コメディ 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「キンダガートン・コップ」観た

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:アイヴァン・ライトマン

キンダガートン・コップ
原題:KINDERGARTEN COP
制作:アメリカ’90 111分
監督:アイヴァン・ライトマン
ジャンル:★アクション/コメディ

【あらすじ】ロス警察の敏腕刑事キンブルは、麻薬密売組織のボス・クリスプを有罪にするため、彼から逃げた妻の証言を得ようと考える。彼女が潜伏するボストン郊外へ赴いた彼は、ひょんなことから彼女の息子が通っているという幼稚園に潜入することになり…。

序盤でタフな刑事のキンブルさんをしっかり描いているので、幼稚園の先生になってからのギャップが際立ってました。
最初は厳しすぎて泣かせてしまったりするんだけども、ペットのフェレットを使ったり警察学校ごっこを始めることで、なんとか子供たちをまとめていきます。訓練しながら子供たちが笑顔で競い合うようにる様子が微笑ましく、ちゃんと子供の体力や集中力に合わせてメニューを組んでるらしいキンブルさんの器用さに感心しました。
園長先生も褒めてたように天職だったのかも。…そういえば、序盤でも食あたりを起こした相棒をしっかりサポートしてました(笑)
ボスの息子探しもかねて園児たちを気に掛ける様子が先生らしかったし、DV夫をぶん殴るシーンはスカッとします。ドミニクとの交流も心温まりました。

でも、一番のお気に入りは相棒の女刑事ですね。マイペースで食べることが大好き。そして恋のサポートもお手の物!
この人、登場時はできる女刑事なのかと思ったら、仕事と同じくらいプライベートを満喫してて、捜査中なのにフィアンセといちゃこら。かといってダメな人でもなく、最後には良いところを持っていってくれました。きゃー、カッコいい―!
子供たちの演技も素晴らしいし、シュワちゃんは食われ気味だったかも?

関連記事
「ジュニア」観た

映画「名探偵登場」観た

 | コメディ  Comment(8) 

名探偵登場プチ
原題:MURDER BY DEATH
製作:アメリカ’76 94分
監督:ロバート・ムーア
ジャンル:コメディ/ミステリー

【あらすじ】億万長者ライオネル・トウェインから招待状を受け取った、ミロ・ペリエ、サム・ダイヤモンド、ジェシー・マーブル、シドニー・ワン、ディック・チャールストンら5人の探偵。北カルフォルニアにある豪邸に続々と到着するが、彼らを待ち受けていたのはある挑戦だった。

うっかり先に観てしまった続編よりは楽しめたものの、傑作と言われるほどでもなかったような。まあ、ミステリーにそこまで詳しくないので、半分くらい元ネタがわからないのが大きいか。
それに、大笑いするタイプではなく、ニヤニヤしてしまうタイプの笑いなんでしょうね。
色々おふざけが入って失笑することも多かったけど、登場人物がどれも個性的で見分けやすかったのは助かりました。みんな楽しそうに演じていたし。
元ネタが分かったのはポワロさんとミス・マープルくらいで、後から調べてピーター・フォーク演じる育ちの悪い探偵が「マルタの鷹」の主人公だと知りました。「マルタの鷹」なんてもう覚えてないや…。
他の二つはまったく知らなかったし(でも一番好きなキャラは夫妻)、胡散臭い中国人の仮装も酷かった。
面白かったのは、チャイムが悲鳴で本物の悲鳴をチャイムと勘違いするところや、剣が天井から落ちてきて「育ちが良くて助かった」と言ってる横で、ピーター・フォークが素直に「俺だったら死んでた」と言ってるところくらいでしょうか。他にもフフッと笑うことは何度かありました。

しかし、最後のミステリー作家への文句は、元ネタの探偵たちの作品がそれに当てはまるんですかね?
アガサさんなんて登場人物二人も元ネタにされていて、ちょっと可哀想です。ドラマを観ていて確かに「う~ん…」と思うことは数回ありましたが、あれだけの数を書いていて数回なら別にいいじゃない。傑作だってあるのに。
もし、元ネタの作品は関係なく、世にあふれる三流ミステリーへの文句だったとしたら、彼らに言う意味が分からないし…。
事件の真相も中途半端にしか明かされず、色んな意味でモヤっとしました。

映画「おいしい生活」観た

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:ウディ・アレン

おいしい生活
原題:SMALL TIME CROOKS
製作:アメリカ’00 95分
監督:ウディ・アレン
ジャンル:★コメディ/犯罪/ロマンス

【あらすじ】少し間抜けな泥棒レイは、銀行の二つ隣の店が売りに出されているのを見て、地下からの銀行強盗を思い立つ。カムフラージュのため妻フレンチーがクッキー屋を始めるが、思いがけず店が大繁盛してしまい…。

たぶんウディ・アレン監督の名前を覚えた作品ですね。この作品で彼の作品をもっと観てみようと思って、他のはわりと毒があって「あれ?」と思ったような。
再見してみるとなんてことない作品だったけど、それでも大好きです。
何が好きって、トンチンカンなことばかりやってるレイとフレンチーが、可愛くて憎めないんですよ。

レイはどうみても泥棒の才能なんてないし、奥さんが巻き込まれるのも気にしないでスリルを求めるあたりダメ夫すぎるんですが、金持ちになっても今まで通りの生活を好み、上流階級の人々になんと思われようが構いません。
でも、フレンチーが遠い人になってゆくのだけは寂しくてたまらない!
そんなだから、久しぶりのファーストフードに感動する様子や、泥棒計画で目を輝かせる姿などをみてしまうと、フレンチーが彼に愛想を尽かさなかったのもわかる気がしてしまいました。

夫のしょうもない計画に振り回され、文句を言いながらもしっかり自分の役割は果たす健気なフレンチー。手作りクッキーでお客を虜にしたり、上流階級の仲間入りをしようと必死に勉強するところが大好きです。
傍から見たらドン引きレベルの滑稽さなんだけども、生まれ変わるため前向きに頑張る姿を見たら、やっぱり憎めないんですよ。それどころか応援したくなってします。
ヒュー・グラントが演じるインテリ男が嫌な奴で、よけいにフレンチーの単純さや裏表のなさに目が行くのかも。
そして、なんだかんだでラブラブな夫婦の、彼ららしい顛末もよかったです。
思い出の鍵開け技術や、成金生活で身につけた鑑定眼など、何気に成長しているフレンチーが素敵♪

ちなみに原題の意味は「三流の泥棒(ペテン師)たち」で、邦題は原題とは似ても似つかないけども、おいしいクッキーから始まったおいしい儲け話、そして彼らにとっての本当のおいしい生活がこれから始まるんだということで結構合ってるんじゃないでしょうか。少なくとも、初見ですぐ内容と結びついて忘れなかったので、私にとっては良い邦題だったと思います。

関連記事
「ミッドナイト・イン・パリ」観ました
「ブロードウェイと銃弾」観ました

映画「殺人カメラ」観た

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:イタリア

殺人カメラ
原題:LA MACCHINA AMMAZZA CATTIVI
製作:イタリア’48 83分
監督:ロベルト・ロッセリーニ
原作:エドゥアルド・デ・フィリッポ、ファブリッツィオ・サランザーニ
ジャンル:コメディ

【あらすじ】イタリア南部アマルフィ海岸の小さな漁村は、網元や流通業者、高利貸し、村長らによって牛耳られていた。気立てのいい写真屋のチェレスチーノは、老人に親切にしたところ”写した相手を殺す秘術”を授けられてしまう。恐れおののきながらも、老人が聖アンドレアだったと思うようになる彼だったが…。

<ややネタバレあり!>
イタリア・ネオリアリズムにそぐわないB級感あふれるタイトルが気になったので観てみました。…うん、これ「DEATH NOTE」だわ(笑)
もちろんストーリーは全然違うんですけど、人を殺せるアイテムを怪しい爺さんにもらって、最終的に独断で処刑を始めてしまう主人公というところがデスノートでした。
ルールとしては、1・標的の姿を写し取れれば被写体は写真でもよい。2・一部分でも映っていれば死ななくても呪いの影響が現れる。3・標的は写真に写ったポーズのまま死亡。
この3番目のルールがコメディ要素になってて、突然変なポーズで動かなくなったり、固まって戻らないから棺おけを特注したというくだりは不謹慎ながら笑ってしまいました。
ただ、主人公が暴走するまでがダラダラしていて盛り上がらないし、サスペンス要素はほぼ無くて、最後までゆるゆるです。肝試し企画とかで観てたら退屈してたでしょうね~。

しかし、今回はネオリアリズム作品を見る企画。どこがどうネオリアリズムなのか考えながら観ることができました。
舞台となる貧しい漁村には、主人公と同じく多くの貧しい人々と、それを仕切って搾取する一部の裕福層がいます。この金持ち連中が自分のことばかり考えている奴らばかりだし、不満を抱える貧しい人々もチャンスさえあれば他人を出し抜きたいと思っている。悪人が一人減っても、別の人間に取って代わるだけ。
じゃあどうするかというと、悪人と一緒に生きていくしかないという超現実的な結論に。物語としては「チャンチャン♪」と聞こえてきそうな顛末になってますが、教訓は得られるから寓話としてはOK。つまるところ善も悪も極端はダメってことですね。悪魔は誰の心にも忍び寄るものだから、こつこつ善行を積み、良く考えて行動しなさいという教訓でした。
いかにも寓話の世界というオープニングや、十字の切り方を教えるくだりもよかったです。

ちなみに、原題の意味は直訳で「悪人を殺す機械」かな。邦題だと無差別っぽいですね。
正直、退屈してる時間も長かったけど、ロッセリーニの珍しいブラックユーモアは一見の価値ありだと思います。

関連記事
「あゝ結婚」観ました(エドゥアルド・デ・フィリッポ原作)

映画「異人たちの棲む館」観ました

 | コメディ  Comment(6) 
Tag:イタリア

異人たちの棲む館
原題:MAGNIFICA PRESENZA
製作:イタリア’2012
監督:フェルザン・オズペテク
ジャンル:★コメディ/ドラマ

【あらすじ】ローマの高級住宅地に格安アパートをみつけ、一人暮らしを始めた俳優志望のピエトロ。夜はパン屋で働き、夢の新生活に思いを馳せながら部屋の改装行うピエトロだったが、実はそこには先住者がいて…。

これはよかったですね~。gyaoはたまにこういう良作を発掘してくれるから好きです。地味ながら、コミカルでファンタジックで胸があったかくなるような私好みの作品。ゲイの主人公が受け付けないという人以外なら楽しめると思います。ホラーみたいな邦題だけど、怖くはないよ!

まず何が良いって、主人公ピエトロと借家の先住者たちが、愛すべきキャラクターになっているところでしょう。
ピエトロはゲイと言っても恋人いない歴=年齢という感じで、情熱は秘めてるけど上手く伝えられないタイプ。思いがけず先住者と出くわしても、押しが弱くて追い出せません。
しかも辛抱強い上に根が優しいから、いつの間にか彼らを受け入れてしまうんですね。
一方、その先住者というのが実はとある劇団の俳優たちで、どことなく「アダムスファミリー」に似た雰囲気。とくに、小太りな少年とダンディなヒゲの紳士、古風で品のある恰好をした団員8人がずらっと並んでいると、どこか懐かしさを感じます。

でも、あそこまで浮世離れした人たちではなく、主人公が怯えれば落ち着かせようとするし、失敗すればやんわり助言、オーディションに行く前にはみんなで演技指導までしてくれる気さくな人たちです。
ずうずうしいところもあって、居候のくせに練習の邪魔をしないでくれと言ったり、家を「ネズミの巣」呼ばわりしたり、ピエトロが欲しがっていた激レアなカード(イタリアの歴史上の偉人が描かれた実在するカード)をパクッたり…。
でも、いつの間にか彼の孤独を癒してくれる存在になっていくんですね。

とくに、ピエトロが彼らを受け入れるきっかけとなった詩人が面白かったです。夜、自室で寝ている主人公の顔をジッと見つめるという一歩間違えば変質者な人で、目覚めたピエトロに「私が画家なら、あなたの輝かしい寝顔を絵にできるのに…」とか、代わりに歯が浮くような詩でその寝顔を讃えたりするんですよ(笑)
ロマンティックすぎて聞いてるだけで恥ずかしいわっ!
まあ、初な主人公はそれですっかり気を許しちゃうんですけどね。それから進展するわけではないものの、彼のおかげで気持ちを切り替えられたのは確かです。

そして、彼らとの交流のなかで変わっていく主人公が、内面的な成長はあっても、一朝一夕で成功を掴むようなご都合展開がないのも良かったです。
まあ、俳優を目指すゲイの主人公が、名一座の団員&ゲイの詩人と出会うこと自体がご都合主義だと言われればそうなんですが、そこはすんなり運命と思えました。

以下、ネタバレあり!
あと、何気に台詞が良いんですよね〜。印象に残るフレーズだったり、哲学的だったり。
殴られて倒れていたオカマの人を手当てするエピソードも素晴らしかった…。
団員の一人が「何の役を演じてるんだ?」と尋ねると、「ただ自分を演じてるだけ。リアルな虚構が一番自然なの」と深いお言葉。このやり取りは、彼らの合言葉「虚構だ、虚構だ」「虚構ではなく現実だ」というのにもかかってるのかな?
最初は不思議な居候の存在を「よい孤独撃退法ね」と言っていた彼女が、帰り際には「こんな私が自分を信じてるんですもの。幽霊ぐらい」と見えない彼らの存在を完全に認めてくれるのが素敵。
主人公のいちばんの親友である女性(親戚)はまったく信じてくれなかったからね〜(当然だけど)

後半、頼まれた人探しを始めてからはコミカルさは薄れ、彼らの人生が垣間見えるドラマが展開されます。
過去と戦争の傷跡、そして大きな希望…。インターネットの向こう側でも、元気な姿が見られただけでどんなに嬉しかったことか…。
ラスト、束縛するものがなくなり外に出てからは、台詞がなく微笑みあうだけで気持ちが通じ合うように描かれているのが良かったです。
ピエトロに連れられてやってきた場所で、幽霊たちは彼のために演じます。

エンドロールではそれを観るピエトロの顔のアップだけが映されるんですが、劇に対する反応と、彼らとのこれまでの時間を振り返るような表情が繊細に表れ、感動で胸が一杯なのが伝わってきました。
これでお別れだったとしても、きっと彼らと過ごした掛け替えのない時間は彼の中でずっと息づいて、将来立派な俳優になるだろうと思えます。
あと、ご近所さんの青年との恋の予感もあったし、仲良しの親戚もたくましく生きていくでしょう。

ちなみに、原題は「素晴らしき存在」という意味。邦題はまあアノ作品を意識してるのかな。知ってる人にはネタバレな邦題だけど、そもそも映画情報サイトなどを見ると、彼らが幽霊だという事まであらすじに書いてあるからね…。
知っていても十分楽しめますが、どうせなら知らないまま観た方がいい気がします。

映画「ブロードウェイと銃弾」観ました

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:ウディ・アレン

ブロードウェイと銃弾
原題:BULLETS OVER BROADWAY
製作:アメリカ’94
監督:ウディ・アレン
ジャンル:★コメディ/ドラマ

【あらすじ】1920年代のブロードウェイ。新作の上演が決まって浮かれていた劇作家デビットだったが、スポンサーについたのはマフィアのボスだった。彼に演技力ゼロの愛人オリーブを押しつけられ、自分の脚本にケチをつけられる毎日に爆発寸前。だが、そんな彼を主演女優のヘレンは慰め…。

これは面白かったです。アレンの作品はどんなのがあったのかパッと思い浮かばないけども、今まで見た中でもかなり面白かったと思う。個性的なキャラクターたちの会話は聞いていて飽きないし、これから彼らや舞台がどうなっていくのか先が読めず、ワクワクします。
とくにオリーブのボディガード・チーチの秘めた才能には驚かされました。生まれが違えば彼の人生もまったく違ってたかもなぁ。デビットとの奇妙な友情も面白くてグイグイ引き込まれました。
彼の登場により、主人公デビットが色んなことに気付いていくのもいいですね。
彼が心酔するヘレンという女優は、彼が扱いやすいと見抜いた上で地味なこの役を引き受けたんだけども、新しい脚本には本当に心を掴まれて、つい前の脚本に対する本音がポロリ。
今まで色仕掛けで巧みに彼の心を掴み、やんわりと要求を伝えてまるで彼自身が自分で決めたように仕向けていたから(これが手練手管か!)、その本音でデビットの目が一気に覚めるんですよ。
他の人たちからも、今までの脚本に対する本音がどんどん出てきて、すっかり自信を失い、男として好かれていたのか、アーティストとして好かれていたのかわからなくなって苦悩します。

一方で、ものすごい存在感を発揮するオリーブがいい味出してました。彼女の顛末にはまったく同情できないどころか、ほんのりスカッとしたほど(笑)
これだけ憎たらしいキャラなのに、ボスは彼女のことが大好きなんですよね~。気が利かないとか、役立たずだと罵られたり、浮気されたりしたのに。
その浮気相手が過食症の俳優で、公演が近づくにつれてつまみ食いが止まらなくなるのが面白い。ついには犬のおやつまで盗る始末で、小心者のくせにマフィアの愛人に手を出す意思の弱い男。
よく考えると、ボスも浮気相手もチーチもオリーブの犠牲者かも。何気にファム・ファタールってやつ?

NYでの舞台が大成功して、裏でのごたごたが勘違いで絶賛されてるのが皮肉。ここがタイトルにかかってるんですね。
主人公が最後に何を選ぶのかも良かったし、内幕ものとしても楽しく、映画を見たという充実感が得られました。なんとなく舞台が先かなぁと思ったら逆で、後に監督自ら脚色してミュージカル化されたみたい。
それをまた映画化とかしないかな。

関連記事
「おいしい生活」観た
「それでも恋するバルセロナ」観た

映画「しあわせの雨傘」観ました

 | コメディ  Comment(8) 
Tag:フランス

しあわせの雨傘
原題:POTICHE
製作:フランス’2010
監督:フランソワ・オゾン
原作:ピエール・バリエ、ジャン=ピエール・グレディ
ジャンル:★コメディ/ドラマ

【あらすじ】1977年フランス。雨傘工場を経営するロベールの貞淑な妻スザンヌは、優雅な毎日を送りながらも満たされずにいた。そんなある日、工場でストライキが起こるもロベールが心臓発作で倒れ、彼女が経営を引き継ぐことに。彼女は労働者たちの心を掴み、業績を大幅に改善させるが…。

これは面白い、ありがとうGYAO!
フランソワ・オゾンの作品は最近観てなかったんだけど、「8人の女たち」とか再見したくなっちゃったなぁ。あと、名前は良く知ってる「シェルブールの雨傘」へのオマージュを捧げているシーンもあったらしいので、こちらを忘れる前に観てみたい。
熟年夫婦に離婚の危機という始まり方なのに、こんな展開を見せるとは思わなかったです(笑)
従順な妻から自立した女性に変身していくカトリーヌ・ドヌーヴと、自分が世界の中心だと思っているような男から人畜無害な魂の抜け殻みたいになっていくファブリス・ルキーニの演技が素晴らしい。筆頭株主の座を奪った時の、「今日からあなたが飾り壺よ、きっと楽しいわ」的なことをいうスザンヌの生き生きとした様子と言ったら!
この展開は多くの主婦にとって痛快でしょう。
もちろん、ジェラール・ドパルデューもいつも通り存在感ありました。自分の地位が危ぶまれている時に、夢のような出来事で舞い上がる様子とか、その後の真実を知ってからの手のひらを返したような態度とか、さすがの演技力。
マザコンな息子の出生の秘密や、ロベールの愛人なのに敵であるはずのスザンヌに心酔していく秘書とかも面白かったです。
あと、最後に何故か歌うスザンヌと、それを家で見ていたロベールが孫達とリズムに合わせて体を揺らすくだりはもう笑うしかない。かなり”ツボ”にはまった作品でした。
ちなみに、原題の意味は「飾り壺」。美しいが夫の陰に隠れ、自分の意見を持たない女性という意味で、軽蔑的に使われる言葉らしいです。娘に「ママは飾り壺(お飾りの妻)なのよ」と言われたのがきっかけで変わってゆくんですね~。

映画「Shall we ダンス?」観た

 | コメディ  Comment(6) 
Tag:日本

Shall we ダンス?
製作:日本’96
監督:周防正行
ジャンル:コメディ/ドラマ

【あらすじ】真面目なサラリーマン杉山正平は、平穏な暮らしを送っていたがどこか空しさを感じていた。そんなある日、ダンス教室の窓べにたたずむ美しい女性を通勤電車から見かける。やがて、ためらいながらもダンス教室に見学に行き…。

音楽が印象的な映画を考えていて思い出した作品。
この曲が好きで、たまに家事をしながら鼻歌うたってるとくるくる回りたくなる(笑)
Shall we Dance?」なら「王様と私」が元祖なんだけども、私的にはこっちが刷り込まれてます。
大貫妙子さんの優しい歌声がいいんですよ。「王様と私」の方は発音とか力強すぎて。
ストーリー的には…実はそんなに好きじゃありません。
時々クスクス笑えるものの、全体的に嫌な感じの人が多いですよね。
それがダンスで変わっていくのがいいのかな~。一緒にみんなでダンスに打ち込む事の楽しさとか、パートナー同士の信頼が大切というのに気付く流れは良かったです。
だからこそ、主人公は自主的に奥さんに秘密にしている事を悔い改めれば?とも思いましたが。
にしても、たまこ先生が素敵です。メインヒロインはたまこ先生でいいよ!
たまこ先生がいたから最後まで観られました。
あと、探偵事務所のポスターが「フォロー・ミー」なところとか映画愛を感じたし、探偵が仕事そっちのけで社交ダンスに興味を覚えるところは面白かった。
つっこみどころとしては、後半の舞ちゃんの手紙の内容がどう考えてもあの枚数に収まらない(笑)
あと、社交ダンスに声援って下品だと思うんですよね。昔好きだったウリナリ社交ダンス部でもそこは受け付けなくて。本場ヨーロッパでもああなの?
でもまあ、久しぶりにちゃんと再見できてよかったです。

関連記事
「王様と私」観ました
ブログDEロードショー 第1回 秋の音楽映画祭

映画「正しく生きよう」観た

 | コメディ  Comment(0) 
Tag:韓国

正しく生きよう
原題:GOING BY THE BOOK(바르게 살자)
製作:韓国’07
監督:ラ・ヒチャン
原作:都井邦彦
ジャンル:★コメディ/犯罪

【あらすじ】銀行強盗事件が多発するサンポ(三浦)市の警察署で、銀行強盗事件の予行演習を実施する。その犯人役に抜擢されたのは、交通課巡査のチョン・ドマン(チョン・ジェヨン)。どのような任務でも全力を尽くす真面目で実直な彼は、あまりにも完璧に強盗役を演じ…。

gyaoで観賞。かなりの快作と思ったら、「遊びの時間は終らない」という邦画のリメイクなんだって。そっちも観たいな~!
任務に誠実で融通の利かない巡査ドマンが、市を挙げての銀行強盗事件の予行演習で犯人役に抜擢され、本気で警察と対決するって言うお話。
本気と言っても自分の職務を忘れるということではなく、あくまで彼は強盗を演じる警官です。
「es」みたいな怖い展開にはなりませんが、それでもかなり忠実に強盗の心理を再現しようとするから緊張感はあるんですよね。
でも一方で、今のはアリだナシだと一般人を巻き込んで議論したりして、急に素に戻るのが面白い。
まるで映画撮影の最中に役者と監督が「このシーンは…、犯人の気持ちは…」と話し合うようです。
ただ、終盤に「死亡」しちゃった人を運転手役に使うのはいただけない。ここさえなければ良いリメイクだったと胸を張って言えるのでは(オリジナル知らんけど)
ラストはオリジナル版と違うらしく、まあお国柄の違いかな。日本でも一昔前ならこちらのラストでしっくりくると思うし、主人公の性格を考えれば納得の選択です。
銀行員の女性とかすかに恋の予感的なものがあったり、思わぬ収穫(予測はつくけど)があったり、ラストのオチなど、最後まで楽しませてくれました。

映画「イエスマン “YES”は人生のパスワード」観た

 | コメディ  Comment(8) 
Tag:ペイトン・リード

イエスマン “YES”は人生のパスワード
原題:YES MAN
製作:アメリカ’08
監督:ペイトン・リード
原作:ダニー・ウォレス
ジャンル:コメディ/ドラマ

【あらすじ】離婚して以来、”NO”ばかり言って後ろ向きな人生を送っていたカール。そんなある日、とあるセミナーで全てのことに”イエス”と答えるよう誓いを立てさせられる。仕方なく従っていると、やがて物事が好転し始め、アリソンという女性とも出会うが…。

あの教祖様はいったい(笑)
やりすぎ感はあったけど、主演はジム・キャリーだからこれくらい大げさでいいかもね。
経済的に余裕がないとできない事も多かったものの、習い事関係はやってといわれたわけでもなく、わざわざ広告を読んで自分から行ったのであって、イエス効果で前向きになったのがよく現れてる。本人が気付いてないところがまたいい。
飛び降りようとする男を見つけて「誰か彼を助けて!」という声を聞き、その言葉を待ってたとばかりに走り出すとくだりも、「イエス」と言うことではなく、やりたいと思ったことを恐れずに挑む事が目的に変わってきています。
ギターで説得するところは笑えたし、ほっこりしました。
橋から飛び降りろといわれてバンジーする発想の柔軟さとか、たぶん今まで持って無かったですよね。
「今何してる」と電話で聞かれて「ぶらぶら(バンジー)してるところです」と答えるのもユーモアがあって面白い。
あと、ヒロインの「愛しちゃったみたい」が胸きゅん。
お見合いや無差別融資、おばあちゃんのくだりはちょっとやりすぎかなぁ…。
なかなか楽しい作品でした。

関連記事
第18回ブログDEロードショー「チアーズ!」

映画「昨日・今日・明日」観た

昨日・今日・明日
原題:IERI, OGGI, DOMANI
   YESTERDAY, TODAY AND TOMORROW
製作:イタリア/アメリカ’63
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
ジャンル:★コメディ/オムニバス

【あらすじ】第1話「アデリーナ」妊娠中の女性は逮捕されないと知り、夫に頑張らせて妊娠し続ける。第2話「アンナ」富豪の人妻と若い青年との浮気の代償。第3話「マーラ」美しい女性に溺れた神学生の顛末を描く。

「アデリーナ」がいいですね。罪を免れるため妊娠し続けようとする、とんでもないお話ですが、そのあっけらかんとした明るさが楽しいし、そんな彼らを見守る町の人々のあたたかさがいい。なんせ、逮捕しに来た警官たちも、だんだん呆れるのを通り越して楽しみにしてるようだったし(笑)
キツイ奥さんですが、「やっぱりカルミネじゃなきゃ嫌!」と刑務所行きを選ぶところが可愛いです。にしても、小さい子がいる囚人は、母子専用の監獄があるんだね。子供用の公園とかもあるのかなぁ?
一度普通の監獄に入れられそうになって、幼い子供を見た女囚たちの表情がぱっと明るくなるシーンがあって、それが印象的。
げっそりしたカルミネも、あれだけ責められて罵倒されて、それでも彼女への愛は全く変わってないところがよかった。刑務所のアデリーナに”お金を集めて、嘆願書もだした。愛してる”と伝えるため、人を雇って歌で伝えてもらうシーンがロマンティック。これがまた美声なんだわ~。
釈放される日もみんなお祭り騒ぎで、情に厚いイタリア人の魅力が詰まってたと思います。

「アンナ」はソフィア・ローレンの最初の独白の声が超可愛いです。言ってる内容は相変わらず酷かったりしますが、声と発音が可愛い。これなら車ぶつけられても許しちゃうかも。
ストーリーはよくわからなかったけど、最後はちょっとマルチェロが可哀相でした。

「マーラ」では隣家の神学生を唆す色っぽいお姉さん役なんだけども、いまいち何をしたいのかわからなかったです。心変わり激しすぎ!
マルチェロの前でストリップをするシーンが印象的。彼女のセクシーなおみ脚もいいんだけど、それを興奮気味で眺めるマルチェロの様子が可愛かった(笑)

関連記事
「ひまわり」観ました

OV「ぬくぬく」観ました

 | コメディ  Comment(1) 
Tag:日本 にゃんこ

ぬくぬく
製作:日本’09
監督:富永まい
原作:秋本尚美
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】小さな町で生まれ、平凡で静かな生活を愛していた山田さん。そんな彼の暮らしを乱す唯一の存在は、猫のしまだけだった。しまに翻弄されながらも、彼は幸せな日々を過ごし…。

ただひたすら、にゃんこを愛でる温水さんを愛でるオリジナルビデオ作品(笑)
しまちゃんがホント究極に可愛いんですが、そんなしまちゃんに翻弄される温水さんにも癒されました。無類の猫好きだというのが一目でわかる!
64分間のなかに、にゃんことの生活の魅力がこれでもかというほどに詰め込まれてます。自分が可愛いとわかってエサをねだる様子とか、何かをしてると邪魔してくるところとか、逆にこっちから構おうとすると途端にそっけなくしたりとか…。
家の中の様々な場所、のんびり気ままに過ごすにゃんこの愛らしい姿もバッチリ見られるし、そんなにゃんことの幸せな毎日を見せ付けてくれて、もう羨ましいやら、顔がにやけるやら(笑)
猫語翻訳機を持って一日中鳴き声を拾おうと(こんな時に限って鳴かない)家の中を行ったり来たりしてシマを追いかけるエピソードは大笑いでした。
彼が取った最後の手段………サイコーです!
ストーリーと呼べるほどのものはありませんが、猫好きならたまらない作品♪

関連記事
映画「ウール100%」観た

映画「集金旅行」観た

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:日本

集金旅行
製作:日本’57
監督:中村登
原作:井伏鱒二
ジャンル:コメディ/ドラマ

【あらすじ】望岳荘アパートの大家が亡くなった。残ったのは抵当に入ったアパートと住人、大家の子供、勇太だけ。大家が高利貸しもしていた事がわかり、住人のひとり旗と、中国四国地方に慰謝料をとる相手がいるという千代は、勇太を連れ旅立ち…。

暑くてダルダルしながら視聴。音質が悪くてところどころ聞き取れなかったです。
ヒロインが明るくて可愛らしいですね。こういっちゃなんだけど、リメイク「神様のくれた赤ん坊」の桃井かおりと比べると正統派。違った感じで物語を引っ張っていってくれます。
他のふたりは普通に上手いし可愛いんだけど、全体的に押しが弱いというかアピール控えめでした。
何気にリメイクの印象が強かったのか、つい比較しながら観てしまったし…(またかよ!)
旅の始まりからして違いますね。こちらは借金踏み倒した連中から取り戻すという大義名分があるので、出発時はみんなに盛大に送り出すのが微笑ましい。
それに便乗するヒロインの目的は、そっち方面にたくさん居るという、かつてワケありだった男たちから慰謝料ふんだくること。たくましいです。
彼らの過去が掘り下げられる事はないものの、昼寝するヒロインのスカートを直してあげようとして、思いっきり手をはたかれる主人公とか、据え膳食わない紳士すぎる主人公にあきれるヒロインとか、ラブコメ展開も楽しめます。
子供との交流はかなり控えめ。わりとあっさり坊やとの別れが済んで、ビックリしてしまいました。ドライな展開に好感持てます。
いったい落としどころは?と思っていたら、まさかあんな事に…!?
徳島名物の「滝のやき餅」が利いてました(笑)
観光映画としても、コメディとしてもなかなかだったので、先にこちらを観ていたらもっと楽しめたかも。
改めてリメイクの良さもわかって、観られてよかったです。

関連記事
「神様のくれた赤ん坊」観ました
「素晴らしい一日」観た

映画「私のように美しい娘」観ました

私のように美しい娘
原題:UNE BELLE FILLE COMME MOI
製作:フランス’72
監督:フランソワ・トリュフォー
原作:ヘンリー・ファレル
ジャンル:★コメディ/犯罪/ロマンス

女性犯罪についての論文を書くため、服役中の女性を取材しにきた若き学者スタニスラフ。彼は手始めに、カミーユという囚人から話を聞くことに。悪びれもせず自分の悪行を語りだすが、やがて彼はその自由奔放な彼女に惹かれていき…。

たぶん小学生の頃に初めて観て、わたしの”悪女キャラ好き”を決定付けた作品です(笑)
とにかく面白いんですよね~。実際にこんな女性が目の前にいたら、作中の女性たちのように毛嫌いしそうですが、傍から見ている分には面白いし、男たちが次々と彼女の虜になっていくのもわかります。…だって可愛いんだもん!
ムカつく父親の使うはしごを外した事を”賭け”だといい、父親が死に”賭けに勝った”と誇らしげに語る彼女。行く先々で男と出会い、まるで”挨拶”するかのように気軽に関係を持ち、障害となる者がいれば”賭け”にでる…それを自然に気楽にやっちゃうものだから、いつの間にか観ている方も彼女の思考回路につられて、普通に楽しんでしまうんですよね。
義母さんに仕掛けたトラップや、害虫駆除の道具の使い方を簡単に覚えてしまうなど、その短絡的な行動の割りに、賢くて物覚えがいいところも魅力的。どこまでが計算なのやら(笑)
スタニスラフも見る間に彼女の蜘蛛の巣に絡まっていき、恐ろしい女だとわかっていても「あんたは別よ」という甘い言葉に騙されてしまいます。何を聞いても「愛のない家庭で育ったために…」と同情する姿が滑稽。まさに恋は盲目!
それを心配そうに見守る秘書の切ない事…(ある意味、彼と同類?)。彼の事が好きだから手伝ってしまうけど、彼はカミーユの無実を晴らす(他にも殺人未遂があったけどね…)ことしか頭にありません。証拠が見つかって、喜びのあまりキスするも、ふとそれに気付いて憂い顔をする秘書が印象的でした。
ちなみに、タイトルはカミーユのデビュー曲の名前。
大好きな作品です。

関連記事
「突然炎のごとく」観ました

映画「マダムと女房」観ました

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:日本

マダムと女房
製作:日本’31
監督:五所平之助
原作:北村小松
ジャンル:★コメディ/音楽

【あらすじ】劇作家の芝野新作は、脚本を書くため静かな郊外の住宅地へ引っ越した。だが、様々な邪魔が入る上、隣の家から大音量のジャズが聞こえてきて執筆が進まない。彼はは隣家に怒鳴り込もうとするが…。

日本初のトーキーということで、音を上手に使って面白く見せていました。
最初はセリフが聞き取りづらいなぁと適当に観ていたけど、執筆中に様々な邪魔が入るところからが面白い。
まずネズミが天井裏で騒がしいので、新作がネコの鳴き真似で追い払うんだけども、今度は外からネコが応えて鳴き始め、それを空き缶を投げつけて追い払ったかと思えば、その物音で赤ん坊が起きて泣き始め…という流れ。
動物は見せずに音だけでわからせるというところが意欲的だし、純粋に面白くて声を立てて笑ってしまいました。
そして、彼の奥さんと娘のキャラもいいんですよ。旦那を尻に敷く奥さんの「あなたぁ」という呼び方は、甘えてる感じなのに強制力があり、娘もそんな力関係がわかっているのか、事あるごとに「お母さんお母さん!」と言いつけます。でも、そんな娘でも可愛いから怒れない(笑)
また、夫が隣のモダンなマダムと仲良くしているのを目撃してからの奥さんがホント可愛いんです!
弱々しく「わたしは傷ついたのよ」ポーズで夫を出迎え、それに気付かないと今度は縫い物もしないのにミシンを鳴らし、やっと気に掛けてくれた夫に「あのモダンガールと仲良く遊んでもらったの?」「エロでしょ。エロ100パーセントでしょ」のセリフ(笑)
拗ねた後は、「あなたぁ、私にも洋服を買ってちょうだい」と可愛くおねだりです。
はっきり言って、太めであけすけなマダムよりよっぽど魅力的でした。
ラスト、家族で洋服を買ったのに、女房は髪型だけ西洋風にして着物を着ているのがステキ。
一緒に飛行機に乗りたいね、とラブラブな二人を見て、なんかいいなぁと思えました。

映画「チャップリンの殺人狂時代」観ました

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:チャールズ・チャップリン

チャップリンの殺人狂時代
原題:MONSIEUR VERDOUX
製作:アメリカ’47
監督:チャールズ・チャップリン
ジャンル:★コメディ

【あらすじ】まじめな銀行員アンリ・ヴェルドゥは不況のあおりで失業、足の悪い妻と幼い息子を抱えて新しい仕事を探さねばならなかった。一方、フランス各地で婦人の失踪事件が12件も発生している事に気付いた警察は、殺人事件とみて捜査を開始するが……。

不思議ですね~、やってる事は残酷で許されない事なのに、チャップリンが演じていると時々「怖っ!」とは思うものの(お金を数えるシーンとか)嫌悪感はなくて、クスクスと笑わされることも。
最近、彼の昔の短編をたくさん観て”手癖、女癖、酒癖の悪いチャップリン”に慣れていたので、むしろ必死に生きるために(間違った方向でも)頑張って”仕事”をしている主人公を受け入れられてしまったのかもしれません。
この作品では残酷な面とともに、妻子の前での優しさや消耗した様子も見せていて、早くこの仕事をやめたいと思っているのが伝わってきたのがよかったのかも。あの下品な笑い声の女性とのやり取りなんて、いつの間にか主人公の方を応援してました(笑)
後半、ひとりの若い女性との出会いで彼の運命が変っていく、シリアスな展開にも考えさせられます。
戦争で負傷した夫を守るために盗みまでした彼女に一度は共感したものの、再会した時には軍需会社社長の愛人となって、そのお金で恩返ししたいと言う彼女。それに対し、彼が取った行動、そして彼の言葉が痛烈です。
後悔や反省の言葉でなくあえて「一人殺せば犯罪者、100万人殺せば英雄」という言葉を、連続殺人犯の裁判という大舞台で伝える事が、彼に出来る精一杯の償いだったんでしょうね…。
それを聞く彼女の表情が印象に残りました。
観てよかったです。

関連記事
「モダン・タイムス」観ました

映画「デーヴ」再見しました

 | コメディ  Comment(4) 
Tag:アイヴァン・ライトマン

デーヴ再見
原題:DAVE
製作:アメリカ’93
監督:アイヴァン・ライトマン
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】気さくで面倒見の良いデーヴは、大統領そっくりだった事から一晩替え玉をやる事に。だが、本物の大統領が脳卒中で倒れ、彼は契約延長を余儀なくされる。やがて、大統領夫人エレンの言葉により、彼は自分で考え行動するようになり…。

スルーっと観られる、楽しくて人情味あふれる作品。前回見た時は「パラドールにかかる月」を観たばかりで類似点に多少引っかかるものがあったけど、記憶も薄れて今回は心から楽しめました。
やはり主人公を演じるケヴィン・クラインがはまり役ですね~。廊下で本物と対面する時の、一人二役の演じわけが素晴らしい。
球場や工場での仕事を子供みたいに楽しむ姿や、大統領夫人に見とれたり、嫌われている事を気にするところ、孤児院で周りの目を気にするでもなく独りで遊ぶ子供に声をかける純朴さも良い。
マスコミに「今はやめてくれ」とハッキリ言うところなんて、真の大統領という感じでした。
前も思った事だけど、彼女やSP、悪徳政治家の金魚のフンまでもが彼の人柄に惹かれるのも納得です。
「もしまた大統領になったら何をしたい?」と問われ、あの決断をするくだりも素直に感動できました。

イラストはデーヴが別れを暗示するところ。ヴァルコニーでの二人は前も描いたけど、ふたりの距離はぜんぜん違います。
手に持ってるのは小輪の黄色いバラ。別れを前にデーヴが彼女に贈ったんでしょうか。花言葉は”笑って別れましょう”。
役目を終えて、夜の公園に消えていくデーヴを見送る夫人の姿が切ない!
ただ、ラストは一気に普通のアメリカ的なラブコメみたいになってしまうのがちょっと。せめて、デーヴが頑張ってる様子を映して、そこへ向かう夫人の後姿を映すくらいで終わってほしかったです…。

関連記事
「ツインズ」観た
「デーヴ」観ました

映画「刑務所の中」観ました

 | コメディ  Comment(0) 
Tag:日本

刑務所の中
製作:日本’02
監督:崔洋一
原作:花輪和一
ジャンル:★コメディ

【あらすじ】銃砲刀剣類等不法所持、火薬類取締法違反で懲役3年の刑を受けた花輪和一。受刑者番号222番を与えられ、日高刑務所での生活が始まった。同房の4人とも奇妙な連帯感で結ばれ、そこは意外にも居心地の良いもので…。

これは面白かった!
テンポがすごくいいんですよ。掛け声や足踏みが、まるで音楽のようになっていたり、主人公のモノローグも緩急のリズムが心地よい。食事のメニューをつらつら読み上げるだけでも、山崎努の語りに惹きつけられてしまうんですよね~。
軍隊みたいに整列したり、いちいち許可をもらったり、厳しい規律はあるものの、刑務所生活を満喫している”5匹”の様子がコミカルで楽しそうで、だんだんと刑務所生活も悪くないかもという気にさせられてしまうところが怖いです。
しまいには、懲罰房でひとり紙袋を作る仕事に熱中し、ゆったり入浴して温泉気分を味わい、小便しながら「充実してるなぁ」と人生の幸せを実感しちゃいます。ほんの小さな事で笑い合ったり、やりがいを見つけるのは幸せの秘訣と言いたいところだけど、こんなところで幸せ見つけちゃだめでしょう!(まあ、外に出たら天国に感じるだろうし、ここで見つけられれば外でも見つけられるって事でいいのかな?)
とくに食べ物への執着はすごくて、たまに出てくるごちそう(パンにマーガリンにあんこ)の事を「今まで食べた何よりも美味しい」と言っていたり…。
ここはかなり安全で健全な刑務所だと思うんですが、一部の人間にとっては”何も考えず、言われるままに単純作業をし、衣食住が保証され、ほとんど人と会わなくてもいい場所”というのは居心地が良すぎるんでしょうね。厳しくすればいいというものではないけど、外に出たい、自由になりたいという意欲を持たせないと、社会復帰どころか軽犯罪の常習犯になってしまいそうです。
笑わせつつも考えさせるところがあって侮れない作品でした。

関連記事
「クイール」観ました

映画「モダン・タイムス」観ました

 | コメディ  Comment(6) 
Tag:チャールズ・チャップリン

モダン・タイムス
原題:MODERN TIMES
製作:アメリカ’36
監督:チャールズ・チャップリン
ジャンル:コメディ/ドラマ

【あらすじ】工場で働くチャーリーは、スパナを両手に次々と送られてくるベルトコンベアーの部品にネジを締めていた。ところが絶え間なく運ばれてくる部品を見ている内に、段々わけがわからなくなり…。

この作品のチャーリーはやたらと周りに迷惑をかけてるし、信頼を裏切るような事をしているのがちょっと気になったんですけど、コメディ部分は文句なしに面白かったです。
同じ作業の繰り返しで休憩に入ろうとしても体が動いちゃったり、自動食事マシーンで酷い目に遭ったり、手すりがないのに気付かず目隠しでスケートをするシーンなど、思いっきり笑わせてくれました。
女の子が逃げ出した理由がよくわからなかったけど(この時代の少年院はヤバイのかな…逃亡犯の姉がいるのとどちらがましだろう?)、夢に向かって頑張る同志としてふたりが協力し合っている様子は心温まります。
とくに、この作品で唯一声を入れている(その前に社長の一喝もありました)歌と踊りのシーンがいいですね~。チャーリーのために歌詞のカンペを用意し、ハラハラしながら見守る女の子と、彼女のためにもやるしかない!とフランス風デタラメ語を披露するチャーリー。今まで失敗ばっかりだったけど、やっとここで成功。女の子と一緒に手を叩いて喜びたくなっちゃうシーンでした。
ふたりが笑顔で手をつないで旅立つラストも希望が持てるものでよかったです。

関連記事
「チャップリンの殺人狂時代」観ました
「サーカス(1928)」観ました

映画「サーカス(1928)」観ました

 | コメディ  Comment(8) 
Tag:チャールズ・チャップリン

サーカス(1928)
原題:THE CIRCUS
製作:アメリカ’28
監督:チャールズ・チャップリン
ジャンル:★コメディ

【あらすじ】知らぬ間にスリの片棒を担がされ、警察に追われているうちにサーカスのテントに迷い込んだ放浪者チャーリー。期せずして退屈していた観客たちを楽しませ、大道具係として入団する事に。彼は団長の娘に恋をするが、彼女は新しく入団した綱渡り師に夢中で…。

どうも、新年早々あけおめイラストを描こうとして挫折し、なかったことにして普通に感想記事をアップした宵乃です。だめだめですが、今年もよろしくお願いいたします。
というわけで、今年の第一弾はまたしてもサイレント映画で「サーカス」。期待通り、すっごい面白かった~!
最初っからチャップリンの世界全開です。赤ん坊の食べ物をこっそり食べてたら、いつの間にか赤ん坊に食べさせてもらっていたり、警官と追いかけっこする中で、仕掛け時計の人形に紛れて華麗なパントマイム。ミラーハウスでの追いかけっこは定番なものの、やっぱり彼がやってると一味違います。見てると自然と笑顔になれるんですよね~。
サーカスに紛れ込んでからは本領発揮。天然でお客さんのハートをバッチリ掴むという演技が、本当に天然に見えてしまいます。独特の動きはまさにピエロなんだけど、”チャップリンは普段からこういうもの”と刷り込まれているみたい(笑)
何故か馬に嫌われていたり、本物の(!)ライオンの檻に閉じ込められたり、後半のおっかなびっくり綱渡りシーンでは、笑いつつもハラハラドキドキしてしまいました。
サーカス娘への恋心も、見ていて応援したくなっちゃうんですよ。まさしく恋をしてますって感じに舞い上がる心、ときめきを、動きや表情で伝えてくれます。ポールに登って「ほらほら!」とおどけて見せたり、両腕を羽のように動かしてすべり降りてくるのが可愛かった!
そこへ、ハンサムな綱渡り師が登場して一変。落ち込んだり嫉妬もするんだけど、想像の中で綱渡り士をこてんぱんにやっつけたり、自分も綱渡りの練習をしたりするところがまた健気で…。
最後の最後まで彼女を笑顔にしようと努力する姿にホロリとしました。
彼のサーカスが終わって、ぽつんとひとりたたずむラストが切ない余韻を残します。

関連記事
「モダン・タイムス」観ました
「キッド(1921)」観ました

映画「キッド(1921)」観ました

 | コメディ  Comment(9) 
Tag:チャールズ・チャップリン

キッド(1921)
原題:THE KID
製作:アメリカ’21
監督:チャールズ・チャップリン
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】街頭に捨てられた赤ん坊を拾い、成り行きから育てる事になったチャーリー。それから5年後、その子はチャーリーの仕事を手伝う程成長し、2人は貧しいながらも幸せに暮らしていた。だが、熱が出て医者に診せた事から、強制的に孤児収容所に送られそうになり…。

期待が高まりすぎたせいか感動はなかったんですが、ほのぼのした雰囲気やコミカルな描写がとても良くって、すぐに引き込まれました。
チャーリーが登場するとパッと画面が明るくなる気がするんですよね。彼が動きだすと音楽がそれに合わせて鳴り出し、観てるわたしたちの笑い声も作品の一部みたいに思えます。
また、彼にも負けない存在感を発揮していた坊やも素晴らしい。可愛くて演技も上手で、つい「チャンプ」を思い出してしまいました。
そんなふたりの食事風景や何気ない日常の描写がまたいいんですよ。血は繋がらなくとも親子というのがしっかり伝わってきます。
ガラス売りの詐欺や、警官との追いかけっこ、筋肉隆々(詰め物で膨らませてるのが 笑)の青年との対決なども、古典的ながら楽しませてくれました。
いつも抜け目なく、ずるい事もして、問題が起きてものらりくらりとかわしてしまうチャーリーには、どんな苦境に立たされても何とかしてしまいそうな頼もしさを感じて、あの境遇で赤ん坊を育て上げるなんて事も、なんとなく納得できてしまったり。
ラストも、これから幸せを掴めると素直に信じられました。母親は坊やを一度は捨てたけど、一時の気の迷いを起こしても仕方がない状況(頼れる唯一の人に捨てられた?)だったみたいだし、すぐに戻ってきたし、悔やみ想い続けていたのが伝わってきます。女優としてここまで成功したのも、有名になれば捜索の可能性も高まるからだろうし、慈善活動だってどこにいるかわからない我が子のため、何かせずにはいられなかったんですよね。
天使のくだりはよくわからなかったけど、夢の中ですら幸せに浸ってられないくらい坊やとの別れがショックだったのかなぁと思ったりしました。
やっと観られてよかったです!

関連記事
「サーカス(1928)」観ました
「街の灯」観ました

映画「ヤング・フランケンシュタイン」観た

 | コメディ  Comment(5) 

ヤング・フランケンシュタイン
原題:YOUNG FRANKENSTEIN
製作:アメリカ’74
監督:メル・ブルックス
ジャンル:★コメディ/ホラー

フランケンシュタイン博士の曽孫である事に引け目を感じていたフレデリック。だが、博士の遺産を受け継ぐことになり、ルーマニアの古城を訪れた彼は、博士の研究ノートを見つけてしまう。とたんに自分の中の知的好奇心が抑えられなくなり…。

この前観た「フランケンシュタイン(1931)」の後味の悪さを洗い流してくれる楽しいパロディ映画。かなりコテコテの笑いなので合う合わないはあると思いますが、優しさもプラスαされていてかなり楽しめました。シリーズすべてを観てるひとはもっと楽しめるかも!
わざわざモノクロで撮ったり、オリジナルのセットを借りたりと、本気で作った作品なのも好感もてますね。
まず、キャラクター自体が面白いです。せむし男は挙動全般が面白くて一度見たら忘れられないし、追っ手である警官は義手を使いこなす様が面白カッコいい。ヒロインもお色気要員としてしっかり仕事してたし、スキンシップよりもファッション優先の婚約者はラストで大笑いさせてくれました。
そして、主人公が良いんですよ。前の主人公と違って、(浮気はしたものの)生みの親として責任感と良心がありました。
怪物が暴れても適切に対応して落ち着かせたし、誰かを傷つけそうになっても(基本コメディなので、そこら辺は安心して観られる)、「本当は優しい心を持ってるんだ。愛されているとわかれば冷静さを取り戻すはず」と、命がけでモンスターのところへ!
…すぐ及び腰になってたけど(笑)
フランケンシュタイン家に伝わる曲をバイオリンで奏で、モンスターをなだめるのも優しくて好きですね~。しまいには、モンスターと一緒にタップダンスを披露してみたり。
オリジナルの残酷なラストを、ここまで明るく楽しいものに変えてしまうのも驚きでした。「フランケンシュタイン」シリーズを見たら、ぜひ一度は観てほしい作品です。

B003KK0MRS ヤング・フランケンシュタイン [Blu-ray]

映画「大鹿村騒動記」観ました

 | コメディ  Comment(6) 
Tag:日本

大鹿村騒動記
製作:日本’2011
監督:阪本順治
ジャンル:★コメディ/ドラマ

【あらすじ】長野県、300年以上の歴史と伝統を誇る村歌舞伎が自慢の大鹿村。その大鹿歌舞伎の花形役者である善は、実生活では女房の貴子に逃げられて寂しい日々を送っていた。そんなある日、駆け落ち相手の治が認知症を患った貴子を返しにきて…。

あらすじだけ読むと結構酷い話なんだけども、見てみると3人の間には揺るぎない絆みたいなものがあって、殴り合いのケンカをしてても、どこかほのぼのしてるんですよね。善ちゃん、治ちゃん、貴ちゃんと呼び合うのも昔と変わらず、どんな形であっても3人で一緒に歌舞伎をやってるのが幸せ、みたいな。
この村歌舞伎っていうのがまたいいんですよ。去年から東北の伝統芸能を取り上げる番組をちょくちょく観てますが、ああやって伝わっていくものって魂がこもっているというか、生きてる気がします。何百年前の着物とか、人形とか、朽ちることなく人々を喜ばせ続けているというのが、それだけで感動。資料館などで大事に残すのも大切だけど、やはり本来の役割を果たしてこその輝きでしょうか。
その歌舞伎が人々を繋げて、支えて、一緒に生きてるというのが素敵。人々の中に歌舞伎があって、歌舞伎のなかに人々の人生があるんだなぁと思いました。
最後までほんわか笑わせてくれて、なんとなく幸せな気分になれる作品です。

映画「奇人たちの晩餐会」観た

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:フランス

奇人たちの晩餐会
製作:フランス’98
原題:LE DINER DE CONS
監督:フランシス・ヴェベール
ジャンル:★コメディ

【あらすじ】出版業を営むブロシャンには密かな楽しみがあった。それはバカな人間を招待しては仲間で笑い物にするという晩餐会だ。今回はマッチ棒の工作が趣味という税務局勤めのピニョンを招待するが、当日ギックリ腰になって動けなくなり、彼はピニョンと二人きりになってしまう。

”バカ(KYなひと)”を笑いものにする嫌な奴が、その”バカ”のピニョンにぎゃふんと言わされるのが痛快な作品だと記憶してたんだけど、再見したらむしろピニョンの行動にイラついて主人公に同情してしまいました。人でなしブロシャンですらも可哀そうに見えてしまう、ピニョンのKYっぷりが半端ナイです(笑)
ぎっくり腰&奥さん家出のブロシャンを、なんとか助けようとするんだけども、すぐ調子に乗って余計な一言で事態を悪化させていくんですよね~。
それがもう見事なもので、これを故意にできたら天才。でも、100%善意だから怖い!
演技も素晴らしくて、本当にこういう人なのかと思えてくるくらいでした。
古典的なギャグばかりなのに、そんなに古さを感じさせないとこもいいですね。
まあ、期待してたほどは笑えなかったんですけど、ラストは思わずホロリとしつつ、笑顔で見終われるような憎めない作品でした。

関連記事
「ルビー&カンタン」観ました

映画「あるじ」観ました

 | コメディ  Comment(3) 
Tag:デンマーク

あるじ
製作:デンマーク’25
原題:DU SKAL ARE DIN HUSTRU
監督:カール・テオドール・ドライエル
ジャンル:★コメディ/ドラマ

【あらすじ】家族に対して横暴な振る舞いをし、妻のイダにも容赦なく当たっていたヴィクトア。見かねた彼の元乳母マースは、イダにしばらく身を隠すように言う。マースはイダが病気で療養していると説明し、身の回りの事は自分でやるようにヴィクトアに言いつけるのだった。

冒頭で主婦が主役、主婦のための作品!と断言しているだけあって、普段から不満を抱えている主婦にはスカッとする作品です。
この父親がもう酷いったらないんですよ。口を開けばネチネチ嫌味しか出てこなくて、「お前は性質の悪い舅か!」と言いたくなる様な腹立たしさ。手を出さなきゃ虐待じゃないと思ってるんですよね~。既視感はんぱなかったです。周りの人々が「本当は愛し合ってる」と信じてるのが不思議なくらい冷酷な態度でした。
そんな虐待されるイダを黙って見ておられず、彼の元乳母マースが一計を案じます。
現代のコメディの原型でしょうか。他人の気持ちがわからない、わかろうとしない人間が、その立場になって悪戦苦闘を経てやっと自分の過ちに気付くという流れです。
あの冷たい目をした横暴な旦那が、しだいに乳母に叱られた幼い頃の記憶が蘇ってきて、従順な教え子みたいになっていく過程が痛快でした。なんたって、最初は父親の真似をして「凍えてしまえ!」と吐き捨てるように言った娘が、母親を恋しがる父親の姿にほだされそうになってしまうくらいでしたから。
最後のプライドを打ち砕くため、マースが手紙を使った一連の罠も面白かったです。

あ、書き忘れたけどサイレント映画です。こんな古い作品なのに、まったく時代を感じなかった。まだまだそこら中にあると思うよ、こういう家庭。

関連記事
「裁かるゝジャンヌ」観た

映画「トッツィー」観ました

 | コメディ  Comment(6) 
Tag:シドニー・ポラック

トッツィー
手つきが女性っぽいのがさすが。
製作:アメリカ’82
原題:TOOTSIE
監督:シドニー・ポラック
ジャンル:★コメディ

【あらすじ】演出家と揉めてばかりで役をもらえなくなってしまった俳優ドーシー。友人の書いた芝居の公演資金を得るため、女装してTVドラマのオーディションへ。見事役を勝ち取った彼は、そこで看護婦役のジュリーに一目惚れし…。

久し振りに観たら楽しくて、リラックスしながら笑って鑑賞。
ホフマンの女装がホント上手い。ちょっと体格でばれそうな感じはあるけど、こういうおばさんいるよね。裏声と地声の使い分けもすごいし(タクシーを止めるシーン最高)、だんだんチャーミングに思えるから不思議。ノリノリで写真撮影するシーンは完全に女になりきってた(笑)
仕事のために女になったんなら、キスシーンくらい我慢しろよという感じですが、オジサマふたりの求愛にたじたじな様子も面白かったです。
好きな人の側にいられて嬉しい反面、偽りの自分しか見てもらえないというジレンマも、定番ながら引き込まれました。もう一人の扱いは酷かったけど、彼女のおかげで”嘘をつくこと”に罪悪感を覚えるようになって成長できたわけだから、必要な部分だったかな。
何気に一番好きなのは、ビル・マーレイ演じる友人。主人公の性別の境界線が曖昧になってきている(笑)のを生暖かい目で見守っているのが地味にいい。口数も少なかったけど、バッチリ笑わせてもらいました。
ラストも後味爽やか。最近映画見まくりで疲れてたけど、再見できてよかったです。
ちなみに、タイトルの意味は”かわいこちゃん”というアメリカのスラング。

関連記事
「大いなる勇者」観た
「出逢い」観ました

映画「インスタント沼」観ました

 | コメディ  Comment(6) 
Tag:三木聡 日本

インスタント沼
製作:日本’09
監督:三木聡
ジャンル:★コメディ/ドラマ/ファンタジー

担当していた雑誌が廃刊になり、退職した沈丁花ハナメ。その矢先、母が昏睡状態になり、その上、実の父親の存在を知ることに。真偽を確かめるため、その男のもとを訪ねた彼女は、“電球”と名乗る残念な骨董屋のオヤジと出会い…。

やっぱり三木聡監督のコメディは大好きです。冒頭から主人公のモノローグが始まるんだけど、その呼吸が落語っぽいというか、フィーリングが合う人が聞くと無視できないものがあります。わたし一人で見始めたのに、いつの間にか家族と一緒に笑ってました。
想像もつかないような奇想天外な展開に、監督得意のしょーもないネタ、ポジティブシンキングという奥義を極めながら突き進む登場人物たちに、明るい気持で何も考えずに笑ってられます。もし、こうやって細かい事はぜんぶ笑い飛ばして生きていけるなら、それってきっと最強ですよね~。
とりとめのない、妄想が頭から飛び出してきたみたいな話でしたが、最後はあっと驚かされて晴れ晴れとした気持ちに。最初は夏の話で今(といっても2週間前)観るには時期はずれだったかなぁと思ったけど、今思うと正に今年の1月に観るべき作品だったかも!
あとどうでもいいけど、主人公が好きな”しおしおミロ”、わたしも昔やってました(笑)
子供ってデロデロベトベトしたものが好きですよね…。まあ、今でも時々あの”デロデロ感”が恋しくなって、ココアときな粉で作ったりしてますが。ココアだけだと濃すぎるし太りそうだけど、きな粉を使うことで一気に健康食品になる…ような気がする!

関連記事
「転々」観ました

映画「花嫁の父」観ました

 | コメディ  Comment(4) 

花嫁の父
製作:アメリカ’50
原題:FATHER OF THE BRIDE
監督:ヴィンセント・ミネリ
原作:エドワード・ストリーター
ジャンル:★ドラマ/コメディ

最愛の娘のケイを新婚旅行に送り出し、弁護士のスタンリーは抜け殻になった部屋のソファに腰を下ろした。ぐったりしながらも、娘が結婚の話を持ち出した日から、今日までの事を振り返る。その時は、ケイはまだまだ子供だと思っていて…。

以前観た「花嫁のパパ」のオリジナルです。
やっぱり良いですね~。きちんとコメディしつつ、娘を送り出す父親の複雑な心情を描いてました。
まず、娘が本当にお美しくて、知らない男なんかに渡したくないという父親の気持がよくわかります。奥さんも大変お美しいし、息子も2人いるけど、やはりこれだけ綺麗で素敵なお嬢さんに育つと特別可愛がってしまうのも仕方がないかもしれません。
そんな父親を置いて、どんどん盛り上がっていく女性陣。蚊帳の外で資金繰りに頭を抱えるお父さんがわびしい…。昔の服を取り出して一人で格闘しているのを娘に見られたり、つい「駆け落ちしてくれたほうが安くつく」と漏らし、気を遣う娘を見てハッと我に返ったり。お金に拘りすぎて、見苦しい姿を見せる事も。
でも、決める時は決めてくれます。「もう結婚しない。大金を使わせてしまったのに…!」と泣き出す娘に、「お金の事はいいんだ。お前の幸せが一番だよ。」と優しく抱きしめる場面ではジーンとしました。その直後、くだらないケンカの原因が判明した挙句、すぐに仲直りしてふたりの世界になっちゃうんだけど(笑)
また、結婚式前夜にバージンロードに足が沈んで歩けなくなる悪夢を見るも、そんな不安もなんのその、同じ様に怖がっている娘の前では頼れる父親になるとこが可愛い。いざ本番となって、冷静さを取り戻した娘を”出陣を待つ将軍”に、緊張する花婿を”爆発物を処理してきた疲れた兵士”に例えるところも面白かったです。
娘はずっと娘のままだと気付き、やっと心穏やかに奥さんと踊るラストに、ほんわか温かい気持ちになりました。

関連記事
「花嫁のパパ」観ました
「炎の人ゴッホ」観た
B000LZ6DZ0 花嫁の父 [DVD] FRT-016

映画「ゲット スマート」観た

 | コメディ  Comment(8) 

ゲット スマート
製作:アメリカ’08
原題:GET SMART
監督:ピーター・シーガル
ジャンル:コメディ/アクション

【あらすじ】アメリカ、極秘諜報機関”コントロール”の敏腕分析官スマート。エージェントへ憧れていた彼は、本部が国際犯罪組織“カオス”に襲撃されたのを機にエージェント86となる。整形したばかりの美人エージェント99と組み、極秘任務に就くが…。

むかし観た「0086笑いの番号」とかいうスパイ・パロディ映画でも、主人公がスマートだったなぁと、ずっと気になっていたんですが、同じドラマの映画化だったんですね。それと比べると「ゲット スマート」は大分おバカ度が下がってますが、わたし的には丁度いいくらいでした。
スパイと聞くだけでテンション下がる人間なんで、最初の電話ボックス型エレベーターが室内にあるとか「???」だったんですが(ビル・マーレイも謎すぎる)、消火器あたりからだんだんとじわじわきて、中盤には普通にクスクス笑いながら観られました。
スマートが長い間エージェント昇格のために努力してきたとわかる描写と、やっぱりできないものはできないというお間抜け描写が混在しているのがいいですね。とくに、ダンスのシーンが楽しくて、リフトに成功した時には思わず「おおっ!?」と感嘆の声がもれました。あれは、拍手喝采されて当然です(笑)
あと、元分析官としての能力も垣間見せて、強面の大男相手に、カウンセラーのような事をしてしまう展開もよかった。「敵も人間です」と言ってたのが、危険を前にしても変わらなかったというのが立派です。
一方、エリートの99は格好良くて当たり前で、でもスマートの予測のつかない言動に振り回されているところが可愛かったです。回し蹴りもセクシーだし、彼の最新式のアイテムに軽く嫉妬したりと、無表情なスマートのかわりに色々な表情を見せてくれました。
個人的に気に入ったのは、コントロールのチーフ。かつては優秀なエージェントだったと思わせるヘリの操縦に惚れ惚れ。スマートがコントロールに捕まった辺りから、長くて飽きてきてたんですが、チーフのおかげで最後まで観られました。あと20分短かったら最高だったと思います。

関連記事
「50回目のファースト・キス」観た

映画「南極料理人」感想

 | コメディ  Comment(14) 
Tag:日本

南極料理人
製作:日本’09
監督:沖田修一
原作:西村淳
ジャンル:ドラマ/コメディ

【あらすじ】平均気温マイナス57℃という過酷な場所に建つ南極ドームふじ基地。ここに、観測隊の調理担当としてやって来た西村淳は、日本に残してきた妻子のことを気にしながらも、腕によりをかけた料理で男たちの胃袋を満たしていくが…。

わりと楽しみにしてたし、ゆるい雰囲気とかは好きだったけど、いくつか引っかかる事があってあまり楽しめませんでした。
まず、エビフライのエピソード。せっかくリクエストに応えてわざわざ伊勢エビをエビフライにしたのに、あんな態度をとられたら、わたしだったらキレます。たぶん、怒りが収まるまで、茹でた野菜とか、切った果物とか、冷奴とか、目玉焼きとか、栄養バランスは取れてるけど味気ないものばかりの献立が続きますね(笑)
南極を舞台に食事への執着を描くのは面白いと思ったけど、それも南極での仕事の大変さや辛さが伝わってこないと、ただのわがままに見えてくるというか…。南極観測って多額の税金使ってるはずだし、ふざけているところばかりが続いて(裸で外に出るとか!)、描かれてないところで頑張っているとわかっていても、お前らちゃんと働けよっ!という気持ちが強くなってしまいました。せめてもう少し短い映画だったら…。
ラストは厨房のドアを閉めるところで終わっても良かった気がします。最後のセリフも、なんでよりによってハンバーガー?奥さんの手料理じゃだめなの?
あと、主人公の家族への想いは伝わってきたけど、妻子の反応は共感できませんでした。彼女達にとって南極は未知の場所だし、不安もあるはずです。余計な心配かけまいと笑顔で送り出すというならわかるけど、笑い飛ばすのは違いますよね。主人公は思いっきり余計な心配してたし。
とまあ、そんな感じで引っかかりまくりでした。面白い題材だと思っていたので残念!
ちなみに、調べたら”食事は調理師免許を持つ隊員の指導の下、各隊員が交代で作っている。”とあったんですが、他の隊員たち、毎回手伝ってましたっけ???