フランス 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「青春群像」観ました

 | 青春  Comment(8) 
Tag:イタリア フランス

青春群像
原題:I VITELLONI
製作:イタリア・フランス’53
監督:フェデリコ・フェリーニ
ジャンル:★青春/ドラマ

【あらすじ】アドリア海沿岸のとある町。美人コンテストで優勝したサンドラは、突然の不調で遊び人ファウストの子を身篭ったと確信した。彼の厳格な父親のおかげで、めでたくふたりは結婚。だが、間もなくファウストの浮気の虫が騒ぎ出す。それを心配そうに見守るサンドラの兄モラルドだったが…。

邦題どおりの内容で、話の中心にもなってるファウストはクズ野郎なんだけども、なんだか目が離せなかったし最後はホロリときました。
色々と印象に残るシーンもあって、とくに故郷を去るモラルドの目に浮かぶ、友人たちの眠るベッドが次々と過ぎ去っていく光景は良かったです。どうしようもないところもあるけど、やっぱり自分を形作ったものはすべてここにあるんだ…という感じで。
あとは、天使像を預けられた浮浪者?が、それを海岸に立ててにっこり微笑むシーンとか、モラルドが駅で働く少年と語らうとこ、レオポルドが老俳優にからかわれたり、労働者を馬鹿にして追いかけられるくだりなども印象に残ってます。赤ちゃんも可愛かったし。

それに、浮気症のファウストの心理が意外とわかりやすく描かれてて、浮気してしまう理由ってこういうことなのか~と納得できました(誰もが彼と同じ理由とは限らないし、納得できたからといって許せるわけじゃないけど)
とりあえず彼の場合は、結婚してから家庭のことでも仕事のことでも惨めで満たされない状態にあって、代わりに別の何かで満たそうとした時、彼にとって一番手っ取り早いのが浮気だったということなんでしょうね。女好きというだけじゃなく、女性に評価されることで満足できる、みたいな。
失敗を盗みや嘘で取り繕うとするのも、彼にとって他人の評価が大きく、評価してもらえるなら中身がともなってなくても構わないという事だと思うし、中身がともなってないから自信が持てず、他人の評価を気にしてしまうという負のスパイラルはわからないでもないです。
後半はしみじみ「こいつクズだなぁ」と思いつつ、彼を突き放せないモラルドの気持ちもわかる気がしました。

浮気癖はそう簡単には治りそうもないけど、「次は私がぶん殴る」と宣言したサンドラと「それでいいんだ」と嬉しそうに笑うファウストを見たら、そんな心配は必要ないようで(笑)
ふたりとも社交的だし、小さな民宿でも始めればいいんじゃないでしょうか。美人のお客に見惚れるファウストに、3倍くらい横に大きくなったサンドラが「何よそ見してるのよ!」バシーン!!みたいな未来を想像したら楽しかったです♪
ちなみに、原題は”雄牛、乳離れしない仔牛”のことで「のらくら青年」を表すリミニ(フェリーニの故郷)の方言なんだとか。

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映画「見知らぬ医師」観ました

見知らぬ医師
原題:WAKOLDA
製作:アルゼンチン/フランス/スペイン/ノルウェー’2013
監督:ルシア・プエンソ
ジャンル:サスペンス/ホラー

【あらすじ】1960年代のアルゼンチン、パタゴニア。自然に囲まれた町で民宿を営むことになった夫婦は、最初の客としてとあるドイツ人医師を迎え入れる。彼は、実年齢よりも幼く見える12歳の娘リリスに興味を示し、彼女も彼を信頼するようになっていくが…。

<ネタバレあり>
ミステリーではないけど、ミステリアスな雰囲気のある作品でした。
まあ、ナチスに詳しい人なら早い段階で医師の正体はわかるんだろうけど、最初から最後までとある少女の目線で描かれているので、彼が何をした人間なのか詳しいことは描かれず「本当はとても怖いおじさんだった」という曖昧な不気味さだけが漂ってきます。
彼が言葉巧みにその家族に近づいていく姿に、何か恐ろしいことが起きるのではないかとハラハラしながら見てました。

ホラー的な描写はないのだけど、”少女や胎児を実験体としか見てない”という静かな狂気に、背筋が寒くなってきます。彼の手帳に描かれた詳細なスケッチやメモからも、”実験体”が自分と同じ人間であるということを一切意識してないのが伝わってくるんですよね。
そんな彼に丸め込まれ、良かれと思って自ら”実験体”になってしまう母娘が危なっかしい。
それと比べると父親はかなり冷静で警戒しているものの、やはり長年の夢に出資してくれるとなると油断してしまいます。…その金がどこからきたものなのか、考えもしなかったでしょう。

その父親の夢というのが人形の大量生産で、機械的に作られていく人形のパーツを満足げに眺める医師のシーンは、上手い暗喩だったと思います。「人形は全て同じにした方がいい」と彼を説得していたのも印象的でした。
実は、原題のワコルダはリリスのお気に入りの人形の名前で、彼女と医師の出会いも人形を拾ったのがきっかけ。
その人形は胸に心臓のからくりが埋め込まれた父親のオリジナル作品で、彼女は他と違うからその人形を選んだと言います。成長が遅れていて背が低い自分と同じだから。
だからこそ、それを治療してくれる”先生”を慕って信じてしまうんですよね…。
彼に限らず、悪意を持つ者はこうやって簡単に忍び寄ってくるのかもしれません。

淡々としながらも、じわじわと恐怖が迫ってくるのは、これが実話に基づいているからでしょうか。実際に逃亡中に実験をしていたかはわかりませんが、正体を隠してアルゼンチン人の一家と暮らしていたというのは事実だそうです。
鑑賞後、死の天使と呼ばれたナチス将校ヨーゼフ・メンゲレについて調べると、もっと恐ろしくなるかも。

映画「さよなら子供たち」観ました

 | 戦争  Comment(6) 
Tag:フランス 西ドイツ

さよなら子供たち
原題:AU REVOIR LES ENFANTS
製作:フランス・西ドイツ’87
監督:ルイ・マル
ジャンル:★ドラマ/戦争

【あらすじ】1944年、ナチス占領時代のフランス。パリからカトリック寄宿学校に疎開している12歳の少年ジュリアンの学校に、ジャン・ボネという少年が転入してくる。ジャンはなかなか級友たちと馴染もうとしなかったが、次第にジュリアンに心を開き始め…。

観ていて「ルシアンの青春」を思い出したけど、同じ監督の作品だったのか…。どういう気持ちで「ルシアン~」を撮ったんだろう。戦争さえなければ…という感じかな?
「さよなら~」の中では、生きていくためにゲシュタポに密告する人が描かれていて、ジュリアンは怒りを覚えるものの、たぶん憎んではいません。心のどこかで「生きていくためには仕方ない」という彼らの気持ちを否定できないんだと思います。…だって、誰だって貧困やゲシュタポは怖いもの。
森で迷子になった時は、ドイツ兵が学校まで送りとどけてくれたエピソードもあり、きっと戦争がなければ、みんな善き隣人だということを実感していたんでしょう。

しかし、終盤のゲシュタポのおじさんの怖いこと!
一瞬で生徒の中から真実を知るジュリアンを見つけ出し、不安を煽ってボロを出すように仕向けるんですよね。背中を向けているのに、ジュリアンがついボネの方を見てしまったのを見逃さない!
彼の中では「自分のせいで」とわだかまりが残っただろうけど、あれは仕方ないよ…。相手はプロだもん。

ラストの別れには胸が張り裂けそうになりました。ピアノ連弾や「チャップリンの移民」を笑顔で(終盤は物語に没頭して)観ていたシーンなど、幸せなふたりの様子が目に浮かんで、涙せずにはいられません。
静かに涙を流しながら、決してボネから目を離すことができない…。無言で手を振るジュリアンと、扉の前でじっと彼を見つめるボネ…。
冒頭で「ママと別れて疎開するなんて嫌だ」と、おでこのキスマークも気にせず今生の別れのように涙してたジュリアンが体験した、本当の別れ。
「この日のことは死ぬまで忘れないだろう」というモノローグに、この作品を撮らずにはいられなかった監督の心情がうかがえます。

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映画「世界の果ての通学路」観ました

 | ドキュメンタリー  Comment(1) 
Tag:フランス

世界の果ての通学路
原題:SUR LE CHEMIN DE L'ECOLE
   :ON THE WAY TO SCHOOL
製作:フランス’2012
監督:パスカル・プリッソン
ジャンル:★ドキュメンタリー

【あらすじ】危険な道のりを毎日何時間もかけて学校に通う子どもたちの通学風景に密着した教育ドキュメンタリー。世界の過酷な通学路4つを紹介し、それでも学校に通い続ける子どもたちと家族の想い、そして教育の意義を見つめていく。

想像してたよりはるかに危険でビックリしました。
毎日がアドベンチャーでロードムービー。映画を何本も作れるレベルです。
週に何日通ってるのか知らないけど、10歳前後の兄妹がサバンナを15km小走りで通うとか…。2時間かけて水とカバンと木の棒をもって通う様子は、本気で冒険の旅に出てるようにしか見えません。
途中、象の群やキリンの群がいたら遠回りしていかなければいけないし、とくに象は何人も通学中の子供が襲われてるらしく、うっかり出くわせば命に関わります。
撮影中も一度出くわして、必死に逃げて岩陰に身を潜めるという状況に。
象が去った後、泣きじゃくる妹にサボテンの実をみつけ、それを食べたらにっこり笑って、ふたりで「天の神さま、地の神さま~♪」と歌うシーンが印象的でした。
学校に行くだけでこの大冒険、日本で暮らしている私たちには想像もつかない世界です。

また、馬に二人乗りして登校する兄妹や、険しい山道を毎週(寄宿学校に)通う女の子、歩けないお兄ちゃんのボロ車椅子を押して通学する3兄弟など、”通学”というより”試練”みたいな道のりをゆく彼らに驚かされました。
それでも頑張って通うのは、勉強することで自分の夢を実現できると信じているからなんですよね。家族とともに貧しい暮らしから抜け出すためでもあるし、学校で学ぶことが希望の鍵なんです。
家族にとっては子供たちが希望で、教育ママのように押し付けるのではなく、夢や希望を信じる心を育てつつ子供たちを支えているのが伝わってきました。

印象に残ったのは、寄宿学校に通う女の子が鶏を1羽手提げ袋に入れていて、たまごを食べるのか、それとも授業料?と思ってたら、大量のお菓子と交換したところ(笑)
一週間かけて、友達と交換したりしながら食べるのかなぁ。どこの国でも女の子はスウィーツが大好きですね!

あと、車椅子のお兄ちゃんを押して、道なき道を行く弟二人が健気でねぇ。「急げ、遅刻するぞ」とか「道が悪いから倒すなよ」とか声を掛けてるだけのお兄ちゃんを大変慕っています。
タイヤを直してもらっている時(修理代は?)も、兄は末っ子はおしゃべりし、しっかり者の次男だけがお店の人の相手をしてる。(その後、末っ子と一緒にタイヤを直せるようになっているところはさすが!)
そんなお兄ちゃんだけども、勉強して将来は立派な医者になると決めていて、痛いのを我慢してストレッチや歩行練習をしています。
障害を前世の悪行の結果だと考える人が多いインドですが、そんな彼の頑張る姿を見ているから、みんな応援してくれるんですよね。

やらせっぽいところもあったものの、学ぶことの大切さや、自分がどれだけ恵まれているか気付かせてくれる作品でした。

映画「シェルブールの雨傘」観ました

シェルブールの雨傘
原題:LES PARAPLUIES DE CHERBOURG
製作:フランス’63
監督:ジャック・ドゥミ
ジャンル:ミュージカル/ロマンス

【あらすじ】フランス北西部の港町シェルブールで、自動車修理工の若者ギイと傘屋の少女ジュヌヴィエーヴが恋に落ちた。だが、まだ17歳のジュヌヴィエーヴを心配する母親は、娘の幸せを願うあまり口やかましくしてしまう。そんなある日、アルジェリア戦争の徴集礼状がギィに届き…。

Gyaoで7月3日まで。
すべてのセリフが歌になってるミュージカルには抵抗ありましたが、ロマンス映画として楽しめました。
といっても、ストーリーは今観ると陳腐と言えるくらいありがちなもので、先が読めるんでちょっと飽きそうになったり。でも大筋は読めても、物語の中心が人物ではなくシェルブールという舞台に固定されているという面白さや、心理描写の丁寧さのおかげで、歌に慣れてきてからはグイグイ引き込まれました。
しかも予想を裏切る善人揃いだったんですよね~。

てっきり母親は「ロミオとジュリエット」の父親のようなタイプかと思ったら、確かに金持ち男が現れた時に期待はしてたと思うものの、実際に求婚されたら面食らってしまうんですよ。そして、口うるさく「ギイの事は忘れなさい」と言いつつ、彼からの手紙を捨てるような卑怯な真似はしません。(絶対捨てると思ってた私が荒んでる?)
それどころか、縁談の邪魔になる孫の誕生を喜んでおり、産着を買ってきてウキウキしてるほどです。子離れできないながら、いいお母さんだと思いました。

そして、お目当てだった「ローラ(1960)」の後日談がまた良いんですよ。
何を隠そう、ジュヌヴィエーヴに求婚した男というのが、失意の後、宝石商として成功したローランなのです。ずっとローラへの気持ちを引きずっていたのに、ジュヌヴィエーヴを一目見て世界が変わったとか、「超面食いなだけかよっ!」と思わないでもなかったけど、大人の余裕で断っても10年くらいは待ちそうな一途さでしたね(笑)
これは「ローラ」を観てると、彼を応援せずにはいられないと思います。でも、結局宝石で釣るのはどうなの!?

そんな彼に見初められたジュヌヴィエーヴも全然悪い子じゃなかったです。
この作品は浮気物だと聞いていて身構えていたんですが、こんなの自然の摂理であって浮気じゃないでしょ。借金抱えた家の17歳の娘に何を求めてるんだ!(17歳には見えないけど)
妊娠するような事をした時点で、妊娠した場合は子供のためにも側にいられない男が身を引くのは暗黙の了解だと思う。というかあの時、ギイが叔母さんにジュヌヴィエーヴを紹介してれば流れも変わってたのでは?
…まあ、若いから仕方ないけど。
とにかく、彼女の選択は愛する人との子供のためだし、思いっきり悩んでいるところが描かれていたので、むしろ彼への愛が深いものだったと思えました。

あと、おそらく昔から密かにギイを愛していたマドレーヌもいい子で、ジュヌヴィエーヴの結婚式を見て、喜ぶわけでも怒るわけでもなく、ギイが傷つく事を想って悲しみの表情を浮かべる控えめなところが好きです。
失意のギイを立ち直らせるための厳しさや、変わらぬ献身、長らく彼を見てきたからこその不安など、ギイと結ばれるまでの機微が、短時間で丁寧に描かれてました。
彼女には幸せになって欲しいですね。

ラストの再会と別れも切なくて余韻に浸れます。二人の子供がそれぞれフランソワーズとフランソワなのがね…(ホロリ)
ここで彼女は不幸そうだと思う方もいるようですが、彼女は最初から好きな男と離れている時は憂鬱そうにしてたし、クリスマスなのに夫は出張中?みたいだし、あのべったりだった母を亡くしたばかりで精神的に参ってたんだと思いたいです。でなきゃ、雪の降る寒い夜に、幼い娘を窓全開の車内に残したりしないでしょ。相当疲れてますよ、事故りそうですよ!
思い出に引き寄せられてシェルブールに寄ったら、幸せそうなギイに会って憂鬱MAXになってただけで、夫が帰ってきたら可愛い娘と愛する夫と、人が変わったみたいに幸せを満喫してるに一票!
だって、そうじゃないとローランが不憫だもの…。
たぶん「ローラ」を先に観てるかどうかで印象が変わる作品だと思います。

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映画「100歳の少年と12通の手紙」観た

 | ドラマ  Comment(1) 
Tag:フランス

100歳の少年と12通の手紙
原題:OSCAR ET LA DAME ROSE(OSCAR AND THE LADY IN PINK)
製作:フランス’09
監督・原作:エリック・=エマニュエル・シュミット
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】白血病を患う10歳の少年、オスカー。周りの大人たちが腫れ物を扱うように接する中、デリバリーピザの女主人ローズが見せた遠慮ない態度が彼の心を掴む。院長に彼の話し相手になってほしいと頼まれた彼女は、オスカーを励ますためにある提案をし…。

GyaOで観賞。気になっていた「地上5センチの恋心」の監督(&原作)作品ということで観てみました。
難病ものではあるけどお涙頂戴にはなっておらず、キュートな映像表現とユーモアに溢れた作品になってました。まあ、少年はあまり病気に見えないし(演技は上手いけど)、ちょっと無理があったり無茶しすぎなシーンがあるけど…半分ファンタジーみたいな作品なので。
でも、12日間で生きる意味をみつけ死を受け入れていく少年と、周りの大人たちの変化を描いた哲学作品でもあって、よく覚えてないけど「ソフィーの世界」の読後感と似た印象を受けました。

ややネタバレあり!
ローズの提案で1日を10年と考えて過ごすようになったオスカーは、12日間で人生を疑似体験していきます。それはもう濃密な12日間で、恋や修羅場、結婚。ローズを娘に迎え、両親とは仲直り。死への恐怖を克服し、毎日の美しさに気付き、人生の長さよりも毎日をどう生きたかが大切だと悟ります。
そんな彼の心境の変化を知るために、ローズが毎日書くようにアドバイスした神様への手紙もいい。同じ病院に入院する女の子が手術することになって、自分のことより彼女の無事と健康を祈る手紙にはホロリときました。
一方、愛や優しさを表に出せずにいたローズも、オスカーと接するうちに変化していきます。最初は人生の先輩、母親のような存在だったのが、最後には彼の友人であり娘でもあるという状況に。見方によっては、オスカーとは逆に人生をさかのぼり、なくしてしまったものを取り戻していくかのよう…。
愛する家族にも見せられなかった一面を、彼女が恐れた”病気”の子供に見せるのは、自分と似た匂いを感じたからでしょうか。彼女が語るプロレスのエピソードは「ビッグ・フィッシュ」みたいで、深い愛情と優しさを感じます。
ラストで驚くほど悲しくないのは、彼もローズも幸せを見つけられたからなんですよね。
若干説教臭く感じたり、宗教色が強いと感じる人もいるかもしれないけど、フランス映画好きの人には意外とおすすめな作品です。

映画「ニュー・シネマ・パラダイス」観た

 | ドラマ  Comment(18) 
Tag:フランス イタリア

ニュー・シネマ・パラダイス
原題:NUOVO CINEMA PARADISO
CINEMA PARADISO
製作:イタリア・フランス’89
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】シチリアの小さな村で生まれ育った映画監督サルヴァトーレ。かつて慕っていた映写技師アルフレードの訃報を聞き、映画館パラダイス座が世界の中心のようだった頃の思い出がよみがえる。彼は帰郷を決意し…。

最初にみたのがこの124分版で、完全版のオンエアがあった時は評判を知らずに喜び勇んで観たらガッカリした記憶があります。で、久しぶりに完全版じゃないこちらがオンエアされたので、また喜び勇んで観ました。
…びっくりするほど感動しなかったです。あれ?
別に退屈したわけではなく、トトとアルフレードの交流なんかは微笑ましくてニマニマしてしまったし、いろんなシーンでノスタルジーを感じたんだけども、それだけだったなぁと。
初見時は感動した気がするのに、いろんな映画を観るようになって感性が変わったのか、それとも完全版によって修復不可能なくらいトトのイメージが壊れてしまったのか…自分でもわかりません。
そんなわけで、わりと冷静に見てしまったので変なところが気になりました。
時代だから仕方ないものの、九九ができずに教師に耳をつかまれて黒板に叩きつけられるシーンは洒落にならないですよね。周りの子が笑っているのが怖い…。
あと、父親の写真が燃えて母親が怒るくだりでは、「缶の中の写真とフィルムが燃えたという事は、妹がランプにフィルムを近づけすぎて火がつき、驚いて缶の中に落とし、蓋を閉じるとか濡れふきんを被せる、水をかけるなどの対処法が思いつかないままに燃え上がる缶を持って外に出たの???」と状況を考えてしまったり。あの子が火のついたものを持って外まで行くとは考えにくいから、母親がパニクって適切な対処が出来なかっただけのような気がする。
また、アルフレードが試験でズルするところは、きっと失明してから後悔したんだろうなぁとか。外の壁に映画を映すくだりでは、2箇所同時に映写できる構造を具体的に知りたいとか。キスシーンフィルムを繋げたのはトトにあげると約束した後なのか、目が見えなくなった後なのか、その時の気持ちと形見として遺すことにした時の気持ちを考えたり。
それと、兵士のエピソードってオチがついてないような…。完全版では最期の日に去った兵士の気持ちについて結論とかでてましたっけ?
「愛のテーマ」は良いとは思うものの、お涙頂戴もののドラマや映画で似たような(影響を受けた)曲が多い気がして、こちらも素直に楽しめなかったです。
一番印象に残ったのはライオンの口が動くシーンですね。幼いトトにはあの映画館自体がファンタジックで夢一杯な場所だったというのが伝わってきます。
あの映画館を完全再現すれば、結構な観光スポットになる気がする(笑)

追伸:後からじわじわ喪失感が…。楽しめなかったことが地味にショックです。

映画「しあわせの雨傘」観ました

 | コメディ  Comment(8) 
Tag:フランス

しあわせの雨傘
原題:POTICHE
製作:フランス’2010
監督:フランソワ・オゾン
原作:ピエール・バリエ、ジャン=ピエール・グレディ
ジャンル:★コメディ/ドラマ

【あらすじ】1977年フランス。雨傘工場を経営するロベールの貞淑な妻スザンヌは、優雅な毎日を送りながらも満たされずにいた。そんなある日、工場でストライキが起こるもロベールが心臓発作で倒れ、彼女が経営を引き継ぐことに。彼女は労働者たちの心を掴み、業績を大幅に改善させるが…。

これは面白い、ありがとうGYAO!
フランソワ・オゾンの作品は最近観てなかったんだけど、「8人の女たち」とか再見したくなっちゃったなぁ。あと、名前は良く知ってる「シェルブールの雨傘」へのオマージュを捧げているシーンもあったらしいので、こちらを忘れる前に観てみたい。
熟年夫婦に離婚の危機という始まり方なのに、こんな展開を見せるとは思わなかったです(笑)
従順な妻から自立した女性に変身していくカトリーヌ・ドヌーヴと、自分が世界の中心だと思っているような男から人畜無害な魂の抜け殻みたいになっていくファブリス・ルキーニの演技が素晴らしい。筆頭株主の座を奪った時の、「今日からあなたが飾り壺よ、きっと楽しいわ」的なことをいうスザンヌの生き生きとした様子と言ったら!
この展開は多くの主婦にとって痛快でしょう。
もちろん、ジェラール・ドパルデューもいつも通り存在感ありました。自分の地位が危ぶまれている時に、夢のような出来事で舞い上がる様子とか、その後の真実を知ってからの手のひらを返したような態度とか、さすがの演技力。
マザコンな息子の出生の秘密や、ロベールの愛人なのに敵であるはずのスザンヌに心酔していく秘書とかも面白かったです。
あと、最後に何故か歌うスザンヌと、それを家で見ていたロベールが孫達とリズムに合わせて体を揺らすくだりはもう笑うしかない。かなり”ツボ”にはまった作品でした。
ちなみに、原題の意味は「飾り壺」。美しいが夫の陰に隠れ、自分の意見を持たない女性という意味で、軽蔑的に使われる言葉らしいです。娘に「ママは飾り壺(お飾りの妻)なのよ」と言われたのがきっかけで変わってゆくんですね~。

映画「ジャック・ソード 選ばれし勇者」観た

 | 歴史・実録ドラマ  Comment(0) 
Tag:フランス

ジャック・ソード 選ばれし勇者
原題:JACQUOU LE CROQUANT
製作:フランス’07
監督:ローラン・ブトナ
原作:ウジェーヌ・ル・ロワ
ジャンル:★歴史劇/ドラマ/アクション

【あらすじ】1815年フランス。革命により貴族たちが国に戻り、村人たちはごう慢な態度をとる彼らに日々不満を募らせていた。農夫の子として生まれたジャックは両親と共に幸せに暮らしていたが、ナンサック伯爵の無慈悲な行動により両親は命を落とし…。

GYAOで鑑賞。こんな邦題だけど農民一揆を題材にした歴史劇です。
原題「JACQUOU LE CROQUANT」の意味は「百姓ジャック(ジャクー)」。ジャックという人物はフィクションっぽいですね。CROQUANTはこの映画の時代のちょっと前に一揆を起こした農民たちの事。
フランス版ロビンフッドと紹介されていて、アクションはたいしてなかったけど、とても見やすく150分の長編でも集中して観られました。
長くてもムダなシーンは一つもなかったし、衣装とかダンス対決が素晴らしい。
ダンス対決と書くと馬鹿っぽいけども、相手は伯爵ですからね。人前で貴族に恥をかかせるのがどういう事かわかっててやってるんで、にらみ合いながらプライドを賭けて勝負するくだりはやたらと緊張感があって引き込まれました。
しかも、ダンスの時に流れる音楽が超私好み!
好きなゲーム「クリスタルクロニクル」とよく似た雰囲気の曲で、あのゲームはフランスのあたりの民族音楽を参考にしてたのかなぁ。

その後、伯爵に捉えられて下水に落とされたジャックが、ボロボロになりながらもそこから脱出するくだりや、平民を舐めるなと言わんばかりの城攻めはぐいぐい引き込まれたし、彼らしい決着のつけ方にも納得。
この時代は平民も裁判を受ける事ができ、貴族も平民も法の前では平等ということになっていても、実際には権力を持つ者が勝つのが現実で、彼が成し遂げた復讐はその形ばかりの裁判への復讐とも言えるかな。
裁判の様子を窓からのぞく子供たちに、悲しい子供時代の記憶を重ねる描写に目頭が熱くなりました。
そして、何よりも素晴らしかったのがヒロインです。
正統派幼馴染ヒロインもいいけど、主人公に命を救われたことがある(危機に瀕した原因も主人公だけど最後まで打ち明けなかった 笑)伯爵の娘がツンデレで、乗馬と弓が得意な男装美女とかわたしのためにいるのかというくらい好み。
ラストの爽やかさもこのふたりがいたからこそだと思います。

にしても、この邦題とパッケージの残念なことと言ったら…。剣なんてほぼ持たなかったと思うし、パッケージで剣を持ってるのは合成。本国のパッケージではジャックの”J”が草刈用の鎌になってるんですよ。
彼がいつも使ってたやつ。どうして変えたのかなぁ…。

映画「髪結いの亭主」観た

 | ファンタジー  Comment(9) 
Tag:フランス

髪結いの亭主
原題:LE MARI DE LA COIFFEUSE
製作:フランス’90
監督:パトリス・ルコント
ジャンル:★ファンタジー/ロマンス/コメディ

【あらすじ】子供の頃から女の理容師と結婚したいという願望を抱き続けて来たアントワーヌは、中年にさしかかった頃、ようやくその夢を実現する。優しくて綺麗なマチルドを娶った彼は、幸せな日々を送っていたが…。

gyaoでやってたので久しぶりに再見。なんか好きなんですよね~。
またもやファンタジーに分類してしまったけど、ほぼ中年の妄想なんだからいいと思う(笑)
この中に描かれている登場人物の妄想じゃなくて(それでもいいけど)、普通の生活を送っている中年男性、中年女性が、こんな燃え上がるような恋いいなぁと思うような妄想が描かれてます。
だって、働かないで綺麗な理容師の奥さんといちゃいちゃ過ごす毎日とか、何年経っても運命の恋人のように扱ってくれる旦那とか(美貌が衰えない自分とか)そうそういないでしょ。
唐突なラストも、妄想の世界から現実に引き戻すためっていうか。
そんなわけで、非現実的な事がいくら起こっても全部許せてしまいました。

アントワーヌのマセた子供時代が可愛いです。憧れの理容師さんに少しでも近づきたくて、しょっちゅう伸びてない髪をカットしてもらいに行くという。その理容師さんが太めで肉感的なのも、いかにもな感じで良いです。
かがんだ時に頬に胸が当たるのが至福の時だったとか、彼女の体臭にうっとりしたとか、横チチ目撃して半日呆然としてたとか、ここはたぶんリアリティあるんじゃないでしょうか。監督の体験談だったり?
そんなわけで女理容師と結婚するのが夢なんだけども、それを言ったら父親にひっぱたかれるんですよ。
前に観た時は意味がよくわからなかったけど、「髪結いの亭主」というタイトルの意味が「ヒモ」のことなんですね。確かに働いてなかった!
でも、理解あるお父さんで、その後謝って「お前のなりたいものになっていい」と認めてしまうという…。
それが実現した時にショックで…な展開も笑えます(妄想なので)。
で、肝心のヒロインなんですが、これがもう中年男性にはたまらない色っぽさなんじゃないでしょうか。とにかく一挙一動が官能的です。ウェディングドレス姿でお客の髭を剃る姿も綺麗でした。
ラストの寂しげな雰囲気は、真面目にこの作品を観た人には痛々しく映るんだろうけど、ぜんぶ彼の妄想として観ると違う意味で痛々しいです(笑)

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映画「天井桟敷の人々」観ました

 | ドラマ  Comment(9) 
Tag:フランス

天井桟敷の人々
原題:LES ENFANTS DU PARADIS
製作:フランス’45
監督:マルセル・カルネ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】1840年代パリのタンプル大通り。パントマイム役者バティストは、美しいガランスに恋をする。だが、犯罪者でありながら文才のあるラスネールや女タラシの俳優ルメートル、金持ちなモントレー伯も彼女に夢中だった。一方、座長の娘ナタリーは自分とバティストは結ばれる運命だと信じていて…。

ずっと観たくて、NHKのBSシネマに2回くらいリクエスト出したんですが、先月やっとオンエアがあって期待しながら鑑賞。195分の長編にも関わらず最後まで一気に観られました(最近気を抜くとすぐ寝ちゃうのに!最近って言っても5/31だけど…)
ただ、今回はストーリーよりそれぞれのキャラクターの方に注目してしまったので、感想もそれぞれのキャラクターについて書いていこうと思います。

まず、イラストに描いた古着屋ジェリコがいいんですよね~。
たぶん生まれた時から貧しくて、信じられるのはお金だけで、才能といえば金の匂いを嗅ぎつけて人の心の隙につけ込む事だけ。当然、友達はいないし皆に嫌われていて、孤独で寂しくて虚しくて、でも自分は変えられないから(自分の事も信じられない)、不幸という形でもいいから他人の人生に関わろうとしてる…。そんなふうに見えました。
最初はただ哀しい人だなぁと思ってたんですが、巻き戻してイラスト用のシーンを物色していたら、色んなシーンで登場して「あれ、もしかしてこの人が流れをコントロールしてる?」と思ったり。
コントロールとまではいかないかもしれませんが、おそらく彼らがどのような運命を辿っていくのか予想はついていたんじゃないかな。それを傍観してほくそ笑んでる時だけ、孤独を忘れられるのかもしれません。

次に、ヒロインのガランスがクールで、やっぱり哀しいひとでした。
生きるためにいろんな事をしてきたんだろうけど、いつも正直なんです。でも、それは受け身な正直さであって、自分が何かをしたいという能動的な正直さではありません。
生きるためならモントレー伯との結婚も受け入れるけれど、自分の心は別にあるとハッキリ告げるんですよね。多分モントレーもそれを承知で結婚(偽装結婚 笑)したから、後半の彼女の行動もまったく気になりませんでした。子供もいないし、むしろルールを破って多くを求めたのはモントレーの方だろと。
ただ、こんな女性はカッコいいけども、女優さんが極妻の岩下志麻に見えちゃって…みんな熟女好きなのね(笑)

バチストは男としては頼りないけど(ナタリーと結婚しちゃうし!)、パントマイムの才能は本当に素晴らしくて、彼の舞台だけで一つの作品として観られるんじゃないかという感じでした。
俳優経験のないガランスのために、何も喋らずほとんど動かずに彼女が輝ける役を用意するところが素晴らしい。クスクス笑えるシーンもあって、なおかつ自虐的ストーリーから彼の自信のなさが伺えます。
押しの弱い男と受け身のガランスじゃ、どう考えてもハッピーエンドは無理!

そして、一番カッコいいのが女タラシの俳優ルメートルですね。恋の痛みを知ってそれを演技の糧にする…俳優の鑑です。バチストの事もその才能を認めて尊敬していたし、脚本家になったラスネールの才能も称賛していて、人はともかく才能をみる目はあります。心から舞台を愛してるんでしょう。

一方、世界一の道化役を演じたモントレー伯もね…哀れなくらい間抜けで、イラつく男なのに憎めません。
そんな世界一の間抜けすら羨む自分が道化だと理解してるラスネールさんもよかったですね。いっそ彼女が優雅な暮らしで変わり果てていれば良かったのにという気持ちが切ない!
愚かしいくらいに夢を信じたナタリーも、もう少しバチストという男をしっかり見ていればこんな事にならなかったのかも。これから息子にベッタリな過干渉な母親になりそうで怖いです。

こんな感じで、メインの登場人物たちがみんな個性的で存在感があって、最後までこの物語を堪能できました。原題の意味は「天国の子供たち」だけど、意味がよくわからんなぁ(ウィキペディアに書いてあった!あの一座で天井桟敷の人々をそう呼んでたんだね)。今度再見する時はそこら辺も考えつつ全体のストーリーを楽しみたいです。

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映画「サン・ルイ・レイの橋」観ました

サン・ルイ・レイの橋
原題:THE BRIDGE OF SAN LUIS REY
製作:スペイン・フランス・イギリス’2004
監督:メアリー・マクガキアン
原作:ソーントン・ワイルダー
ジャンル:★歴史劇/ドラマ

【あらすじ】18世紀、ペルーの都市リマ。山奥の聖地へと続くサン・ルイ・レイ橋が落ち、偶然居合わせた5人が不慮の事故で命を落とす。目撃者の修道士は、彼らの死の理由…神の意思を知るため、6年もの歳月をかけて彼らの人生と共通点を探るが…。

Gyaoで鑑賞。ほんのりネタバレしてるかも?
宗教色の強い作品かなぁと身構えてしまったんですが、異端審問とかあるものの、一番大切なのは”愛”という普遍のテーマなので問題なかったです。
まあ、異端審問やこの時代の事をわかっていた方がわかりやすいですけどね。大雑把にまとめると、こんな調査をせずにはいられない神を疑う心の持ち主は、教会にとって不都合ということでしょう。彼の影響を受けて、信者たちが自分の頭で考え出したら扱いにくいという事です。
でも、この作品において彼の行動や理屈に大した意味はなくて、彼らの物語を伝える事が役目だったと思いました。

5人それぞれ思うところはありましたが、やはりキャシー・ベイツ演じる公爵夫人が印象に残りました。
おそらくユーモアのセンスのある頭のいい人なのに、それが誤解されて愚かな変人扱い(原作では吃音があるらしい)。頻繁に娘への手紙を書き続けているものの娘は冷たく、酒に溺れてふらつく(そして失敗して嗤われる)姿が哀しい…。
「ベラスケスの絵のネックレスが見事だったから、(絵の中の)王妃から貰い受けた」なんて表現してしまうお母さん、素敵ですよね?
映像化されたそのシーンも素晴らしかったです。

途中、彼女の世話をしていた修道女のペピータが、「帰りたい」という内容の手紙を夫人に見つかってしまうんですが、その時「美しい手紙ね」と言われて「こんなもの」とばかりに捨ててしまうのは、自分を恥じたからでしょうか?
夫人の届かない手紙を大事に全部とっておいたのも彼女だし、誰よりも夫人の才能と孤独を知っていたわけだから、自分の弱さや夫人には及ばない文章、夫人を悲しませたかもしれないという事で、いたたまれなくなってしまったのかなぁと思いました。

この作品、基本的に心情を表すセリフが少ないので(修道士の調査に基づいてるから)、何考えてるかわからないシーンが多いです。
想像力を働かせないと置いてきぼりくらうかも…。
でも、最終的には修道院の院長がまとめてくれるから難しくはないです。
「みな、誰かに愛され、そして忘れられる。
~生者の国と死者の国を繋ぐのは愛。愛だけは残る、唯一意義のあるもの。」

5人の犠牲者すべての物語を目にした後だと、このセリフが深く心に響きました。
衣装や美術は素晴らしいし、キャストも豪華で見ごたえある秀作です。

映画「列車に乗った男」観ました

 | ドラマ  Comment(8) 
Tag:スイス イギリス フランス ドイツ

列車に乗った男
原題:L' HOMME DU TRAIN
製作:フランス・ドイツ・イギリス・スイス’2002
監督:パトリス・ルコント
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】シーズン・オフのリゾート地。くたびれた革ジャン姿の中年男ミランが列車から降り立ち、ひょんなことから知り合った初老の男マネスキエの自宅に泊まることに。少年に詩の個人教授するだけの平凡な日々を過ごすマネスキエと、流浪のアウトロー・ミランという対称的な2人だったが…。

Gyaoで鑑賞。ベタベタしないふたりの男の友情が、ふっと笑みがこぼれるような可愛らしさとあたたかさを含みながら描かれてました。
もうね、マネスキエが可愛いんですよ!
水がなくて頭痛薬が飲めずに困っていた男ミランを自宅に招くんだけども、さっさと薬を飲んで去ろうとする彼に、話し相手がほしいというオーラを全身で発しつつも、おしゃべりは我慢してほどほどに切り上げるところとか。結局他に泊まるところがなくて帰って来た彼を、ウキウキしながら一番いい部屋に案内するところとか。冒頭から見ててニヤニヤしちゃいました。
他にも、こっそり彼のジャケットを着て、鏡の前でワイアット・アープごっこをする姿は胸キュンだし、ピアノを弾きながら「わたしは刺繍以外なら、20世紀初頭の女性の教養は身につけている」とか、床屋で「出所直後とスポーツ選手の中間みたいな髪型にして」とか、銀行で「一度でいいから銀行を襲ってみたい」と言って周りをギョッとさせたりと、とにかく可愛いくて面白いおじいちゃんなんです。
これだけ並べると最初に書いた”ベタベタしない友情”ってのが嘘っぽいかもしれないけども、基本的にマネさんが一方的に話しかけたりしてるばっかりで、ミランが心を開いた頃にはマネさんも落ち着いてきているので(笑)、描かれる友情はホントさらっとしてます。
お互い自分のなりたかった人生を送っていて、そこに憧れと敬意を抱くようになっていくんですよね。
お店で騒ぐ迷惑な客に注意したり、夫に我慢し続ける姉に本音をさらけ出すように言うといった、マネさんにとっての大冒険ができたのも、勇気付けてくれるミランという存在があったからです。
ミランも自分とはまるで違う価値観を持つマネさんの影響を受け、人生を振り返ってみたり。
ふたりが何気なく、でも大切にこの数日を過ごしているのが丁寧に描かれていました。
ラストは”旅立ち”をやや曖昧に描いていて最初は戸惑ったものの、やはり特別な出会いだったんだと感じられるもので良かったです。(おそらく贈り物の室内履きを履きながら)ピアノを弾く男と、列車に乗る男の表情がいい!
列車の音のようなリズムのED曲を聴きながら、余韻に浸れました。

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映画「リード・マイ・リップス」観た

 | 犯罪  Comment(4) 
Tag:フランス

リード・マイ・リップス
原題:SUR MES LEVRES
製作:フランス’01
監督:ジャック・オーディアール
ジャンル:★犯罪/サスペンス/ロマンス

【あらすじ】土地開発会社で働く35歳の独身女性カルラ。秘書として毎日せわしなく働いていたが、難聴のため心を閉ざし常に孤独を感じていた。そんなある日、ストレスで倒れ、上司の勧めでアシスタントを雇うことに。彼女は刑務所帰りで保護観察中のポールを雇うのだったが…。

またまたGyaoで鑑賞。なるべくなら期間内に記事にしたくて、TVで観た映画がすでに4本後回しになってたり…。頑張らなきゃ!
この作品、どこが好きかと聞かれるとよくわからないんだけども、観ている間、ぐいぐい引き込まれました。
難聴で読唇術ができるため、陰口もわかってしまい孤独な日々を送っているカルラと、刑務所帰りでやっぱり孤独なポールの、共犯関係というか依存関係に限りなく近い恋愛関係未満みたいな?
ふたりの浅ましい利己的な想いがリアルに描かれてて、ロマンスというにはちょっと…なんだけど、下品ではないし、妙に艶かしい。
刑務所帰りのポールを雇って見返りを期待しているカルラと、彼女の体に興味はあるものの、自分の生活が一番なポール。お互いに必要とあらば相手の技術を利用し、しだいに共犯関係に変わっていきます。
利用しているのか利用されているのか、そこに信頼や愛はあるのか、さりげなく緊張感が高まっていく中、カルラが彼の気を引くためにオシャレしたり、会話をシミュレーションしたり、こっそり持ち帰った彼のシャツを素肌に纏ったりする姿が印象的。
そんな依存と紙一重のような関係も、なんだか観てて悪くないんですよね~。
タイトルの意味がわかる終盤のやりとりも良かったです。愛が生まれたとしたら、あの時だろうなぁ。
その後の展開はちょっと後味悪いし、保護観察のおじちゃんのエピソードは必要なのか疑問だったけど、最後までセックスなしでふたりの間にエロスを感じさせるところがすごい。
不思議と見ごたえある作品でした。

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映画「モリエール 恋こそ喜劇」観た

 | 歴史・実録ドラマ  Comment(4) 
Tag:フランス

モリエール 恋こそ喜劇
原題:MOLIERE
製作:フランス’07
監督:ローラン・ティラール
ジャンル:★歴史劇/ロマンス/コメディ

【あらすじ】1644年フランス。駆け出しの劇作家兼役者モリエールは、劇団の経営難で債権者に追われる日々を送っていた。そんな時、金持ちの商人ジュルダンが、借金を肩代わりする代わりに演劇の指南役を依頼。司祭“タルチュフ”と名乗り末娘の教育係としてジュルダン家に潜り込んだモリエールだったが…。

なんというか、私的にこの作品の主人公は”稀代の間抜け”を演じていたジュルダンでしたね。彼が終盤、夫としての自覚と尊厳を取り戻すことにより、不倫も”荒療治”だったと思えるというか…。引き際が良かったのもあって嫌悪感はほぼなかったです。
実は観たのがファンタジー企画の頃で、はっきり覚えてるのはジュルダンのシーンばっかり!
若く美しい公爵夫人にのぼせ上がり、才能もないのに詩や芝居を披露しようと頑張ったり、舞い上がって大仰な挨拶を繰り返したり、まるで少年みたいに自分も周りも見えなくなってしまっている姿が憎めません。
夫としても父親としても最低なのに、きちんと喜劇としてみせてくれるんですよね~。
お気に入りは、憧れの公爵夫人の本性を知るためとある方法で潜入し、真実を知って冷静になり、彼女にささやかな反撃をするシーン。あの格好で真剣な表情、痺れるセリフを言うものだから、カッコいいやら笑えるやら!
また、奥さんが浮気している事に気付いても相手についてはぜんぜん思い当たってなくて、よりによってモリエールに相談してしまうところは、もはや間抜けを通り越して人を疑う事を知らない純粋な人なんじゃないかと思えてきたり(笑)
商人として成功してるから、慎重で狡猾な部分もしっかりあるはずなのになぁ…。
とにかく、ファブリス・ルキーニ演じるジュルダンが魅力的で、前半の間抜け面から後半のキリリとした表情の変化、ギャップがたまらないです。
ネタバレですが、財産目当てで政略結婚をさせようとしていた伯爵を追い払うため「火事で財産を全部失った」と一芝居うつ時の、冷たさを秘めた表情もいい!
気持ちよく見終えることができました。

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映画「戦争より愛のカンケイ」観ました

 | ロマンス  Comment(6) 
Tag:フランス

戦争より愛のカンケイ
描いていて幸せな気持ちになりました(笑)
原題:LE NOM DES GENS
製作:フランス’2010
監督:ミシェル・ルクレール
ジャンル:★ロマンス/エロティック

【あらすじ】フランスに同姓同名が1万人以上いるというアルチュール・マルタンは、平凡な40代の鳥類学者。そんな彼が恋に落ちたのは、珍しい名前の自由奔放な娘バヤ・ベンマームード。彼女は“ラブ&ピース”の信条のもと、ファシストと次々に寝ては彼らを転向させていて…。

Gyaoで鑑賞。
政治的娼婦として誇りを持って男と寝る破天荒なヒロインと、保守的で平凡で慎重な男の不思議なラブストーリーでした。
ロマンスものなのに、恋する本人たちと同じくらい(もしくはそれ以上)彼らの両親に重点を置いているんですよね。バヤの父親はアルジェリア移民として苦労し、アルチュールの母親はユダヤ人だという事を隠して生きてきて、それがバヤとアルチュールの人格、人生に強く影響を及ぼしています。
遠い過去からの連なりがあって今があり、過去を知ってこそ今がわかるということでしょうか。
その過去の見せ方も面白く、アルチュールがモノローグで馴初めを語るくだりで、父親の若かりし頃が想像できなくて現在の姿だったり、悩みがあると、アウシュビッツ収容所で亡くなった祖父母(民族衣装のイメージで登場)と相談したり。
そういうところも彼の性格を表してました。

印象に残ったのは、

  • 着替え中に携帯に気をとられて、素っ裸だと忘れて地下鉄まで来てしまうバヤ。
  • 裸の女性の前だと緊張するというアルチュールに、服を着せてもらうバヤ(イラストのシーン)
  • 労働者は芸術家にはなれないと思い込むバヤの父親に、アルチュールが機転をきかせて絵を描いてほしいと頼むシーンと、表情を輝かせて絵を描く様子。
  • 悲劇より楽しかった事があった日を記念日にする方がいいと言った彼が、母親から聞けなかった”あの日”の事を、”初めてクリームを食べた記念日”だったと自分を納得させたところ。
  • 世界中が雑種になれば人種や宗教で争わなくなると、生まれた子供に国籍不明の名前をつけた事。

などなど、色々あって上手くまとめられないけど、ヒロインがめっちゃ可愛くて、クスクス笑えて、なんとなく幸せな気持ちになって、愛で世界は平和になると信じたくなる作品でした。

映画「血の伯爵夫人」観ました

 | 伝記/自伝/実話  Comment(9) 
Tag:フランス ドイツ

血の伯爵夫人
原題:LA COMTESSE
製作:ドイツ・フランス’09
監督:ジュリー・デルピー
ジャンル:★ドラマ/ロマンス/伝記

【あらすじ】16世紀、ハンガリー貴族の名家出身で、伯爵夫人となったエリザベート。荘園管理に采配を振るう彼女だったが、夫が急死して、やがて青年イシュトヴァンと愛し合うように。彼の父親により2人は引き離されるが、それを知らぬ彼女は若さや美しさに執着し始め…。

Gyaoで観てとても気に入り、監督を調べて納得。主演女優であり「パリ、恋人たちの2日間」の監督で「恋人までの距離」シリーズのセリーヌをやってたデルピーさんじゃないですか。
わたし的に相性がいいというのもありますが、この作品は”吸血鬼のモデルとなった歴史的な殺人鬼”を題材にしているのに、同情を誘うというか、嫌悪感を抱かせず上手に引き込んでくれます。
彼女との仲を引き裂かれた恋人イシュトヴァン目線で語られるので、彼が愛したエリザベートと、後から人づてに聞いた”殺人鬼”としての彼女と、はっきり分けて見せているからでしょうか?
それに、財産を狙って彼女を陥れようとする人物が描かれており、史実通りの彼女のおぞましい姿を見ても、無実を信じたくなってしまいました。
何気に殺人シーンより怖かったのが、恋人の髪を大切にするエピソード。「飢餓海峡」の八重さんを思い出し、やっぱり爪じゃなくて髪だよなぁと思ってたら、体内(心臓の辺り)にそれを埋め込んで縫合するという八重さん以上のサイコっぷりを見せられて唖然としました…。
また、エリザベートの庇護下になければ魔女狩りの対象になっていたと思われるダルヴリアが印象的で、エリザベートを愛し、側に仕え、キスだけを求める彼女との関係が切ない!
狂っていき、疎まれても決して彼女を見捨てず、最後までエリザベートの身を案じ、老いて死ぬのは自然で美しい事なんだと気付かせようとする彼女の深い愛は、イシュトヴァンとの激しい恋よりも心に残りました。
日本では未公開どころかDVDすら出てないのが悲しいです…!

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映画「真夜中のピアニスト」観た

 | 犯罪  Comment(0) 
Tag:フランス

真夜中のピアニスト
原題:DE BATTRE MON COEUR S'EST ARRETE
製作:フランス’05
監督:ジャック・オーディアール
ジャンル:ドラマ/犯罪/音楽

【あらすじ】父の影響で不動産の裏ブローカーになった28歳のトム。だが、恩師に再会し、”母のようなピアニストになりたい”という夢が蘇る。再び鍵盤に向かう決意を固めた彼は、言葉が通じないベトナム人留学生に習い始めるが…。

最初は淡々としていて、彼がどんな人物なのかよくわからないし、ぼや~っと観ていたんですが、ピアノレッスンを始めてからが本番でした。
ちょっとヤバイ仕事をしていて、父親には金の取立てを任されるし、不倫はするし、暴力は日常茶飯事というトム。そんな彼の日常のエピソードを”つまみぐい”くらいの感じで見せていき、合間にレッスン風景を挟んでいきます。
それが「映画なのにこれでいいの?」というくらい単純な繰り返しで、”日常→レッスン→日常”と終盤まで続くんですよ。
でも、シンプルだからこそなのか、彼が上達しのめり込んでいく様子が詳細に伝わってきました。日常のエピソードの中でも指だけは動かしていたり、音楽を聴いていたり、彼の生活の比重が段々と音楽に傾いていくのがよくわかるんですよね。
ピアノを教えてくれるのが、言葉の通じない留学中のベトナム人女性というのもよかったです。言葉は通じなくても、お互いに真剣なのがわかるから、音楽と向き合う時間を共有し、音楽で通じ合います。
一度トムが諦めようとした時、彼女が涙が出そうなほど通じない言葉で叱り付け、彼がおとなしくレッスンを再開したくだりは静かな感動がありました。

ただ、私は勝手に音楽ドラマだと思い込んでいたので、フィルム・ノワールなラストにはちょっと裏切られた気分になったり…。まあ、思い留まったのは音楽のおかげだろうけど、あそこまでしちゃったら終わったも同然だよねぇ…。
ちなみに原題の意味は「鼓動が止まる、僕の心臓の」。鼓動=音楽と考えると、やはりラスト以降のことを言ってるのでしょう。恋人さんには何も告げず姿を消しそうです…。

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映画「トスカーナの贋作」感想

 | ミステリー  Comment(0) 
Tag:フランス イタリア

トスカーナの贋作
原題:CERTIFIED COPY
製作:フランス・イタリア’2010
監督:アッバス・キアロスタミ
ジャンル:ミステリー/ドラマ/ロマンス

【あらすじ】南トスカーナ地方の小さな村で、英国作家ジェームズの新作「贋作」についての講演が行われた。聴衆の中にはギャラリーの女主人がいたが、メモを残し息子と共に退席する。やがて、彼女のギャラリーにジェームズが現われ、2人は散策に繰り出し…。

ミステリー企画4作品目。申し訳ないけど、何がミステリーだったのかすらわからなくてネットで調べました。わたしが思っていたのと全然違ってショックです…。
わたしの”顔認識能力の低さ”がここでも足を引っ張ってしまうとは!
てっきり二人は離婚した夫婦で、あの息子は、彼が話していた母子に何かあって、彼女が引き取ったとかそんな感じで、最後に母子と彼女の関係が明かされるのかと思ってたのに…。
調べたところによると、二人は途中から夫婦ごっこを始めたらしいんですよね~。
ちょっと違和感があっても、自信がないから自分の勘違いだと思って、夫婦なんだと素直に受け入れてしまいました。
だいたい、本当にごっこ遊びをしてたんだとすると、かなり始めのほうからヒロインが気持ち悪いおばさんにしか見えません(女優ではなく役が)。ずうずうしいというか、浅ましいというか…。
ジェームズもかなり嫌なヤツだと思いましたが、あんなのに付きまとわれたらあの態度も仕方ないですね。同情します。
むしろ、あそこまで付き合ってくれるなんて、いい人すぎ!
不毛な口喧嘩が長々続き、観てるだけで疲れる作品でした。

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映画「すべて彼女のために」観た

 | 犯罪  Comment(10) 
Tag:フランス

すべて彼女のために
原題:POUR ELLE
製作:フランス’08
監督:フレッド・カヴァイエ
ジャンル:サスペンス/犯罪

【あらすじ】パリ。美しい妻リザと、幼い一人息子オスカルと共に平穏で幸せな毎日を送っていた国語教師ジュリアン。だがある日、リザが逮捕され殺人罪で20年の禁固刑に。彼女を信じるジュリアンは、妻の自殺未遂を機に脱獄させる事を決意し…。

テンポがいいし、愛一直線かつ、なるべく周りを傷つけないようにはしていて、犯罪ものなのに(殺人も犯している)わりと感情移入できました。
だって、最初の幸せそうな様子と、突然踏み込んできて愛する妻を警察に連れて行かれ、何もわからない子供がわんわん泣いている様子を見ちゃうとね…。
それに、冤罪というのが恐ろしい。凶器に残された指紋を調べれば向きや位置などで殺害時のものかどうかわかるだろうし、彼女の襟に残された血痕も、位置的におかしいし他に返り血はない。
これで有罪になってしまうなんて、本当に怖すぎる!
まあ、後半あれだけ全てを賭けられるなら、最初から一流の弁護士を雇いなさいよとは思いましたが。
他にもちょこちょこ気になるところはあって、妻が子供より旦那っていう男の理想像って感じだし(帰って来て子守の話を聞いただけで確認に行かず夫といちゃいちゃ、面会で真っ先に夫に飛びつく、自殺未遂)、旦那はわざわざ壁紙に計画を書き出して、逃げる直前に剥がしてゴミ袋につめてポイ。せめて燃やしてよ!
銀行の代わりに売人から奪おうとするのは、ある意味では良かったものの、息子の未来を思うとちょっと心配になりました。こういう人たちは警察よりしつこい気がして…。
こんな感じで、現実的に考えてしまうとやっぱり間違えてると思うけど、ロマンティックな夢物語としてはよくて、観ている間は引き込まれました。
お気に入りは、脱獄はするよりした後が大変、覚悟がないならやめた方がいいと、しっかり助言してくれる元脱獄常習犯。
あと、息子の母親との距離感ね。父親には甘えてべったり。でも、会いたがっていたはずの母親には目を合わせようとせず、キスも拒む。これが最後の逃避行の時、やっと「ママ…」と擦り寄ってくる姿に涙。ここが一番よかった!

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映画「私のように美しい娘」観ました

私のように美しい娘
原題:UNE BELLE FILLE COMME MOI
製作:フランス’72
監督:フランソワ・トリュフォー
原作:ヘンリー・ファレル
ジャンル:★コメディ/犯罪/ロマンス

女性犯罪についての論文を書くため、服役中の女性を取材しにきた若き学者スタニスラフ。彼は手始めに、カミーユという囚人から話を聞くことに。悪びれもせず自分の悪行を語りだすが、やがて彼はその自由奔放な彼女に惹かれていき…。

たぶん小学生の頃に初めて観て、わたしの”悪女キャラ好き”を決定付けた作品です(笑)
とにかく面白いんですよね~。実際にこんな女性が目の前にいたら、作中の女性たちのように毛嫌いしそうですが、傍から見ている分には面白いし、男たちが次々と彼女の虜になっていくのもわかります。…だって可愛いんだもん!
ムカつく父親の使うはしごを外した事を”賭け”だといい、父親が死に”賭けに勝った”と誇らしげに語る彼女。行く先々で男と出会い、まるで”挨拶”するかのように気軽に関係を持ち、障害となる者がいれば”賭け”にでる…それを自然に気楽にやっちゃうものだから、いつの間にか観ている方も彼女の思考回路につられて、普通に楽しんでしまうんですよね。
義母さんに仕掛けたトラップや、害虫駆除の道具の使い方を簡単に覚えてしまうなど、その短絡的な行動の割りに、賢くて物覚えがいいところも魅力的。どこまでが計算なのやら(笑)
スタニスラフも見る間に彼女の蜘蛛の巣に絡まっていき、恐ろしい女だとわかっていても「あんたは別よ」という甘い言葉に騙されてしまいます。何を聞いても「愛のない家庭で育ったために…」と同情する姿が滑稽。まさに恋は盲目!
それを心配そうに見守る秘書の切ない事…(ある意味、彼と同類?)。彼の事が好きだから手伝ってしまうけど、彼はカミーユの無実を晴らす(他にも殺人未遂があったけどね…)ことしか頭にありません。証拠が見つかって、喜びのあまりキスするも、ふとそれに気付いて憂い顔をする秘書が印象的でした。
ちなみに、タイトルはカミーユのデビュー曲の名前。
大好きな作品です。

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映画「リトル・ブッダ」観た

 | ドラマ  Comment(4) 
Tag:イギリス フランス

リトル・ブッダ
原題:LITTLE BUDDHA
製作:イギリス・フランス’93
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】シアトルに暮らす一家の元に、三人のラマ僧が現れる。9歳の息子ジェシーが、亡き師の生まれ変わりだと言うのだ。父と共に未知のチベットに旅した少年は、そこで太古の偉大な王子ゴータマ・シッダールタの伝説を学び…。

シッダールタ王子、キアヌ・リーヴスだったのか!!
気付かなかった…どこ人だろう?とかなり観察したつもりだったのに…ショック!
…それはともかく、映像とチベット仏教の世界観と子供たちの想像が素晴らしくマッチしている作品でした。ドラマ的には物足りないものの、チベット仏教の雰囲気を感じるにはちょうどいい感じ。
ジェシーに会いに来たラマ僧たちがくれた、子供向けの本と同じ”入門編”ですね。
主人公親子の心理描写はあまり描かれておらず、突然訪ねてきたラマ僧を家に上げたり、子供を半日預けたり、チベットに行ったり、わたしだったら無理だなぁという展開が多かったり。
でも、細かい変化は描かれてないのに、アメリカの冷たく寂しい風景と、幻想的な世界やチベット寺院の色鮮やかな風景のギャップのおかげか、彼らが何かを求めていてこうなっているというふうに思えるんですよね~。建築家の父親は、大いにインスピレーションを受けたんじゃないだろうか?
印象的だったのは、ジェシーと他のふたりの転生者候補が、伝説の一部を目撃するイマジネーションのシーン。子供たちの純粋な心が感じられます。
そしてラストの遺灰をまくくだり…三人とも心を込めてお別れしてるのが伝わってきて、その光景の美しさに感動してしまいました。
肌に合えば楽しめる作品だと思います。

映画「過去をもつ愛情」観ました

 | ロマンス  Comment(0) 
Tag:アンリ・ヴェルヌイユ フランス

過去をもつ愛情
原題:LES AMANTS DU TAGE
製作:フランス’54
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
原作:ジョセフ・ケッセル
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】44年8月パリ解放の日、喜び勇んで帰宅した歴戦の勇士ピエールは、浮気の真っ最中だった妻を思わず射殺してしまう。だが、同情され無罪となり、放浪の末タクシー運転手に。そんなある日、英国貴族の未亡人カトリーヌが彼のタクシーに乗り…。

まず、主人公と同じアパートに暮らす母子の関係にほのぼのしました。
10歳くらいの息子が可愛いんですよ。賢くて商売上手な上に甘え上手。自分が可愛がられているのを自覚しているので、カフェで一休みする主人公にちゃっかりパフェをご馳走になったり(笑)
でも母親想いだから、家計を助けるために商魂たくましく商売に励みます。観光客相手に絵葉書などを売っていたんだけど、商売敵のカメラ売りが現れたら、即行カメラフィルムを商品として扱い始めたり、法外なチップをくれる客がいたと聞けば、すぐに見つけ出して専用の観光ガイドに!
そんな訳で、少年のおかげで主人公は再び美しき未亡人カトリーヌと出会います。再会の場所は音楽を楽しめるレストランで、そこで聞けるポルトガル民族歌謡ファドの「暗いはしけ(youtubeに飛びます)」がまた良いんですよ。主人公が歌詞を翻訳してあげて、それがたまたま今の彼女の心情を表していたというのがロマンティック。この後、ふたりが急接近するのも、このシーンのおかげですんなり納得できました。
ただ、途中から母子の登場はほとんどなくなってしまうのが残念。代わりに二人の幸せを脅かす黒い影、ルイス警部が現れます。つやつやのカウンターに写る歪んだ顔という登場シーンが印象的!
悪人ではないものの、やり方がいやらしいんですよ。彼ら自身よりも彼らの気持ちがわかっているかのように、主人公を手のひらの上で転がして、猜疑心を煽ります。
わたしも思いっきり彼の言動に惑わされてしまいました。
ラストの決断には強い愛と悲壮な想いを感じます。余韻が素晴らしい作品。

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「地下室のメロディ」観た

第38回ブログDEロードショー「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」

原題:BUENA VISTA SOCIAL CLUB
製作:1999年ドイツ・アメリカ・フランス・キューバ
監督:ヴィム・ヴェンダース
期間:2013/5/10~12
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
それまで知られていなかったキューバの老ミュージシャン一人一人の来歴、演奏・収録シーン、キューバの光景を織り交ぜたドキュメンタリー映画で、ストーリー性は薄い。
監督は「パリ・テキサス」、「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダース。1999年 アカデミー賞 長編ドキュメンタリー部門ノミネート作品です。

「セピア色の映画手帳」の鉦鼓亭さんからリクエスト頂きました。
選んだ理由は、
「グレン・ミラー物語」とはジャンルが全然違うけど、音楽映画として「グレン・ミラー物語」と並ぶ良い印象を持ちました、もう一度観てみたい作品。
…との事です。
企画内容については、サイドバーにある「ブログDEロードショー」欄の”企画概要+参加者名簿”のリンク先をご覧下さい。

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映画「夜のとばりの物語」観ました

夜のとばりの物語
原題:LES CONTES DE LA NUIT
製作:フランス'2010
監督:ミッシェル・オスロ
ジャンル:★ファンタジー/ロマンス/アドベンチャー

【あらすじ】古い映画館の映写技師と好奇心旺盛な少年と少女を進行役に紡ぐ幻想的な6つの愛の物語。

ファンタジー企画で観た二作品目です。わたしの風邪はほぼ治ったんですが、家庭内感染が拡大しちゃってイラストはもう少し後になりそう。オムニバスだったおかげで、ちょっとした時間に少しづつ観られました。
「プリンス&プリンセス」と同じで、映写技師のおじさんと少年少女がお話を作って演じるという設定で始まります。このノリが好きなんだよな~。

一話目は「狼男」
いきなり美しい影絵の世界を堪能できます。湖に映る月が綺麗…。狼男のくせに、人間の時は自分に親切にしてくれた相手が誰かも気付かないなんてね~。妹がもっとはやく告白してれば…。ツッコミどころはあったものの、御伽噺らしい展開でよかったです。

二話目は「ティ・ジャンと瓜ふたつ姫」
主人公が本当にのんきな青年で笑えました。死者の国に迷い込んで観光気分♪
障害を優しさで乗り越え、そのおかげで三つの試練をクリアできる展開も定番でいいね。でも、最後のオチにあんぐり。善い人だけど、男としては…。

三話目は「黄金の都と選ばれし者」
「わたしが美女だとわかってる?」と連呼するヒロイン(笑)
生贄の美女を救うのも冒険譚につきもの。ハッピーエンドだけど、住む家がなくなったのは大変そうです。黄金の都の遺産ともいえる”歌”のちからで、みんな頑張れるかな?

四話目は「タムタム少年」
物語的には面白かったけど、アフリカ民族はもっと音楽やダンスを重要なものだと考えてる気がして、あんなに五月蝿がるのに違和感を覚えてしまいました。もしかして、昔話とか伝説的なものだったのかな?

五話目は「嘘をつかなかった若者」
物語もいいけど、その前の「こんなお姫様は嫌」と怒り出す女の子が良かった。彼らが演じているんだと思い出させるこのつなぎが好き。
そして、お姫様は確かに嫌な女でした。けれども、それを頼んだのは父親だ!
愛馬の命どころか娘まで賭けの道具にするとは…。でも、一番好きなお話です。

六話目は「鹿になった娘と建築家の息子」
これまたお城や妖精の家が美しいですね~。タイトルに偽りありなのと、カラスを悪く言いすぎなのが引っかかったものの、愛の力で解決するところがこの作品のいいところ。エンドロール中に爺さんが妖精に諭されていて笑えます。愛ですよ、愛!

全体的に「プリンス&プリンセス」ほど物語に引き込まれることはなかったけれど、大好きなオスロ監督の美しい影絵の世界を堪能できたので大満足でした♪

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映画「プチ・ニコラ」観ました

 | ファミリー  Comment(9) 
Tag:フランス

プチ・ニコラ
原題:LE PETIT NICOLAS
製作:フランス’09
監督:ローラン・ティラール
原作:ルネ・ゴシニ 、ジャン=ジャック・サンペ
ジャンル:★コメディ/ファミリー

【あらすじ】優しい両親と仲の良い友だちに恵まれ、楽しい毎日を送るニコラ。ところがある日、自分に弟ができると察してしまう。そうなれば自分は森に捨てられてしまうかもしれないという不安に駆られ、仲間たちに相談するニコラだったが…。

風邪は治ったけど本調子ではないので、とりあえずいつもの映画感想。「おおかみこども~」は午後に観て、明日から他のファンタジー映画も観ていく予定です!

原作の絵本は知りませんが、OPから可愛らしくて思わず口元が緩みました。
弟が出来たら自分は森に捨てられてしまうかもしれないと悩むニコラもカワイイ。見た目がお人形さんみたいな子で、いかにも本気でこういう事を悩みそうな感じがするんですよ。
そして、ニコラを取り巻く個性的な子ども達が面白かったです。
がり勉で授業で当ててもらうのが大好きなメガネのちびっ子、食べるの大好きでみんなもそうだと思ってる小太り少年、事業家のお父さんが大好きな仮装大好き坊ちゃん、いつもぼーっとして怒られてばっかりな赤毛少年、弟ができて不安を抱える憂鬱顔の少年など、見た目からしてそれぞれのキャラクターにぴったりで、このメンバーが揃うと妙にしっくり!
身体測定や代理の先生、視察のエピソードでは、わたしのお気に入りのメガネ君と赤毛君が大活躍で、思いっきり笑わせてくれました。「セーヌ川!」と答えてクラス中が感動の嵐に包まれるとこなんてサイコー。
割とシャレにならないこと(サボテン事件や怪力薬)もしてたけど、コメディと割り切って観られたので、ずっと笑いっぱなしでした。
一方、ニコラの両親も負けず劣らず面白い!
社長夫人を食事に招いた時のお母さんの空回りっぷりがね~(笑)
大人パートはシニカルな笑いがあって、子どもパートと絶妙なバランスでした。
勘違いに勘違いを重ねての大騒動も大満足だったし、ラストにニコラが出した結論には思わず感動してしまいました。こうくるか~っていう驚きはあるのに、納得の流れ。
大好きな作品です。

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映画「ローラ(1960)」観ました

ローラ(1960)
原題:LOLA:DONNA DI VITA
製作:フランス/イタリア’60
監督:ジャック・ドゥミ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】仕事にあぶれたローランは、幼友達ローラに似た雰囲気の少女と出会う。そしてその矢先、10数年ぶりにローラと再会するのだった。初恋のひととの思いがけない再会に運命を確信するが、彼女は7年前に忽然と姿を消した恋人ミシェルを待ち続け…。

最初はケバイ女だなぁと思って観てたんだけど、彼女の母親としての素顔が見えるにつれ引き込まれてしまいました。主人公がちょっと頼りなげな根暗青年なのも私的に感情移入しやすくていいです(笑)
子供を学校へ送ったり、寝かしつけたり、主人公と再会して話してても子供から目を離さず、こまごまと母親としての描写が入り続けて、最後まで変わらなかったことに感動。さすが「子供のためにギャンブルやめて立ち直る!」と修行の旅に出た夫(恋人?)を7年も信じて待ち続けるだけあります。
強い母親であり、ダンサーとしても男たちを魅了してしまう彼女は、何事にもやる気がなかった主人公が生きる喜びを見出すのも納得なヒロインでした。
また、13歳の美少女を女手一つで育てつつ父親にふさわしい相手を探す女性や、みんなに甲斐性なしと思われている息子の帰りを待ち続けるお婆さんが良かった。母親がみんな素敵なんですよ。
それに、仕事ではふらふらしてる主人公も、彼女への態度や他の人との会話から他人への誠実さが伝わってきて好感が持てます。ついかっとなってヒロインに酷い言葉を投げつけてしまった翌日、きちん誠心誠意謝るのがよい。こういう描写は省略してはいけないよね。
モノクロの美しい映像が、ラストの切なさを際立たせてました。ローラ(ローランでした)のその後が語られるという「シェルブールの雨傘」もいつか観てみたいです!

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映画「赤い風船」観ました

 | ファンタジー  Comment(6) 
Tag:フランス

赤い風船
原題:LE BALLON ROUGE
製作:フランス’56
監督:アルベール・ラモリス
ジャンル:★ファンタジー

【あらすじ】モンマルトルの町。ある朝、登校中の少年が街灯に絡まった真っ赤な大きい風船を拾う。彼はその風船を気に入り、大事に大事に扱っていたが…。

チャップリン作品のオンエアに合わせて、一人サイレント映画祭りをやってたんだけど、これはサイレントじゃなかったわ。セリフが極端に少ないだけで。
でも、借りて良かったです。まさか風船に萌える日が来るとは!
とにかく真っ赤な風船に胸キュンでした。主演の男の子も普通に可愛いんだけど、たとえ誰が演じていたとしても、私はこの風船以外目に入らなかったと思います。
いちおう何も知らずに観るのが一番いいと思うので、ネタバレ感想は続きから。

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映画「月世界旅行」観た

 | SF  Comment(10) 
Tag:フランス

月世界旅行
この後、ロケットがお月様の目に突き刺さります(グロ!)
原題:LE VOYAGE DANS LA LUNE
製作:フランス'1902
監督:ジョルジュ・メリエス
原作:ジュール・ヴェルヌ、H・G・ウェルズ
ジャンル:★SF/アドベンチャー/コメディ

【あらすじ】天文学者学会で月世界探検計画が提案され、一部の反対を受けるが可決される。その計画とは弾丸型飛行船を巨大な大砲で月に撃ち込むというものであった。やがてそれは完成し、会長以下6人の探検隊が船に乗り込む。多くの人に見送られ、船は月に発射されるのだった。

今年最後の記事という事で、そうそう観ないような作品に挑戦!
とにかく古いです。史上初のSFであり、劇的構成を持った初の映画だそうです。
ハッキリ言って、そんなに古い映画ってどんなもんよ?という好奇心くらいしか持ってなかったんですが、観てみたら意外とツボでした。
今よりずっと月が神秘的だった頃の発想と、ジョルジュ・メリエスの描いた世界観が見事マッチしていて、”初の~”という驚き以上の魅力があります。
まず、とんがり帽子を被った天文学者たちがいいんですよ~。あの姿に白いおひげ、そして金ぴかの望遠鏡!
魔法使いにしか見えない彼らがいる場所も、石造りの建物に積み上げられた本、そして空には黄色い顔で見守るお月様にお星様がいるという、まさにファンタジーな世界そのもの。
それらが私の好きなゲーム「ポポロクロイス」のイメージと似ていて、それだけでテンション上がってしまいました。
微妙にグロいかと思えば、月人がショッカーみたいに爆発するあっけらかんとした描写もあり、でも傘がきのこになって成長するファンタジックな表現もあったりで、先が読めないとこもいい。何気に天文学者がアグレッシブなのには笑ってしまいました。
たった16分の作品ですが、思いっきり濃厚です。

一緒に、メリエスの短編「天文学者の夢」と「日蝕と満月」が収録されており、そちらは不気味さアップでちょっと怖かったり。もう一つ、2011年に製作されたドキュメンタリー「メリエスの素晴らしき映画魔術」は一見の価値あり!
元奇術師で初の映画監督であるメリエスの映像を使ったトリックショー(これがホントに楽しい!)や、撮影風景の再現映像、フィルムに直接彩色する方法、そして残されたフィルムの途方も無い復元作業など、映画好きなら楽しめる内容でした。おススメです!

というわけで、今年もこれで終りですね。
いつも来てくださる方、コメントしてくださる方、企画に参加してくださる方、本年も御贔屓いただき、誠にありがとうございました。
来年も宜しくお願いいたします!

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映画「天使の入江」観ました

 | 社会派  Comment(2) 
Tag:ジャック・ドゥミ フランス

天使の入江
原題:LA BAIE DES ANGES
製作:フランス’63
監督:ジャック・ドゥミ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】パリで銀行員として働くジャンは、同僚に連れられ初めてカジノを訪れる。だが、一晩で年収の半額を手にしたことから、彼はギャンブルの魅力にとり憑かれてしまうのだった。父親に追い出され、南仏でカジノ通いを始めた彼は、ブロンド女性ジャッキーと意気投合し…。

ギャンブルにこうやって嵌っていくんだね…。
一瞬で大金が手に入ったと思えば、次の瞬間には帰りの汽車賃すら危うい。それが、新しい出会いでまた運が向いてきて、出会ったばかりの男女が夢のような時を過ごしたり、またお金に困ったり。
それをずっと繰り返しているんだけど、その間に「次の列車で帰る」と何度言っただろう?
「お金がほしいんじゃない。お金があっても賭けるもの」
どっぷりギャンブルに嵌っているジャッキーの言葉が、どれもこれも重みがあって、ギャンブル依存症の恐ろしさを感じました。
彼女と出会った事で、ギャンブルに嵌ってしまった者の惨めさ、苦しみを知ったジャンが、引き返さねばならないと決心した時、そこに”ジャッキーも一緒に”という気持ちが強くあり続けたのがよかったです。
彼らの道は長く辛いものだと思うけれど、きっとふたりなら(お父さんもたぶん協力してくれるだろうし)抜け出せると希望を持てるラストでした。
ちなみにタイトル「天使の入江:LA BAIE DES ANGES」は、ニースのカジノなどが建ち並ぶ海岸通りの海岸の名前だそうです。

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