西ドイツ 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「ミスター・ノーボディ」観た

ミスター・ノーボディ
原題:MY NAME IS NOBODY
IL MIO NOME E NESSUNO
製作:イタリア・フランス・西ドイツ・アメリカ’74 115分
監督:トニーノ・ヴァレリ
ジャンル:コメディ/西部劇

【あらすじ】伝説の老ガンマンの前に現われた風来坊。彼は無敵と謳われたガンマンを自分の手で倒したいと語りながらも、老ガンマンとの対決を何故か避けようとする。そして150人のワイルドバンチを倒して伝説となるようお膳立てをはじめ…。

先が読めないユーモアあふれる作品。序盤で風来坊が雑魚敵に言われる「てめぇはツケが利くほど長生きしねぇ」というセリフから痺れました。画づくりもカッコいい!
とにかく主人公?の風来坊が何考えてるかわからないんですよ。伝説の老ガンマンと戦いたいのか、彼に150人のワイルドバンチと戦って死んでほしいのか、それとも…?

老眼鏡で目をしばたかせてる伝説の男が、150人の馬に乗ったガンマンたちと戦わなきゃいけないという状況に陥ったシーンの絶望感がすごかったです。主人公はサイコパスだったのか!?と、あの笑顔が怖く見えてきたり。
最後はそういうことか、と笑顔になれますが、ホント先が読めなかったです。

あと、途中出てくる遊園地みたいなところが面白かったですね。あの時代の西部って、意外と凝った出し物が多かったのかな。ミラーハウスでの対決とか、若干長かったけど西部劇としては斬新。
しかし、お墓にサム・ペキンパーって名前が…(笑)
ちなみに、ワイルドバンチは「荒くれ者」の意味で某作品のタイトルを意識しているだけでなく、アメリカ西部開拓時代末期に実在したギャング団の俗称らしいです。

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映画「U・ボート」観ました

U・ボート
原題:DAS BOOT
製作:西ドイツ’81
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
原作:ロータル=ギュンター・ブーフハイム
ジャンル:★戦争ドラマ

【あらすじ】1941年秋、ナチス・ドイツ占領下のフランス。歴戦の艦長と古参クルー、若者ばかりの水兵を乗せた「U96」がラ・ロシェル港から出航した。連合国護送船団の攻撃任務につく彼らを取材するため、若き報道班員ヴェルナー少尉も同行する。クリスマスには帰港できると信じ、荒れ狂う北大西洋での孤独な索敵行が続くが…。

こういう作品を観るたびに思うけど、潜水艦にだけは本気で乗りたくないです。
狭い、臭い、汚いと三拍子揃った劣悪環境で、1ヶ月も過ぎれば毛じらみが大流行。パンは元気にカビルンルンして、そんな生命力にさえ励まされる心理状態…。人間の生活できる環境じゃない!
表に出るたびに海水を浴びているのに、真水で髪を洗うこともできければ服も洗えない。そんな状態の人間が何人乗ってるのか知らないけど、想像も出来ないほどの臭いが充満しているのが画面から伝わってきます。(それに比べてドイツ商船は天国!)
しかも、戦闘が始まれば逃げ場がなく、見えぬ敵や海水・水圧との戦い。水圧で船体がミシミシと音を立て、ボルトが鉄砲玉のように弾け飛び、血が流れる…。とてもじゃないけど耐えられません。
終盤、九死に一生を得て浮上し、新鮮な空気を思いっきり吸おうとハッチの下に集まるクルーたちの姿が印象的です。
妙にリアルな汚さだと思ったら、原作者は実際に海軍報道班にいた方なんですね。実話ではないようだけど、艦内の様子は体験に基づくものなんだと納得でした。

そして、敵の攻撃を受けて沈んでからの展開も、恐ろしくて息が詰まるようでした。
状況を報告させれば、どこもかしこも壊れ、機能停止のオンパレードで、いるのは圧壊深度200mをとっくに超えた270mの暗い海の底。
こんな絶望的な状況なのに彼らは決して諦めないんですよね。…というか、諦めたって怖いものは怖いから、やれることがあるならやるしかない。頭をフル回転させて、体を動かして、恐怖を吹き飛ばそうとしているのかも。
一度は恐怖に混乱し、持ち場を離れたことがある機関士ハンスが、この時はひたすら自分の仕事に没頭して、不眠不休で機関部をよみがえらせていくのが頼もしかったです。
それもこれも艦長が常に最善を尽くしてきたからで、リーダーとしてみなを引っ張っていく姿には部下でなくても「一生ついていきます!」と忠誠を誓いたくなりました。時には冷徹に、時には人間らしい弱さや感情的な部分も見せる魅力的な人物です。
人間の諦めない力って偉大だなぁと、心底思いました。

しかし、そこで終わらないのが戦争なんですね…。虚しさしか残らないラストに呆然とするしかありません。

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映画「さよなら子供たち」観ました

 | 戦争  Comment(6) 
Tag:フランス 西ドイツ

さよなら子供たち
原題:AU REVOIR LES ENFANTS
製作:フランス・西ドイツ’87
監督:ルイ・マル
ジャンル:★ドラマ/戦争

【あらすじ】1944年、ナチス占領時代のフランス。パリからカトリック寄宿学校に疎開している12歳の少年ジュリアンの学校に、ジャン・ボネという少年が転入してくる。ジャンはなかなか級友たちと馴染もうとしなかったが、次第にジュリアンに心を開き始め…。

観ていて「ルシアンの青春」を思い出したけど、同じ監督の作品だったのか…。どういう気持ちで「ルシアン~」を撮ったんだろう。戦争さえなければ…という感じかな?
「さよなら~」の中では、生きていくためにゲシュタポに密告する人が描かれていて、ジュリアンは怒りを覚えるものの、たぶん憎んではいません。心のどこかで「生きていくためには仕方ない」という彼らの気持ちを否定できないんだと思います。…だって、誰だって貧困やゲシュタポは怖いもの。
森で迷子になった時は、ドイツ兵が学校まで送りとどけてくれたエピソードもあり、きっと戦争がなければ、みんな善き隣人だということを実感していたんでしょう。

しかし、終盤のゲシュタポのおじさんの怖いこと!
一瞬で生徒の中から真実を知るジュリアンを見つけ出し、不安を煽ってボロを出すように仕向けるんですよね。背中を向けているのに、ジュリアンがついボネの方を見てしまったのを見逃さない!
彼の中では「自分のせいで」とわだかまりが残っただろうけど、あれは仕方ないよ…。相手はプロだもん。

ラストの別れには胸が張り裂けそうになりました。ピアノ連弾や「チャップリンの移民」を笑顔で(終盤は物語に没頭して)観ていたシーンなど、幸せなふたりの様子が目に浮かんで、涙せずにはいられません。
静かに涙を流しながら、決してボネから目を離すことができない…。無言で手を振るジュリアンと、扉の前でじっと彼を見つめるボネ…。
冒頭で「ママと別れて疎開するなんて嫌だ」と、おでこのキスマークも気にせず今生の別れのように涙してたジュリアンが体験した、本当の別れ。
「この日のことは死ぬまで忘れないだろう」というモノローグに、この作品を撮らずにはいられなかった監督の心情がうかがえます。

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映画「ネバーエンディング・ストーリー」観ました

ネバーエンディング・ストーリー
原題:THENEVERENDINGSTORY
製作:西ドイツ・イギリス’84
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
原作:ミヒャエル・エンデ
ジャンル:★ファンタジー/アドベンチャー

【あらすじ】母を亡くし悲しみに沈んでいた少年バスチアン。いじめっ子に追いかけられ古本屋に逃げ込んだ彼は、店主が読んでいた不思議な本と出会う。こっそり持ち出し、学校の屋根裏で読み始めた彼は、ファンタージエンを舞台にした冒険物語にすぐに引き込まれ…。

これ大好きなんですよ~。もうOPの曲からワクワクドキドキしちゃいます。
ファンタージエンの世界観も素敵なんだけど、一番ドキドキするのはその世界への入り口となる、古本屋や屋根裏なんですよね~。”屋根裏”という言葉の響きがこんなに魅力的に感じるなんて!
ただ、屋根裏に行くまでの学校の白い廊下を見たら、なぜか「シャイニング」を連想してしまいました(笑)
屋根裏では、バスチアン側とアトレイユ側が切り替わり話が進んでいくんですが、だんだんとアトレイユ側を描く時間が増えていくとこもいい。バスチアンが本に熱中していく感覚を共有してるようで、一緒になってアトレイユの冒険に心奪われてしまいます。アトレイユ側だけ観てもダイジェストみたいな流れなのに!
ファンタージエンの住人も大好きですね~。アトレイユ(撮影中に二度も死に掛けたとか…)はカッコ可愛いし、愛馬アルタスクの別れのシーンでは毎度涙してしまいます。ふわふわんこなファルコンはもちろん大好きだし、なんと言っても幼ごころの君は私にとって永遠のヒロインです(今回の字幕は女王呼びだった!?)。大きな岩男とその仲間たちや大亀、小人の老夫婦も短い時間でいい味だしてました。
最後に叫んでいた名前は字幕がなかったので調べてみたら、ドイツ版ではモンデンキント(月の子)、英語版だとムーンチャイルドと言っていたそうです。てっきり母親の名前をつけるのかと思ったら、結局違う名前をつけたんでしょうか?
今まで考えもしなかったけど、本屋のおじいさんは以前、幼ごころの君に名前をつけた事があるのかも。
久しぶりの再見にドキドキしまくりでしたが、ファルコンの力を借りていじめっ子に仕返しするラストだけはいただけませんでした。続編を覚えてないから夢オチなのかもしれないけど、わざわざラストに持ってくるようなものじゃないですよね。そこだけが残念…!

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映画「バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版」観ました

 | ドラマ  Comment(14) 
Tag:西ドイツ

バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版
製作:西ドイツ’87
原題:OUT OF ROSENHEIM
監督:パーシー・アドロン
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】アメリカ、モハヴェ砂漠のはずれにある、寂しげなモーテル“バクダット・カフェ”。いつも腹を立てている黒人女性ブレンダがきりもりするそこに、太ったドイツ人女性ジャスミンがやって来る。ひとりで歩いてきた奇妙な客に、彼女は警戒するが…。

子供の頃、太ったおばさんがドラム缶風呂に入って、原住民みたいのに囲まれてるシーンを観た覚えがあるのに、内容をまったく思い出せなくて観てみました。
結果、最初の十数分しか観てないことが判明。たぶん、母親が「なにこれ!」ってチャンネルを変えてしまったんだと思います。子供に見せちゃまずいと思ったんでしょうね(笑)
観たらぜんぜんイメージと違って驚いてしまいました。なんせ、長いこと↑のシーンしか印象になかったので。…というか、アレだけの情報でこの作品だと気付いたことにもビックリ。それだけジャスミンのインパクトが強かったのかな。

感想としては、心が荒んでしまっているブレンダと、謎の来訪者ジャスミンとの遭遇が面白かったです。出会うというか、遭遇?
最初はまるで違うタイプで、水と油みたいなんですよね。ジャスミンが水で、ブレンダは火のついた油でしょうか。火がついている間は近づくと危険ですが、ある時ふっと燃え尽きて、あとはもう反発しあう事もありません。負の感情でぶつかっていっても、それが仲良くなるきっかけになることもあるんだなぁと思いました。もちろん、周りが見えなくなるほど頭に血が上ったら、そのきっかけも見失ってしまうでしょうが。
ブレンダの他にも、彼女の子供や夫、カフェの常連や流れ者など、個性的な登場人物がたくさんいて、ゆっくりテンポでも飽きませんでした。なかでも、ジャスミンに想いを寄せる絵描きのエピソードはニヤニヤしてしまいます。絵のモデルをしていくうちに、ジャスミンがしだいに大胆になっていくのと、彼がますます想いを募らせているのが絵から伝わってくるのがいいです。
「仲が良すぎる」と出て行ってしまう刺青師も素敵でした。

ラストのマジックショーはわたし的には楽しい雰囲気で結構好きでした。勘違いしてたんですけど、ジャスミンの夫がマジシャンだったわけではないんですね?
ずっと、そう思い込んでいたから、このラストもなんの疑問も違和感も覚えず素直に楽しめたのかも。
主題歌の“Calling You”も最高です!!

再見(2014/5/5)
Gyaoでニュー・ディレクターズ・カット版を配信してたから再見したんですが、どこが違うのかわからず調べなおしたら、この記事が間違ってて<完全版>じゃなかったわ…(修正しました)。じゃあ、わたしが観てないのは、完全版と短いアメリカバージョンってことね。
いつもオンエア情報調べてるサイトの記録に載ってなくて、初見が何バージョンだったかわからない…。2004年より前だったのかな?
まあいいや。約2年半ぶりの再見という事で、良かったものの新鮮味はなかったです。10年くらい空けた方がいいかも。
終盤は確かに一度終わってもいいような流れで、でもブレンダの歌が好きだからここだけは譲れない。ラストシーンの「ブレンダと相談する」ってセリフもね。
というわけで、個人的にはブレンダとの再会&抱擁で「Calling You」に入り、エンドロール後にショーとプロポーズ、あのセリフがきてバーンと「FIN」でいいと思った。

映画「赤毛のアン」4作観ました

 | 青春  Comment(6) 
Tag:カナダ 西ドイツ

赤毛のアン
製作:カナダ・アメリカ・西ドイツ’86
原題:ANNE OF GREEN GABLES
監督:ケヴィン・サリヴァン
原作:ルーシー・モード・モンゴメリー
ジャンル:★青春/ファミリー/文芸

【あらすじ】カナダのプリンス・エドワード島に住む、マシュウとマリラの独身の老兄妹。孤児院から男の子を引き取るが、手違いで赤毛の少女アンがやってきた。空想が好きでおしゃべりな少女に手を焼くが、やがてかけがえのない存在となっていき…。

ちらほら観た事はあった「赤毛のアン」を、初めてちゃんと観ました。まあ、元はドラマだったみたいで、ところどころすっ飛ばしたなぁと思うところはあるものの、とても面白くて録画してあったのを一気に鑑賞。原作も読んだ事がなかったから、大筋すらほとんど知らなかったんですよね。老夫婦に引き取られたのかと思ってたら兄妹だったし!
アンの性格は、いろいろなところで聞いていたので、なるほど確かに身近にいたらめんどくさそうな子だなぁと思いました(笑)
あの想像力と芝居がかった言葉遣い、放っておけばいつまでも続きそうなおしゃべりには負けます。とってもいい子ではあるし、物語の主人公としては大好きだけど、実際に彼女の友達や家族になったら…。
あと驚いたのが、どんだけアンのことが好きなんだよってくらいのギルバートの一途さ。1年だか2年だか無視されまくっていて、あれだけ好きでいられるのは凄い事だと思います。ややストーカー気味だったけど。
三作目のサブタイが「アンの結婚」でやっと彼の想いが報われるのかと思ったら、ぜんぜん一緒にいられなくて悲しい。「新たなる旅立ち」にいたっては、もうお亡くなりになってるし!
そして、当然の事ながら、アンの育ての親マリラとマシューとの交流には心温まりました。不器用なマリラと寡黙なマシュー。彼らのためにアンがいて、アンのために彼らがいると思えるくらいの深い絆に、なんど目頭が熱くなったことか。ギルバートや心の友ダイアナとのことを見守る目が本当に優しくて、血がつながっていない事なんてすぐに忘れてしまいました。
他にも、孤児院の院長さんや女学校の校長キャサリンなど、魅力的な人々がたくさんいたし、プリンス・エドワード島の風景もたっぷり堪能できました。
出来れば原作やドラマ、アニメも観てみたいです。

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第15回ブログDEロードショー「ベルリン・天使の詩」

 | ブログDEロードショー  Comment(15) 
Tag:フランス 西ドイツ

原題:DER HIMMEL UBER BERLIN
製作:フランス・西ドイツ’87年
監督:ヴィム・ヴェンダース
開催:2010/12/17~12/19
ベルリン・天使の詩
「シネマ・イラストレイテッド」のMardigrasさんが選んで下さいました。
理由は、長年観たいと思っていながらなんとなく手が伸びなかったので、この機会にぜひ皆さんとご一緒したいから。これまでイギリス以外のヨーロッパ映画がなかったので、ちょっと目先を変えて。とのことです。

企画内容については、サイドバーにある「ブログDEロードショー」欄の”企画概要+参加者名簿”のリンク先をご覧下さい。

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映画「勝負(かた)をつけろ」観た

勝負(かた)をつけろ
製作:フランス/西ドイツ’61
原題:UN NOMME LA ROCCA
監督:ジャン・ベッケル
原作:ジョゼ・ジョヴァンニ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】殺人容疑をかけられた友人アデを救うため、マルセイユにやってきた山師ロベルト・ラ・ロッカ。だが、アデを陥れた男ビラノバを殺してしまい、間もなくアデは投獄された。ひと悶着起こした彼は、アデと同じ刑務所に投獄され…。

友人がピンチというのに、前半はあまり助ける努力をしているように見えない主人公。早撃ちは格好良かったものの、正直ハズレかと思いました。(フィルムノワール好きにはたまらないみたいです)が、中盤の(故意に?)刑務所に入ってからは、友情がきらりと光り面白くなってきます。
なかでも印象的なのが、刑期を短くするために参加した地雷掘り!
今ではネズミ(HeroRATS)による地雷探知でかなりの成果を上げているようですが、昔はこういうのが一般的だったんですね。汗が落ちるのにも冷や冷やしてしまうような緊迫感が伝わってきます。
疲れ果てたロッカのため、こっそり難しい作業を代わりに行うアデの友情にぐっときました。
それだけに、友情の終焉を迎えるラストはやるせない…。人間はそうそう変われないのかと、虚しさに襲われました。

原題の意味はたぶん「その名はロッカ」というところでしょう。
同じ原作、同じベルモント主演で再映画化した『ラ・スクムーン』という作品があるらしいので、機会があったら観てみたいです。

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映画「菩提樹/続・菩提樹」観た

 | 伝記/自伝/実話  Comment(6) 
Tag:西ドイツ

菩提樹/続・菩提樹
製作:西ドイツ’56
原題:DIE TRAPP-FAMILIE
監督:ヴォルフガング・リーベンアイナー
ジャンル:ドラマ

トラップ家の7人の子供たちの家庭教師として派遣されたおてんばな修道女マリア。だが、父親は第一次大戦の英雄で、規律正しい生活はまるで寄宿舎のようだ。彼女は子供らしく遊ぶことを教え、一緒に歌を歌って子供たちの心を掴む。

サウンド・オブ・ミュージック」と同じく、マリア・フォン・トラップの半生を描いた作品。
「菩提樹」のほうは、かなり後の方になるまで”サウンド~のあらすじをみているようだなぁ”と思って観てました。歌声は聞き惚れるほどですが(次男役は「野ばら」の主人公)、あちらの印象が強烈なので、ちょっと落ち着いた雰囲気のこちらは物足りなく感じてしまったようです。
でも後半、トラップ大佐が友人のために全財産を銀行に預け、銀行が倒産して一文無しになってから見ごたえが増してきます。
破産しても明るくたくましいマリアと、そんな彼女を信じ陰ながら支えるトラップ大佐(後半影薄い)、健気に手伝うこどもたち。屋敷でホテル業を始めたり、コンテストに参加したりと、家族の絆で困難を乗り切っていきます。サウンド~では登場しない超重要人物の音楽教師ヴァスナー神父も活躍。彼の協力がなかったら、彼らの道は閉ざされていたことでしょう。
ラストはまさしく”芸は身を助ける”という感じで感動的なんですが、ザーミッシュさんと相棒の信頼関係が希薄なのがちょっと気になってしまいました(笑)

「続・菩提樹」の方は、亡命後のお話。右も左も分からないアメリカでの苦労話は、サウンド~では語られなかった部分なので必見!
冒頭、例のザーミッシュさんたちはやはり無能だったらしく、一家は早々にさじを投げられてしまいます。次のマネージャーも、仕事はとってくれるし服装の注文もしてくるけれど、何を歌うかは言ってこない…。受けが悪い原因は明らかだと思うのに、何故なにも言わないんだろう…???
それが普通だったのか、彼らが無能だったのか、はたまた熱血神父様に口答えできなかったのかは分かりませんが、結局マリアが何とかしてくれるのでOK。ただ、あれだけ聖歌を聴かせる事にこだわっていた神父様が、”まずはお客の心を掴むことが重要”だと気付くシーンとかないのが残念でした。
あと、ボロ屋を修繕するシーンだけ、何故かミュージカルっぽくて変な感じです。

映画「ルシアンの青春」観た

 | 戦争  Comment(2) 
Tag:フランス イタリア 西ドイツ

ルシアンの青春
ルシアンがやたらと鳥を絞めてた…。
製作:フランス/イタリア/西ドイツ’73
原題:LACOMBE LUCIEN
監督:ルイ・マル
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】狩りの上手い17歳のルシアンは、レジスタンスに憧れ志願するが断られる。ひょんな事からゲシュタポと知り合った彼は、何気なく情報を洩らしてしまい彼らの仲間に。しだいに心を失うルシアンだったが、美しいユダヤの少女と出会い…。

*ネタバレ注意!*
あらすじを読むとまるで、戦争ですさんだルシアンの心が、ユダヤ人の少女との交流で人間味を取り戻していく物語なのかと想像してしまいますが(売り文句もそんな感じです)、実際に観てみるとぜんぜん違う印象を受けました。
成り行きでゲシュタポの手先となり、すぐその冷酷さに馴染んでしまったルシアンは、ユダヤ人の少女フランスに一目惚れし、当然のように”権力”を振りかざして彼女に近づきます。つまり、「彼女に会わせないと連行するぞ。」と彼女の父親を脅したわけです。
そして彼女の方も、彼を利用して家族で外国に逃げようと考えたのか、同情を引いて彼と肉体関係を結びます。
でも、ルシアンはそのことに全く気付いてません。
父親を銃で脅しておいて何言ってんだって感じですが、本気で彼女の愛を得られたと信じて疑ってなかったように見えました。
フランスの父親が「あなたを憎みきれない」と言ったのも、こういう「恋は盲目」的なところがあったからでしょうか?
結局この父親、娘の本心を打ち明けることなく収容所へ連行されてしまいます。あからさまな自滅行為だったので、たぶん娘の目を覚まさせたかったんだと思います。
その後、逃避行が始まるんですが、ここに来てやっとルシアンが表情を見せ始めます。

二人に訪れたほんのわずかな穏やかな時間。
本当の恋人同士のようにはしゃぐ二人と、ふと彼女が見せた”殺意”
思いとどまったのは”依存”のためなのか、それとも”愛”に気付いてしまったからなのか…。

この一瞬があるために、後の彼らの運命を考えると物悲しいです。
彼女の愛がルシアンを変えた訳ではないけれど、確かにタイトルの通り”ルシアンの青春”を描いた作品でした。

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