったです。
あと、この作品を観てるとうちわが欲しくなりますね。撮影のために一体何個用意したんだってくらい、いつも画面の片隅でパタパタ扇いでました。
今はこれくらいしか気付かなかったけど、観るたびに発見がありそうな作品です。

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映画「カオス・セオリー」観ました

 | 家族  Comment(4) 

カオス・セオリー
製作:アメリカ’07
原題:CHAOS THEORY
監督:マルコス・シーガ
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】1日の行動全てをリスト・アップし、忠実に実行へ移していたフランク。妻スーザンはそんな彼に余裕を持たせようと時計を10分ずらすが、間違えて早めてしまう。彼の予定は目茶苦茶になり、不幸が重なって妻に不貞を疑われ…。

日本未公開の小品なんだけど、なかなかの掘り出し物でした。
人生の効率化を計るため、何事もリストに書き出してから行動しているフランクが、ちょっとした事からとんでもない事になっていくお話です。とんでもない事と言っても、ヒッチコック作品みたいに陰謀に巻き込まれたりという事ではなく、一般人の普通の人生の中での一大事。流れ的には予想もつかなかったけど、こういう事態は決してありえない事ではなく、フランクと一緒に驚いたり悲しんだりしてしまいました。
後半はドラマ寄りで、ある事実を知って声を殺して泣く姿が痛ましい。まあ、その後ちょっと壊れちゃって、やりたい事をくじ引きで決めて実行に移すという無茶を始めるんですが…。
哀愁漂うコミカルな展開もわたし好み。テンポがいいからフランクの暴走もサクっと観られます。
家族が壊れそうになってしまった時、始めの方でフランクと娘がやっていた”窓への願掛け”が効いてくるのもいいですね~。娘が本当に可愛らしいです。
これらを、ある人物に対して昔話として語っているというのも素敵です。こじんまりした作品だけど、最後にはジーンとさせてくれる良いお話でした。

【再見:2015/2/27】
あまりオンエアしないだろうと思ってDVDに焼いておいたんですが、最近タイトルを目にして内容がさっぱり思い出せないことに気付き再見してみました。
約3年ぶりだけど、感想はまったく変わらず。付け加えるなら、ライフルを買うエピソードで店員が察しすぎ&協力的すぎ(笑)
あとは、あんなことがあってもフランクを好きだという親友が良かったですね。彼は彼で辛かったと思います。最後の方で映される家族写真に彼も入っていて、みんな笑顔なのが見ていて嬉しくなりました。
TV版は10分ほどカットされてたので、いつかフルで観てみたいです。

映画「歩いても 歩いても」観ました

 | 家族  Comment(2) 
Tag:日本

歩いても 歩いても
製作:日本’07
監督:是枝裕和
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】夏の終わり。老いた両親が暮らす横山家に、子どもたちが家族を連れて帰郷した。その日は、15年前に亡くなった長男の命日だったのだ。父親とそりが合わない次男の良多は、再婚したばかりの子連れのゆかりと渋々の帰郷だったが…。

落ち込んでるけど無理に元気になりたくない時にちょうどいいテンションの作品でした。
俳優が私でもわかる有名な人ばかりだったけど、意外と気にならなかったです。みんな濃いから中和されたのかも(笑)
淡々と家族の想いが浮き彫りにされていって、それが妙にリアルでした。子供からお祖父ちゃんまで、本当にこういう家族がいるんじゃないかと思えるほど。居心地の悪さすら完璧に再現してます。沈黙も実に雄弁でした。
お祖母ちゃんの「10年やそこらで忘れてもらっちゃ困るのよ」という言葉が忘れられません。「誰だってこんなもんよ」とも言ってたけど、ホントそうだと思います。人間は命の重さを平等には計れないものですよね。
ラストは阿部寛のナレーションが入って、ちょっと普通な感じになっちゃったけど、心に染みる秀作だと思います。

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「誰も知らない」を観終わりました

映画「安城家の舞踏會」観た

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Tag:日本

安城家の舞踏會
製作:日本’47
監督:吉村公三郎
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】代々の名門華族である安城家にも、太平洋戦争終結とともに悲劇が訪れた。家屋敷まで手放さなくてはならなくなった時、彼らは貴族階級との決別の意を込めて最後の舞踏会を開く。当主の忠彦は、最後の望みをかけて新川を招き…。

これも案外面白かったです。わかりやすいキャラクターと演技で、憐れっぽく滑稽に華族の没落を描いた風刺劇で、「あらあら可哀そうだこと!(笑)」みたいな感じで観るのが正しい…のかな?
(嗤)じゃないところがマイルドでわたし的には見やすかったんですが、当時の大多数がおかれた苦しい状況を知っている人から見たら、『ぬるいわっ!!』ってなるかも。
まあ、みんなだいすき原節子が”華族の肩書きより、家族の絆”みたいなポジションにいて、健気に家族を気遣い、みんなで現実に立ち向かっていこう!と励ます姿を見たら、多少はそんな気持ちも和らぎそうです。終盤の節子タックルは爆笑でしたし。これが本当の体当たり演技(笑)

そんな彼女が手を焼くのが、まずは風が吹いただけで倒れそうな弱々しい父親。完全なる温室育ちで、温室の中では優雅に咲き誇れても、外に出れば枯れてしまうと自分で思い込んでいます。というか、節子タックルがなければ死んでたし、そうでなくても娘がついてないと生きていけそうにない。一番の問題児でした。
次に真性ファザコンで長男の正彦。放っておいたらヒモになりそうな男なんですが、パパの気を引くためにピアノは頑張ったみたいだし、パパが再婚しないから自分も結婚しないし、パパを騙した奴には痛い目見せてやろうとするし、とにかく最初から最後まで父親しか眼中に無いのに、ほとんど父と話せてないヘタレで笑えました。…いや、筋違いな復讐に走った時は笑えなかったけどね。本気だったのかはわからないけど。
そして、気位の高いツンデレ出戻り長女の昭子。ずっと前から運転手の青年に熱烈に慕われていて意識しまくっているのに、そんな自分を否定するように”成り上がり者”とか”気持ち悪い”とか”汚い”と罵ります。「記念にぱぁっと舞踏会を開こう」と言い出したのもこのお人。最後にはデレて、砂浜を転びながら追いかけていくのが、やっぱり笑える。
そんな感じで笑いながら観てたんですが、最後は現実と向き合おうと決心したっぽい父親と、ひとりで問題児たちの面倒をみた次女・敦子のダンスが素敵で、二人の足の運びに惚れ惚れしました。このシーンが一番品があったかも。

映画「幸せのレシピ」観た

 | 家族  Comment(11) 

幸せのレシピ
製作:アメリカ’07
原題:NO RESERVATIONS
監督:スコット・ヒックス
ジャンル:ドラマ/ロマンス/コメディ

【あらすじ】マンハッタン。料理長を務める完ぺき主義者のケイトは、突然の事故で姉を亡くした。姪のゾーイを引き取り一緒に暮らし始めるが、ゾーイは彼女の料理を口にしようとしない。だが、新しく入ったシェフ・ニックの料理を美味しそうに食べ…。

リメイク版も再見してみました。ホントは「マーサの幸せレシピ」と同じシーンを描き比べるつもりが、いまいちだったので諦めて孔雀の羽根を眺めるシーンに。「リトル・ミス・サンシャイン」の時とは一年しか違わないのに、彼女の表情がずいぶん大人びて見えますね。
さて、個人的には先に観たオリジナルが印象に残ってるものの、こっちはこっちで好きなところもあったりします。
ひとつはゾーイ役のアビゲイルちゃん。ふたりが目の前でキスをした時に、照れながら顔を隠してしまうシーンが可愛いです。他の主演ふたりはどうしても違和感があったけど、彼女は演技が上手で気になりませんでした。その分、彼女の父親とのエピソードをぜんぶカットしてしまったのが許せん!!
もう一つは、ラストですね。オリジナルももちろん好きだけど、三人の名前が書かれた看板を回すゾーイが微笑ましくて、幸せな気分で見終われました。
ちなみに原題には、”予約なし”という意味と、”遠慮、気兼ねや秘密はなし”という意味があるそうです。

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映画「山の郵便配達」観ました

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Tag:中国

山の郵便配達
製作:中国’99
原題:那山 那人 那狗
監督:フォ・ジェンチイ
原作:ポン・ヂェンミン
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】1980年初頭の中国・湖南省西部の山間地帯。足を悪くした父親に代わり、息子が郵便配達の仕事を引き継ぐ。それは、一度の配達に2泊3日を要する過酷な道のり。父親は愛犬”次男坊”を連れ、息子とともに最後の仕事へと出発する。

これは素晴らしかったです。即、永久保存決定でした。
父と息子の旅、いいですよ~。一緒に過ごせなかった時間が、すれ違った想いが、旅を通じてみるみる埋まっていくのが伝わってきます。
言葉は少なくても、父親が長年続けてきたことの意味はわかるんです。たった3日の旅だけど、手紙を届けた相手の笑顔、それを一番に考えている父親の行動をみれば、一目瞭然。
この仕事を本気でやりたいというわけでもなかった息子が、父のように人々の想いを届けたいと思うようになる過程。そして、今まで父親らしいことをしてやれず「父さん」とも呼んでもらえなかった父親が、本当の意味で父親になっていく様子。それが、実にあたたかい目線で描かれていました。
美しい山の風景、心洗われるような笑顔、可愛い”次男坊”。すべてが調和していて、深い余韻を残します。
ちなみに、原題の意味は”あの山、あの人、あの犬”です。

すごく落ち込む内容の番組を見てしまって、少しでも気分を変えようと私的「癒し映画」NO.1に輝くこの作品を再見しました。
う~ん、やっぱり”大自然の緑、ロードムービー、親子の絆、可愛くて賢いわんこ”など、心が癒される要素のみをぶちこんだようなこの作品の癒しパワーは半端ないです。
それでいて押しつけがましさを感じないんですよ。もう自分の一部のように懐かしく感じる作品です。

感想はだいたい初見と変わらないものの、一つ違ったのは、彼は父と旅をする前から尊敬する父の仕事を本気でやりたかったのかもということ。ほとんど一緒に過ごせなかった父と息子の距離は、遠いようで案外近かったんだと、父親を出迎えた時(年齢別)の短い回想シーンから伝わってきました。
旅の始めは何を話したらいいのか戸惑っていた二人が、少しづつ少しづつ素直になっていって、今までほとんど話せなかったのが嘘のように自然な父子の姿に変わっていくのがもうね(涙)

とくに、冷たい川を渡る時、彼が足の悪い父を背負ってゆっくり渡るシーンは泣けました。父親を背負えるようになったら一人前だと聞いた子供の頃は、背の高い父を背負えるか不安に思っていたのに、今はちゃんと背負って川を渡っている自分がいる。
そして、背負われている父も、幼い息子を肩車していた頃を思い出しながら、その成長に涙し、そして息子の存在を確かめるように頭に顔を埋めるんです。セリフもモノローグもないけど、「立派になったなぁ…!」という声が聞こえてきそうでした。
終盤になって、今度は息子がこれから村で暮らす父親に処世術を伝授するシーンも面白かったです。もうすっかり仲良し親子だよ♪

そして、不在である母親のこともしっかり描かれていました。彼はほとんど”お母さんと二人暮らし”の状態だったので、やはり傍にいなくても想っているんですよ。仕事に出かけた父を心配していたように、今自分のことを考えているだろうかとか、山里の娘さんと良い雰囲気になっても、結婚したら母さんのように故郷を想い続けるから…と思っていたり。

ラスト、息子の背中と、それを追っていく次男坊を誇らしげに見送るお父さんの表情も素晴らしい。このお父さんを演じた方の存在感が、この作品に厚みを与えていたと思います。
93分の中で、驚くほど家族愛が込められていました。

映画「マーサの幸せレシピ」観ました

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Tag:ドイツ

マーサの幸せレシピ
製作:ドイツ’01
原題:DREI STERNE
監督:サンドラ・ネッテルベック
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】料理に絶対の自信を持ち、しばしば客と衝突するシェフのマーサ。突然の事故で姉を亡くした彼女は、姪のリナを引き取り一緒に暮らし始める。食事をとろうとしないリナだったが、新しく入ったシェフ・マリオの料理を美味しそうに食べ…。

オリジナルのほうです。Gyaoでやってたので久しぶりに観てみました。リメイク版「幸せのレシピ」には「リトル・ミス・サンシャイン」のオリーヴ役アビゲイルちゃんが出てましたね。
やはり最初に観たせいか、オリジナルのほうがしっくりきます。なんというか、気難しい孤独なマーサはわたしのなかではもうこの人マルティナ・ゲデックなんです。リメイクを観た時は既視感ばかり気になって、いいとは思うんだけどいまいち入り込めませんでした。

前半のやや陰鬱な空気が、リナやマリオの登場によりゆっくりと明るくなっていくのがいいんですよね。マーサの表情が柔らかくなっていくと同時に、冷たくからっぽだったマーサの家が暖かく賑やかになっていくのがわかります。何度も映される”キッチンが見える廊下”がマーサの変化を表しているようでした。
そして、マリオのつくる料理もいい!
何も食べないリナの前で、大げさに、でも本当においしそうに食べているパスタが食欲をそそります。
料理がでてくる映画はたくさんあるけれど、やはりイタリア料理が一番おいしそうに見える気がします(どれがイタリア料理かよくわからないけど!)。彼とリナがマーサのキッチンで料理をした後、めちゃくちゃになったキッチンを見て過呼吸に陥るマーサが笑えました。

感情を表に出さず、辛くても隠れて泣いていたマーサが、彼らと過ごすうちに見せるようになった心からの笑顔
見ているこっちまで笑顔になれる作品でした。
ちなみに原題の意味は、「DREI STERNE」はドイツ語で”三ツ星”、「BELLA MARTHA」はイタリア語で”美しきマーサ”。個人的には語呂がいい邦題が好きかな。

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映画「ボルベール<帰郷>」を最後まで観たよ

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Tag:ペドロ・アルモドバル スペイン

ボルベール<帰郷>後編
製作:スペイン’06
原題:VOLVER
監督:ペドロ・アルモドバル
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】以前、録画に失敗して半分(というか2/3だったけど)しか観れなかったので、ちゃんと観直しました。
前半は再見なんですが、やっぱり面白いですね。女たちがせっせと墓掃除をしていて、「未亡人が多いのね」とか話しているのが意味深長。あの地域はスペインでもっとも精神疾患が多いと劇中でも言っているし、彼女たちの周りで二度もあんな事があったし、なんかいろいろあったのではと考えてしまいました。
あと、スペイン式挨拶が冒頭から凄かったです。親族や友人と”ちゅっちゅ、ちゅっちゅ”うるさいくらいで、人が多い時はまさしくキスの嵐といった感じ。いったい何回ちゅっちゅしたんだろう(笑)
また、ライムンダが歌うシーンは何度観てもジーンとしてしまいます。彼女自身が歌ってるのかと思っていたら、フラメンコ歌手のエストレージャ・モレンテさんが歌っていたんですね。あの熱唱ぶりは演技だったのか…!

で、問題の後半なんですが、ライムンダと母イレネの過去には結構ずーんときましたね。こういった事件は本当に苦手なので、娘パウラの時と同じく”語られるだけ”で回想シーンがなかったのがわたし的に救いです。おかげで気分が悪くなる事もなく、彼女たちの強く逞しい母親としての姿に改めて感動することができました。
いつもなら自首しなくていいのかとか思うところですが、あの男どもには当然の報いなのでほとんど気にならず。まあ、親しい隣人アグスティナ(ライムンダなみに何度も名前がでるひと)は可哀相でしたが、おそらく真実に気付いていたのに、あの決断。どこまでも女が強いです。姉のソーレも地味ながら良かった。

ラスト、幽霊としてしか生きてこれなかったイレネが涙をぬぐいながら歩いていく姿が印象的です。本来ならこのまま余韻を味わえたんだろうけど、シネマルシェという番組はエンドロールを流してくれないらしい…。残念。

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映画「僕のピアノコンチェルト」観ました

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Tag:スイス

僕のピアノコンチェルト
製作:スイス’06
原題:VITUS
監督:フレディ・M・ムーラー
ジャンル:ドラマ/音楽/コメディ

【あらすじ】人並み外れたIQと、優れたピアノの才能をもつ少年ヴィトス。父親が発明家として成功したのを機に、両親の夢であるピアニストへの道を歩み始める。だが、それを息苦しく感じていたヴィトスは、唯一の理解者である祖父に助言をもらい…。

ちょっと前にBSで観た作品。
直後はすごく面白いと思ったのに、いま思い返すと印象に残っているシーンがあまりない事に気づきました。音楽が好きな人ならラストのコンサートを覚えているんでしょうね。
内容は、邦題から連想するほどピアノをメインとした作品ではありません。天才に生まれたばかりに周囲と馴染めず、過剰な期待をかけられた少年が、試行錯誤しながら自分の道をさがす物語です。
両親は自慢の息子をピアニストに育て上げようと必死なんですが、決して悪い人たちではありません。少々”天才の親”という意識が強すぎるだけで。ヴィトスも両親が好きなので、天才だという事を証明するため皆の前で無理やり弾かされた時も、わざと簡単な曲を弾いて皆に「やっぱり」と思わせてから本領発揮してみたり。反抗はするけど、両親と自分の自尊心を傷つけたりはしないんですよね。
一番の理解者である祖父との交流も心温まります。パイロットになる夢を捨てきれず、ヴィトスと人力飛行の翼を作ったり、将来に迷う彼に「迷った時は本当に大事なものを手放すことだ」と大事な帽子を捨ててみせたり、とても素敵なお爺ちゃんでした。
後半はコメディな展開で楽しいものの、家族をピンチから救うために大金を稼ぐというのが微妙に物足りない気がします。もっと天才らしい奇抜な解決策を見せてほしかった…。それで大金を使って本格的飛行訓練シミュレーターを買っちゃうお爺ちゃんには笑いましたが。

映画「ボルベール<帰郷>」を半分観ました…

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Tag:ペドロ・アルモドバル スペイン

ボルベール<帰郷>前半
製作:スペイン’06
原題:VOLVER
監督:ペドロ・アルモドバル
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】遅くまで働いていたライムンダは、帰宅して父親を刺し殺してししまった娘パウラを見つける。彼女が死体処理に奔走していると、今度は伯母が急死したとの報せが入った。姉ソーレが葬儀へ出席するが、そこで死んだ母イレネと出会い…。

半分だけ観ました。というか、録画失敗しました。なんとなくCMが印象に残っていて楽しみにしていたのに残念…。
とりあえず前半は面白かったです。ごちゃごちゃと色々な出来事が起こるのに”ちぐはぐ”な印象はなく、母娘(×2)がこれからどうなるか気になり一気に観れました、前半を(泣)
内容的には、冒頭から墓掃除だし、生きているうちに自分でお墓を買って掃除するとか、叔母が痴呆症、親が焼け死んだ、母親が行方不明の友人が癌で入院などなど…大半が重いです。しまいには、襲われそうになった娘が父親を刺し殺し、ライムンダが事件隠蔽に奔走することになるんですね。
でも、ライムンダの溢れんばかりの”活力”や、鮮やかな色彩、妙にコメディタッチな雰囲気によって、不思議と暗い気分にはなりません。それどころか、不謹慎にも次は何が起こるかとワクワクしてしまいました。
そして、現れたのは死んだはずの母親。殺人に幽霊というとサスペンス・ホラーになりそうですが、この母親は怨念とは無縁で可愛かったです。おならでライムンダに気づかれそうになっていたのには思わず噴出しそうになりました。
ライムンダとは昔何かあったようで、陰から見つめるだけで彼女の前になかなか姿を現すことができません。この後、仲直りできたんでしょうか? …先が気になります。
それにしても、彼女が太った娼婦に金を払い、夫の入った冷蔵庫を林(?)に捨てに行くシーンでは、桐生夏生著「OUT」のようなグロい展開になるのではとハラハラしてしまいました。実際は埋めるだけでしたが、あの冷蔵庫が発見されたら、すぐ足がつきますよね。そして、冷蔵庫の持ち主に迷惑が…信頼されていたのに、ちょっと酷いなぁ。

★は前半だけの評価なので、後半を観たら変わる可能性もあります。あと、ネタバレが嫌で細部を確認しなかったので、間違った事を書いているかもしれません。そこら辺はどうぞ悪しからず。

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映画「父、帰る」観た

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Tag:ロシア

父、帰る
製作:ロシア’03
原題:VOZVRASHCHENIYE
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】ロシアの片田舎。母親と暮らすアンドレイとイワンのもとに、12年も音信不通だった父親が帰ってくる。両親はこれまでの事を説明せず、翌朝彼は戸惑う二人を小旅行に連れ出す。高圧的な父親に、イワンは反抗心を募らせていき…。

とりあえずインパクトのある作品でした。★はつけてますが、面白かったのか好きなのかと問われると「よくわからない」と答えるしかないです。嫌いじゃないけれど。
まず、父親の不器用な性格に、傍から見ていてもオロオロしてしまいました。父親として教えられることを教えようと、色んなことを2人にやらせるんだけど、命令口調だし横柄だし12年の空白を全く配慮していないんですよね。たぶん、もう少し時間があったのなら、息子たちと固い絆を築き上げていたでしょう。
そして、反抗期真っ盛りのイワン君。年齢はおそらく13歳くらいで、父親の記憶なんて全くありません。冒頭で飛込台から海に飛び込めず、自分を庇わず仲間に媚びへつらう兄を見下し、優しい言葉をくれる母親にはべったりな子供です。だから、母親が自分より父親を優先する(ように見える)ことに腹を立て、兄が彼を”パパ”と言うたびに「自分はあんなヤツに媚びたりしない」とますます意固地になっていくのです。この親子の心がすれ違うたびに不安が掻き立てられ、ハラハラしてしまいました。
この中でちょっと癒し系なのが兄アンドレイ。嫌われるのが恐くて、という態度は見え隠れするものの、父親が帰ってきた晩に「今夜から日記をつけよう!」と嬉しそうにイワンに提案する彼の瞳に嘘はなかった! 弟に尊敬されていないことは痛感しているらしく、2人でいるときは対等、もしくは弟以下の立場にあるのがちょっと哀しいけれど。

ラストはやるせないものでした。しかし、悲劇は突然訪れるものだと納得させられてしまいます。撮影後、ロケ地の湖でアンドレイ役の子が溺死したというのも悲痛極まりない…。

映画「秋日和」観ました

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Tag:小津安二郎 日本

秋日和
製作:日本’60
監督:小津安二郎
原作:里見とん
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】三輪の七回忌に集まった旧友、間宮、田口、平山。彼らは美しく成長した三輪の娘・アヤ子にお見合い話を持ってくるが、彼女は母親を思ってそれを断った。では、まず母親・秋子に再婚の話をと、独身の平山が候補に挙がるが…。

小津監督の作品は、これを含めて4作しか観ていないのだけど、その中ではこれが一番わたし好みでした。ちなみに他に観た作品は「浮草」(雨の中、愛人と睨み合うシーンが印象的)、「晩春」(途中から娘のファザコンっぷりについていけなくなりました)、「東京暮色」(暗い…)です。

この作品はかなりユーモラスな雰囲気で、いつもの独特な会話のテンポがぴったり合ってました。
まず旧友3人が、「奥さんが美人過ぎると、旦那は早死にするのかな」「じゃあ、ここの女将の旦那は長生きだね」と陰でこそこそ笑っているような性格です。ヤな感じの客…とは思ったものの、女も3人揃えば同じ様なものですからね。どこにでもいそうなおじ様というところ。
そして、こんなおじ様方が暇をもてあますと、余計なお節介を始めてしまうみたいです。アヤ子に結婚させるため、まず母親を再婚させようと独身の平山に白羽の矢が。最初は嫌がる素振りを見せていた彼ですが、いつの間にやら結婚する気満々に。でも、一方で焚きつけたふたりはすっかり忘れているという…。
秋子さんに話してきてくれと頼んでも、”え、何の話?さっぱり見えてこない。”という感じだし、彼女に再婚の意思がなくて平山の事を伝えられず、”あいつはしばらく放っておこう”と2人で示し合わせたり。報告を聞きたそうにする平山と、彼と目を合わせないようにする2人のシーンはかなり笑えます。個人的に一番好きなのは、彼らのせいで母子喧嘩に発展し、怒鳴り込んできたアヤ子の友人と平山との和解後の会話。

「ねえ、おじちゃま。本当に三輪のおば様を愛せるの?」
「ああ、本当だよ。本当に愛せるよ。」
「ずっとよ。永遠に愛すのよ。」
「ああ、ずっとだよ。永遠に愛せるよ。」

これが二度三度繰り返され、地味に笑えました。
こんな幸せそうな彼が、ラストに見せる子供っぽい態度も可笑しかったです。
気が付いたら彼の事ばかり書いてしまったけれど、母子のドラマもそこまでドロドロしていなくて良かったです。全体的にほのぼのした作品でした。

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映画「My Son あふれる想い」感想

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Tag:韓国

My Son あふれる想い
製作:韓国’07
原題:MY SON
監督:チャン・ジン
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】強盗殺人で無期懲役となったガンシクは、15年目にして初めて一日の帰休を認められる。彼には母と、三歳の時に別れたきりの息子ジュンソクがいた。時間を惜しむように彼らに会いに行くが、老いた母は痴呆症となり、息子とも上手く話せなくて…。

15年の想いを抱えた無期囚が、手探りで息子との絆を取り戻そうとする物語。
暗くて沈んだ雰囲気漂うなか、淡々と語られる主人公とジュンソクの心情は、少ない言葉だけれど素直で単純で胸に響きます。
わたしの場合はツボのど真ん中だったらしく、中盤の夜の散歩で全力疾走する辺りなんかは大泣き。映画を観て30分くらい涙が止まらないという初の体験となったのでした(笑)
印象に残っているのは、冒頭の”待つものがなにもない無期囚のわたしに、「待つ」という切実な希望が出来ました”という主人公の言葉。息子に”目が恐い”と言われ、鏡を見ながら”こんな恐い目は嫌いだ、どう見れば息子は恐がらないだろうか、泣いていても恐い目だなんて…”と嘆く姿。父親の外に出ようという言葉に、ジュンソクが”今日の父の言葉のなかで一番気に入りました”と笑みを浮かべるシーン。そんな彼らを見ないフリして送り出す監察官など、挙げればキリがありません。
そして、そんな感動の合間には、思わず「ぷっ」と噴出してしまいそうなユーモアもちりばめられています。渡り鳥の親子の可笑しな会話には、楽しいだけでなく主人公たちの心の距離の変化も感じられました。

このように、泣くのも笑うのも監督の思う壺という感じで観ていたんですが、終盤で彼らが初めて手をつなぐシーンから
『あぁ、こういう流れになるわけね、ふ~ん…』
てなことに!!
いやもう、あれだけ感動させられたわけだし、この流れでも充分”いい話”のままだから★はつけたままにしておきますよ。きっと、この展開に更に感動した人もいると思います。
でもね、わたし的には今年最大のがっかりでした。
あれだけ高まっていた感情が、津波直前の引き潮のように「さぁーーー」っと引いていきましたからね。(しかも津波は来ないし。)しらけるってこういうことを言うんだなって、しみじみ実感しました。
あ、でも「いい話」であることには変わりないんですよ。あの展開が好きか嫌いかというだけで、手をつなぐシーンまでに感じた感動は嘘じゃないです。
う~ん、複雑な気分だ…。

映画「ポビーとディンガン」観た

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Tag:オーストラリア イギリス

ポビーとディンガン
製作:オーストラリア・イギリス’05
原題:OPAL DREAM POBBY AND DINGAN
監督:ピーター・カッタネオ
原作:ベン・ライス
ジャンル:ファミリー/ドラマ

【あらすじ】オパール採掘を夢見て田舎町で暮らし始めて一年。アシュモルの9歳の妹ケリーアンは、町に馴染めず空想の友達ポビーとディンガンと遊んでばかりいた。心配した父親は2人を連れ出した事にして、生身の友達をつくらせようとするが…。

娘とイマジナリーフレンドを引き離したら「帰ってこない」と大騒ぎされ、夜中に他人の採掘場まで探しに行ったら盗掘で訴えられさあ大変、というお話。
町の人々の悪意にあてられ、ケリーアンがどんどん弱ってゆくのが可哀相で見てられません。そして、少しでも彼女を元気付けようと、信じているわけでもないポビーとディンガンを捜し奔走するお兄ちゃんの姿にじ~んときました。妹だけでなく両親もちゃんと気遣っていて、ホント聡い子です。
ただ、最後に町の人々が集まってくれるのは、彼の言葉にこころ動かされたというより、ここで行かなかったら冷血人間と思われるから、という世間体を気にする大人たちの行動に見えてしまいました。
ちょっと出来すぎな感は否めませんが、全体的には面白かったと思います。

それにしても、どこぞの感想を読んだら「嘘つきは嫌い、イラついた」みたいなことが書かれていて軽くショックでした。あれは本人にはハッキリ見えてるから、嘘なんかじゃないのになぁ。こういう人は熱にうなされて幻覚みたり、夢か現実かわからないほどリアルな夢を見たりした事ないんだろうか。(私は目覚ましが鳴った夢でよく夜中に起きてしまう)状況はぜんぜん違うけど、ない物をあると認識する能力が人間の脳にある事ぐらいはわかると思うんだけど。
日本人にはあまり馴染みがないけど、実際には見えてる人は多いらしいから、子供の頃の写真を引っぱってきて「あれ、あの子がいない?」なんてことがあったら、その子はイマジナリーフレンドだったかもしれない。

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映画「わが谷は緑なりき」観ました

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Tag:ジョン・フォード

わが谷は緑なりき
製作:アメリカ’41
原題:HOW GREEN WAS MY VALLEY
監督:ジョン・フォード
原作:リチャード・リュウエリン
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】19世紀、ウェールズの炭鉱町。炭鉱で働く父や兄たちをみて育った末っ子ヒュー。しかし、不況による影響はこの町にも表れ、賃金カットに抵抗する兄たちは父と対立し家を出る。静かになった家に寂しさを覚えながら、少年は様々な不幸を乗り越え成長してゆく。

不幸の連続ともいえる少年時代なのに、彼の目を通して見る”緑の谷”は美しく輝いていました。
窓辺からのぞく春の気配や、木漏れ日が降り注ぐ緑の谷のシーンでは、まるでその場にいるような感動を覚えます。上のイラストではちっとも伝わってきませんが、モノクロ映画とは思えないほどに鮮やかな印象を受けました。
そして、その映像に負けないくらい登場人物が魅力的で、とくに頑固おやじと肝っ玉母ちゃんのコンビは最強です。ヒューと数学を教わる父親に、「穴のあいた風呂おけに水を入れたりするものか」と母親が茶々を入れるシーンには笑わされました。
こうやって、辛い出来事も美しい思い出として振り返ることが出来るのは、大好きな家族や町の人々との思い出があったからこそなんだなと、しみじみ思いました。

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映画「Dear フランキー」観ました

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Tag:イギリス

Dear フランキー
製作:イギリス’04
原題:DEAR FRANKIE
監督:ショーナ・オーバック
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】暴力的な夫から逃げ続けるリジーは、9歳の息子フランキーと母親を連れて港町に越してくる。息子には父親がアラク号で世界中を航海していると教え、父親の振りをして手紙を書いていた。しかし、そのアラク号がこの町に寄港すると知り…。

父親の暴力でフランキーが聴覚障害になったとは言えず手紙を書き続けるリジーと、その嘘を信じパパに会えると期待に胸を膨らませるフランキー。これを最後の嘘にしようと素性も知らない男を雇い父親の振りをしてもらう…というストーリーです。
静かな雰囲気で物語が展開していくんですが、演出や役者の演技が素晴しくて登場人物の感情がひしひしと伝わってきます。偽物のパパに抱きついて心底嬉しそうなフランキーと、それを見て罪悪感に駆られるリジーのつらそうな表情。見てるこっちまで胸が痛くなってきました。
じわじわと感動が広がってゆくラストも素晴しいです。

映画「うつくしい人生」観ました

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Tag:フランス

うつくしい人生
製作:フランス’99
原題:C'EST QUOI LA VIE?
監督:フランソワ・デュペイロン
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】南フランスの田舎町。農家の跡取り息子ニコラは、やりたいことはないが決められた道を進むことには抵抗があった。そんなある日、狂牛病で牛たちの処分命令が下り父親が自殺してしまう。ショックで祖父は呆け、次々と悪いことが重なり…。

美しい風景と細やかな心理描写が光る作品。
淡々としていて盛り上がりには欠けますが、観終わったあとの余韻がなんともいえません。
呆けてしまったおじいさんの言動に、彼の優しさを感じました。

映画「父と娘の歌」観ました

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父と娘の歌
製作:日本’65
監督:斎藤武市
ジャンル:★ドラマ

元オーケストラクラリネット奏者の父と二人で暮す紘子。彼女は音大を目指しアルバイトとピアノの練習に励んでいた。ある日、有名なピアニストの指導を受ける事が決まり父の職場へ報告に行くが、父が心臓病で仕事を辞めていたことを知る。

BSで吉永小百合主演映画をたくさんやっていたので観ました。
何故か最後に主役が死ぬ作品ばかりでうんざりしていたところだったので、父娘の絆を描いたこの作品に心洗われた気持ちでした。
とにかく二人がお互いに思いやる気持ちが温かくて、娘が父親に股引を買ってきたら父親は娘の靴下を買っていたというエピソードが微笑ましいです。
そして度々入る紘子の演奏。
クラシック曲が主ですが、「ひょっこりひょうたん島」の曲を弾きながら子供たちと歌うシーンもあり懐かしいです。それら全てを実際に吉永さんが弾いていたと後で知り驚きました。父親に心配かけまいと、ひたすらピアノに打ち込んだ紘子と同じように頑張ったんでしょうね。
ラスト、父娘で臨んだコンサートが素晴しいです。

映画「砂と霧の家」感想

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砂と霧の家
製作:アメリカ’03
原題:HOUSE OF SAND AND FOG
監督:バディム・パールマン
原作:アンドレ・デビュース三世
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】夫に捨てられ父の遺した家で悲しみに暮れていたキャシーは、郡のミスにより家を差し押さえられてしまう。保安官レスターの助けもあり家を取り戻そうと立ち上がるが、家はすでにイランから追放されたべラーニ元大佐に売却されていた。

悲劇としか言いようのない内容でした。
孤独な女性キャシーと、国を追われ地位も財産も失った一家の主が、ある家をめぐり対立する物語なのですが、終わり方があまりにも悲惨です。
どうしてここまで哀しい結末にしなければならなかったのか、と問いたくなるほどに。

家族と疎遠になり夫に捨てられたキャシーが、”父親が生きていた頃の幸せな家庭”の象徴である”あの家”にこだわるのは分かります。
そして、労働者に身をやつした元大佐が、家族の誇りを取り戻し再出発するために、”あの家”を簡単に手放せないのも分かります。
でも、悲劇の引き金となった保安官の行動には、どうも釈然としないものがありました。
仕事をクビになったとか、別れた妻に多額の慰謝料請求されたとか、何か理由があればよかったのですが。保安官である彼を犯罪に走らせるほどの”動機”が見当たらず、無理やり悲劇に仕立てたという感じを受けてしまいました。とても深いテーマを扱っていて、大佐側の描かれ方も素晴しかっただけに残念です…。

失って、初めて気付いた。
求めていたのは、家(ハウス)ではなく 家庭(ホーム)だったと…。

映画「ハイジ(2005)」観ました

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Tag:イギリス にゃんこ

ハイジ(2005)
製作:イギリス’05
原題:HEIDI
監督:ポール・マーカス
原作:ヨハンナ・スピリ
ジャンル:★ファミリー/ドラマ

【あらすじ】両親を亡くしデーテ叔母さんに引き取られたハイジ。山奥で暮す偏屈な祖父の元に連れてこられた彼女は、直ぐに打ち解け「かけがえのない家族」となる。しかし、再び叔母さんが現れ、ハイジをクララという少女の家にやると言いだす。

ハイジというと、アニメの「クララが立った!」の場面しか知らなかったので、今回初めてその全容を知ることが出来ました。
いやぁ、可愛いですねハイジ。
まさしく天真爛漫、お日様のような子でした。
こんな可愛い孫ができた日には、どんな頑固じじいでも即、陥落です。
ハイジのお爺さんも例外ではなく、ハイジのために椅子を作ってあげたり、手作りのそりで一緒にはしゃいだりしている姿は、見ていて思わずニマニマしてしまいます。
アニメを見ていた方が見るとやや駆け足な感じを受けるかもしれませんが、人間像は原作に忠実なものになっているらしいので、イメージが崩れるという心配はないと思います。

<再見:2017/05/29>
アニメを観た後だと、やっぱりダイジェスト感はありましたが、それでもあの作品のピュアで温かい部分は同じだったと思います。ハイジ役の子やアルムおんじ、ペーター役の子、そして何よりロッテンマイヤーさんがはまり役で。夫人の自分が持たないものを持つ人への嫉妬と怒りはアニメよりも伝わってきました。ただ、アニメではアルプスに来て自分を見つめなおすところが描かれるのに対し、こちらでは大奥様と言葉を交わし、指摘されるところで終わってるのが残念。原作ではどうなんだろう?
クララへの愛情が見えないので、この作品だと自分より本来上の階級にいるクララが病気によって自分に近い”持たざる者”となり、それをお世話することで自尊心を満たしていたようにしか見えませんでした。
それでも、全体的に誠実な映像化で心温まる作品だったと思います。にゃんこも可愛いです!

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