戦争 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「ジョニーは戦場へ行った」観ました

 | 戦争  Comment(7) 

ジョニーは戦場へ行った
原題:JOHNNY GOT HIS GUN
製作:アメリカ’71 112分
監督・原作:ダルトン・トランボ
ジャンル:★戦争ドラマ

【あらすじ】第一次大戦の中、四肢と顔に大怪我を負った青年が、野戦病院に運び込まれた。目も見えず、耳も聞こえず、喋る事もできないジョーは、自分に意識があることも伝えられず、ただ”生きる肉塊”として看護されていた。孤独と絶望の中、過去の幸せだった頃を思い返すジョーだったが…。

エレファント・マン」や「潜水服は蝶の夢を見る」を連想する、インパクトある作品でした。
戦争によって何もかもを奪われたジョーの現実と、家族や恋人との思い出、そして彼の苦悶が表れた夢を断片的に辿っていくような流れで、思い出が温もりや生きる喜びに溢れているほど、絶望がより深く、より暗く映ります。
モノクロとカラーの使い分けも効果的で、温かみのあるカラーからモノクロに切り替わる時、五感のうちのほとんどを失ったジョーの感覚が少しだけ想像できました。
だからこそ、お日様の温かさを肌で感じ取った瞬間や、嫌悪感を持たない看護師の手に触れた時、今がいつなのかわかった時の彼の感動が伝わってくるんですよね。
これほど「メリークリスマス」の言葉が感動的に思える作品はそうないでしょう。

また、序盤の恋人とのラブシーンも初々しくて、心から想い合っているのが伝わってきてよかったです。お父さん公認だし、微笑ましくって。
ただ、戦争に行くのを最後まで引きとめようとしていた彼女が、彼の夢の中でも何度も「行かないで」と繰り返しているのが、彼の後悔を表していて切なかった。家族を養うためというのもあったんでしょうね…。
そして、父親との想い出も全部良かったです。「この釣竿以外誇るものがない」とか言っていても、いざ息子がそれを失くして夜遅くまで探していれば「たかが釣竿じゃないか」と優しく声をかける…。いいお父さんです。
他にも、彼の内面の対話の相手として描かれるサザーランドのイエス様とか、彼を人間として扱った看護婦さん、彼に意識があるとわかった時の周りの反応など印象に残るシーンは多かったものの、一番印象に残ったのは、序盤の母親との思い出で、キッチンの片隅にいるひよこと猫とネズミのシーン!
弱肉強食の世界でも足りていれば仲良くできるのに、人間は足りていても独り占めしようとする奴らがいるから無駄な争いばかりしてるという…。そういう意味で入れたシーンなのかはわからないけど、妙に印象に残りました。

断片的なエピソードの積み重ねなので、感動が波のようによせてはかえす感じでしたが、最後の絶望感はけっこう驚きましたね。夢の中ではジョニーが笑っているシーンが案外多かったので。(おかげで暗くなりすぎずよかった)
「祖国に命をささげることは美しく輝かしい」という皮肉を込めた一文で締めくくられるところに、赤狩りに抗う監督の強い意思を感じました。
あと、入隊奨励のスローガン「ジョニーよ銃を取れ」をもじったという原題「Johnny Got His Gun(ジョニーは銃を取った)」もさすがです!

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映画「眼下の敵」観ました

 | 戦争  Comment(14) 

眼下の敵
原題:THE ENEMY BELOW
製作:アメリカ’57 98分
監督:ディック・パウエル
原作:D・A・レイナー
ジャンル:★戦争/アクション/サスペンス

【あらすじ】第二次世界大戦中の南大西洋。トリニダードへ向け航行中のアメリカのバックレイ級護衛駆逐艦ヘインズは、浮上航行中のドイツVII型Uボートを発見する。まもなく駆逐艦と潜水艦の一騎打ちが始まるが、知力を尽くして戦う中、両艦長はたがいに尊敬の念を抱くようなってゆく…。

家族の使うvistaが不調で色々邪魔されつつ、なんとか描き上げました(汗)
「U・ボート」と双璧をなす潜水艦映画の金字塔だそうで、タイプは違えど見応えある作品です。
戦術をしっかり描いてるところは好みだったものの、駆逐艦vs潜水艦となると専門用語とかよくわからないところもあったかな(相変わらず見分けられるようになるまで苦労したし…)。
でも、潜水艦の艦長が酔って愚痴るあたりから20分間くらい(両艦長による)名台詞のオンパレードですごかったですね~。書き出したいけど多すぎて早々に諦めたくらい(笑)
どちらの艦長も好感が持てるし尊敬できる人柄で、アメリカ側もドイツ側もどちらも主役として描かれてるのがいい。とくにドイツ側は「U・ボート」を観た後なので、描かれていない部分も補完できて緊張感ありまくりでした。
そして何より、戦争で大切な人を失って戦争自体に静かに憤りを覚えながらも、祖国にいる人たちや部下を守るために全力で任務に当たる姿が素敵です。民間出の駆逐艦艦長が、的確に相手の考えを読んで裏をかき、部下からの信頼を得ていくところなんて痺れますね!
ドイツ人艦長も任務を遂行するために、不利な状況でも冷静に道を切り開こうとする姿がカッコいい。
ボカン、ボカンと派手にやってるのもあって、ハラハラドキドキ楽しめました。
ラストはいかにもハリウッド映画という感じで、戦争映画なのに爽やかなのはどうなの?と思わないでもないけど、一度観て”二度と見たくない、考えたくない”となるよりは、何度も観たくなって、その度に少しは考えさせられる方がいいのかも。またいつか再見してみたいです。

では、みなさま良いお年をお迎え下さいませ~!

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映画「U・ボート」観ました

U・ボート
原題:DAS BOOT
製作:西ドイツ’81
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
原作:ロータル=ギュンター・ブーフハイム
ジャンル:★戦争ドラマ

【あらすじ】1941年秋、ナチス・ドイツ占領下のフランス。歴戦の艦長と古参クルー、若者ばかりの水兵を乗せた「U96」がラ・ロシェル港から出航した。連合国護送船団の攻撃任務につく彼らを取材するため、若き報道班員ヴェルナー少尉も同行する。クリスマスには帰港できると信じ、荒れ狂う北大西洋での孤独な索敵行が続くが…。

こういう作品を観るたびに思うけど、潜水艦にだけは本気で乗りたくないです。
狭い、臭い、汚いと三拍子揃った劣悪環境で、1ヶ月も過ぎれば毛じらみが大流行。パンは元気にカビルンルンして、そんな生命力にさえ励まされる心理状態…。人間の生活できる環境じゃない!
表に出るたびに海水を浴びているのに、真水で髪を洗うこともできければ服も洗えない。そんな状態の人間が何人乗ってるのか知らないけど、想像も出来ないほどの臭いが充満しているのが画面から伝わってきます。(それに比べてドイツ商船は天国!)
しかも、戦闘が始まれば逃げ場がなく、見えぬ敵や海水・水圧との戦い。水圧で船体がミシミシと音を立て、ボルトが鉄砲玉のように弾け飛び、血が流れる…。とてもじゃないけど耐えられません。
終盤、九死に一生を得て浮上し、新鮮な空気を思いっきり吸おうとハッチの下に集まるクルーたちの姿が印象的です。
妙にリアルな汚さだと思ったら、原作者は実際に海軍報道班にいた方なんですね。実話ではないようだけど、艦内の様子は体験に基づくものなんだと納得でした。

そして、敵の攻撃を受けて沈んでからの展開も、恐ろしくて息が詰まるようでした。
状況を報告させれば、どこもかしこも壊れ、機能停止のオンパレードで、いるのは圧壊深度200mをとっくに超えた270mの暗い海の底。
こんな絶望的な状況なのに彼らは決して諦めないんですよね。…というか、諦めたって怖いものは怖いから、やれることがあるならやるしかない。頭をフル回転させて、体を動かして、恐怖を吹き飛ばそうとしているのかも。
一度は恐怖に混乱し、持ち場を離れたことがある機関士ハンスが、この時はひたすら自分の仕事に没頭して、不眠不休で機関部をよみがえらせていくのが頼もしかったです。
それもこれも艦長が常に最善を尽くしてきたからで、リーダーとしてみなを引っ張っていく姿には部下でなくても「一生ついていきます!」と忠誠を誓いたくなりました。時には冷徹に、時には人間らしい弱さや感情的な部分も見せる魅力的な人物です。
人間の諦めない力って偉大だなぁと、心底思いました。

しかし、そこで終わらないのが戦争なんですね…。虚しさしか残らないラストに呆然とするしかありません。

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映画「ワルキューレ」観ました

 | 戦争  Comment(8) 
Tag:ドイツ

ワルキューレ
原題:VALKYRIE
製作:アメリカ、ドイツ’08
監督:ブライアン・シンガー
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】第二次大戦下、劣勢のドイツ。アフリカ戦線から奇跡の生還を果たしたシュタウフェンベルク大佐は、軍内部のレジスタンスメンバーたちから作戦を聞くが、成功の見込みがないと協力を辞退する。だが、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を耳にし、“ワルキューレ作戦”を利用することを思いつき…。

戦争ものだと顔が見分けられなくてついていけなくなることが多い私ですが、今回は大丈夫でした。うん、わかりやすいって素晴らしい!
ビル・ナイは言われないと気付かないくせに(私好みのおじいちゃんだなとは思ってた)、トム・クルーズはいつも一目でわかるんですよね。たぶん、若い頃から年を重ねていくのを見てるからだと思う。顔も特徴的だし。
で、トムの眼帯&軍服姿が意外とカッコよかったです。片目と指と手を失って、それでも自分にしか出来ないことに命を賭ける姿に痺れました。

家族の描写も、さらっと描かれているのに印象に残ります。とくに子供たちが無邪気に劇を始めるところ。
可愛い娘の顔をじっと見つめ、家族を危険に晒していいのかと思う一方で、この子たちが将来ドイツ人であることを恥じるような、ドイツ人であるために後ろ指指されるようなことがあっていいのかと、葛藤しているのが伝わってきて。
その後、息子がかけたレコードの「ワルキューレ」を聞いて、ハッと作戦をひらめくシーンも、画的に静かながらグッときます。

彼らが動き出してからもグイグイ引き込まれましたね~。一人の人間が怖気づいたり失敗したりすれば全てが台無しになってしまう…。その上、不測の事態が起こるのは当たり前で、それを機転と度胸で乗り切っていくスリルがたまらないです。”ヒトラーが生きているかどうか”という情報だけで状況が一気に変わってしまうのも面白かったし。
ただ、あの爆弾の説明を聞いていたら、会議の場所が変わった時点で威力が半減するのはわかってたと思うんだけどなぁ。最後のチャンスだったんでしたっけ?

処刑のシーンも印象的でした。ドイツ人はヒトラーだけではないという想いは伝わると、顔を上げて死んでいく姿や、主人公を庇って死んだ中尉…。シュタウフェンベルクの目を見て力強く頷く様子は「後悔はしていない」と言っているよう。
トムはドイツ人には見えなかったけれど、ぜんぜん気にならなかったです。
最後に彼の家族は無事だったとあって、心からホッとしました。

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映画「さよなら子供たち」観ました

 | 戦争  Comment(6) 
Tag:フランス 西ドイツ

さよなら子供たち
原題:AU REVOIR LES ENFANTS
製作:フランス・西ドイツ’87
監督:ルイ・マル
ジャンル:★ドラマ/戦争

【あらすじ】1944年、ナチス占領時代のフランス。パリからカトリック寄宿学校に疎開している12歳の少年ジュリアンの学校に、ジャン・ボネという少年が転入してくる。ジャンはなかなか級友たちと馴染もうとしなかったが、次第にジュリアンに心を開き始め…。

観ていて「ルシアンの青春」を思い出したけど、同じ監督の作品だったのか…。どういう気持ちで「ルシアン~」を撮ったんだろう。戦争さえなければ…という感じかな?
「さよなら~」の中では、生きていくためにゲシュタポに密告する人が描かれていて、ジュリアンは怒りを覚えるものの、たぶん憎んではいません。心のどこかで「生きていくためには仕方ない」という彼らの気持ちを否定できないんだと思います。…だって、誰だって貧困やゲシュタポは怖いもの。
森で迷子になった時は、ドイツ兵が学校まで送りとどけてくれたエピソードもあり、きっと戦争がなければ、みんな善き隣人だということを実感していたんでしょう。

しかし、終盤のゲシュタポのおじさんの怖いこと!
一瞬で生徒の中から真実を知るジュリアンを見つけ出し、不安を煽ってボロを出すように仕向けるんですよね。背中を向けているのに、ジュリアンがついボネの方を見てしまったのを見逃さない!
彼の中では「自分のせいで」とわだかまりが残っただろうけど、あれは仕方ないよ…。相手はプロだもん。

ラストの別れには胸が張り裂けそうになりました。ピアノ連弾や「チャップリンの移民」を笑顔で(終盤は物語に没頭して)観ていたシーンなど、幸せなふたりの様子が目に浮かんで、涙せずにはいられません。
静かに涙を流しながら、決してボネから目を離すことができない…。無言で手を振るジュリアンと、扉の前でじっと彼を見つめるボネ…。
冒頭で「ママと別れて疎開するなんて嫌だ」と、おでこのキスマークも気にせず今生の別れのように涙してたジュリアンが体験した、本当の別れ。
「この日のことは死ぬまで忘れないだろう」というモノローグに、この作品を撮らずにはいられなかった監督の心情がうかがえます。

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映画「西部戦線異状なし(1930)」観ました

 | 戦争  Comment(8) 

西部戦線異状なし(1930)
原題:ALL QUIET ON THE WESTERN FRONT
製作:アメリカ’30
監督:ルイス・マイルストン
原作:エリッヒ・マリア・レマルク
ジャンル:★戦争/ドラマ

【あらすじ】第一次世界大戦時、ドイツ。教師の熱弁に感化され戦場に赴いたポール。彼を待っていたのは厳しい訓練と物資不足、死と隣り合わせの戦場だった。やがて、わずかな休暇をもらった彼は、戦場の実体を知らない人々を目の当たりにする。

以前、一度観て途中うとうとしたから感想書かなかったっぽい作品を再見しました。
驚くほど古さを感じませんね。あえて言うなら、冒頭の学生を扇動するシーンで”らんらんと光る目”を強調しているところが、サイレント時代の名残を感じます。
でも、私の苦手な軍服ばかりで見分けにくい戦争映画にも関わらず、話の流れもわかりやすくて、主人公の心情がするすると入ってくるようで最後まで一気に観られました。
志願したばかりの頃は、遊びに行けないと文句を言ったり、上官(元郵便配達員)に仕返ししたりと学生気分が抜けてなかったのが、実際に戦場に出てから直面する、死と、物資不足と、虚しさによって、瞬く間に表情が変わっていってしまうんですよね。
友人の死を見取り、彼のブーツが新しい所有者の元を転々としていく描写は、一瞬「呪いのブーツ!?」とか馬鹿なことを考えてしまったものの(汗)、若者たちが次々と死んで補充され、また死んでを繰り返していって、それが日常になってしまう恐ろしさを感じました。

戦場もまさに不毛という感じで、実際に戦っている彼らでなくとも「こんな事をして何の意味があるんだろう…」と虚しさを覚えます。
1930年の作品とは思えないような戦闘シーンの激しさもあって、目が離せませんでした。
桜の花を見て望郷の念を抱く若者や、ポスターの女優を見て「女の事を忘れてた」と平穏に暮らしていた頃を思い返す表情、死にゆくフランス兵と一晩過ごして敵が同じ人間であると思い知り、すがりつくように懺悔するくだりも印象的。
そして、故郷に帰った時に肌で感じた「世界が違う」ということ…孤独感もしみじみ伝わってきます。

彼の両親の反応の違いが印象に残ったんだけど、たぶん彼の親の世代は戦争の経験がないんでしょうね。祖父母の代は知ってるのかな?
酒場でまさに机上の空論を繰り広げる父親たちと、それを虚しく眺める主人公。
そんな彼に追い討ちをかけるように…。
気絶しているだけさと言っていた彼の表情がみるみる沈んでいくシーン、寂しげな後姿が痛々しい。
ラストはこれ以外ありえないという名シーンで、それゆえに「西部戦線異状なし」の言葉がグサリときます。たくさんの十字架と、それに重なる若者たちが振り返り振り返り歩いていく映像に涙が…。
戦争がいかに愚かで不毛な行為なのかが伝わってくる反戦映画の名作でした。

映画「戦略大作戦」観ました

 | 戦争  Comment(0) 

戦略大作戦
原題:KELLY'S HEROES
製作:アメリカ’70
監督:ブライアン・G・ハットン
ジャンル:★戦争/アクション/コメディ

【あらすじ】捕虜のドイツ軍将校から、千万ドルの金の延べ棒が銀行にあると聞き出した連合軍アメリカ兵のケリー。彼は早速ビッグ・ジョーら仲間を集めて強奪計画を練り現地へ出発するが、そこはドイツ軍占領下にあった。

シニカルな笑いに溢れてました。
クスクス笑いながら観られるものの、何のために戦って死んでいくのかわからなくなっている兵士たちの、生きる意味への渇望みたいなものが感じられます。
何のために死んでるのかわからないよりは、黄金のために死んだ方がましだと感じられる状況なんでしょうね。どちらも危険なら、黄金目指す方が楽しそうだし。
ドナルド・サザーランド演じるM4シャーマン戦車部隊のお気楽なリーダー、オッドボール軍曹が良い感じです。指揮官の死を報告せずにダラダラやり過ごしてたとか、実際にいそうだし。
常に部下の事を考えているビッグジョー曹長もよかったなぁ。黄金なんかに目もくれず、でも結局部下の気持ちを優先してしまう。
そんな彼らの快進撃が上層部に知れて、「なんて戦意の高さだ!」と英雄扱いされるところは皮肉が利いてます。欲望の力はすごい!
一方で、地雷や銃撃戦で仲間を失った時のビッグジョーとクリントの表情が印象的。全て終わったあと皆どうしたのかなぁ?
クリントのキャラがいまいちつかめなかったけど(金が一番なのに妙にカッコつけてる)、全体的に面白い作品だった。タイガー戦車の重量感や、青春ものみたいなテーマ曲もサイコー。
以前嵌ってた「ガールズ&パンツァー」というアニメでこの作品へのオマージュがあったので、元ネタを観られて嬉しかったです♪
今回はBSで字幕版を観たけど、できれば山田康雄さんの吹き替え版も観たいかも。93分でもいいからオンエアないかなぁ。

映画「ヒトラーの旋律」観ました

 | 戦争  Comment(0) 
Tag:リトアニア ドイツ

ヒトラーの旋律
一瞬だけお互いの立場を忘れられそうだったタバコ休憩。
原題:GHETTO
製作:ドイツ/リトアニア’06
監督:アウドリアス・ユツェナス
ジャンル:戦争/ドラマ

【あらすじ】1941年ナチ占領下のリトアニア。ユダヤ人のビルニュス・ゲットーを担当しているのは、芸術を愛するが冷酷な若きナチ将校キッテルだった。彼はユダヤ警察の隊長ゲンツを使い、ユダヤ人たちに劇場のステージでの上演を命じ…。

Gyaoで鑑賞。ネタバレもあるよ。
青年将校の気まぐれひとつで殺されかねないゲットーで、彼の思いつきから劇場を蘇らせ、死と隣り合わせの舞台をやる…という実話を基にした作品。
調べたところによると、すでに強制収容所でリトアニアのユダヤ人の大半が殺された後で、ドイツの物資不足を補うためか、生き残りをゲットーに集めて働かせていた時期の終盤頃が舞台みたいです。
働けば給料も支払われて、工場が稼動してからは食事にもそれほど困ってない様子だったのが不思議に見えました。

たくさんの死を見てきただけあってみんな生き残るために必死なんだけども、そんな中でも自分さえ良ければいいという人と、危険を顧みず同胞を救おうとする人たちがいます。
たくさんの人たちを救うために、ドイツにとって必要とされる生産性のあるゲットーでなければならないと、働けない老人や病人を選別して処分したゲンツの苦悩と覚悟に泣かされました。
そして、赤ん坊を助けるために身代わりになった女性にも…。
若き将校キッテルは、確かに残忍で狂っているけれども、彼を狂わせたのも戦争だというのが伝わってきます。時折見せる、年相応の表情、感情が哀しい。
ヒトラーなんてまるで尊敬していない彼が、唯一愛していたのは音楽だったのか…?
女性を撃った後の手が微かに震えていたように見えた事や、銃を棄ててサックスを持って行くのが印象的でした。
音楽がなければ観てられなくて、”命をかけた偽りのステージ”であっても音楽があるひと時は彼らにとって多少の救いになっていたというのが皮肉かも。彼の最後の置き土産は、そんな救いなんてかき消してしまうようなものだったけど…。

ところどころ(日本人には?)説明不足で状況がわからない事もあるものの、最後まで目が離せないものがありました。
ヒロインを演じる「暗い日曜日」のエリカ・マロジャーンをはじめ、キッテルやゲンツ、腹話術師やその相棒、金の亡者のヴァイスコフなど、俳優陣はみんな良かったです。
原題はゲットーで味気ないので、この邦題は良かったと思います。

映画「メンフィス・ベル(1990)」観た

 | 戦争  Comment(2) 

メンフィス・ベル(1990)
原題:MEMPHIS BELLE
製作:アメリカ'90
監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
ジャンル:★青春/戦争

【あらすじ】24回の白昼爆撃任務を遂行した唯一の爆撃機、メンフィス・ベル。故郷に帰るまで最後の一回の飛行を前に、若き乗組員達はそれぞれの思いで前夜を過ごしていた。翌朝、メンフィス・ベルと10人の若者は飛び立ち…。

以前は顔を覚えられず早々に諦めつつ見てしまったけど、今回は再見ということで、わりと把握できたと思います。
あまり深く考えると引っかかる部分はあるものの、敵も味方も次々と死んでいく異常な状況下、一兵士である彼らの目線で観ると、いつの間にか引き込まれてました。
自分が死ねば仲間も死ぬかもしれないし、またこの任務のために他の兵士が送られる…。彼らはただ、自分が頑張ればそれだけ戦争は早く終わると信じて、任務を遂行するしかないんですよね。
出撃前のパーティでのそれぞれの様子や、お守りへの執着、女性や犬との触れ合い、想いを綴った詩など、(初見では気付かなかった)それぞれの不安の表れもしっかり描かれてました。
一方で、このプロパガンダのための作戦を成功させる事しか頭にない上官がちょこちょこイラつかせてくれるので、ますます彼らへの感情移入がしやすかったです(笑)
出撃後は、B-17の中が主になりますが、しだいに緊張感が高まり、いつの間にか彼らが全員無事に帰れるよう願いつつ観てました。
印象的なのが、撃ち落とした敵機に巻き込まれ、味方機が墜落するくだり。不慮の事故とはいえ、やるせない…。彼は一生忘れられないでしょう。
民間人をなるべく巻き込まないよう危険をかえりみず目的地上空に旋回するくだりも熱いです。美化してるだろうし、その後、米軍は方針を180度変え、彼らも東京などで無差別爆撃に加わったようですが、この時は”任務だから”ではなく良心もあったと信じたい!
いろいろ頭をよぎりつつ、それでも「帰れる!」とはしゃぐ彼らの姿に目頭が熱くなりました。
帰還中も詩を朗読した彼が負傷してハラハラ…ラストまで目が離せません。
再見してよかったです♪

映画「戦場にかける橋」感想

 | 戦争  Comment(2) 
Tag:デヴィッド・リーン

戦場にかける橋
原題:THE BRIDGE ON THE RIVER KWAI
製作:アメリカ’57
監督:デヴィッド・リーン
ジャンル:戦争/ドラマ

【あらすじ】タイとビルマの国境近くにある日本軍の捕虜収容所。指揮官も肉体労働に使おうという所長に対し、英軍大佐はジュネーヴ協定に反すると抵抗を続ける。一方、米軍捕虜の海軍少佐は脱走に成功するが…。

初見では衝撃を受けた記憶があるんですが、再見したら斎藤大佐の描き方が中途半端で入り込めませんでした。協力しないと病人も駆りだすと脅していたのに、結局どうなったのか曖昧なまま進めていたのが…。
まあ、病人使って死者が出たなら「(英軍)大佐が勝った!」とはならないだろうけど、斎藤が心変わりしたのが気まぐれか、良心か、何かに感化されたのかで人物像も変わってくると思います。言動が武士道とは程遠かったし、もしリメイクする事になっても、こんな役をやりたがる役者がいるんでしょうか?
(そもそも、ここに描かれているのは大嘘で、日本軍が作った線路、鉄橋は今も立派に役目を果たしているそうです)
いちおう爆破作戦側のシアーズの描写はコミカルさもあって楽しめたし、その分ラストもずっしりきて良かったけど、前のようには観られず…。
反戦は考えさせられたけど、英軍大佐は戦争でイカれたというより元からちょっとおかしなところがあったんじゃないかと思えてしまいました。

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映画「第十七捕虜収容所」観ました

 | 戦争  Comment(5) 
Tag:ビリー・ワイルダー

第十七捕虜収容所
製作:アメリカ’53
原題:STALAG 17
監督:ビリー・ワイルダー
原作:ドナルド・ビーヴァン、エドマンド・トルチンスキー
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】第二次大戦中のドイツ。第17捕虜収容所で、”競馬”や”デパート”を仕切って儲けていたセフトン。だが、そこに独軍に通じるスパイがいるとわかった時、賄賂のおかげで優遇されていた彼が真っ先に疑われてしまう。孤立状態の中、彼はひとりでスパイを探し…。

前に録画してあって、リクエストがあったので先送りにしてた作品。
カラっとした笑いが重さを軽減していて観やすかったです。さすが、ビリー・ワイルダー!
なんとなく「大脱走」っぽかったけど、わたしはこっちの方が好きかな。
スパイだと疑われてリンチされるシーンなどは怖いものの、女優に恋焦がれるアニマルが登場するたびにガラっと雰囲気が変わって明るくなります。相棒が女装(?)して、女優に見間違えて愛の告白をするところとかサイコー!
ドイツの偉い人?も割と親しげに話しかけてくるし、ありえないくらいゆるい収容所なんですが、シリアスな時はしっかり怖い。ギャグとシリアスのメリハリがあるのが良かったです。

スパイは目に付く行動はとらないものだけど、怪しい奴がいたら疑ってしまうのも事実。これみよがしに”いい生活”を送っていたセフトンも自業自得なところがあるから、彼を疑う人々に怒りを覚える事はなかったです。
でも、そんなのものともせず今まで通りの自分を貫くセフトンはカッコイイかも。
ラストの解決の仕方が鮮やかでした。あれならドイツ軍も何も言えまい!

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映画「戦火の勇気」観ました

 | 戦争  Comment(6) 

戦火の勇気
製作:アメリカ’96
原題:COURAGE UNDER FIRE
監督:エドワード・ズウィック
ジャンル:★ドラマ/戦争

【あらすじ】湾岸戦争で味方の戦車を誤射したサーリング大佐。罪悪感に苛まれていた彼に、名誉勲章候補者調査の命令が下る。湾岸戦争で戦死した女性兵士ウォーデン大尉を調査していくが、関係者の証言が微妙に食い違う事に気付き…。

久し振りに再見したら、思いのほかメグ・ライアンが男前でした。
以前観た時は、似た内容の「レスティング・プレイス/安息の地」の直後だったので、あまりノレなかったんですが、今回は引き込まれました。真相が何だったかというのも大事なんだけど、戦争の極限状態のなかで人間がどうなるのか、それによって受ける傷の深さというものをよく描いていたと思います。マット・デイモンのやつれ具合がリアルでしたね~。「カレン…いや、大尉が」と何度も言い直すのが、なんだか切ないです。
テンゼル・ワシントン演じるサーリング大佐も素敵です。軍服しか似合わないんですよ(少なくともこの作品の中では)。
贖罪のため、酒に頼りつつも”真実”を探す姿が痛ましい。戦争で傷ついているのは彼も同じなのに、むしろ傷ついたからこそ、遺された人たちの傷を少しでもと、辛い仕事をやり遂げられたんでしょうね。
黒澤明監督の「羅生門」にヒントを得て作られたそうですが、あれよりだいぶ見やすかったです(精神的な意味で)。ラストは清々しい感動を味わえました。

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映画「サラエボの花」観ました

サラエボの花
製作:ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、オーストリア、ドイツ、クロアチア’06
原題:GRBAVICA
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】サラエボ。シングルマザーのエスマは、娘サラの修学旅行費を稼ぐためナイトクラブで働いていた。一方サラは、同じシャヒード(殉教者)の遺児サミルと友情を深めていく。だが、母が父のことを教えてくれず、次第に不満を募らせていき…。

内容を知って避けていた作品でしたが、そんなに重くないという事で観てみました。
かなり見やすかったです。母親の秘密についてはっきりと明かされるのは後半なんですが、それは娘が抱えるフラストレーションと、過去を思い出したくない母親の気持ちを表しているようで、真実を知ったときの衝撃をメインにしてなかったところが良かったのかもしれません。
娘サラの反応が自然でいいですね~。あまりにティーンエイジャーそのもので時々ムカついたけど、何も教えてくれない母親に反発するようになっていく気持ちはよくわかりました。
娘の修学旅行費を稼ぐため、きっと吐くほど怖いナイトクラブで働くエスマが泣かせます。沈黙を守るかぎり、娘には伝わらない苦労ですよね。辛そうにしている姿を娘に見せられず、独りで耐えている姿が痛ましい。
そんな彼女と惹かれあう、一見強面、でもよく見ると優しい目をしている用心棒のおじさんも素敵でした。たぶん、エスマを送って家の窓に娘の姿を見た時から、彼女の過去には見当がついていて、細心の注意を払って彼女の側にいたんだと思います。ラストのトラブルの後、大丈夫だったのかな?
あと、疲れ果てたエスマをあたたかく迎える親友も良かったです。工場の仲間からカンパを集めてきて、「もう安心よ。泣きたいだけ泣きなさい」と抱きしめるシーンで涙腺が…。
すべてを知って、父親への思慕の念を断ち切るように、サラが自らの髪を切り丸坊主にするシーンも印象的。ラストで笑顔を見せるエスマに希望が持てました。
ちなみに、原題はグルバヴィッツァで、もっとも激しい戦闘が行われた地区の名前だそうです。邦題はセラピーでエスマたちが歌っていた「砂漠にも花は咲く~」からきているみたいですね。エスマにとってのサラを示す邦題も素晴らしいです。

映画「ハート・ロッカー」観た

 | 戦争  Comment(10) 

ハート・ロッカー
製作:アメリカ’08
原題:THE HURT LOCKER
監督:キャスリン・ビグロー
ジャンル:アクション/サスペンス/戦争

【あらすじ】2004年、テロの脅威が続く混沌のイラク・バグダッド。アメリカ陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班に、新リーダーとしてジェームズ二等軍曹が赴任する。任務明けまで常に死の危険が孕んでいたが、彼の行動は破天荒なもので…。

疲れました。全体的に観やすくしてあったとは思いますが、やっぱり戦争映画は精神的に疲れます。
とりあえず常に彼らが感じている恐怖が、爆弾処理をするのでも、それのサポートをするのでも、夜道を走るのでも、肌にピリピリときましたね。爆弾処理中は、野次馬の中にテロリストが混じってるかもしれないから、不審な動きがあればいつでも引き金を引けるようにしていて(実際ならとっくに撃ってそうだけど)、戦争してるんだと重苦しい思いがしました。
また、心安らぐはずの家に帰っても、それが実感できてないというか、今でも戦場の音が聞こえ続けているんじゃないかという様子にも胸が痛みます。目の前にわが子がいても、どこか遠くに感じているような雰囲気がありました。
きっと、ここで描かれている以上に苦しんでいる人がたくさんいるんでしょうね…。
タイトルの意味は、兵士が使うスラングで”究極の苦痛に晒される場所、いるだけで心が痛む場所”だそうです。また、イラク駐留兵士の間では、爆弾の炸裂のことを指すとか。

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映画「海の牙」観た

 | 戦争  Comment(8) 
Tag:ルネ・クレマン フランス

海の牙
おんまうすぷりーず!
製作:フランス’46
原題:LES MAUDITS
監督:ルネ・クレマン
ジャンル:サスペンス/ドラマ/戦争

【あらすじ】第二次大戦末期。南米へ逃亡中のナチ高官の潜水艦が、負傷者手当てのためフランス海岸の村から医師ギベールを誘拐する。やがて、ドイツ降伏のニュースが伝わってくるが、艦内ではゲシュタポが主導権を握り…。

潜水艦を舞台にしたサスペンスってなんかいいですね。
古い作品なんですが、いかにして周りを出し抜こうか、どう生き抜こうかと腹をさぐりあう、登場人物たちの緊張感がたまりません。主人公で部外者でもあったギベールの視点で描かれているのもいいですね。どうにか逃げ延びようと、常に周りを観察している感じが伝わってきました。
また、モノクロの映像は美しく、コーヒー豆の袋が破けて隠れ場所がばれてしまうなど印象的なシーンも多かったです。
ただ、わたしが顔を覚えられなかったせいかよくわからないんですが、ナチ高官たちの関係というか、それぞれの立場が良くわからなかったです。娘を残して逃げようとしたお父さんって結局なんだったの?
それがわかればもっと楽しめたかも。
原題は「呪われた人々」という意味。邦題は雰囲気でつけたんでしょうか?
ちなみにフランスで「ジョーズ」は”海の牙”というタイトルだそうです。

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映画「戦火のナージャ」観た

 | 戦争  Comment(2) 
Tag:ロシア

戦火のナージャ
製作:ロシア’2010
原題:UTOMLYONNYE SOLNTSEM 2
監督:ニキータ・ミハルコフ
ジャンル:ドラマ/戦争

【あらすじ】1943年5月。大粛清に乗じて、元恋人の夫で革命の英雄であるコトフを陥れたKGB幹部のドミートリ。だが、反逆罪で銃殺された筈の彼が生きていた。捜索を命じられたドミートリだったが、彼に匿われていたコトフの娘ナージャもそれを知り…。

過去イラストを見ていたら、無性にナージャを描きたくなって、続編を観ちゃいました。イラストは回想シーン。
三部作だそうで、「太陽に灼かれて」の7年後が舞台になってます。でも、前作から16年ぶりの完成で、ナージャは同じ子を使ってるので年齢が可笑しな事に(笑)
まあ、それは気付かない振りをしてあげるとして、前作とはまた違う雰囲気の作品に仕上がってました。戦争の酷さを全面に出しているような。
なかでも、ナージャの乗る赤十字の船での惨劇と、コトフが前線で体験した15分間の戦闘。そして、ナージャが「自分が(神に)生かされたのは父親を探すため!」と自分に言い聞かせなければならなかった出来事は惨たらしく、人間の愚かさをまざまざと描いていました。
エピソード一つ一つは印象的で見ごたえがあるものの、第二部でひと段落つくこともなく、途中でぶつっと終わっていて残念。第三部と併せて見ないと評価しづらいものがあります。
また、ふたりには神様がついてると言わんばかりの奇跡が何度も起こりすぎて、ちょっとありがたみなくなってますね。幾つかの困難は彼らの努力で乗り越えて、ここぞという時に彼らの想いに応えるように奇跡が起こるほうが良かったと思います。
ちなみに、原題は「太陽に灼かれて2」です。

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映画「グッドモーニング、ベトナム」観た

 | 戦争  Comment(4) 

グッドモーニング、ベトナム
製作:アメリカ’87
原題:GOOD MORNING, VIETNAM
監督:バリー・レヴィンソン
ジャンル:ドラマ/戦争

【あらすじ】1965年サイゴン。兵士の士気高揚のため、本国から米軍放送の人気DJクロンナウアーが呼ばれる。彼のマシンガントークに兵士たちは大喜びするが、頭の固い者には睨まれ通し。そんなある日、ベトナムの少女トリンと弟ツアンと親しくなり…。

見所はやっぱりロビン・ウィリアムズのマシンガントークなんだろうけど、わたしにはどこが笑いどころなんだかよくわかりませんでした。でもまあ、『グゥゥゥッド、モーニンッ、ベートナァーーム!!』の掛け声で始まるラジオ放送は、テンションあがって楽しそうではあります。
DJ目線で戦争の虚しさを伝えるっていうのは興味深かったですね。戦場に出ない彼はわたしたちに近いほうですし、わからないなりに憤りを抱いて行動を起こそうとする姿は、共感できるものもありました。
また、DJをやめようとした時、若い兵士たちの前でマシンガントークを披露するくだりはじわじわ来ます。「本当に、気をつけて…。」と声をかけ、次の日には元通りDJを務めるクロンナウア。士気高揚のための仕事だけど、彼にとっては無事帰ってこられるよう励ますためのものになったんですね。ラストの「お家が一番!」という「オズの魔法使」のセリフを引用するところが素敵!
ただ、トリンを追いかけるクロンナウアが、どうしてもロリコンにしか見えませんでした。いまいち入り込めなかった一番の理由かも。
あと、実話を元にしているというけど、どこまで真実なんでしょう。モデルとなったDJがいたって事のみかな?

映画「ヒトラーの贋札」観ました

 | 戦争  Comment(0) 
Tag:ドイツ オーストリア

ヒトラーの贋札
(201/4/2に単独記事に直しました。この作品へのコメント等は過去記事に残ってます)
原題:DIE FALSCHER
製作:ドイツ・オーストリア’07
監督:ステファン・ルツォヴィツキー
原作:アドルフ・ブルガー
ジャンル:★戦争ドラマ/サスペンス

【あらすじ】第二次世界大戦の最中、ナチスは精巧な贋ポンド札の製造する”ベルンハルト作戦”を計画。ザクセンハウゼン強制収容所に、世界的贋作師サリーらユダヤ系技術者が集められる。彼らはユダヤ人でありながら破格の待遇を受けるが…。

実際はブルガーのようにあからさまに反抗したら即銃殺ですが、大筋は史実どおり。ゼラチンを質の悪いものにこっそり変えたのは別の人らしいです(笑)
主人公が原作者ブルガーではなく、サリーというのが興味深いですね。元犯罪者のサリーがコーリャとの交流を通して人間らしさを取り戻し、葛藤する姿がよく描かれてました。
ただ、ハンディカメラの映像はなんかわざとらしかったかな。
贋札を捨てて、ただ生きる喜びを分かち合うみたいに女性と踊るラストが印象的です。

映画「海外特派員」観ました

 | 戦争  Comment(2) 
Tag:アルフレッド・ヒッチコック

海外特派員
製作:アメリカ’40
原題:FOREIGN CORRESPONDENT
監督:アルフレッド・ヒッチコック
ジャンル:サスペンス

【あらすじ】1939年、戦争防止同盟の主要人物ヴァン・メアに会うため、ヨーロッパに派遣された米国記者ジョーンズ。だが、メアは彼の目の前で射殺されてしまう。犯人追跡の果て、彼はナチに誘拐されたメアを発見し…。

いやー、随分放置していたけどやっと再見できました。「スパイ」という単語を聞いただけで何故か9割は観る気が失せてしまう私としては、かなり楽しめた作品です。
相変わらずヒロインが主人公のどこに惚れたのか理解できませんが、ヴァン・メアが撃たれてからの目まぐるしい展開には手に汗握りました。前回はちょっとついていけないところもあったけど、今回は途中で誘拐でっち上げた男がどこの誰だか思い出せなかっただけだし!(ダメじゃん!)
とくにハラハラドキドキ楽しめたのは、風車小屋のくだりと飛行機が海に落ちるシーン。何度観てもいいですね。
そして、言葉が通じないけどなんか仲良くなった(?)ラトビア人もお気に入り。ちょこちょこ出てきて、主人公たちの恋を温かく見守ってるような眼差しを送ってくるのが和みます。主人公たちはそれどころじゃなかったりするんだけど(笑)
あと、どうでもいいけど”ヴァン・メア”っていう言葉の響きが好きだなー。
ラストのプロパガンダは思いっきり付け足しっぽいですが、これはもうDVDの特典映像とかにした方がいいんじゃないですかね。あんまり好きじゃないです。
ちなみに、原題の意味はそのまま「海外特派員」。

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映画「ひまわり」観ました

 | 戦争  Comment(6) 
Tag:ヴィットリオ・デ・シーカ イタリア

ひまわり
1mくらい離れて見てね!
製作:イタリア’70
原題:I GIRASOLI
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
ジャンル:★ロマンス/戦争

【あらすじ】貧しいナポリ娘ジョバンナとアントニオは、出会ってすぐ恋に落ち、間もなく結婚した。だが、第二次世界大戦が勃発し、アントニオは戦争へと駆り出されてしまう。終戦後、帰らないアントニオの生存を信じ、彼女はソ連を訪れるのだった。

今まで見た”戦争で引き裂かれた男女”の物語で、一番好きな作品になったと思います。
アントニオの生存を信じるために、魂をも消耗しているんじゃないか、というくらいのジョバンナの気迫が凄まじい。それと同時に、いつ燃え尽きてもおかしくない儚さも…。
それでも決して諦めず、夫を探し続ける彼女の姿に”見つかってほしい!”と祈るように観てました。
そして、待ち望んでいたはずの再会。駅で夫の帰りをずっと待っていた彼女が、こんな形で再会を果たすなんて。…遣り切れません。
何も言わずに列車に乗り込み、泣き崩れる彼女の姿は、涙なしには観られませんでした。
そんな彼女と夫の想いを悟って、静かに微笑んで夫を送り出す奥さんも切ない。

また、回想でしかでてこない、過酷なロシアの雪中行軍の様子も強烈でした。小さな家にぎっしり兵士が並んで、立ったまま仮眠。それすらもできず、雪の中でひとり、またひとりと倒れてゆく。
そして、この作品のタイトルであり、夫を追い求めるジョバンナの心を表しているかのような”ひまわり”も、その下に眠っているのは、ロシア戦線の犠牲者たち…。
生命力を感じさせる一面のひまわりも、これからは複雑な思いで見る事になりそうです。

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映画「砲艦サンパブロ」観た

 | 戦争  Comment(6) 
Tag:ロバート・ワイズ

砲艦サンパブロ
製作:アメリカ’66
原題:THE SAND PEBBLES
監督:ロバート・ワイズ
原作:リチャード・マッケナ
ジャンル:★ドラマ/戦争

【あらすじ】外国人排斥運動が激化する1926年、上海。現地に駐留するアメリカのボロ砲艦サンパブロ号にジェイク一等機関士が赴任する。艦内で働く中国人と揉めつつも、やがて友情が生まれるが、それは中国人や艦の仲間の反感を買い…。

マックイーンの作品に短いものはないのか、と思いつつ観賞。
重厚なドラマもよかったけど、砲艦の機関室がよかったです。自分は戦艦やら何やらに興味は無いと思っていたのに、妙に心惹かれるものがありました。ストーリーよりも、マックイーンがエンジンに自己紹介したり、パイプをカンカン叩いてるシーンが印象に残っていたり。ポーハンを新しいリーダーに育てようと、身振り手振りで機関室内を説明して回るところが一番好きです。
そして、彼と友情を深めるポーハン、フレンチーもよかった。とくにフレンチーのメイリーへのひたむきな愛情が印象的。やってることは身請けなんだけど、優しく穏やかな彼の態度から本物の愛情なんだと納得できました。
多くの登場人物が悲壮な最期を遂げるのが辛い…。

原題の意味はよそ様のサイトで読んだところ、砲艦の名前”サンパブロ”は聖人パブロ、つまり聖パウロのことで、オンボロ艦には立派すぎると船員たちが語呂合わせでつけたニックネームSand Pebbles (砂・小石)ではないかということです。また、Pebbleだけなら扱いにくい人という俗語もあり、主人公を示しているのかも。

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映画「大脱走」観ました

 | 戦争  Comment(8) 
Tag:ジョン・スタージェス

大脱走
製作:アメリカ’63
原題:THE GREAT ESCAPE
監督:ジョン・スタージェス
原作:ポール・ブリックヒル
ジャンル:アクション/戦争

【あらすじ】第二次大戦末期。新たに作られたドイツ北部第3捕虜収容所に、脱走常習者、連合軍空軍将校らが運び込まれた。彼らはドイツ軍兵力を割かせるため、大規模な脱走計画を企てる。全員協力し、隠れて地下トンネルを掘り続けるが…。

好きな作品だったんですけど、ちょうど頭がガンガンし始めた時でめちゃくちゃ長く感じてしまいました…。あと、スティーブ・マックイーンが苦手だと気付いたばかりだったのと、他の人の顔があまり覚えられなかったのもあると思います。

全体的に陽気な音楽が流れていて、収容所内の様子もどこかほのぼのしてましたね。実際はどの程度だったのかわかりませんが、歌に合わせてトンテンカンと金づちを振るうシーンなど脱走を楽しんでいるようでした。でも、物資調達はスムーズすぎて魔法のよう。あれはいくらなんでも無理だよね?
印象に残ったのは偽造屋さんのエピソード。彼を気遣って一緒に脱走してくれた人(名前わすれた…)の優しさにジーンとしました。いつの間にかこのふたりのことばかり応援してたんだけど、「もう少しでスイスだ」なんて嬉しそうに言うもんだから、死亡フラグ恐怖症のわたしはその時点で涙が…。その時の風景がやたらと素晴らしいのもニクイです。
あとは、ブロンソン演じるトンネル王ダニー。トンネルを掘る理由が明かされたときは、こういっちゃぁなんだけど可愛いと思ってしまいました。誰でも苦手なものはあるよね。
マックイーンのバイクはまあ格好いいんだけど(バイクを奪うシーンは酷すぎ!)、あそこまで派手に暴れて送り返されるだけで済んだのが不思議。ゲシュタポのもとに連行された人たちの事を考えると切ないです。

脱走が始まってからラストまでは息もつかせぬ展開なんですが、やはり元気な時に観るのが一番だと思いました。また何年かしたら観てみたいと思います。

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映画「フルメタル・ジャケット」感想

 | 戦争  Comment(17) 
Tag:スタンリー・キューブリック

フルメタル・ジャケット
製作:アメリカ’87
原題:FULL METAL JACKET
監督:スタンリー・キューブリック
原作:グスタフ・ハスフォード
ジャンル:ドラマ/戦争

【あらすじ】海兵隊新兵訓練所。入隊してきた若者たちを待ち受けていたのは、情け容赦ないハートマン教官による”殺人マシーン”になるための過酷な訓練の日々だった。目をつけられた新兵パイルは、強烈なしごきにやがて精神に異常をきたし…。

海兵隊訓練所を描いた前半が凄かったですね。軍曹が普段聞かないような単語でまくし立てて内容を理解する暇がなかったけど、冒頭30分くらい訓練生の私的時間シーンがないので、凄まじい威圧感は伝わってきました。
その上、どんくさい”微笑みデブ”のせいで他の訓練生が罰を受けるようになってからは、募っていく不満が無言のうちにひしひしと伝わってきて不気味。
表情が一変してしまった”微笑みデブ”にもゾッとします。

ベトナムを舞台に移した後半は、なんというか自分でもびっくりするほど何も感じませんでした。不快感も興奮も恐怖も悲哀もなんにもないんですよね。あえて言うなら虚しさはあったかも?
まあ、わたしの精神状態がたまたまそんな感じだったのかもしれませんが(二日に分けて鑑賞)、わたしにはまだ早かったかなぁと思いながら観ました。
いちおう印象に残ったのは、ヘリからベトナム人を無差別に撃っていた男が、「よく女子供を撃てるな」と言われ「簡単だ、動きが遅いからな。戦争は地獄だ!」と答えていたこと。過去を忘れたかのように陽気に振舞っていたジョーカーが、胸に平和のバッヂ、帽子に「Born to kill」とあることを指摘され、”人間の二面性”だと答えたこと。あとは、ラストのミッキーマウス・クラブを歌いながらの行進ですね。
”微笑みデブ”がおかしくなった時も、軍曹が「ミッキーマウス・クラブのお祝いか?」と怒鳴ってたけど、なんでミッキー?

そんなこんなで、この作品をどう捉えどう受け止めればいいのかわからないまま観終えてしまったんですが、知らず知らずのうちに胸に重くのしかかるものが…。
今のところ、好きか嫌いかもわからない作品なので、気が向いたらまた観てみたいです。
ちなみに、タイトルのフルメタルジャケットとは鉛弾頭を銅合金などで覆った弾頭”完全被徹甲弾”のことで、心まで冷たい金属で覆われてしまった兵士のことも指してるとかなんとか…。

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映画「太陽に灼かれて」観ました

 | 戦争  Comment(6) 
Tag:ロシア フランス

太陽に灼かれて
製作:ロシア/フランス’94
原題:Утомлённые солнцем(仏:Soleil trompeur)
監督:ニキータ・ミハルコフ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】1936年、スターリンが独裁体制を強化していた頃のモスクワ。ロシア革命の英雄コトフ大佐とその妻マルーシャのもとを青年が訪ねた。かつての恋人ミーチャとの10年ぶりの再会に喜ぶものの動揺は隠せない。娘ナージャは彼に懐くが…。

斜めの顔が描けなくて頑張ったわりに、どうみても東洋人になってしまいました。本物は100倍可愛い…というか今まで見た子役の中で一番可愛いです。そして、監督で主演のニキータ・ミハルコフの実の娘さんです。
そんな彼女と大佐の仲良し親子っぷりはほんと和みました。
他にも、ミーチャがヒゲの老人に変装してやってきたり、謎の火の玉や迷子の運転手がうろうろしていたりと、ほのぼの楽しい牧歌的な雰囲気で始まります。
しかし、拳銃をこめかみに当てるシーンや、突然の来訪者に対する皆の反応など張り詰めた空気もあって、いつ壊れてもおかしくないような儚い印象があるんですよね。
死のイメージを呼び起こすはずの戦車やガスマスクも登場しますが、何故か現実感のないものに映りました。そこに住む人々にとって、どこか他人事のような描き方だったからかもしれません。

そこに暗い影を持ち込むのがミーチャです。大佐、マルーシャとの三角関係もしだいに緊張感を増し、やがて彼の目的が明らかになります。
悲劇を前に、何も知らない幼い娘ナージャの無邪気な笑顔を見て、ミーチャと大佐は何を想ったのか?
…切ないです。

フランス語の原題の意味は「偽りの太陽」…だと思います。何故かサイトによって原題がまちまちなので、”Soleil trompeur”で合っているのかすら怪しい。

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映画「ディア・ハンター」感想

 | 戦争  Comment(10) 

ディア・ハンター
製作:アメリカ’78
原題:THE DEER HUNTER
監督:マイケル・チミノ
ジャンル:戦争/ドラマ

【あらすじ】1968年ペンシルベニア州クレアトン。マイケル、ニック、スティーブンらは、平和な日々から離れベトナムに出征した。一度はベトコンの捕虜になるが、命からがら脱出する。だが、帰国したマイケルは、ニックがベトナムに残ったことを知り…。

はじめの日常パートから誰が誰だか把握できませんでした。
でも、出征の不安を内包した、どこか緊張感のある”幸せな日常”に緊張感が高まります。はやくこの作品に入り込みたくて、それはもう一生懸命に顔を見たんですが、戦場パートになっても見分けられず…。
ロシアンルーレットが怖かったのもあるけれど、なんだか悔しくて泣きそうになりました。

帰国後にマイケルを把握し、やっと落ち着いて鑑賞。
この時の彼には、酒場で「クソったれ」と言っていた軍人の気持ちがわかるんでしょうね。戦場を知らない者との間にある、深い深い溝が哀しいです。
終盤、マイケルが約束を果たしにサイゴンへ赴いてからは、ほんとうに胸が詰まる思いがしました。
「愛してる」の一言、ほんの一瞬みせるニックの表情。そして、マイケルの悲痛な叫びに涙が…。
ニックへの乾杯で終わる印象的なラストが余韻を残します。

映画「ケイン号の叛乱」観ました

 | 戦争  Comment(6) 

ケイン号の叛乱
このブログにはイケメンが足りないと思った!
だが、気付くとおじ様を描いていた…。
製作:アメリカ’54
原題:THE CAINE MUTINY
監督:エドワード・ドミトリク
原作:ハーマン・ウォーク
ジャンル:★ドラマ/戦争

【あらすじ】第二次大戦中。若き海軍少尉候補生の乗る駆逐艦ケイン号では、新任艦長クィーグへの不満が高まっていた。そんな時、嵐でケイン号は艦隊からはぐれ、艦長が精神錯乱に陥ってしまう。緊急事態に副長らは艦長を解任させるが…。

主人公がマザコンのお坊ちゃんで恋人とどうたらこうたらと途中で入るのだけど、観終わってみるとそんな事はすっかり頭から抜けてました。クィーグ艦長がしだいに病的な性格を見せる過程や、その艦長からついに指揮権を奪うシーン、そして軍法会議で弁護士が冷静に彼を追い詰めていくところばかりが印象に残ってます。個人的にはちょっとだらしない前艦長が好きですが。(聞いてない?)
特に、誰もが言っている通りハンフリー・ボガートの演技は素晴らしいですね。一見、厳しい上官という感じだったのが、細かい事への異常な執着をみせ(イチゴ事件はある意味恐怖)、部下はみんな反抗的だと被害妄想を抱き、極めつけは非常時に臆病風に吹かれ…。こんなんが上官だったら恐ろしい!と思わずにはいられないダメ艦長を演じていました。
ただ、軍法会議を終えてから弁護士が酔っ払ってたのがよくわかりません。皆が艦長を追い詰めたとか言ってけど、先に皆を失望させたのは艦長だったような? イチゴ事件の前から反抗的だったのかどうか、よく思い出せません…。

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映画「ブラックボード 背負う人」観ました

 | 戦争  Comment(0) 
Tag:イラン イタリア 日本

ブラックボード 背負う人
製作:イラン・イタリア・日本’00
原題:TAKHTE SIAH
監督:サミラ・マフマルバフ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】黒板を背負い、生徒を探して村々を歩く教師のサイードとレブアル。戦争終結でイラクの故郷へ戻ろうとする一団に出会ったサイードは、国境への道案内を引き受けた。一方、別の道を選んだレブアルは、闇物資を運ぶ子供たちと出会う。

衝撃を受けた作品でした。
黒板を背負った教師が生徒を求めて山道を歩いてゆくとか、鳥の羽ばたきで危険を察知して黒板の下に隠れるとか、最初からカルチャーショックの連続です。

二人の教師が出会う二つの団体は、どちらも生きるので精一杯で”そんな場合じゃない”と彼らを無視するんですが、彼らも次の村に行くまで食いつながなければならないので必死。
子供たちと出会ったレブアルは、読み書きができれば本が読めると交渉するけれど、「僕らはいつも逃げ隠れしてるから、座って本を読む暇は無いんだ」と言われてしまいます。でも、そんな状況でも”自分の名前を書いてみたい”という子供もいて、わずかな食料を分け与えて教えてもらおうとするんですよね。
下を向いて疲れた表情をしていた子供たちが、彼と勉強するようになってから見せる笑顔に感動がこみ上げます。子供が骨折し、黒板を割って当て木にするレブアルの姿にも心打たれました。

また、老人たちと出会ったサイードは、とにかく食糧確保のため一団に溶け込み、時間のある時に勉強を教える作戦に。くるみ数個のために黒板で病気の老人を運び、その娘と結婚もします。
結婚の儀式は黒板を挟んで誓いの言葉をかわす簡単なもの。最初に彼女に教えたのが「あなたを愛しています」という言葉なのが少し微笑ましい。
彼の父親が、何日か振りにやっとおしっこが出て幸せを感じるシーンも生き生き描かれていました。

戦争の爪痕と、そこにあるわずかな歓びの輝きを伝える作品だったと思います。

映画「地下水道」観ました

 | 戦争  Comment(4) 
Tag:アンジェイ・ワイダ ポーランド

地下水道
ふたたび暗い穴の中へ…。
製作:ポーランド’56
原題:KANAL
監督:アンジェイ・ワイダ
ジャンル:★戦争ドラマ/サスペンス

【あらすじ】1944年、ポーランド。ソ連軍に呼応し、ポーランド国内軍はワルシャワ蜂起を開始した。だが、ドイツ軍の反撃にあい、壊滅的な打撃を受けてしまう。逃げ場を失ったレジスタンスたちは、決死の覚悟で地下水道へと逃げ込む。

恐ろしい映画でした。
地下水道からの脱出が大部分なんですが、暗闇と悪臭、入り組んだ道、足にまとわりつくような汚水、敵に見つかったら命はないという恐怖が、じっとり迫ってくるような感じがします。その暗闇に浮かぶ白い肌が美しいこと…。
やがて、悪臭を毒ガスだと騒ぎ散りじりになってしまう者や、耐えきれず外に出て撃ち殺される者、発狂してオカリナを吹きながらさまよう作曲家など、絶望的な状況に追い込まれてゆきます。

そんな中、負傷した恋人を支えて歩くデイジーは諦めようとしません。怪我人を支えて歩くなんて男でも辛いのに、出口を見つけても彼が登れないからと引き返してしまうほど。
彼女たちを待っているものもやはり絶望的な状況なんですが、最後まで彼のこころを支えるデイジーの強さに圧巻されました。
あの河の向こう岸に、彼らを見殺しにしたソ連軍がいたのでしょうか?
同じく諦めずに出口を探していた隊長の最後の決断も胸を刺すようです。

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映画「鏡の女たち」感想

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Tag:日本

鏡の女たち
製作:日本’02
監督:吉田善重
ジャンル:ドラマ/戦争

【あらすじ】夏来を生んですぐに失踪した娘・美和を、24年間探し続けていた川瀬愛。ある日、美和の母子手帳を持った女性がみつかったと連絡が入る。それは隣町に住む尾上正子という記憶喪失者だった。実の娘か確信を持てない愛だったが…。

すごいホラーな作品でした。
マイクで”きぃぃ~ん”となった時のような不安感を煽る音楽と、黒い服を着て重々しい喋り方をする不気味な女たち、そして薄暗い部屋と割れた鏡…。どうみてもホラーです。でもこの監督さんには何度も騙されているので、ホラーではないと自分に言い聞かせながら観賞しました。
失踪した娘がみつかったとかどうとかいう流れで始まり、じゃあどろどろの人間ドラマかと思いきや、突然”広島で米兵が被爆したことを取材したい”という女が現れます。まさかの反核映画でした。
たぶん、原爆によって何かを失ったのは当時の人たちだけじゃない、ということを言いたかったんじゃないかと思います。
しかし、どこをとってもホラー(もしくはサスペンス)映画にしかみえない演出で、反核について考えるより「なんでこんな演出???」とそっちに頭がいってしまいました。不謹慎な話ですが、愛が喋るだけで『何このひと、無駄に怖い』と笑いがこみあげてくる始末。とりあえず、教材には向かないと断言できます。
結局最後までこの調子で観てしまったんですが、この監督さんが女性を撮ると生霊みたいになってしまうので、あながちホラー映画といっても間違いではないかもしれない…と思ってしまいました。

映画「レ・ミゼラブル~輝く光の中で~」観ました

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Tag:フランス

レ・ミゼラブル~輝く光の中で~
製作:フランス’95
原題:LES MISERABLES
監督:クロード・ルルーシュ
原作:ビクトル・ユーゴー
ジャンル:★ドラマ/文芸

【あらすじ】1939年、ドイツ占領下のフランス。父親は無実の罪で獄中で亡くなり、母親は後を追って自殺したという過去を持つアンリ。彼はユダヤ人一家の逃亡を助け、その旅の間に『レ・ミゼラブル』を読んでもらう。彼はその物語に感銘を受け…。

「レ・ミゼラブル」は原作を読んだことがなく、「ああ無情」と同じ物だと知ったのも高校生くらいで、1998年のビレ・アウグスト監督の作品でしかストーリーを知らない私が観賞しました。
「あれ、私の(かすかな)記憶とは違うなぁ」と思いながら観ていたら、レ・ミゼラブルをベースにした第二次大戦頃のお話だったんですね。まるでコゼットのように過酷な少年時代を過ごしたアンリが、ユダヤ人弁護士ジマンに「レ・ミゼラブル」を読んでもらった事で、ジャン・ヴァルジャンのように生きようと決意。そして、どんな苦難にも耐え、彼らを救おうとする…という内容です。
劇中劇が効果的に入るので原作を知らなくても観れますし、三時間という時間も気にならないテンポの良さでした。

好きなシーンは、寄宿学校に預けるよう頼まれた幼い娘サロメとの会話シーン。彼女を守ろうという親のような気持ちと、字を教えてくれて、彼からも学ぼうとする聡明で優しい彼女に、敬意を払う気持ちが見え、優しい気持ちになれます。
恐ろしかったのは、負傷したジマン氏を匿った農家の夫婦。奥さんが彼に拒まれたのをきっかけに、彼を監禁し続けようとします。終戦を知らせず、彼の財産を搾り取り、家族への手紙のせいでサロメが死んだと言い、ついには毒殺しようとし…。戦争によって生まれた影は、こんなにも簡単に人を狂わせてしまうのかと恐ろしくなりました。
他にも、戦争によって狂った人々に彼らは苦しめられ、それを観ているほうまで胸が苦しくなるんですが、ラストの皆の笑顔を見て救われる思いがしました。感動の大河ロマンです。

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