時代劇 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「超高速!参勤交代」観た

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Tag:日本

超高速!参勤交代
製作:日本’2014 119分
監督:本木克英
ジャンル:時代劇/コメディ

【あらすじ】享保二十年、磐城国。湯長谷藩では、1年の江戸詰めを終えた藩主・内藤政醇や藩士たちが、のんびりと開放感に浸っていた。だが、再び“参勤交代”の命が下り、8日かかる道のりを実質4日で踏破しなければならなくなる。政醇は、知恵者の家老・相馬兼嗣とともに作戦を立て…。

軽い作品なんだけど、締めるところは締めてるので普通に面白かったです。CMの印象から、おバカ映画なんだろうなと完全に見くびってました。無理にハリウッド映画に張り合うより、こういう得意分野を上手に生かした邦画のがいいですよね。最初から最後までクスクス笑える感じ。
悪徳老中とか刺客との戦いとか、昔ながらの娯楽時代劇っぽいベタな展開も入れつつ、参勤交代をちゃんとしているように見せるための知恵と根性と人情のエピソードにアイデアが光ってます。
何気に殺陣も見応えあるし、あのお人よしでのほほんとした湯長谷藩の面々がちゃんとカッコいい。2度目の見得を切るシーンは、1度目の笑いからのギャップが効いてました。

登場人物は最初の人物紹介のくだりでもう覚える気がなかったんですが、覚えておく必要のある人物は個性的なので困らなかったし、主人公のキャラも良い。意外とシリアスも多かったのに、硬い印象にならなかったのは、この人の人柄のおかげでしょう。人情に厚い様子を見ていると、ご都合展開も許せてしまいます。
それに、西村雅彦さんが本当にはまり役でいいんですよ。私的に「古畑任三郎」のおとぼけキャラ今泉君の印象が強いのに、藩で一番の知恵者であるこの家老にまったく違和感を覚えませんでした。知恵者なのに一番のお笑い担当っていうのがね(笑)
みんなに頼られ過ぎていて、何かあると「知恵を出せ」とせかされて、きちんと解決策を閃いてくれるのが素敵。忘れられて落ち武者みたいになっても、出会い頭に殴られても、怒らないでみんなのために頑張る一番の功労者でした。
いつかリターンズも観てみたいです!

映画「座頭市と用心棒」観た

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Tag:日本

座頭市と用心棒
製作:日本’70
監督:岡本喜八
原作:子母沢寛
ジャンル:時代劇

【あらすじ】一時の安らぎを求めて、三年前に訪れた村に再び訪れた市。だがそこは、ヤクザの小仏一家によって変わり果てていた。小仏一家の用心棒と一悶着あり、その上、無実の罪で投獄される市だったが、烏帽子屋の主人・弥助に救われ…。

岡本喜八作品を観るということで、一度は全作品制覇を目指しながら一瞬で諦めた「座頭市」シリーズがあったので観ることにしました。
これはシリーズ20作品目なのに、ぜんぜんそんな感じしないですね。何といってもキャストが豪華だし、黒澤監督の「用心棒」へのオマージュてんこ盛り。
キャラ立ちがしっかりしている市に、それに勝るとも劣らない強烈な存在感を放つ三船さん、そして「しぇんしぇ〜」と情けない声を挙げる小仏一家の政五郎、九頭竜と呼ばれるニヒルな用心棒などなど、みんなキャラが濃くてお腹いっぱいです。撮りたいもの全部詰め込みました、という感じ。
ファンの間では”時代劇版『キングコング対ゴジラ』”とか言われてるんだとか(笑)
「バケモノ」「ケダモノ」と呼び合うふたりの掛け合い、探り合いが面白かったですね。でも、市がいつもより悪趣味で違和感があります。悪い奴らが欲望をむき出しにして破滅していくのを、嘲笑っているようなところがあったので。

あと、ヒロインの若尾さんが綺麗でした。用心棒とのロマンスもなかなか楽しめたけど、最後はなんだか甘っちょろい展開だったかも。
ユーモアがあって、騙し合いもありつつ、アクションはバッチリ決めてくれるものの、冗長なのが玉に瑕。私が三つ巴以上になると把握できないせいかもしれないけど、終わり方もだらだらしていてスカッとしません。
でもサービス精神旺盛な作品で、ふたりの対決を観られるというだけでも十分過ぎるくらいでしょう。重い腰を上げて観られてよかったです。リクエストありがとうございました♪

映画「大殺陣 雄呂血」観た

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Tag:日本

大殺陣 雄呂血
製作:日本’66
監督:田中徳三
原作:寿々喜多呂九平
ジャンル:時代劇

【あらすじ】他流試合の後、隣藩の武士が背中から斬られて死亡した。一触即発の状況に、苦肉の策として藩士の小布施拓馬が身代わりとなり一年ほど姿をくらますことに。だが、彼を帰参させるはずの義父は亡くなり、唯一の証人に裏切られ…。

何で誰も真犯人を捜さないの???(困惑)
無実を知ってる人と信じた人は、「じゃあ真犯人は誰?」って思わない?思うよね!?
そんなんじゃ、世界の名探偵たちが歯がゆすぎて発狂するよ、ポワロさんとかストレス溜まりすぎて卒倒しちゃうよ!?
いくら江戸時代だって、アリバイ裏付け捜査くらいできるでしょ。犯行時刻はわかってるんだから、その時間帯にアリバイがなかった藩士数人くらいまで絞り込めるはず。
そこまでやれば、ぜったい自白してた。

初動捜査がダメダメだったとしても、あの義父(予定)は発想が斜め上すぎ。なんで娘婿なの、動機をでっちあげて自分がやればいいじゃない。そして1年で許してもらうんじゃなくて犯人さがせよ!
娘も「拓馬様の苦労に比べたら…」なんて言いつつ、自分からほとんど動かないし、動いても努力の方向性が父親と一緒でズレてる。
そんな事いいから犯人をさがせよ!!
最終的に拓馬の潔白を信じつつ『メンツのためにお前を斬る!』とか言ってるヤツもハ ン ニ ン ヲ サ ガ セ ! ! !

と思いました。概ね楽しかったです。
録画ストックがなくて懲りずにGyaOで鑑賞。
イラスト描かないもんだからノリで記事にして春に後悔するパターンですね、わかってます。

映画「忠臣蔵外伝 四谷怪談」観ました

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Tag:日本

忠臣蔵外伝 四谷怪談
製作:日本’94
監督:深作欣二
原作:鶴屋南北
ジャンル:★時代劇/ロマンス/ホラー

【あらすじ】赤穂藩が取り潰しとなり、2カ月前に召し抱えられたばかりの伊右衛門は再び浪人の身に。彼はひょんな事から湯女宿のお岩と知り合い同居生活を始めるが、伊右衛門が吉良家家臣の孫娘・お梅に気に入られた事で彼の心は揺れ動き…。

gyaoで鑑賞。
忠臣蔵と四谷怪談がどう混ざるのかと思ったら、伊右衛門は浪士の一人だということです。っていうか、もともと四谷怪談って忠臣蔵のサイドストーリーだったのね。忠臣蔵は好きじゃないけど、これは面白かったです。
こちらのお岩は娼婦で、伊右衛門に惚れて妊娠して転がり込んでくる情熱的な明るい役でした。前に観た「東海道四谷怪談(1959)」では武家の娘で伊右衛門の一面しか知らずに騙された感があったけども、こっちは彼の悪い部分、ダメな部分も知っていて惚れてるから、それだけで伊右衛門の悪人度が軽くなった感じ。
この伊右衛門も10代の頃から金のために辻斬りするような残虐な男なんですが、悪い事する時の動機が”自分の居場所を失う恐怖”なんですよね。
辻斬りをしたのは、お金がないと病気の父親が死んで自分ひとりになってしまうと思ったからだし、お梅との結婚を取ったのは、自分のせいで赤ん坊と美しい顔を失ったお岩が、今まで通り自分を愛し、自分のために働くことができないと思ったからで、暗殺を引き受けたのは、もう他に自分の居場所がなかったからでしょう。
要するに、意気地なしで保身ばかりが強いダメ男なんですよ。

しかも、一度気を許した相手には意外と情を感じているのが、お岩の爛れた顔を隠すシーンや大石内蔵助と話すシーンから伝わってきて、そこがまた哀れ。
わたしが知ってる伊右衛門は本当に心の底から冷酷なサイコパスだったので、それと比べると自分の悪事を後悔して怯えるこちらの伊右衛門は人間味あって、恐さより哀れむ気持ちが沸いてきました。
罪悪感や復讐の恐怖に怯えて死に救いを見出したのが、伊右衛門だけでなく吉良も同じだったと言うのも、一緒のタイミングで死ぬのも印象的。
琵琶の音で赤穂浪士たちを見送るシーンは、どこか寂しげで、でも憑き物が落ちたようで爽やかささえありました。

あと、お岩さんが冷静に華麗に自分の敵討ちをしていくのがいいですね。必殺技を出す時のアクションが格ゲーみたい(笑)
そして、何よりもインパクトが強いお梅さんの狂いっぷりが最高でした。祝言の時だかに踊り狂うシーンは不気味ながらだんだんとキレイに思えてくる魔力!
きっと化け狐が人間社会に溶け込んでたんでしょう。どう見ても物の怪なのに弱いし(笑)
巷ではこの作品というと”おっぱいおっぱい”言われてますけど、確かに高岡早紀さんのおっぱいはすごかったけども、何気に人間の弱さが描かれていて結構お気に入りの映画になりました。

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一緒に「仁義なき戦い」を観ませんか?

映画「安珍と清姫」観た

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Tag:日本

安珍と清姫
製作:日本’60
監督:島耕二
ジャンル:時代劇

【あらすじ】紀州道成寺へ参詣に行く道中、狩りをしていた清姫に腕を撃たれた修行僧の安珍。だが、彼女の看病を断った事から、清姫のプライドを傷つけてしまう。やがて、誘惑に負けて姫に心惹かれたと本心を漏らすが、彼女はそれを嘲笑い…。

gyaoで観賞。もとの「安珍清姫伝説」を知らないんですが、普通に面白かったです。
若尾文子が演じるツンデレ清姫が可愛くてね~。
自分が怪我させたのに、まだ煩悩と戦っている修行僧の安珍に介抱を拒絶され、プライドを傷つけられた報復にお風呂で誘惑、それに引っかかったら「私の勝ちね!」と勝ち誇るという…。
怪我させたこと完全に忘れてるよこの人!
でも、去った安珍が酷く悩んでいるようだったと人から聞くと、いてもたってもいられなくて追いかけちゃうんですよ。ツンデレなんですよもう(かわいい!)
それからの清姫は「安珍様~」と100回くらい叫んでいたんじゃないでしょうか。
姫がひたすら優柔不断な安珍を追い続ける話なんだけども、その声とか仕草が色っぽくて妙に飽きないんですよね。
実は追いかけっこの間にも色々あって、日本版「ロミジュリ」みたいな事になったりもしたんだけど、父親の愛が重いというか、思い込みの激しさは父親譲りかと納得。
でも、姫様ひとりあんな格好で旅に出すのは不用心すぎる…。
ラストはその強い情念が伝わってくる展開で、ある意味ハッピーエンドでした。
きっと見えなくても彼の体に巻きついてると思います(笑)
あと、煩悩と戦う安珍の葛藤も見もの。市川雷蔵はこういう役も似合うね。
姫と舞い踊るイメージシーンや、挿入歌もあって楽しめます。

映画「昨日消えた男(1964)」観ました

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Tag:森一生 日本

昨日消えた男(1964)
製作:日本’64
監督:森一生
ジャンル:★時代劇/ミステリー/コメディ

【あらすじ】暇つぶしに江戸町奉行所の同心になりすまして捜査を開始した八代将軍吉宗。彼は大橋兼四郎という浪人と出会い、彼の長屋に居候することに。だがそこには死体があり、ふたりは事件の究明に乗り出し…。

gyaoで鑑賞。「暴れん坊将軍」の元ネタ?
市川雷蔵にそこまで興味があるわけじゃないけど、この上様は可愛すぎますね!!!
謎解きが大好きで寝る前に家臣たちになぞなぞを出してもらったりしてたんだけど、子供騙しでつまらないと奉行所で本物の事件を解決しようと同心になるんですよ。
満面の笑みで自分の思い付きを語る彼に、側近のおじちゃんが「この人めんどくさ!」っていう顔をするのがおかしくて(笑)
ノリノリで捜査に乗り出すものの実はすでに解決した事件で、うろたえた人々が「賄賂がたりなかったんだ」と山吹色の菓子を差し出したり、それをお菓子と思って食べようとしたり(最後まで賄賂だと気付いてなかったような…)
しかも、ぜんぶ家臣たちがセッティングしてくれたと知って、ショックを受けて逃亡するという…思春期か!
その後、宇津井健演じる浪人と仲良くなり、ふたりで本物の殺人事件を捜査していく様子は、ユーモアあふれつつも割りとミステリーしてました。謎解き的にはたわいないけど、メアリー・セレスト号をモチーフにした無人船と時代劇の組み合わせが面白い。
「ひかえいっ!」とか「みなのもの」とか「よきにはからえ」とか普通に言っちゃってるのに、町娘に「まるで将軍様みたい」と言われて「何故わかった!?」という驚きの表情をするところも可愛かったです。
そしてラスト、思わずクスクスわらってしまうようなほのぼのハッピーエンドがこの作品にぴったり。
これは1941年マキノ正博監督版のリメイクらしく、どちらも小国英雄さんがシナリオを書いているという事なので、いつかぜひオリジナルも観てみたいです♪

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映画「編笠権八」観た

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Tag:三隅研次 日本

編笠権八
製作:日本’56
監督:三隅研次
原作:川口松太郎
ジャンル:★時代劇/ロマンス

【あらすじ】誤って岡山藩池田家の指南役である神道十兵衛を斬ってしまった志賀原権八郎は、追っ手を逃れて旅に出る。十兵衛の娘、千草と露路は敵討ちをと江戸へ向かい出立する。やがて、旅先で出会ったふたりはお互いの素性も知らずに惹かれあい…。

gyaoで鑑賞。ピュアラブでした。古きよき時代の時代劇って感じで、市川雷蔵の作品の中では一番好きかも。
ストーリー的には、「東海道四谷怪談」のお岩さんをちょっと思わせるような境遇(前半)のヒロインが、仇だと知らずに主人公と恋に落ちるロミオとジュリエット的な感じですかね。
1時間程度の短い作品なんだけど、若々しいお肌の綺麗な市川雷蔵と綺麗なお嬢さんの恋は初々しいし、展開はベタなりに引き込むものがちゃんとあって、二人の魅力を引き出してました。
露路殿に斬られるなら本望!みたいなやりとりは今ではなかなか観られません(笑)
後半、露路にライバル心むき出しの女性が、悲壮な覚悟を目の当たりにして「負けた…!」っていう表情をしながら、露路の切れた鼻緒を直してあげる所が可愛かったです。
あと、市川雷蔵の「権八郎は仇の汚名で死ぬのではない、恋のために死ぬのだ」のセリフもむずがゆくなりますね~。
タイトルはパッとしないけど、市川雷蔵ファンなら観て損はないです。

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映画「沓掛時次郎」観た

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Tag:池広一夫 日本

沓掛時次郎
製作:日本’61
監督:池広一夫
原作:長谷川伸
ジャンル:時代劇

【あらすじ】渡世の義理から三蔵に一太刀浴びせた時次郎。だがその後、依頼人の助五郎が三蔵の女房を奪うために止めを刺す。それを知り、逆に助五郎らに立ち向かった時次郎は、三蔵に託された女房おきぬと伜太郎吉を連れて逃げるが…。

勧善懲悪で、いかにもという感じの義理と人情の股旅ものでした。
市川雷蔵が嵌ってましたね~。ホント爽やかで気持ちの良い男を演じています。
股旅ものの王道パターンを、陳腐に見せない演技と存在感。さすがにキマってる!
それに歌がたくさん聞けます。幼い子供を元気付けるため、とっても優しい表情で歌うのがいい。
おきぬが病に倒れれば、何里も先にある彼女の実家に走っていって、勘当された彼女を許してほしいと頼みに行くし、無下に断られても、飴売りをして薬代を稼ごうとします。
赤の他人のためにそこまで尽くし、恩のある徳兵衛(志村喬さん)がピンチとなれば助っ人として駆けつける…まさにヒーロー!
それらがしっくりくるのが時代劇のいいところ。大切な場面では、悪役は黙って待っているのもお約束です。
ネタバレですが、おきぬが虫の息の時、おきぬを手に入れるために事を起こした張本人は蚊帳の外。自分の部下が彼女を気絶させようとして死なせたのに、時次郎とのかーなーりー長いお別れをじっと黙って待っているのには笑わされます。もう後ろから刺しちゃいなよ!(笑)
あと、幼いたろきちが可愛かったですね。ちょっと舌足らずに”おっかちゃん”、”おいちゃん”と呼ぶのがホント可愛い。悪漢に一緒に旅している男の名前を聞かれ「おいちゃんって呼んでるけど、心では”おとっつぁん”って呼んでるんだ」というような事を言うのにはきゅんとしてしまいました。それがラストに繋がって…わかってるけど爽やかな感動が。
たまにはこういうコッテコテな人情時代劇もいいですね~。

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映画「鴛鴦歌合戦」観ました

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Tag:日本

鴛鴦歌合戦
製作:日本’39
監督:マキノ正博
ジャンル:★時代劇/ミュージカル

【あらすじ】貧乏長屋で骨董狂の父と傘張りをして暮らす娘・お春は、隣の浪人禮三郎と想い合っていたが、素直になれずにいた。そこに商人の娘・お富や礼三郎の許婚・藤尾、そしてやはり骨董狂で女好きの若殿まで現れ…。

とても楽しいミュージカルでした。最近gyaoをチェックしてなかったから、教えてもらって良かったです。ありがと~!
とにかくみんな楽しそうなんですよ。とくに殿様が歌い出すと、ゆる~い空気が漂ってきます。いちおう悪役なのにね(笑)
そして、お春の骨董好きな父親を演じる志村さん。歌が上手いと聞いていたけど、本当に上手いです。しかも、娘の想い人を演じる千恵蔵さんより2歳若いんだとか。ぜんぜん気付かなかった…。
娘とのやり取りや、欲しいものが買えずにしょぼーんとしてる様子はとっても可愛いし、さすがの演技力です。ほとんど主役でしたね。
また、なぜかやたらとモテまくりの禮三郎を巡る、お春、お富、藤尾の恋と歌のバトルは見ごたえあります。
さすがヒロインだけあって、お春の「ばかっ!」は最強。声がとっても可愛くて、怒ってても可愛いんですよ。音程の危うい歌も、彼女ならではの魅力だったと思います(笑)
………ただ、最後は割る事ないじゃない!
嫉妬から傘を壊したシーンもあったけど、他人が一生懸命作ったものを壊すのは観てて気持ちのいいものじゃありません。あのツボを”値段”ではなく”美術品”として観られないのか?
家宝としてとって置くか、誰かふさわしい持ち主に譲ればよかったのに。
でもまあ、最後はみんな仲良く歌って、時代を超えて愛される素敵なオペレッタだったと思います。

映画「眠狂四郎」シリーズ観終えました

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Tag:池広一夫 三隅研次 日本

眠狂四郎 勝負
あと二作品で全部観終わるのに、すっかり忘れてたので探してきました。どちらも狂四郎が意外とまともで驚きです。あくの強いのばっかり先に観てた?

『眠狂四郎 勝負』(64年日本、三隅研次監督)
二作目という事でまだキャラが定まってないのか、これから性格ゆがんでいくのか知りませんが、狂四郎が正義のヒーローみたいでカッコよかったです。なんせ見知らぬ少年のために父親の技を使って仇討ちし、道場を取り返してくれるんですからね~。私の知ってる狂四郎とはまるで別人で「誰!?」って感じでした(笑)
で、そんなカッコよさを際立たせてるのが、朝比奈とのやり取り。一緒にソバ食べたり、安らかな笑顔を浮かべたり、人間臭さがあってよかった。
しかし、口が悪いのは相変わらずで、豚姫と罵ったあげく「雪より綺麗な俺の体に触るとは無礼な」とか言ってて笑えました。ナルシストかよ!
あと、今更ながら狂四郎の髪が茶色いのはハーフだからだと気付いた…。

『眠狂四郎悪女狩り』(69年日本、池広一夫監督)
先に観たシリーズの最終作。こちらも狂四郎が普通にヒーローポジションでした。
相変わらず女にも容赦ないけど、悪人以外には酷いことしてなかったし。無理やり堕胎されそうになった女を、勘違いで(?)助けた挙句「産め!」と説教かましたり。探せばあなたの子供も何人か出てきそうなんですが…。
ストーリーは狂四郎の偽者が現れ悪行三昧っていう事なんだけども、 日ごろの行いのせいか、自分の情婦にさえ疑われてしまうという(笑)
まあ、本物は悪い事だとわかってやっているからね。仲間のためと言って、どんな酷いこともしてしまう人とは違います。
ラスト、神に救いを求める偽者に「貴様を救う神があるか。」と言い放つのが決まってます。

どちらも観られて良かったです、良作を逃すところでした。間諜X72さん、思い出させてくれてありがとうございました!

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映画「狐の呉れた赤ん坊」観ました

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Tag:日本

狐の呉れた赤ん坊
製作:日本’45
監督:丸根賛太郎
原作:谷口善太郎、丸根賛太郎
ジャンル:★ドラマ/コメディ/時代劇

【あらすじ】気が荒く、暴れ者で酒飲みの”張子の寅”は、化け狐の退治に行き赤ん坊を見つける。化けの皮を剥いでやろうと連れ帰るが、その子は本当の捨て子だった。仕方なしに育て始めた寅だったが、やがて善太と名付けた子供の良き父親となり…。

ひょんなことから赤ん坊を育てる事になった男が父性に目覚めるというよくあるお話で、ベタなくらいの人情喜劇なんだけども、ストレートに心に響きました。いきなりいくけど、終盤の感動が半端なかったです。終盤の質屋の主人の一喝がすさまじく痺れる。
それまでの、寅が父性に目覚めていく過程や、それを温かく見守る子分たちの微笑ましい気遣い、居酒屋の看板娘の愛情、成長した善太の参勤交代ごっこのエピソードも、笑いと感動がちりばめられて本当に素晴らしいんですよ。
だからこそ「ならもう一度死んで来い!」という一喝できっぱり吹っ切れた寅の気持ちが手に取るようにわかるし、ラストの肩車をしながらの善太との約束や、看板娘の父親が「寅の刺青は消えた!」という粋な(結婚を認める)セリフで、思いっきり笑顔で泣けてしまうんですよね。
…つまり全てが良いと(笑)
にしても、まさかあの子が津川雅彦だったとは…。あんなに可愛らしい子供時代があったのかと驚いてしまいました(失礼)

映画「ひばりの森の石松」観ました

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Tag:日本

ひばりの森の石松
製作:日本’60
監督:沢島忠
ジャンル:★時代劇/コメディ/ミュージカル

【あらすじ】晴れて憧れの清水次郎長の子分となったやくざ者・森の石松。やがて一目置かれるようになった彼は、次郎長の代参で金毘羅参りに旅立つ。だがその途中、命を狙われる丸亀藩の幼い盲目のお姫様を助け、石松は彼女を無事送り届けようと決意するが…。

美空ひばりが出てるのはわかってたけど、まさか彼女が森の石松を演じてるとは思いませんでした。冒頭では茶摘み娘に扮しており、仕事の合間に茶摘み娘たちに話して聞かせるという設定なんですね。女だと忘れてしまいそうな見事な石松っぷりに、一気に引き込まれました。
やや低い声での”べらんめぇ口調”が心地よくて、ミュージカルではない部分ですらリズミカル。全部聞くのは(たぶん)初めての、有名な”三十石船道中”「江戸っ子だってね~」「神田の生まれよ!」の部分もホント楽しめます。
他にも、次郎長親分が反省しない石松に「斬るぞ!」と言ってしまって、石松はそれも本望という感じで避けようともしないから、誰か止めてくれるひとが来てくれるように『斬るぞー、本当に斬るぞー!!』と大声で言うくだりなど、くすくす笑わせてくれました。
また、悪い家臣に命を狙われる盲目のお姫様(11歳くらい?)との交流はホロりとさせます。姫様を不安にさせないようにいつも明るく振舞って、笑わせようとする石松の姿が健気!
荷物を盗まれ路銀も尽き、仲間もいなくなって途方にくれた時も、「こんな時は唄って踊るに限る」と精一杯です。今まで誰も踊ってくれなかったと喜ぶ姫様と、夕焼けの下で踊る場面ではジーンとしてしまいました。
何故か龍宮城の夢をよくみる石松が、夢の中の龍宮城でミュージカルを繰り広げるのも楽しい。夢の中では姫様の目も見えるように!
笑いあり涙あり、歌にアクションありの盛り沢山な時代劇でした。

映画「切腹(1962)」観ました

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Tag:日本

切腹
製作:日本’62
監督:小林正樹
原作:滝口康彦
ジャンル:★時代劇

【あらすじ】彦根藩井伊家の上屋敷に津雲半四郎と名乗る浪人が現れる。生活に困窮した浪人が「切腹する」と言っては、敷地内を汚されたくない人々から金品を巻き上げているのだ。家老の斎藤勘解由は数ヶ月前にやってきた浪人の話を始め…。

いやぁ、痺れました。武士道を批判するような内容だけど、これ観たら「サムライかっこいい!」ってなりますよ。
半四郎が語りだしてからの凄みなんて、言葉じゃ言い表せないほどの迫力。哀しい真実と彼の目的が見えてくるにしたがって、ぐいぐいと引き込まれました。
復讐といっても、命を奪ったり、相手を貶めるつもりじゃなかったところがいいですよね。ただ自分や井伊家の人々の前で真実を暴き、詫びの言葉のひとつでもあの世への手土産にしたかっただけ。何より許せないのは、刀を手放せなかった自分自身というのがひしひしと伝わってきます。命より髷を奪うというやり方もよかった。
でも、自分ひとり食べていくのがやっとな男と娘を結婚させるくだりは、彼視点でしか語られないから、ふたりが愛し合ってると勝手に決め付けていたようにも見えました。
側室でなくても、娘が気に入るような良い条件の相手を探しても良かったのでは?と思ったり。
井伊家のやり方が酷かったとはいえ、最終的には下級武士たちを殺してしまったわけだし、そこら辺をはっきりさせていればもっとスッキリした気持ちで観終われたのに…と少し残念に思いました。

映画「瞼の母(1962)」観た

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瞼の母(1962)
製作:日本’62
監督:加藤泰
原作:長谷川伸
ジャンル:時代劇/任侠

【あらすじ】生き別れになった母を探し旅を続けていた忠太郎は、弟分の半次郎が飯岡一家の喜八らに狙われていると知り駆けつける。そこで、半次郎を想う母の愛に心うたれた忠太郎は、喜八らを叩き斬って自分がやったと書き残すのだった…。

またもやイラスト無しですみません。冬は手が冷えて関節が腫れてくるので。
映画の感想ですが、大衆演劇的な一挙一動が芝居がかっていたものの、そういう”くさい”部分も含めて味のある作品でした。
とにかく主人公がめそめそしてるんですよ。堅気に戻るチャンスをふいにしようとする半次郎を止めるため、「お前にはおっかさんがいるじゃねぇか」と始まって、自分が探し求める母親への想いを語りだし。字が書けず、半次郎の母親に手を取ってもらって手紙を書きつつ、目を潤ませながら彼女に母の面影を重ね。盲目の三味線弾きを助け、もしや母親じゃないかと興奮し。実母との涙ながらの再会、すれ違い…と、最後まで涙なみだの物語でした。(主人公が)
去っていく忠太郎を引きとめようと実母が走り出すものの、湯飲みを倒してしまい足を止めるシーンが印象的。忠太郎が座っていたぬくもりを確かめるように、畳を撫でるとこもジーンときますね。
全体的に、絵になるシーンが多かったです。
ラスト、瞼をぎゅっと閉じ、震えながら母の姿を思い浮かべる忠太郎の男泣きが、この作品らしくてよかったです。

映画「眠狂四郎 人肌蜘蛛」感想

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眠狂四郎 人肌蜘蛛
今年最後のイラストは美人さんで締めくくらせて頂きます。
製作:日本’68
監督:安田公義
原作:柴田錬三郎
ジャンル:時代劇

【あらすじ】母の墓参りにきた狂四郎は、その村で将軍の妾腹、家武と紫らが若い男女を幽閉して暴虐の限りを尽くしていると知る。墓守の七蔵が息子のように育てた兵吾が自分と同じ黒ミサで生まれたと知った彼は、身代わりに鬼館へ出向く。

はい、もう観ないとか言ってたけど観てしまいました。スミマセン。
なんかBShiのオンエアが終わってからgyaoで配信が始まってしまってですね、頭の中で葛藤が始まったわけですよ。
『お前はこのシリーズを途中で投げ出すのか…!』
みたいなね。もはや強迫観念です。
というわけで、まともに観る勇気もなく”ながら見”をずるずる続け、後は「勝負」と「無頼剣」、「悪女狩り」を残すのみ。きっと繰り返し配信すると思うから、いつか全部見終わってきっぱり忘れよう…と思っていた矢先、この作品に出会ってしまいました。ながら見でも否応なくわたしの意識に入り込んでくる濃さ。エログロ路線が売り(?)のこのシリーズをぎゅぅっと濃縮したような作品…というか悪役です。

まずイラストのお姫さま”紫”は、頭痛もちで痛みを紛らわせるために殺人に興じるサイコな嗜好の持ち主。頭痛が始まるたびに召使を殺してしまうので、その度に村から補充しているんですね。
そして、その双子の兄”家武”は妹に倒錯した恋情を抱き、彼女に近づく男は毒殺し、そうでなくても毒殺し。武家の男とは思えない”憂さ晴らし法”が情けない毒殺マニア。
そんな彼らが、いつもの流れで対決する事になります。
例のごとく、狂四郎が女のプライドをずたずたにして憎まれるわけなんですが、彼らの憎まれ口の応酬を観ていたら案外お似合いカップルなんじゃないかと思ってしまいました。家武もこのままじゃマズイと思ったのか、毒矢で狂四郎を死の淵へ追いやったりとヘタレのくせに頑張ります。(やられるときは瞬殺だったけども)
紫が潔く散っていくラストはサマになってました。紫を演じる魔子さんの妖艶な美しさが印象的です。

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Tag:日本

眠狂四郎
BShiでオンエアした「殺法帖」と「魔性剣」、「女地獄」の三作と、Gyaoで偶然みつけた「円月斬り」を観ました。
最初に観た第一作目「殺法帖」の感想は、『よく喋るな~、コイツ!』という感じ。わたし的には”剣士といえば寡黙”だし、あまり喋ると三枚目ポジションになってしまう気がするんですよね。まあ実際、彼の根暗な思考回路は笑えたけれども。
「魔性剣」では、「自分に関わると不幸になる」と”呪いの剣”であることをアピール。「俺の剣が完全に円を描く前にお前は死ぬ」とか言ってたけど、それもこの剣の魔性によるものなのでしょうか? ようはヒーロー変身シーンのお約束と同じなんでしょうけど。
「女地獄」は女の刺客がなんどもなんどもなんども現れて、もう笑うしかないです。でも、ラストの雪景色の対決はサマになってたし、浪人のおじさんが素敵でした。
そして「円月斬り」はストーリー的には面白かったんですが…あの野郎、気に入らない女を手篭めにしやがった!!

ネットで調べてみたらそんな事しょっちゅうだそうで、それじゃただのごーかん魔じゃないですか。わたしは基本、性犯罪者に対しては『こえだめで溺れ死ね!』と思ってしまう人間なので、ちょっと無理です。彼が死ぬ作品があるなら観るけど、そうでないならもう観ないと思います。
…ファンの方ごめんね!

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映画「雨あがる」再見しました

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Tag:山本周五郎 小泉堯史 日本

雨あがる
製作:日本’99
監督:小泉堯史
原作:山本周五郎
ジャンル:★時代劇

【あらすじ】享保。長雨で安宿に足止めをくっていた浪人・三沢伊兵衛は、妻との約束を破って賭け試合をし、その儲けで宿の貧しい客たちの心を和ませた。雨があがり、若侍の諍いを仲裁して藩主に気に入られた彼は、剣術指南番に迎えられる。

前回”ながら観”をしてしまったので、ちゃんと見直してみました。
物語のテンポや、登場人物の人柄、台詞回しなんかが黒澤映画そのものという感じで(そこまで黒澤映画をわかってないけど)、黒澤監督への愛を感じました。
特に冒頭のエピソードは好きですね。「人間はみんな悲しいんですから」とぎすぎすした空気を収め、酒盛りを用意するところとか。憂さを晴らそうと唄や踊りで盛り上がる客たちの姿と、それを見て静かに部屋に戻るたよとか、素晴らしいです。
美しい日本の風景と和の心が全面に表れていて癒されるんですが、個人的に殿の間延びした喋り方はどうしてもダメでした。彼が話し出すと一気に眠くなってしまって、後半は何度も見直すはめに。まあ、好きだからいいんですが。
晴れ渡った空のもと、ふたりが旅立つラストが清々しいです。

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映画「座頭市血笑旅(ざとういちけっしょうたび)」観ました

 | 時代劇  Comment(0) 
Tag:三隅研次 日本

座頭市血笑旅
製作:日本’64
監督:三隅研次
原作:子母沢寛
ジャンル:★時代劇

【あらすじ】座頭市を狙う殺し屋たちが甲州路で駕籠を襲う。だが、乗っていたのは赤ん坊を抱いた女おとよ。それというのも、旅で疲れた彼女に、市が駕籠を譲っていたのだ。責任を感じた市は、赤ん坊を父親に届けようと信州宮本村を目指す。

gyaoで観た、勝新太郎の座頭市シリーズ第8作。
以前「不知火檢校」を観てから、ずっと観たいと思っていたこのシリーズなんですが、気付くのが遅かったのか第6作からしか観てません。6,7も面白かったけれど、この作品ではなんと赤ん坊を連れて旅を始めます。

最初は「うわ、やっちゃった~」と思いながら観ていたんですが、思いのほか市と赤ん坊の取り合わせに違和感がありません。しつこい追手と戦い、”おしめ”や”お乳”、”睡眠不足”の問題ともたたかい(笑)いつもより、ほのぼの要素が強くなっていました。
でも、殺陣もしっかりみせてくれて (良し悪しはわからないけど)、寝ている赤ん坊を起こさないよう一瞬で刺客たちを仕留めるシーンとか、おしめを替えながら忍び寄ってきた刺客を斬るシーンとか格好いい。終盤のたいまつ(?)を持った男たちに囲まれて闘うシーンも凄かったです。
後半からついてくる、女スリのお香もいい味だしてました。財布目当てで近づいてきたのにしだいに赤ん坊が可愛くなり、ウグイス笛をくすねてきて市に怒られたり。あざといといえばあざといんだけれども、赤ん坊に恥ずかしくない人間になろうとだんだん変わっていく姿は憎めないものがあります。

ラストは思いがけずボロ泣きでした。
ネタバレですが、「おじちゃんは坊やと会ってもわからないから、坊やがおじちゃんの顔を覚えておくんだぞ…」と赤ん坊に自分の顔を触らせるとこで涙腺崩壊。口、鼻と順に触らせて、目のところで「これは、無いんだ」と言うのが切ない…。
北野さんの「座頭市」の良さがわからなかったのだけど、このシリーズを観はじめてますます分からなくなりました。
できれば最初から観たかったなぁ。

映画「幕末太陽傳」観た

 | 時代劇  Comment(2) 
Tag:日本

幕末太陽傳
製作:日本’57
監督:川島雄三
ジャンル:★時代劇/コメディ/ドラマ

【あらすじ】明治維新を目前にした江戸の品川。北の吉原と称される遊郭”相摸屋”で、どんちゃん騒ぎをする佐平次。勘定を気にする仲間を帰し一人居残るが、実は彼は無一文だった。やがて、下働きを始めるが、彼は次々とトラブルを解決していく。

ちょっと前に観ました。
ものすごい評判が良いようなので期待していたんですが、そんなでもなかったなぁと前半はがっかり。石原裕次郎苦手だし。
主人公がこう、自分だけ上手いことやれればいいのかなぁとか思ってしまったんですよね。
でも後半、気付けば彼の周りのトラブルは次々と解決され、あるところからないところにお金が流れ、みんな笑顔に!
とにかくテンポよく軽快に話が進んでいって、いつのまにか彼の魅力に引き込まれてました。

途中気になったのは、主人公に宿賃を踏み倒された青年が、女将さんに売り飛ばすと脅されるエピソード。
江戸時代あたりは男色は高尚な趣味だと聞いたことがあったけど、男版遊郭みたいなの(陰間茶屋というらしい)があったんだぁ~と妙に納得してしまいました。「今日は気分を変えて陰間茶屋にいこうか?」とか言ってたんだろうか?
私には理解できない世界だ…。

まあ、それは置いといて、終盤あれだけ楽しく盛り上がっていたのが、彼が出て行こうとする時の突然の静けさ。これがまた、グッとくるんですよね。
幸せそうに眠るふたりをみて浮かべる主人公の優しい微笑みが印象的。去り際の姿はちょっと寂しすぎる気もしたけれど、味わい深い余韻を残します。
今回は入り込むのに時間がかかってしまったので、機会があったらまた観てみたいと思いました。

映画「丹下左膳餘話 百萬兩の壺(たんげさぜんよわ ひゃくまんりょうのつぼ)」再見しました

 | 時代劇  Comment(17) 
Tag:日本

丹下左膳餘話 百萬兩の壺再見
製作:日本’35
監督:山中貞雄
原作:林不忘
ジャンル:★時代劇/コメディ/ドラマ

【あらすじ】ある小藩に伝わる”こけ猿の壷”に、百万両の在りかが示されていると判明した。だが、壷は婿入りした弟・源三郎に譲っており、彼もすでに手放してしまっていた。一方、矢場に居候する用心棒・左膳は、孤児・安吉を引き取り…。

待ちきれなくて金曜の朝に観賞しました。
…やっぱり何度みても面白い!!
というか、再見だからこそ気付くことってありますよね~。
たとえば、タイトルが「丹下左膳余話」ではなく「丹下左膳話」だったとか、あらすじで”彼もすでに手放してしまっていた”とあるけど本当は”たった一つの引き出物さえ取り戻しに来た兄に腹を立てて売払った”だけだったとか…。
って、ただの私の勘違いじゃんっ!

…まあ、それは置いといて、やっぱり楽しいのは擬似家族のやりとりです。
初見の記事にも書いた、”ぜったいに嫌だ、ぜったいやらない”と言っていたことを画面が切り替わるとちゃんとやっている可笑しさったら!
女将は”ツンケン”してたのががらっと変わるのだけど、左膳の場合はあっちへ行ったりこっちへ行ったり、大きな目がきょろきょろしちゃって、本音は違うってことがまるわかりなんですよね。顔は怖いから、余計にその様子が可愛く見えてしまいます。
金魚屋でちょび安が”なんで人間にはふたつ眼があるかわかる?”と隻眼の左膳に話し始めるとこも可愛い。どっからどう見ても仲良し親子です。

左膳と女将の口喧嘩が始まってからの、しんみりムードもいいですね。
今まで口では悪く言っていても、画面が切り替われば何の問題もなかったように上手くいっていたのに、ここでは違うというのがニクイ。
ちょび安が家を出て、お餅が膨らんでいく映像がなんとも寂しいんですよ。庭から通りをみると、壺を抱えてうなだれたちょび安がとぼとぼと歩いていて…。
それに気付いたふたりが町を走り回り、橋のところで優しく声をかける場面では何度観てもジーンとさせられます。
でもその後、左膳が六十両泥棒(?)を斬り捨てたりするので油断は禁物。左膳の纏う雰囲気の違いに息を呑みました。

そして、またまた楽しいのが道場破り。ピョンピョン跳ねまわる戦い方や、源三郎と壁際で「びた一文負けねぇぞ」と取り引きするところで大笑い。
(…でもあれか、あの戦い方は隻腕だからか? 他の丹下左膳シリーズを観たことがないからわからないけど、もしかして笑いどころじゃなかったのかも…ま、いいけど。)
ラストもほのぼの幸せ家族という感じで大好きです。ついでに山中貞雄監督の「河内山宗俊」「人情紙風船」も再見したけど、やっぱり笑って観られるこの作品が一番好きだと、つくづく思ったのでした。

今回「ブログDEロードショー」に参加してくださった皆さん、ありがとうございました。みんなと一緒に観ているんだと思うと、大好きな作品をよりいっそう楽しめるものなんですね!
「ブログDEロードショー」という企画では様々な作品との出会い、あたらしい発見があり、ほんとうに感謝です。
ですが、これ以上夕飯でデジャヴが続くと暴動が起きかねない感じなので(笑)、これからは映画を観て、みなさんのところにコメントにうかがうという参加方法でいきたいと思います。要領が悪くてごめんね~。
それでは皆さん、これからも素敵な映画ライフを…。

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映画「かあちゃん」観た

 | 時代劇  Comment(2) 
Tag:山本周五郎 市川崑 日本

かあちゃん
製作:日本’01
監督:市川崑
原作:山本周五郎
ジャンル:時代劇/ドラマ

【あらすじ】天保末期の江戸、飢饉により人々は貧窮に喘いでいた。泥棒に身を落とそうとしていた若者・勇吉は、金を溜め込んでいる貧乏長屋の噂を耳にする。さっそく泥棒に入った勇吉だったが、そこで5人の子供を育てる母おかつと出くわし…。

泥棒に入った勇吉がおかつに諭され涙するところまでは、私好みの人情喜劇だなぁと思っていたんですが、後半は意外と普通でした。
なんというか、おかつが一家総出で救おうとしていた男が、泣き所を間違えているような気がしたんですよね。自分がやり直すために精一杯のお金を用意してくれた事に感謝するのは当たり前なんですけど、彼にとって一番嬉しかったのは、間違いを犯した自分を変わらず受け入れてくれるひとがいるということなんじゃないかな、と。
だから、家の前で笑顔で迎え入れてくれた時に男泣きした方がいいのに、と思ってしまったんです。登場人物がいいひとばかりなので、お金を目の前に感涙するのは、ちと現金すぎる気がしました。

とはいえ、ちょこちょこ笑いを入れてくるので、最後まで楽しく観れます。
とくに、おかつ一家の陰口をたたく可笑しな四人組が、大家のものまねをして”あれを聞くだけでぞぅっとする”と話しているシーン。くるぞ、くるぞ、わかっていても、ちゃんと大家が現れてものまね通りに話し出したのには大笑いでした。
たまに入る音楽が合わない気がしましたが、後味も良く、なかなかいい雰囲気の作品です。

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 | 時代劇  Comment(4) 
Tag:日本

丹下左膳餘話 百萬兩の壺
製作:日本’35
監督:山中貞雄
原作:林不忘
ジャンル:★時代劇/コメディ/ドラマ

【あらすじ】ある小藩に伝わる”こけ猿の壷”に、百万両の在りかが示されていると判明した。だが、壷は婿入りした弟・源三郎に譲っており、彼もすでに手放してしまっていた。一方、矢場に居候する用心棒・左膳は、孤児・安吉を引き取り…。

タイトル漢字ばっかだし音質悪いし、どうかなぁと思って観始めたら超面白かったです。
主役は隻眼隻腕の恐そうな剣豪なんだけれども、情に脆くて安吉を引き取ってから完全に”親ばか”になってしまいます。
安吉に父親が亡くなったことを伝えられず、「お前男なんだから、そう簡単に泣いたりしないよな?」「一度も泣いたことがないんだな?」と念を押した挙句、「ああ、一度だけ泣いたんだった。おっ母が死んだときに。」と言われてやっぱり伝えられなかったり。(結局、矢場の女将お藤に頼んだ)
寺子屋でいじめられていると聞いて、いてもたってもいられず後から追いかけ、現れたいじめっ子を一喝したりと、どっからどうみても”ほのぼのパパさん”です。
一方、お藤はというと、「あんな小汚い子供、ここに置いてやるもんかい」とか「わたしは子供が嫌いなんだ。面倒なんてみないよ!」ときついことばかり言います。でも、画面が切り替わると、さっきやらないと言っていたことを母親のような顔をしてやっているんですよね。もう、いっぺんに好きになってしまいました。
他にも、安吉を道場にやるか寺子屋にやるか言い争う様子とか、お藤が唄いだすと左膳が招き猫を後ろ向きにしていたのを安吉がやるようになったりとか、口喧嘩を聞いて家を出た安吉を迎えに来た二人の様子とか、実に家族らしい家族でみていてあったかい気持ちになります。
源三郎と妻とのやりとりや壷を巡るどたばた劇も、文句の無い楽しさでした。
時代劇で一番好きな作品になったかもしれません…。

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映画「雪之丞変化(1963)」観た

 | 時代劇  Comment(6) 
Tag:市川崑 日本

雪之丞変化
製作:日本’63
監督:市川崑
原作:三上於菟吉
ジャンル:時代劇

【あらすじ】商売敵にはめられ、密輸抜け荷の濡れ衣で両親を失った少年。その敵を討つため、彼は剣術を鍛え、女形の花形歌舞伎役者中村雪之丞となった。江戸で思いがけず敵・三斎を目にした彼は、まず将軍の側室である三斎の娘に近づく。

やっぱり復讐物は好きになれないなぁ。まず敵の娘に近づくっていうのでアウトです。事情を知っているというだけで、復讐の妨げになるから殺す(未遂)というのも嫌。他人を巻き込む復讐はダメですよ。
という訳で、主人公にまったく感情移入できないし好きじゃないんですけど、面白いかどうかというと面白いんですよね、これが。
みどころは、両親を陥れた3人への復讐が果たされてゆく後半。「こんなことを考える自分が恐ろしい」と言うだけあって、裏切り・喪失・絶望と散々な目に遭わせてから死に追いやります。普段は「よよよ…」と崩れ落ちそうな雰囲気なのに、復讐の折に見せる表情は照明効果も加わってヒヤリとさせる恐ろしさ。
復讐物は嫌いと言いつつ、3人が倒されるのを痛快だと思ってしまいました。

残念だったのは、闇太郎という盗賊が雪之丞に惚れ込んで、やたらと健気だなんだと褒めていたこと。しかも、雪之丞と一人二役だったと言うじゃないですか。キモチワルイし、主人公をヨイショするキャラクターなんて鬱陶しいだけだと思います。
また、ヒロインはなかなか良かったです。べらんめえ口調の女盗賊が雪之丞と出会った後、『あんな、なよなよした男女に惚れるもんか!』と叫びながら畳の上をごろごろしてたのに胸キュンでした。
もう一人のヒロインが謎の死を遂げたりせず、雪之丞とともに去るエンディングだったら★付けたんだけどなぁ…。

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映画「雨あがる」観た

 | 時代劇  Comment(2) 
Tag:山本周五郎 小泉堯史 日本

雨あがる
製作:日本’99
監督:小泉堯史
原作:山本周五郎
ジャンル:時代劇

【あらすじ】享保。長雨で安宿に足止めをくっていた浪人・三沢伊兵衛は、妻との約束を破って賭け試合をし、その儲けで宿の貧しい客たちの心を和ませた。雨があがり、若侍の諍いを仲裁して藩主に気に入られた彼は、剣術指南番に迎えられる。

作業しながらのチラ見だったので大した感想も書けませんが、まったりした良い雰囲気の作品でした。
浪人の優しさと雨上がりの美しい風景が相まって、かなりの癒し効果を生みだしています。(とくに「大菩薩峠」を観た後では…)
そして、主人公の”いい人”具合と、お殿さまのアホっぽいしゃべり方(わざとなのか?)からは、寓話のような印象を受けました。
ただ、この内容にしては時間が長すぎるような気も…。
私としては50分ぐらいの短編の方がもっと楽しめたと思います。

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映画「大菩薩峠 三部作」観ました

 | 時代劇  Comment(32) 
Tag:内田吐夢 日本

大菩薩峠 三部作
製作:日本’57~59
監督:内田吐夢
原作:中里介山
ジャンル:時代劇

【あらすじ】天下無敵の剣豪・机竜之助は、剣の道に迷い狂気に蝕まれつつあった。奉納試合で対戦相手を殺し、その許婚・お浜と江戸に出た彼は、血に飢えたように人を斬り続ける。一方、彼を共通の仇とする兵馬とお松が出会い…。

何の気なしに観ていたら、完結篇を観終わる頃にはすっかり嵌っていました。
最初は誰が誰だかさっぱりで、しかも主人公が昔ながらの時代劇らしいくぐもった唸るようなしゃべり方だったので、何言ってんだかまったく聞き取れないんですよね。で、唐突に終わって「なんだったの~」と思ったりもしたんですが、第二部、完結篇と観ていくうちに主人公のどうしようもない孤独に哀れを感じるようになっていて…。

”悪者が主役”といえば以前観た「不知火檢校」を思い出すのだけど、あちらが”生まれながらの悪”を描いているのだとすると、こちらは弱さを内包した狂気を丁寧に描いています。(あ、そういえば盲目という共通点がありますね。竜之助は失明だけど…)
天下無敵の”音無しの構え”で知られながら、突如襲ってくる”虚無感”に、たまたま居合わせた老人すらも斬り殺してしまう。その一方で、穏やかな表情(しばらく竜之助だとわからなかった!)を見せたり、「穏やかに暮らしたい」とこぼす竜之助。…自分すら信じられず、狂気に抗うことも出来ずに悪夢に苛まれる姿は、まるで重度の中毒患者のようでした。
そんな重苦しい雰囲気を払拭するのが、(敵討ちより恋のエピソードが多い気がする)兵馬とお松、そして純粋で気の良い下男・与八です。
とくに与八の純粋さには救われました。完結篇で息子を抱くことも出来ない竜之助を哀れみ、兵馬に復讐をやめるよう頼む姿は、兵馬が言うようにまるで仏様のようです。

ラスト。幻影の中で息子の泣き声を聞き、あの竜之助が父親の顔で息子の名前を呼び続ける姿に、思わず涙がこぼれました。

映画「影武者」観た

 | 時代劇  Comment(8) 
Tag:黒澤明 日本

影武者
製作:日本’80
監督:黒澤明
ジャンル:時代劇/ドラマ/アクション

【あらすじ】戦国時代。野田城侵攻で武田信玄が撃たれ、その噂は瞬く間に各武将に届いた。真偽を確かめるため密偵が放たれるなか、”三年は死を隠し通せ”という信玄の遺言を守るため影武者が立てられる。その男は、かつて処刑されかけたところを、信玄に瓜二つだという理由で助けられた盗人だった。

今回は、「シネマ・イラストレイテッド」のMardigrasさんと「映画鑑賞の記録」のサイさんが企画した、バーチャル鑑賞会にちゃっかり参加してみました。

冒頭がいいですね、あのなんとも言えない”間”の取り方。主従関係で本体と影の関係でもある兄弟の会話が、ほどよい距離感を出していたように思います。
そして、そこに盗人が連れてこられ、おっかなびっくり信玄に文句をつけるところが、またいい。時代劇というと現在の日本とあまりにも違って、わたしは少なからず別の世界の話という気がしてしまうのですが、黒澤監督の描く時代劇の人物は(特異な人物を除いて)なんら私たちと変わらないと思えるんですよね。この盗人の”ふつうっぽさ”に、すごく親近感を覚えます。
あと、違う雰囲気を纏った三人が同じ格好をして並んでいるのも、なんだか笑えました。

その後、盗人が本格的に影武者になったり、ばれそうになっても度胸で切り抜けてしまったり…。色んなことがあるけれど、わたし的には孫が出てきたときの”ほわぁ~”と和んだ空気が好きです。盗人の事は”盗みで磔に”ということしか出てきませんが、きっと孤独だったんだと思うんですよね。だから、信玄たちが自分を必要として、孫があんなにも慕ってくれて、いつの間にかあそこが自分の居場所になってしまった…。それがラストの行動につながるのかもしれないけれど、影ではなく自分自身として死んでいったのだから満足だったのかなぁと思います。
でも、終盤の合戦シーンはわたしにはよく分からなくて、正直かなりきつかったです。途中何度か寝そうになってしまったけど、企画のおかげで最後までちゃんと観れたのでした(笑)

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映画「雨月物語」観ました

 | 時代劇  Comment(8) 
Tag:日本

雨月物語
製作:日本’53
監督:溝口健二
原作:上田秋成
ジャンル:★ドラマ/時代劇

【あらすじ】戦国時代、戦に乗じて焼き物商売をする百姓・源十郎。すべては妻子にいい暮らしをさせるためだったが、町で美しい若狭姫と出逢い共に暮らし始めてしまう。一方、彼の商売を手伝っていた藤兵衛は、出世のため妻を残して戦に加わり…。

雨月物語ってこんなに泣けるものだったんですね。以前これをもとにした何かの作品をみたときは、浮気男が全てを失う自業自得な話という印象だったんですが、こんなにも愛情に溢れた物語だったとは…。
まず、雨月物語=ホラーという図式が崩れました。
前半で丁寧に描かれる源十郎たちの生活と夫婦の愛情。愛するものを幸せにしたいという想いが、しだいに金や出世への欲へと繋がり、妻が望むささやかな幸せに気づかない。そんな、夫婦のドラマがメインなんですよね。
それに、幽霊が出てきてもぜんぜん怖くないし、源十郎が逃げ出そうとした時も、不気味担当の姫の付き人が『こんな可哀想な身の上の姫を残して、気が咎めないのか~』と情に訴えてくるし。ラストの涙腺を刺激する展開も、ホラーというよりファンタジーでした。
また、源十郎の愛情や誠実さが言動の端々から感じられ、不倫男への嫌悪感をあまり感じなかった事にも驚きました。確かに彼は誘惑に負けてしまうんですが、着物を見ながら奥さんの喜ぶ顔を思い浮かべていた時は、姫のことなんて頭になかったように見えますし、姫の誘惑も”おびき寄せる”というより”追い詰める”感じなんですよね。
でも結局は、不倫のせいで防げたはずの悲劇も防げなかった訳で。それでも優しく彼を迎える奥さんの姿には、本当に涙がこみ上げてきました。
最後の言葉は切なすぎる…。

余談ですが、姫を最初に見たとき”化粧をしない女しか見たことがなさそうな百姓が、若狭姫をみて美しいと思うのか”なんて思ったんですが、不思議なことに10分もしないうちに妖しい美しさを感じてしまいました。女優の力量ですね。
でも、一番いい女だと思ったのは藤兵衛の奥さんだったり。逞しくて素敵。

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映画「不知火檢校(しらぬいけんぎょう)」観ました

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Tag:森一生 日本

不知火檢校(しらぬいけんぎょう)
このシーンをじっくり見たら、手に力が入ってなくて安心(笑)
製作:日本’60
監督:森一生
原作:宇野信夫
ジャンル:時代劇

【あらすじ】貧しい家に生まれ、両親のために人から金を騙し取る盲目の少年がいた。成長し按摩師となった徳の市は、罪悪感の欠片もなく悪の限りを尽くしてのし上がる。やがて、仲間をけしかけ師匠を殺し、盲人の最高職位・檢校となるが…。

あまりの悪役ッぷりに唖然としながら観てしまいました。
ピカレスク時代劇っていうんですか?悪漢が主役の。時代劇なのにピカレスクって…語呂がいいような悪いような。
それはさておき、この男の”悪”は少年時代から始まっていました。お祭でお酒を騙し取って両親を喜ばせる(騙し取ったことは内緒)くらいは可愛いもので、金持ってそうな男に手紙を読んでもらい『一両同封すると書いてあるのに入ってない、泥棒だ!』と詐欺師顔負けの仕事をしてみせます。
この頃から、まるで罪の意識を感じていないのが末恐ろしい!!
当然、大人になっても道徳心は芽生えず、更に悪に磨きをかけます。
しゃくで苦しむ旅人と出会い、百両持っていると知ると躊躇なく男を殺害。それを目撃していたヤクザの倉吉には口止め料五十両を渡し、今度また会いましょうと知人の証明にお守りを借ります。そして、それを死体に握らせ…。
彼にとって金や出世がすべてで、他のものは取るに足らないどうでもいいことなんですよね。
彼の欲望は尽きることがなく、隙や弱みに付け込んで女性を慰み者にし、それを苦に自殺しても「死ぬほどのことじゃないのに」と鼻で笑います。そして、偶然再会した倉吉とそ知らぬ顔で仕事をし、「ついでに」と師匠殺害までやらせてしまいました。

ここまでくると、最初の親孝行(に見えなくもない)少年時代はなんだったのかと思えてきます。もしかしたら、生きるのに必要な存在だったから良い顔をしていただけなのでしょうか?
どこまでも”悪”でしかない彼の存在感は相当なもので、全然好きではないけど強烈なインパクトを残しました。時代劇はあまり観ないほうですが、たまにドギツイのにあたって驚かされます。

映画「虎の尾を踏む男達」観た

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Tag:黒澤明 日本

虎の尾を踏む男達
製作:日本’45
監督:黒澤明
ジャンル:★時代劇/ドラマ

【あらすじ】1185年。兄・頼朝に命を狙われる義経は、弁慶らとともに山伏に扮し奥州へ落延びようとしていた。しかし、彼らを案内していた強力(ごうりき)から、情報を得た関守・富樫左衛門が待ち伏せていると知り…。

始めは桶狭間の戦いをやろうとしていたけど、馬が用意できず急遽変更したもの。戦時中で物や資金が不足するなか、その制約を楽しむように製作されたそうです。
能や歌舞伎を元にしているということですが、途中音楽に合わせて状況説明された(ミュージカル風?)こと以外は普通だった気がします。と言っても、能や歌舞伎なんて観たことないし、7割くらいセリフが聞き取れず映像と想像力でなんとか観てた状態なんですけどね。オリジナルの登場人物・強力の豊かな表情や動きで、セリフがわからなくても色々伝わってきました。
あと、観ているうちに山伏の衣装がなんか可愛いくみえてくるのが不思議。

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「影武者」観た

映画「乱」観ました

乱
製作:日本/フランス’85
監督:黒澤明
原作:ウィリアム・シェイクスピア
ジャンル:★時代劇/ドラマ

【あらすじ】多くの血を流し今の地位を築いてきた秀虎は、70歳を迎え家督を長男・太郎に譲ることに。安楽な余生を望む秀虎に、三男・三郎だけが辛らつな言葉で忠告する。それに腹を立て三郎と親子の縁を切る秀虎だったが、彼を待っていたのは息子たちの裏切りと血で血を洗う戦いだった。

まず目に飛び込むのが自然や衣装などの鮮やかな色彩で、その刺激のおかげか感覚が研ぎ澄まされた気がします。実際のところ、いつもは雑音や眼精疲労が気になってしまうのに、「乱」を観ている間は一切そんなことがなく、ずっと正座で観てました。(2回に分けて観たけどね。)
そして、もう一ついつもと違ったのが、”復讐”嫌いの私が復讐者である楓さまに惚れ込んでしまったことです。
太郎と二郎を手の平で転がす”したたか”で”冷酷”な姿。それを際立たせる、あの時代の表情を隠すような化粧。逆らうことを許さない強い物言いに、恐怖を通り越して畏怖の念を抱いていました。
ほんと、こういう女性を描くのが上手いですよね。黒澤監督は。
他にも、絶望で枯れ果てて行く秀虎や、そんな彼を見守ってきた狂阿弥の叫びなど、記憶に焼き付くようなシーンが沢山あります。感動というよりも強烈なインパクトを残す作品でした。

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