社会派 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「ブルベイカー」観ました

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ブルベイカー
原題:BRUBAKER
製作:アメリカ’80 130分
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
原作:トーマス・O・マートン、ジョー・ハイアムズ
ジャンル:★社会派ドラマ

【あらすじ】囚人による自治委員の運営が行われるアーカンソーの刑務所。だがその改革的な体制の裏では、賄賂と暴力が支配する腐敗したシステムが出来上がっていた。所内の実態を調査すべく、ブルベイカーは刑務所にやってくるが…。

レッドフォードさん演じる信念の男が素敵でした。
まず最初から驚かされますよね~。何も知らずに観たので、チョイ役のモーガン・フリーマンと話してるのを聞いても交渉術の一環だと思ってました。
未見の方は何も情報入れずに観た方が良いと思います。以下ネタバレ全開で書いていきます!

普通に就任したら真実が隠されてしまう可能性が高いとは言え、すべてを知るために危険を承知で潜り込む根性が素晴らしいです。うっかりケンカに巻き込まれたら死にますよ?
そんな彼だからこそ、視聴者も囚人たちも「本気だ!」というのがわかるんですよね。なんせ短い間でも一緒にあのウジ虫料理を食べ、キツイ仕事をしてたわけですから。
そして就任してからの行動力も、彼の情熱を証明していました。暗く汚い独房に入れられた囚人たちにサングラスを支給し、毎日1回は外に出すよう指示し、食事や労働を改善。悪徳医師などを解雇。囚人たちとスポーツをするなど、テキパキと囚人たちの待遇を改善していきます。

当然、彼を信頼し始める囚人が増え始めるんですが、その一方で、今まで甘い汁を吸っていた自治委員たちの反感を買うことになり…。
この自治委員たちのやっていたことが本当に酷くて、囚人たちを奴隷として働かせて、その利益を自分たちの懐に入れるなんてのは序の口で、後半でとんでもない事実が発覚します。
でも本当に怖いのは、この事実を知っても保身と刑務所に金を出したくないという気持ちでしか判断しない州知事や上院議員たちです。
ブルベイカーを所長に推薦した州政府の女性補佐官リリアンでさえ、それを必要悪と妥協してしまいます。

唯一の味方すら失った彼がそれでも真実を暴いたのは、実話だということを考えると本当にすごいことだと思いました。そして、それに対してラストの囚人たちの賞賛と感謝の意がね…力強い響きに、これからは自分たちも戦っていくという決意が伝わってきます。
エンドロールで流れるその後のことに、彼のやったことは無駄ではなかったとジーンときました。
地上波の吹き替えカット版だったので、いつか字幕で全部ちゃんと観てみたいです。

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映画「恋人はセックス依存症」観ました

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恋人はセックス依存症
原題:THANKS FOR SHARING
製作:アメリカ’2012
監督:スチュアート・ブルムバーグ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】セックス依存症のグループセラピーに参加し、5年の節制に成功した独身男アダム。一歩踏み出すためパーティーに参加した彼は、そこで積極的な美女フィービーと意気投合する。だが、元彼の依存症に苦労した彼女は真っ先に「依存症の人はパス」と釘を刺さし…。

酷い邦題ですが、セックス依存症を扱った真面目なドラマで、クスリと笑えるシーンもある良作でした。依存症に悩む男性3人を中心に、ロマンスと友情と家族のドラマが描かれます。
メインの3人は、5年の節制に成功して次のステップに踏み出そうとしているアダムと、今は克服してセラピーの世話役をするマイク、行政命令で仕方なく参加し始めたニール。邦題からはロマンス担当のアダムが主役のようですが、実際には3人とも主役ですね。
依存症が家族、とくに子供を深く傷つける事がわかる世話役マイクのパートでは、過ちを認め心から謝るラストに涙。…母親もあの後、ちゃんと謝ったと思います。先に謝ったら、あの父親はタイミングを失ってただろうし。
また、アダムのパートでは、人間は誰しも完璧じゃなくて、それを受け入れる事が愛なんだと考えさせられます。終盤の”ある呼び方”にはギョッとしたけど、あれは年齢的に考えて違いますよね。ただし、5年以上前にセフレだった事が完全にアウト。一度捕まっとけ!

中でも印象に残ったのが、医者でありながら痴漢や自慰がやめられないニール(ジャック・ブラック似)です。
以前、セックス依存症についてTVか何かで見たんですが、やってから自己嫌悪に陥ったり、生活(仕事や健康)に支障を来たす、もしくは犯罪行為だとわかっていてもやめられない場合が”依存症”に当てはまり、彼の場合は全部当てはまってました。
不安になると自慰で誤魔化し、そんな自分が惨めで向き合いたくなくて、できる事といったら好きなものを食べてストレス解消することだけ。
でも、必死に勉強してやっとなれた”医師としての自分”も痴漢や盗撮の衝動のせいで失いかけて、やっと本気で依存症と向き合います。

そんな彼の支えになったのが、新入りセラピー仲間の助けを求める電話でした。
終わった後の惨めな気持ちを知っているからこその助言、誰かに助けて欲しいと自分も思っていたからこそ必死になって駆けつける事ができる…太った体で大量の汗をかきながら街中を走る様子は笑いを誘うものの、その姿はまるでヒーローのよう。
そして、彼女と支えあいながら自分も成長し、アダムのために誘惑と戦いながら地下鉄に乗ったり、過干渉の母親に真実を打ち明けたりと、何気に一番がんばっていたかも。
相手は女性で一歩間違えばセックス依存症同士どうなるかわからなかったところ、二人とも友情を何よりも大切にしていて最後には爽やかな感動がありました。

この作品を観ると、どれだけ街往く女性の挑発的な服装が、セクシーな看板や広告が、誘惑だらけのテレビやネットが、セックス依存症の人にとって大きな障害になっているかがわかります。
この病気で一番怖いのは性病の蔓延だと思うんだけど、誘惑を回避する手段とかもう少しなんとかならないのかな?
ちなみに、原題は「聞い(共有し)てくれてありがとう」という意味で、グループセラピーで自分の辛い心境を話した後のお決まりの台詞です。

映画「見わたすかぎり人生」観ました

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Tag:イタリア

見わたすかぎり人生
原題:TUTTA LA VITA DAVANTITUTTA LA VITA DAVANTI
製作:イタリア’08
監督:パオロ・ヴィルズィ
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】就職難のローマ。大学の哲学科を優秀な成績で卒業したマルタがようやく見つけたのは、住み込みのベビーシッターの仕事だった。雇い主のシングルマザー、ソニアの紹介で、怪しげな浄水器を売る会社のコールセンターの職も得るが…。

Gyaoで鑑賞。
全体的にブラックコメディなノリで、たまにミュージカルっぽさも入るものの、なんだかグサグサくるストーリー。観ているのが辛いのに、何故か目を離せませんでした。
コメディという割りに笑えないし(唯一、ビッチなルームメイトが風呂上りに男性と出くわし、タオルで隠すけど胸しか隠れてないくだりは笑った)、でも暗いわけではなくてブラック企業の方針で毎回仕事前に歌って踊るのがシュールなんだけども…。
ラストはとくに何も解決してないにもかかわらず、大丈夫だよと言ってもらっているような気持ちになって泣けてきました。
就職難で高学歴でも仕事にありつけないマルタが、生きるために他人を騙すような仕事をはじめて、いつの間にか心が痛まなくなっていく(でも、心の奥底で悲鳴をあげているようでもある)。
そんなマルタの言葉を全部信じた上で、彼女のことを心から心配する老婦人の優しさが彼女を救ったんだろうなぁ…。
あとは、頑張って書いていた論文が認められたのと、なおかつ面倒を見ていた女の子が将来「哲学」をやりたいと言ったところも。
この作品に登場する人たちは良くない事をしている人ばかりだけど、それぞれ必死に生きているのが垣間見えて、現代社会で生きていく辛さが描かれています。
ラストの「ケセラセラ」が胸に迫ってきました。
ちなみにタイトルは、母親がマルタに言った「自分の事だけ考えなさい。見わたすかぎりお前の人生よ」という台詞から。

映画「フィッシャー・キング」観ました

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Tag:テリー・ギリアム

フィッシャー・キング
原題:THE FISHER KING
製作:アメリカ’91
監督:テリー・ギリアム
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】スーパーDJのジャック・ルーカスは、放送中の不用意な発言のせいで悲惨な事件を引き起こしてしまう。罪の意識から酒に溺れた彼は、夜の街を彷徨って暴漢に襲われていたところを、心の傷からホームレスとなったパリーに救われ…。

どうやらTVカット版観てしまったようですが、とても良かったです。ジェフ・ブリッジスの演技に引き込まれました。
ロビン・ウィリアムズもいつも通り素晴らしいんだけども、この作品ではルーカスの苦悩があったからこそ引き込まれたと思います。
自分の考えなしの言葉が引き起こした悲劇…。そのニュースを観ている時の驕った表情から、自分の愚かさに打ちのめされていく表情に変わっていくシーンが印象的。
ただ、その後の転落っぷりが凄くてアルコール依存症にしか見えないから、後半のまともさは違和感あるかも。
命を助けてくれたホームレスのパリーが自分の罪の証だとわかった後の行動も、とても素直でよかったです。
彼を救えば自分も救われるかもしれない、この苦しみから抜け出したい…そう素直に言える相手であるアンの存在もいいですね。
決して生活に余裕があるわけではないけど、愛する男のために嫌なことでも頑張って協力して、そんな中で本物の友情みたいなものも芽生えて。
その友人となったパリーの想い人リディアも、繊細で臆病な感じがこの作品のヒロインにふさわしい。
彼女とすれ違う時、パリーには人ごみが急にダンスし始めたように見えているという表現はとてもロマンティックでした。
そして、最後の最後にわかる赤い騎士の造形の意味…。心が壊れてしまうのも当然です。
終盤、ルーカスがパリーに「オレに責任はない、同情なんてしない、気楽なお前が羨ましい」と散々言って、それでも”聖杯”を取りに行くのはやはり友情のためなんだろうね。
わざと警報機を鳴らして富豪を助けるくだりも、全てが繋がっていて意味のあることだったんだなぁと思えました。
毛むくじゃらなパリーと裸になって夜の公園の空を楽しむラストが不思議と心地いいです。
ちなみに、タイトルのフィッシャー・キングとは、アーサー王物語に登場する癒えない傷を受けた王様「漁夫王」のこと。その傷を癒したのが聖杯なんだとか。

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映画「ラビット・ホール」観ました

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ラビット・ホール
原題:RABBIT HOLE
製作:アメリカ’2010
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
原作:デヴィッド・リンゼイ=アベアー
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】最愛の一人息子ダニーを交通事故で亡くした夫婦ベッカとハウイー。彼らは同じ喪失感を抱きながらも、次第に溝が生まれていく。悲しみのあまり気遣う周囲にも辛く当たるようになるベッカだったが、ある日、息子を轢いた少年を偶然見かけ…。

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の監督さんなら大丈夫と思って鑑賞。期待を裏切らない、登場人物たちの心情を丁寧に綴った秀作でした。
今のわたしには想像する事しかできないけれど、やはり同じ境遇であったとしても、悲しみを受け入れ乗り越えるまでの過程は人それぞれで、それは夫婦でも親子でも違うのが当たり前なんでしょうね…。
主人公のベッカが、同じく息子を失った夫や母親、彼女を気遣う周りの人々とすれ違い、時に酷い言葉で傷つけてしまう姿は、まるで水中で溺れてもがき苦しんでいるかのようでした。
でも、ベッカの母親が「悲しみは消えない、けれど重さは変わる」と言ったように、悲しみの感じ方は時間の経過と共に変わり、足掻き続ければいつか泳ぎ方を覚えて、冷静に悲しみと向き合える時がやってくるのかもしれません。
その境ともいえる、堰を切ったように泣き叫ぶシーンが印象的。
息子を轢いた少年が、事故の日からずっと考えてきた”愛する人を喪う悲しみ、痛み、小さな希望”を描いた物語「ラビット・ホール」は、彼女に信じられるものを与えてくれます。
心の拠りどころも人それぞれで、愛する人だったり神様だったり打ち込めるものだったり想像の世界だったり、様々なかたち、名前をしていていますが、たぶん本質的には同じことなんだろうと思えました。
ラスト、日常生活を続けたその先に、きっと何かあると穏やかに話す夫婦の姿が心に染みます。

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映画「白い巨塔(1966)」観ました

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Tag:日本

白い巨塔(1966)
製作:日本’66
監督:山本薩夫
原作:山崎豊子
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】浪速大学医学部の東教授が来年退官となるため、そのポスト争いが水面下で激化していた。東の教え子である財前五郎は最有力候補と言われていたが、傲慢な態度ゆえ東教授に疎まれており、彼は様々な工作を進めていく。

「機関車先生」を録画したら急遽こちらに変更になってたので、「まあいいか」と再見。前回はうるさくてセリフがぜんぜん聞き取れなかったんですよね~。セリフがわかったら面白くて、一気にぐいぐい引き込まれました。
あろうことか裁判の途中で録画が途切れたけど、運よく家族が前に録画したDVDがあって助かった(笑)
もう、病院内での謀略や駆け引きがすごいんですよ。医者になる勉強をして医者として過ごしてきて、いったいいつ駆け引きの仕方なんて覚えたのやら!
それが出来ないと生き残れない世界なのかと思いきや、高潔な大河内教授のようなひともいます。駆け引きなんてまったく通用しない、自分の正しいと思うことを貫き通す、理想の人という感じ。
こういう人が実際にどれほどいるのかはわかりませんが、このドロドロした作品の中で、彼の歪みない言動は観ていて気持ちいいものがありました。
彼を知っていて、あれだけの才能があって、なお汚い手を使おうとする五郎は、案外小心者なんですね~。
でもまあ、そんな選挙中にお母さんに連絡を取らなかったのは、やはり自分が誇れることをしてないと自覚していたからでしょうか。でも一人では耐えられないから、愛人に甘えてたのかな?
彼に強硬手段を勧めたり、段取りをつけ、彼の取り巻きをその気にさせたり、この悪女もいい味出してました。
あと、五郎を教授にするためならいくらでも出すという義父がいいんですよ。もはや金持ちである事がアイデンティティという感じで、「あっちが権力なら、こっちは金や!」と謎のプライドを賭けた勝負になっていくのが面白い。
さしずめ五郎は競走馬?
でも、一方で旦那どころか父親にすら”どうでもいい”扱いされている、影の薄い五郎の奥さんが切なかったです…。
五郎の対照的な存在として描かれる里見も両親的な存在でほっとさせられたんですが、彼より彼の部屋から一望できる大阪城が印象に残ってしまいました。
優しそうな奥さんと可愛い息子と大阪城…これだけでもう財前五郎に勝ってる!(笑)

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映画「青い鳥(2008)」観ました

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Tag:日本

青い鳥(2008)
製作:日本’08
監督:中西健二
原作:重松清
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】東ヶ丘中学2年1組に臨時教師の村内先生がやってきた。彼は着任早々、転校した野口の机を教室に戻させ、その机に向かって「野口君、おはよう」と語りかける。過ちを忘れ去ろうとしていた生徒たちは動揺し…。

地味だけとよかったです。
吃音者の先生が、いじめた側の責任を言葉少なめに語っていて、それが至極もっともな内容で納得できました。説教くさくはなくて反発することなく聞いてられるんですよね。邦画はこういうのが下手な作品が多いからちょっと意外。
あと、先生の”本気の言葉には本気で応える”という態度が真摯で素晴らしい。反省文を書かせて終わらせようという教師たちとは違うし、ふと普段の自分の事を反省させられます。
苛立つ彼らが、先生のもっともなお話をあんなふうに聞けるのかという疑問もありますが、一対一で相手の目を見て、本気で聞こうとするあの姿勢を見れば、やはり納得できてしまいます。
相手はあの大きな先生だし、本気で向き合われたら、たとえ周りに仲間がいたとしても一人と変らない。自分がただのかんしゃくを起こしている子供だと気付いてしまうのでしょう。
忘れてはいけない、その責任を受け入れた子供たちの迷いがふっきれた表情が印象的でした。
重いテーマながらラストは爽やかだし、考えさせられ、気付かされる作品だったと思います。学校などで見てほしい!

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映画「ミシシッピー・バーニング」観ました

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Tag:アラン・パーカー

ミシシッピー・バーニング
原題:MISSISSIPPI BURNING
製作:アメリカ’88
監督:アラン・パーカー
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】1964年の夏、公民権運動家行方不明事件の捜査のため、ミシシッピーにやって来たFBI捜査官ウォードとアンダーソン。だが、その町では人種差別が公然と行われており、KKKや保安官等らが捜査妨害を図る…。

小さいころから何度か目にしていて、あの白マスクの連中が火をつけて回るシーンばかり印象に残り、半分ホラー映画だと思ってました。
初めて最初から最後まで通して観たけども、やはり現実はホラーより恐ろしい…!
KKKはもちろん、普通の農家のおばさんやおじさんも普通に怖いです。当然のように「彼ら(公民権運動家)が死んでも自業自得」だと言ってしまうなんて…。周りに合わせないと自分も危険というのもあるかもしれないけど、目がマジっぽくて怖かったです。
ほとんど戦争?…ナチスと大差ないように思えました。
「憎しみはうまれつきじゃない、教えられたの」というセリフからも、アメリカの人種差別の根深さを感じます。

そんなミシシッピーで、ハックマン演じるFBI捜査官アンダーソンが犯人逮捕のために奮闘する姿に痺れました。ある種の諦めと(言葉で言っても通じない的な)、不屈の意思と、静かな怒りと悲しみ。彼の表情からそれが伝わってきて、最後まで目が離せません。
「真の敵は貧困」というセリフが印象的。
また、ペル保安官補の奥さんもステキです。あの立場で、良心に従う事ができるなんて…!
でも、どうしてこういう時、狙われるだろうと予想できるはずなのに護衛をつけないのか…。これは完全にアンダーソンの失態だったと思います。二人の間に愛が芽生えていく過程はよかったのに、どうして気付かないかなぁ。
終盤、怒り狂ったアンダーソンが手段を選ばず捜査を強行。…映画としては迫力があってドキドキしたけど、こういうやり方でしか解決できなかったのが哀しい。
ラスト、哀しくも力強いゴスペル「WalkOnByFaith」が心に残ります。

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映画「海と毒薬」観ました

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Tag:日本

海と毒薬
製作:日本’86
監督:熊井啓
原作:遠藤周作
ジャンル:サスペンス/ドラマ

【あらすじ】毎晩のように米軍機による空襲が繰り返されていた昭和20年5月。医学部の研究生、勝呂と戸田は、物資も薬品も揃わず多くの患者に満足な治療が行えない中、教授たちの派閥争いに組み込まれてゆく。そんなある日、捕虜8名を使った生体解剖実験を手伝えと教授たちに言われ…。

これは疲れました…。
モノクロで生々しさがアップしてるような手術シーン(生きた動物を使ったらしい…)も重苦しい空気に押しつぶされそうになるんだけど、やはり人間的な感覚が麻痺してきている医者たちの言動の方が精神的にきます。
葛藤を抱える勝呂と対照的に描かれる冷淡な戸田は、何も感じなくなってしまった事に疑問を覚えている分、少しは人間味を感じるんですが(実は一番心が弱かったのかも?)、そんなところはとっくに通り過ぎてしまったという感じの教授が…。今から殺そうという若者を前に、ニコニコ笑いながら対応する様子には寒気を覚えました。
看護婦たちも、好きな人のためとか復讐の為とか、生体解剖した遺体の側で平気で話しているのが恐ろしい。殺し屋にも見えた教授ですら、手術室に戻ろうとして逡巡したあげくにやめたのに…。女が一番怖いのか!?
患者を”物”扱いするのは日常茶飯事だし、戦争で死が間近にあるというのも描かれていて、心が休まるのは勝呂が海を眺めるシーンぐらいでした。手術室の床を流れる水の音や、生体解剖実験後に響く赤ん坊の泣き声など、音の使い方も印象的。
良心というものの脆さを見せ付けられた二時間でした。
しかし、ゴーグルなしで手術とか、サンダルみたいな履物とか、滑りやすそうな床とか、血をぬぐったガーゼを床にポイポイ捨てていくのとか…別の意味でも怖い映画です。しかもリアリティを追求して、血液はスタッフから採血したものを使ったとか…。今じゃ考えられないですね。

映画「天使の入江」観ました

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Tag:ジャック・ドゥミ フランス

天使の入江
原題:LA BAIE DES ANGES
製作:フランス’63
監督:ジャック・ドゥミ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】パリで銀行員として働くジャンは、同僚に連れられ初めてカジノを訪れる。だが、一晩で年収の半額を手にしたことから、彼はギャンブルの魅力にとり憑かれてしまうのだった。父親に追い出され、南仏でカジノ通いを始めた彼は、ブロンド女性ジャッキーと意気投合し…。

ギャンブルにこうやって嵌っていくんだね…。
一瞬で大金が手に入ったと思えば、次の瞬間には帰りの汽車賃すら危うい。それが、新しい出会いでまた運が向いてきて、出会ったばかりの男女が夢のような時を過ごしたり、またお金に困ったり。
それをずっと繰り返しているんだけど、その間に「次の列車で帰る」と何度言っただろう?
「お金がほしいんじゃない。お金があっても賭けるもの」
どっぷりギャンブルに嵌っているジャッキーの言葉が、どれもこれも重みがあって、ギャンブル依存症の恐ろしさを感じました。
彼女と出会った事で、ギャンブルに嵌ってしまった者の惨めさ、苦しみを知ったジャンが、引き返さねばならないと決心した時、そこに”ジャッキーも一緒に”という気持ちが強くあり続けたのがよかったです。
彼らの道は長く辛いものだと思うけれど、きっとふたりなら(お父さんもたぶん協力してくれるだろうし)抜け出せると希望を持てるラストでした。
ちなみにタイトル「天使の入江:LA BAIE DES ANGES」は、ニースのカジノなどが建ち並ぶ海岸通りの海岸の名前だそうです。

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映画「台風騒動記」観ました

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Tag:日本

台風騒動記
製作:日本’56
監督:山本薩夫
原作:杉浦明平
ジャンル:ブラックコメディ

【あらすじ】巨大台風の直撃を受け、大きな被害を受けた海辺の小さな町。県会議員、町長、議長たちは、無事だった小学校をわざと取り壊し、国から一千万円の補助金を受け取ろうと画策していた。だが、大蔵省から監査官が来るという知らせを聞き…。

台風後の不正補助金申請にまつわる田舎町のあれこれを滑稽に面白おかしく描いた作品。…なんだけども、今もどこかしらで行われてそうで、あんまり笑えないかも?
まあ、この映画で描かれる不正役人は誇張・単純化されたお馬鹿さんばかりなのでクスクス笑えるシーンもあるんですが、やっぱり切実に困っている人たちを完全に無視して自分の利益の事ばかり考えてる人間には嫌悪感を覚えます。三島雅夫さんが演じる役の憎たらしさと言ったらもう!
どちらかというと、考えさせられる社会派作品でした。
芯のしっかりした女性教師と、彼女に想いを寄せるも、不正摘発できるほどの勇気はなかなか出せない代用教員。そして、彼の友人で「なんたらフィリップにそっくり」と言われる青年と、影のある花形芸者の、二組のカップルの恋模様は楽しめました。
イラストは、友人が子どもたちに「かたつむり」を歌っているシーン。子どもたちが喜ぶ様子に、小学生の頃、これと「ぶんぶんぶん」の歌詞の一文字一文字の間に「る」を入れて歌うのが流行ったのを思い出しました。昔から子どもに人気のある歌だったんですね~。
ラストに出る「災害の後には人災がやってくる」という言葉が印象的です。

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映画「招かれざる客」観ました

 | 社会派  Comment(6) 
Tag:スタンリー・クレイマー

招かれざる客
製作:アメリカ’67
原題:GUESS WHO'S COMING TO DINNER
監督:スタンリー・クレイマー
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】旅先で運命の出会いを果し結婚を決めたジョーイは、両親の許しを得るため実家へ押しかける。しかし、突然黒人男性のジョンを紹介された両親は困惑し、明日の出発までに返事が欲しいと急かされ反感を抱く。まだ差別意識の強い時代、二人の意思は強かったが・・・。

これも再見。前半は笑えて、後半は熱い!
基本的にドラマ部分はディベート中心なので、「十二人の怒れる男」と似てるかも。
白人と黒人の結婚について、様々な考えを見せる様々な人々。リベラル派だった父親が猛反対するのが皮肉。それに、最初から最後まで反対してたのは黒人のメイドだったりします。「思いあがった黒人が一番嫌い!」と断言してたけど、実際にこういう人もいたんでしょうね。抑圧され続けて自分で自分を低く見てしまう。
前半はコミカルで、様子がおかしいのに気付いた父親が引き返してくるシーンとか笑えました。こんなにみんながみんな驚きうろたえる作品も珍しいかも(笑)
結婚と聞いて凍りついたような表情をしていた母親が、頬を涙で濡らしながら夫を説得するようになるまでの変化も見事。 好奇心旺盛な店員をクビにするシーンも迫力があって好きです。
登場すると場が和む牧師さんと、安定のポワチエさんの演技もよかった。
そんな中、娘のジョーイだけはハイテンションで空気読まずに突っ走ってましたね~。よくわからない娘です。この結婚で絶対苦労するだろうけど、できた旦那がいるから大丈夫かな?
ラストはお父さんが語りすぎな感じもありましたが、ジーンときて晴れやかな気持ちになれました。
原題の意味は「誰がディナーに来ると思う?」邦題はしっくり来るけど、真面目すぎる印象かな。そのためか、わたしも前半はコミカルだったと忘れてたし…。

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「渚にて」観た

映画「博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」観た

博士の異常な愛情
製作:イギリス/アメリカ’64
原題:DR. STRANGELOVE: OR HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB
監督:スタンリー・キューブリック
原作:ピーター・ジョージ
ジャンル:★サスペンス/コメディ

【あらすじ】米軍基地の司令官が、突然ソ連の核基地の爆撃命令を出す。米大統領とソ連首相は電話で協議し、爆撃機に引き返すよう命じる。しかし、迎撃により無線を破壊された一機が目標に向かって直進し…。

久し振りに観たら、前に観た時はぜんぜんわからず★をつけてたんだなぁと呆れてしまいました。まあ、再見したい、してもいい作品に★つけてるから、これは”再見したい”方だったのかな。
まず驚いたのが、主人公をマンドレイク大佐だと思い込んでた上に、最終的に彼がイカレてリッパー将軍の遺志を継いだと思い込んでたという。何の映画を観たんだ、あんなにまともな人を!(笑)
超カッコイイけどイカレた将軍に対して、刺激しないように言葉を選んで健気に説得してましたよね~。電話が繋がらなかったり、コインが足りなかったり、この世が終わるかどうかの瀬戸際なのに笑えてしまう。脂汗を浮かべて頑張る姿が愛おしいです。
一方、邦題の博士についても忘れてたんだけど、観てたらすぐさま記憶が蘇ってきました。登場している時間は少なくても、確かにタイトルになるだけの存在感です。
でも、今度は邦題の意図がわからなくて、もやもや。今調べたら、監督が原題か直訳しか許さん!と言ったけど、「Dr.ストレンジラブ」じゃ観てもらえないからと、直訳という制約を逆手にとってこのタイトルにしたという事でした。さすがだね!
また、ゆるすぎる米政府首脳に対し、命がけで祖国を守り責任を全うしようと頑張る爆撃機パイロットが切ない。核爆弾にカウボーイのようにまたがりはしゃぎながら落ちていくシーンも泣けました。
映画を観終わって、最後に大佐と博士と大統領をピーター・セラーズが演じていたとわかってビックリ。全く気付かなかったよ!

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「現金(げんなま)に体を張れ」観ました

映画「デッドマン・ウォーキング」観ました

 | 社会派  Comment(4) 
Tag:ショーン・ペン

デッドマン・ウォーキング
製作:アメリカ’95
原題:DEAD MAN WALKING
監督:ティム・ロビンス
原作:ヘレン・プレジャン
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】ニュー・オリンズの“希望の家”で働くシスター・ヘレン。ある日、死刑囚マシューの”面接に来てほしい”という手紙を受けとり、彼と接見する事に。彼は残忍な殺人事件を起こしたが、彼女はマシューを一人の人間として見ようとし…。

ゾンビ映画かと思って観始めたら、実話をもとに死刑の実態を描いた社会派ドラマでした。
監督さんは死刑制度反対の立場らしいけど、反対派も賛成派も考えさせられる良い映画だったと思います。以下ネタバレ。

驚いた事に、この死刑囚マシューは本当に最低でクズなレイプ殺人犯なんですね。死刑制度反対の映画なら冤罪を扱うところですが、この監督さんは反対を訴えかけるのではなく、死刑というものをもう一度見つめなおす機会を与えてくれました。
シスター・ヘレンは「どうしてこんな男のために!」と周りにさんざん言われ、自分でも言っちゃったのに、最期まで彼の魂を救済するために彼と向き合います。
わたし的には、こんな奴を救う必要はないと思うので、その点では彼女に共感する事は出来ません。でも、彼のような人間に自分の罪を悔い改めさせた事には、本当に感動しました。自分の罪を認め、悔やんで、被害者や遺族や自分の家族に心から謝る気持ちがなければ、死刑なんて無意味だと思うから…。
スーザン・サランドンとショーン・ペンの演技が素晴らしいですね。途中から映画だという事を忘れるくらい引き込まれました。死刑について考えるなら、一度は観てほしい名作です。
ちなみに、タイトルの意味は”死者の行進”。死刑囚が処刑場に向かう時に、看守が言ってます。

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映画「クラッシュ(2004)」観ました

 | 社会派  Comment(3) 
Tag:ポール・ハギス

クラッシュ(2004)
製作:アメリカ’04
原題:CRASH
監督:ポール・ハギス
ジャンル:★ドラマ/犯罪

【あらすじ】クリスマスを間近に控えたロサンゼルス。さまざまな立場、さまざまな人種の人々がいるその街で、差別、偏見、憎悪が渦巻くなか、悲しみを抱えた人たちがぶつかりあう。

疲れる作品だと聞いていたので気合を入れて鑑賞。最初は頭がこんがらがったけど、なんとか大体のところは理解できたかも…?(汗)
冒頭から差別的な発言、行動を見せ付けて「うわぁ…」と思いました。今でもアメリカではこんな状況なんだろうかと考えてしまったけど、たまたまアメリカは様々な人種に溢れているから、怒りやストレスのはけ口が人種差別として現れているだけで、イライラして怒鳴ったり八つ当たりしたりするひとなんてどこにでも溢れてますよね…。なので、そういうトゲトゲした気持ちばかりで人間らしいふれあいを忘れ、他人を信じられなくなってしまった現代人を描いた作品として観ることができました。
印象に残ったのが、透明マントと事故車から救出のエピソード。透明マントは先が読めるものの、二人の天使の思いやりにホロリ。事故車からの救出は、人間の多面性というものを痛感しつつ感動で涙が。ちょっと話しただけで相手の本質を知ったような気になってはいけませんね。
それらと逆の意味で別の一面に気付いてしまう、聖母像と兄弟と母親のエピソードはきついものがありました。本人が気付いていないような人間の弱くて残酷な一面も、やはり”真実”だということでしょうか。
残念だったのが、サンドラ・ブロックのエピソード。階段から落ちてメイドに助けられるまでの心細さと不安をもっと見せてくれてもよかったと思います。ただでさえ出番少なかったのに…。
車の衝突と、人と人との衝突をかけた「クラッシュ」というタイトルが冴えてました。

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映画「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」感想

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セント・オブ・ウーマン/夢の香り
製作:アメリカ’92
原題:SCENT OF A WOMAN
監督:マーティン・ブレスト
ジャンル:ドラマ

ボストンの名門高校に奨学金で入ったチャーリー。ある日、同級生が校長の愛車にいたずらするのを目撃し、校長に犯人の名前を明かすよう迫られる。そんな時、バイトで孤独な盲目の退役軍人スレード中佐の世話をする事になり…。

噂どおり、タンゴを踊るシーンが素晴らしかったです。視線を動かさずに踊るのは難しいんだろうな。ラストでチャーリーを救うくだりもスカッとしました。
でも、全体的な感想としては、よくもまあここまで(性格的に)こじらせたなぁという感じ。善良なチャーリーとの数日間で立ち直れるのに、善良な姪夫婦の側で暮らしていてもダメだったのかと。…まあ、ろくでもない理由で自分のアイデンティティを喪失した彼からしたら、あの夫婦を見ても余計に惨めになるだけだったんでしょうけど。他人だったからこそ、かつての信念をなくす前の自分を重ね、素直に向き合えたって事でしょうか。
そんな気持ちもわからないでもないですが、それでも”私を嫌え!”という家族への態度には呆れてしまいました。自分は名前を覚えないくせに、チャーリーを”チャック”と呼んだらぶち切れっていうのもねぇ。
どうしても許せなかったのが、街中で車をかっ飛ばした事。誰か轢いてからじゃ遅いですから。止めないチャーリーも悪い。このシーンがなければ、素直に感動できたかもしれません。

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映画「姉妹(1955)」観た

 | 社会派  Comment(4) 
Tag:日本

姉妹(1955)
製作:日本’55
監督:家城巳代治
原作:畔柳二美
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】伯母の家に下宿している姉の圭子と妹の俊子は、伯母夫婦に可愛がられながら仲良く暮らしていた。さまざまな境遇に暮らす人々と出会い成長していく姉妹。やがて、父が勤める山の発電所に人員整理の波が押し寄せ…。

仲良し姉妹が魅力的でした。妹は良いものは良い、悪いものは悪いとハッキリ言える真っ直ぐな女の子で、姉は分別があってお姉さんらしいお姉さん。優しい叔母さんと面白い(?)叔父さんとのやり取りもあったかいし、色々な人との出会いや出来事を経験して、成長していく姿に爽やかな感動が。
妹と女の子の友だちのキスシーンがあったり、貧しい親子が姉妹の家族を信頼して「娘を買ってくれ」と頼むシーンなどが印象的でした。

意味がわからん!「恋するトマト」

 | 社会派  Comment(5) 
Tag:日本

製作:日本’05
監督:南部英夫
原作:小檜山博
ジャンル:ドラマ/ロマンス

【あらすじ】霞ヶ浦に隣接する田園地帯に、年老いた両親と暮らしている45歳の独身男性・正男。お見合いで失敗し、フィリピンパブで働くリバティには金を騙し取られてしまう。フィリピンで彼女を探し続け、いつしか無一文の浮浪者となるが…。

いやもう、何なのこの映画!?
未成年のフィリピン少女たちを人身売買して借金完済した主人公が、罪も償わず、若くて綺麗でよくできたフィリピン女性とハッピーエンドとかマジ意味わからん。
日本農家の嫁不足問題とか、結婚詐欺で大金巻き上げられて自暴自棄になって犯罪に手を染めるとか、家族と農業を愛するフィリピン女性と出会い農業への情熱を取り戻していく…などの展開は映画として理解できるが、ハッピーエンドはねーよ!
心を入替えたんなら自首して、人身売買撲滅のために警察に協力しろ!
だいたい、同郷の少女たちを売り飛ばした男を、日本まで追いかける女も理解できん。どんだけ日本人に都合のいい女なんだ。
とにかく人身売買の罪を実感してない登場人物にイラッとした。超絶トラウマ映画「ヒューマン・トラフィック」でも観て反省しやがれ!

…と、こんな感じで昨日は憤慨しながら就寝しました。せっかく楽しい映画を観ていい気分だったのに、可愛いタイトルに騙された!

映画「生きる(1952)」感想

 | 社会派  Comment(10) 
Tag:黒澤明 日本

生きる(1952)
製作:日本’52
監督:黒澤明
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】30年間無欠勤の市役所の市民課長・渡辺勘治は、自分が胃癌で1年ももたないと知る。これまでの生き方を後悔した彼は、どうしたら変えられるか悩み続ける。やがて、市民から出されていた公園建設に関する陳情書を思い出し…。

未見だと思っていて、ずっと観たいと思っていた作品なんですが、見たことありました。といっても、ビデオの調子が悪くて何を言ってるのかよくわからない状況で見たので、今回が初見と言ってもいいかもしれませんが。
ということで、なんとなく新鮮味に欠ける鑑賞となってしまいました。でも、主人公が何と言ってるかわからないのは今回も一緒だったり。こういう時、外国人だったら字幕で見られるのに!
まあ、このぼそぼそ喋りが、この人の”人柄”と”絶望感”と”病状”をひしひしと訴えかけてくるんですけどね。どちらかというとオーバーな演技でしたが、セリフ聞こえないのでこれ位してくれないと内容がわからなくなりそう。
病院の待合室で末期胃癌の症状を聞かされ、だんだんと縮こまって離れていく主人公とか、涙ながらにしみじみと「ゴンドラの唄」を歌う姿、息子に打ち明けようとして聞いてもらえなかった時の表情、生きる意味を見出して「ハッピーバースデー」の歌のなか揚々と階段を昇っていく様子など、変わりゆく心情が表情や動きからしっかりと伝わってきました。
ただ、わたしのいつもの悪い癖で、最後が受付けなかったんですよね…。苦手な酔っ払いの大声を聞いてたら気分が悪くなってきて、感動どころじゃありませんでした。こんな自分が憎らしい!
条件反射的に録画を消してしまったけど、慣れるまでとことん見ておけばよかったなぁ。…イラストはネットにうじゃうじゃ転がってる名シーンから。

映画「チャイナ・シンドローム」再見

 | 社会派  Comment(6) 
Tag:ジェームズ・ブリッジス

チャイナ・シンドローム再見
『神様、どうか…!』
製作:アメリカ’79
原題:THE CHINA SYNDROME
監督:ジェームズ・ブリッジス
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

そういえば前回は93分番組で観たんだったということで、やっと完全なものを再見。
時期的なものもあって、以前より緊張と恐ろしさ倍増でした。
昔、チェルノブイリ原子力発電所事故の再現ドラマのようなものも見たんだけど、ごく普通の人たちの”恐れ”というものが怖いんですよね。働くのは原子力について詳しく知らない者が大多数で、起こるかわからない事故よりも、職を失う方が怖いし、事故になったらどうなるかより想像しやすい。それに、まさか事故が起こる危険があるのに会社が”続けろ”というわけがない、という思いもあります。そんな、自分の中にもある”本当の危険から目を逸らしてしまう、身近なことへの恐れ”を恐ろしく思いました。
一方、原発のすぐ側に住んでるわけではない会社のお偉いさんは、おそらく専門家でもなく、投資が無駄になるとか、運転が遅れたらどれだけ損をするかの金勘定しか頭にありません。
そういう部分が全く同じで、これが事故の前に描かれていたという事に改めて驚かされました。
あと、事故の原因が経費削減(検査しないで結果捏造)のせいだったというのは、「タワーリング・インフェルノ」を思い出します。危険度は天と地ほどの差がありますが…。
また、真実味があるという点だけではなく、もちろん映画としても見ごたえがありました。なんといってもジャック・レモンの演技が素晴らしいですし、カーチェイスや篭城などサスペンス・アクションだけで見ても楽しめます。証拠となる資料を受け渡すため建物に入ると、閉まったドアガラスに追跡者(車)の姿が…!というシーンにはドキッとしました。
やるせないラストと、最後に映るカラーバーが印象的です。

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映画「サンシャイン・クリーニング」観た

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サンシャイン・クリーニング
製作:アメリカ’08
原題:SUNSHINE CLEANING
監督:クリスティン・ジェフズ
ジャンル:コメディ/ドラマ

かつてチアリーダーだったものの、今は問題児の息子オスカーを抱えたシングルマザーのローズ。妹ノラは未だ自立できず、父親は怪しい商売に手を出す始末。ローズは割のいい仕事と聞き、妹と事件現場の清掃業を始めるが…。

最初の現場清掃のシーンはウギャー!!!ってなりました。マスクもゴーグルも手袋もしないで、血痕をブラシでゴシゴシするとか!!…内容を知らずに観たら、この展開にギョッとするでしょうね。
彼女たちが頑張ってる姿には励まされたものの、「リトル・ミス・サンシャイン」ほど明るくもないし盛り上がりもないしで、少し期待はずれでした。観ていて、スカッと元気になれるタイプではなかったかな。
でも、亡き母の出演したドラマのワンシーンを初めて観て涙するシーンや、天国と繋がる車の無線で母に話しかけるくだりはじんわりきました。
ただ、火事を起こした張本人がさっさと旅立っちゃうのはどうなんだろう。家族は納得してるんでしょうけど…。仕送りするつもりなのかな~?
あと、リンがあれっきりだったのも気になります。

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映画「アラバマ物語」観ました

 | 社会派  Comment(8) 

アラバマ物語
製作:アメリカ’62
原題:TO KILL A MOCKINGBIRD
監督:ロバート・マリガン
原作:ハーパー・リー
ジャンル:★ドラマ

父親を尊敬し父の話しを聞くのが大好きな兄妹スカウトとジェム。その父が暴行事件の被告トムを弁護する事になり、黒人側についた一家に町の人々は冷たく当たるようになる。

久し振りに再見。内容を忘れかけて、いつの間にか社会派の固いイメージになっていたんだけど、思った以上に子供目線の温かいものでした。時間が経つと忘れるもんですね~。
まず、兄妹がほんと可愛いです。父親を名前で呼んだり、生意気言ったり。大人びてる瞬間があったと思えば、”ブー”の家の前で肝試しのようなことをして。
でも、どんな時でも、お兄ちゃんがお兄ちゃんしていて良かった!
妹のスカート姿をからかったりもするけど、いつも一緒だし、秘密の宝物も見せてあげるし。何より、何かあれば妹を守ろうとする姿に、あの素敵なお父さんを見て育っただけあるなぁと感心してしまいました。
妹も、お兄ちゃんとお父さんのことが大好きなのが、あのちょっと大人びた目から伝わってきます。素直で率直な言葉で大人もたじろがせてしまうところや、寝る前に父親に本を読んでもらうのが好きというところが可愛い。あと、終盤のハムの仮装には笑わせられました。
そんな彼らから見たお父さんもいい。全ては理解していなくても、しっかりわかってると思う。お父さんほどカッコイイひとはいないってね!
原題の意味は”マネシツグミを殺す事”。父親が「美しい歌声で楽しませてくれる無害なマネシツグミを殺してはいけない」と言っていて、ラストの伏線にもなっています。

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映画「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」感想

 | 社会派  Comment(6) 
Tag:アラン・パーカー

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
製作:アメリカ’03
原題:THE LIFE OF DAVID GALE
監督:アラン・パーカー
ジャンル:ドラマ/サスペンス

【あらすじ】テキサス州。もと大学教授で、死刑制度反対運動の指導者だったデビッド・ゲイル。だが今は、レイプ殺人の罪で死刑執行を3日後に控える身だった。そんな時、女性記者ビッツィーは、大金と引き替えに独占インタビューを許可され…。

これは観てる間はそれなりに引き込まれるんですけど、最後で「う~ん?」となってしまいました。
死刑制度廃止を訴えていると見せかけて、マスメディアやそれに振り回される人を批判してる気がします。
以下、ネタバレ注意。

まず、最後のいらんネタばらしなんですが、あれはたぶんビッツィーが自分を責めないように、わざわざ入れたんだと思います。
でも、デビッドが全てを計画したんだとすると、動機は死刑制度批判というより、「冤罪があったと証明できるか?」とTV番組で挑発されたからのような。コンスタンスが言っていたように、自分の頭のよさを誇示したいだけだったのでは、と疑ってしまいます。ビッツィーにそれをばらしたのも、誰かにそれを知っていてほしかったとも取れますよね。
そして、出て行った奥さんに届いた大金と、「何でもする女」からの謝罪の手紙!
あれじゃ、「俺は無実だったんだ。お前はまた信じなかっただろう?」と責めているようなもんですよ。しかも、彼女には自分の意思で死刑になったとは知らせてないだろうから、夫は自分に見放されて孤独のうちに無実の罪で死んでいったんだ…と思い詰めるのは確実。ほとんど復讐です。
まあ、結局彼自身も、彼をよく知るコンスタンスの手の平の上で転がされていたような気もしますが。
ビッツィーの救済措置なんか考えず、きっぱり二つ目のビデオだけで終わらせておけば、まだ死刑制度廃止について思いをめぐらせながら見終われたと思います。真相はどうだったかなんて、観る側の想像力に委ねればいいじゃないですか。
あんなトリッキーな手段、アメリカなら誰かやりそうだけど(笑)、実際にやるんじゃなくて映画にして訴えるのは、いい方法だと思うんですけどね。

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映画「エレファント・マン」観ました

 | 社会派  Comment(6) 
Tag:イギリス

エレファント・マン
製作:アメリカ/イギリス’80
原題:THE ELEPHANT MAN
監督:デヴィッド・リンチ
原作:フレデリック・トリーブス、アシュリー・モンタギュー
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】19世紀末のロンドン。21歳の青年ジョン・メリックは、その特異な容姿から“エレファント・マン”と呼ばれ、見せ物にされていた。そんなある日、外科医トリーブスの目に留まり、研究のために病院へ。やがて、メリックは一躍時の人となるが…。

頭の中に「エレファントマン」という単語が引っかかってて、気になって観てみました。
これって実話を基にしてたんですね…。こういう病気があったら怖いなというくらいの気持ちで観はじめて、最後は涙して観終わったんですけど、実際にこういう病気で苦しんだ人がいると思うと色々と考えさせられました。
「人を見かけで判断してはいけません」とはよく言うけど、第一印象は仕方がないとして、大事なのはその後のことですよね。
この作品では、”エレファント・マン”の姿が映されるのは、始まって30分以上経ってから。それまでの間に、彼がどのような扱いを受けてきたか、周りの人々がどういう反応をするのか、割と客観的に判断できました。
商売道具、化物、研究対象、何もできない厄介者、哀れな存在…そんな風に彼をみる人間を客観的にみることで、誰もが先入観のままに彼と接していることがわかります。
それは、彼が恐怖のあまり喋る事すら恐れるようになってしまったのも一つの原因なんだけど、それが解消されてからも先入観のままに彼を扱う人は後を断ちません。サーカスを思わせる音楽とともに、彼を見物しに来た人々が好き勝手やるシーンでは、その心無い姿にゾッとしました。
こんな行動をとる人は限られていると思うけど、実際に彼と対面したらトリーブスや奥さん、女優さんのように普通に優しく接するのは難しいでしょう。わたしもきっと傍観者になってしまうんだろうなと考え込んでしまいました。
気になったのはタイトルにもなっている彼の呼び名。彼の姿を見ても、どうして”エレファント・マン”なのかさっぱりわかりません…。

映画「デリー6:DELHI-6」観た

 | 社会派  Comment(2) 
Tag:インド

デリー6
製作:インド’09
原題:DELHI-6
監督:ラーケーシュ・オームプラカーシュ・メヘラー
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】NY育ちのローシャンは、祖国に帰りたいという祖母に付き添いインドの首都デリーへ。彼が最初に目にしたのは、都市伝説の黒猿が人々を襲っているというニュースだった。初めてのインドに戸惑う彼だったが、美しい娘ビットゥーと出会い…。

インド映画らしい活気にあふれた作品でした。
ちょっと大雑把というか、ぶちぶち途切れて、はっきりいって上手い映画ではないんですけど、インドへの深い愛情が伝わってくるし、街の賑やかな雰囲気を味わえます。
インドの古典「ラーマーヤナ」や、実際にあった黒猿騒ぎがベースになっていて、宗教や差別、警察の腐敗、結婚の問題などを取り上げながら、それでも明るく生きていくインド人の魅力を描いていました。とくに仲良しでやんちゃな少年二人組みが、この明るさに一役買ってたかな。
あと、NY育ちの主人公目線でみていくのが入りやすかったです。

後半は暗雲が立ち込めてくるんですけど、最初はみんな楽しんでいた黒猿の噂がエスカレートし、宗教対決に発展してくのが滑稽で恐ろしい。そのなかで、彼らの本来の姿を信じる主人公が伝えた、狂人の言葉が良かった!
『どんな欠片にも神の光がある。自らを覗いて見よ、神はお前の近くにいる。
神を愛するなら、皆を愛せ。それがこの信仰の定めなのだ』

そう言って、暴徒と化した彼らに鏡を突きつけます。
そして、そのくだりを活かしたエンディングが本当に素晴らしいんですよ~!!!
例の鏡のなかに、街の人々がひとりづつ顔を出し、笑ったりはにかんだり、ふと罪悪感を覚えたような表情を浮かべたり、目をそらそうとするのを思いとどまったり…。それぞれが”自らを覗いて見る”のですね。中には腹が立つほど憎たらしい人物もいたんですが、それを見たら、ふっと笑いがこぼれました。
監督さんは、本当にインドとそこに生きる人々が好きなんだと思います。
ちなみに、タイトルの意味は、デリーの郵便番号「110006」が”デリー6”と呼び親しまれていることから。

映画「胡同(フートン)のひまわり」感想

 | 社会派  Comment(2) 
Tag:中国

原題:向日葵
製作:中国’05
監督:チャン・ヤン
ジャンル;ドラマ

【あらすじ】1976年、北京の下町。文化大革命で強制労働にかり出されていた父親が6年ぶりに帰ってきた。画家の夢を奪われた父親は、9歳の息子シャンヤンにその夢を託す。だが、突然現れたそんな父親に、シャンヤンは反発を強めていく。

病んでる!
自分が手を怪我して(させられて)画家としての道を断たれたから、代わりに息子を画家にしようとするお話。
家に縛り付け、自分で受け止めて決断しなきゃいけない事も勝手にやって、さんざん息子の人生を奪った挙句、病んだ息子の絵を見て満足して「今まで家族のために尽くしてきたから、これからは自分の人生を歩みたい」とかテープを残して蒸発。でも、孫が生まれた日にはこっそり向日葵の花を置いていくという…。
ほとんど自分のために生きていたようにしか見えません!
そもそも、本気で画家になりたかったんなら、手の怪我くらい乗り越えてほしい。怪我したのって利き手のみだった気がするし…。
唐山大地震のシーンが痛々しかったです。

映画「再会の街で」観ました

 | 社会派  Comment(4) 

再会の街で
製作:アメリカ’07
原題:REIGN OVER ME
監督:マイク・バインダー
ジャンル:★ドラマ

マンハッタン。大学時代の友人チャーリーを街で見かけ、二度目にしてやっと言葉を交わした歯科医アラン。だが、彼は9.11テロで最愛の妻と娘を亡くして以来、すっかり心を閉ざしてしまっていた。彼を気に掛けるチャーリーだったが…。

チャーリーの苦悩はきっとわたしには全部はわからないんだろうけど、彼のような心に深い傷を負った人が実際に身近に居たら、アランのように彼のサインを見逃さず諦めずそっと側にいてあげることができるだろうかと思いながら観ました。大学時代のように陽気だったかと思えば、突然「一人にしてくれ!」と怒って去ってしまう彼の心は、映画のことだから冷静に観れても実際だったらきっとわたしにはわからないと思います。
だから彼を思いやって待つこともできるアランや、判事がチャーリーの妻の両親に言ったセリフに感動したんだけども、精神病院が”あんな場所”と断言される現状はどうなのかとも思ったり。結局、隔離施設に過ぎないんですかね?
さすがに街中で拳銃(空砲)を振り回したんだから、PTSDの治療くらいは受けたほうがいいと思いました。

ちなみに、原題の意味は「私を支配する」。「四重人格」の名曲のタイトル”Love Reign Over Me(愛が私を支配する)”から引用されています。
どうでもいいけど、チャーリーの使っている改造スクーター?と、彼が嵌ってる「ワンダと巨像」というゲームが妙に印象に残りました。

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映画「ミッシング(1982)」観ました

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ミッシング(1982)
製作:アメリカ’82
原題:MISSING
監督:コンスタンタン・コスタ=ガヴラス
原作:トーマス・ハウザー
ジャンル:★ドラマ

南米チリに滞在していたアメリカ人夫婦チャールズとベス。ところが、突然のクーデターでチャールズは行方不明に。彼の父親エドワードがやってくるが、息子は自分の意思で隠れていると楽観的だ。だが、現地のただならぬ様子に思い直し…。

主演がジャック・レモンだから明るいのを期待してたんですけど、冒頭からもう不穏な空気が漂っていて、そこでタイトルが”行方不明”だと気付きました。死体だらけの街に、直前に観た「ブレイブワン」の「人間は一線を越えれば簡単に人を殺せる」というセリフが頭の中でぐるぐる回る…!
のんきにアヒルを可愛がるチャールズの日常や、白馬が駆け抜けていく幻想的なシーン、聞く相手によって変わる状況を表現した映像や、チャールズを想うベスの回想。そんなシーンを観れば沈んだ気持ちも少し和らぐものの、捜せば捜すほど生存は絶望的だとわかってしまう二人を観ているのが辛かったです。
最初は真剣に心配しているように見えない父親も、危機感が募れば隠れていた息子への深い愛情が見えてきて、闘技場で呼びかけるところでは鼻の奥がツンとしました。普通に平和な場所で生活していたら、わが子がこんな恐ろしい事に巻き込まれてしまうなんて思わないものですもんね。ましてや、自分が信じていたものが背後に絡んでいるなんて…。
ラスト、怒りと悲哀を帯びた後姿が深い余韻を残します。

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映画「シリアの花嫁」観ました

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Tag:イスラエル フランス ドイツ

シリアの花嫁
製作:イスラエル・フランス・ドイツ’04
原題:THE SYRIAN BRIDE
監督:エラン・リクリス
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】イスラエル占領下のゴラン高原、マジュダルシャムス村。そこで暮すドゥルーズ派の人々は、シリアへの帰属意識から無国籍を貫いていた。そんな中、境界線の向こうへ嫁ぐ日を迎えた花嫁モナは浮かない顔をしていて…。

忙しいのもそろそろ終わりそうですが、疲れてるので難しいことは省いてサクっと感想いっちゃいます。
とにかく、花嫁モナの姉アマルが格好いい!
自身も家庭の問題を抱えていて、ひとりの時に泣いていたりするんですが、何よりも家族の絆を大切にしています。モナが笑顔で嫁げるように、バラバラになった家族をひとつにしようと奔走するんですね。
というか、家族の絆をかろうじて保っていたのは彼女だったようで、ロシア人と結婚して絶縁状態にあった弟とも手紙のやり取りを続けていました。一人で泣いていたアマルのもとへやってきて、どうしてここがわかったのかという問いに、アマルの手紙の一節を諳んじる弟ハテム。僕もこの手紙が支えだったと語るシーンは涙腺が緩みます。
手紙という家族の絆が心の支えとなり、彼らが挫けず頑張れたように、モナにも強く生きてほしいから”決して消える事のない家族の絆”を感じさせてあげたい。そんな想いが伝わってきました。

やがて、アマルの頑張りも報われ、しきたりやプライドに縛られていた父親はハテムの肩を抱いて和解。家族の強く温かく絆に、モナの表情にもアマルのような凛とした強さが…。
ラスト、一人でシリアに向かって歩きだすモナの姿と、”希望”という意味の名を持つアマルの笑みが深い余韻を残します。

映画「善き人のためのソナタ」観ました

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Tag:ドイツ

善き人のためのソナタ
製作:ドイツ’06
原題:DAS LEBEN DER ANDEREN
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】1984年、壁崩壊前の東ベルリン。国家に忠誠を誓う国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は、反体制的疑いのある劇作家ドライマンとその同棲相手クリスタを監視しはじめる。だが、しだいに彼らの生き方に心を動かされ…。

わたし的に、こういう作品のいちばん怖いところは、自分がそこにいたら確実に口を割るか滑らすかして、身近な人を裏切ってしまうだろうと、そんな”もしも”がありありと目に浮かぶところ。まあ、この時代にわたしが生きていても、シュタージに目を付けられることはない…と思いたいですけど。
そんなわけで、弱さにつけ込まれ悲惨な目に遭ったクリスタにはとても同情してしまいました。自分のファンだと励ましてくれた相手が、あんな形で目の前に現れたら、もう混乱と絶望であっさり心が折れてしまっても仕方ないな、と。ヴィースラーの最後の言葉が、ちゃんと彼女に伝わっていればいいんですが…。

そして、わたしには真似できないポーカーフェイスで、多くの人を追い詰めてきたヴィースラー。仕事への幻滅と(今さら?)、初めて知った世界への感動から、彼らを守る側になっていく様子が心温まります。たぶん、現実はこんなに甘くはないんでしょうけど、慣れない事を一生懸命にやろうとする彼の眼が今までと違って優しくて(ブレヒトの詩集を朗読するシーンとか)、余計なことを忘れてこの物語に入り込むことが出来ました。

驚いたのは、終盤にドライマンが自分の盗聴記録と、それに関わった局員のデータを簡単に閲覧できたということ。これって復讐されたりするんじゃないの?と不思議に思ったんですけど、実際はシュタージの腐敗というのはほぼなかったようで、だからこそ堂々と公開してるんですね。ドイツでこの作品は”よくできたファンタジー”として高く評価されているようです。
ちなみに原題の意味は、ドイツ語でも英語でも”他人の人生”。う~ん、邦題は頭を使わずに決めた感じがプンプンしますね。