オーストラリア 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「月のひつじ」観ました

 | 伝記/自伝/実話  Comment(4) 
Tag:オーストラリア

月のひつじ
原題:THE DISH
製作:オーストラリア’00
監督:ロブ・シッチ
ジャンル:★ドラマ/コメディ/実話

【あらすじ】1969年7月、最初の月面着陸へ向けてアポロ11号が宇宙へ飛び立った。月面歩行の瞬間を世界中に生中継するため準備を進めていたNASAだったが、スケジュールが遅れたために予定変更となる。その結果、オーストラリアの片田舎パークスの、巨大なパラボラアンテナ・通称「ディッシュ」がその大役を担うこととなり…。

かなり前に一度観て、ずっと記憶に残っていた作品を再見してみました。
やっぱりいいですね~。コミカルでほのぼのしてて、でもみんな同じように熱い想いを持っている。月面歩行の中継が行われた当時のことを知っている人なら、感動すること間違いなしです。
そうでなくても、冒頭から”宇宙を目指してきた人類の軌跡”を実際の映像と共に紹介していて、打ち上げシーンなどを見てると、それだけでテンション上がってきました。
しかも原題にもある巨大パラボラアンテナ「ディッシュ」も美しく、老人がそれを感慨深げに見上げるシーンから魅入ってしまいます。これを見たらアンテナ萌えに目覚めるかも?(笑)
イラストは劇中何度も登場するディッシュの姿。朝昼晩と時間帯が違って、それぞれ違った美しさがありました。

また、原題の「ディッシュ」とは程遠い「月のひつじ」という邦題は、人口よりひつじの数が多いパークスの町で、月面着陸の中継を行ったことを指しています。微妙にピントがズレた邦題なんだけども、私の中では月とオーストラリアと「ディッシュ」がピッタリ繋がって記憶に残っていたから、案外良いタイトルということでしょう。
この邦題を目にすれば、あの大きなお皿の上で、オーストラリアの草原を眺めたり、夜空を見上げて宇宙に想いを馳せるシーンが目に浮かびます。
所長が亡き妻の夢を語っていたシーンもこの場所でした。名シーンです!

そして、どことなく可愛らしく描かれた登場人物たちが魅力的なんですよね。
偉人か夢想家か、どちらに転んでも町に名前が残るとそわそわハラハラしている町長と、いつもラブラブな奥さん、反抗期まっさかりの娘と、家族の誰よりも宇宙に詳しい息子。この一家にはホント和みました。
もちろんパークス天文台で頑張る所員も個性的で、「ジュラシック・パーク」のサム・ニール演じる責任感の強い所長クリフ、奥手な電子機器担当グレン、NASA職員に対抗意識を燃やすアンテナ操作担当ミッチ、そして宇宙に想いを馳せるNASA職員のアルも、みんな宇宙を夢見ています。

ミッチはやや性格に難があるものの、やる時はやる男。真剣な表情でアンテナを操作する姿がカッコいい!
すれ違うこともありながら、最後にはみんな気持ちを一つにして、人類の夢を支える一員として中継に全力を尽くす姿に痺れました。
その中継を今か今かとテレビの前で待ち構え、始まってからは目を皿のようにして映像を見つめる世界の人々の姿。そして、今の中継がパークスからだと聞いて歓声をあげる町の人々…。
観ているこっちも嬉しくなって泣いてしまいました。

ちなみに実話を基にしており、脚色部分は町の人たちのキャラクター設定と、勤めていた人数(実際は20人)、NASA職員との摩擦、停電事故くらいだったようだから、けっこう忠実な部類ですね。
実際のエピソードについては、こちらの「シネマの舞台裏」というブログで大変詳しく紹介されていて参考になりました。とくに、パークス天文台がアポロ13号の生還にも一役買っていたというエピソードにはグッときましたよ~。映画を観ながら、ずっと「アポロ13」のことを思い出してたので、繋がりがあって嬉しいです。

また、撮影は実際にパークス天文台で行われ、制御室の様子は当時を知る人がタイムスリップしたようだと驚くほど忠実に再現したんだとか。クリケットで遊ぶシーンなどは、実験を中断してまで撮影に協力してくれたという話もあって、パークスの人たちにとって本当にこの”ディッシュ”が誇らしいものなんだとわかります。(*例のごとく英語のwikipediaの翻訳を参考にしたので間違っている可能性あり)
観ている間、整備ミスやNASAに嘘をつくなどのエピソードは、脚色にしても彼らを馬鹿にしすぎでは?(アメリカ製作かと…)とチラッと思っていたので、本人たちが納得して忠実さよりも楽しめることを優先したのだとわかり、ますますこの作品が好きになりました。
心温まる良作です。

映画「ラブド・ワンズ」観た

 | ホラー/パニック  Comment(2) 
Tag:オーストラリア

ラブド・ワンズ
原題:THE LOVED ONES
製作:オーストラリア’09
監督:ショーン・バーン
ジャンル:★ホラー

【あらすじ】オーストラリアの小さな町に暮らす高校生のブレントは、交通事故で父親を亡くしたショックをまだ引きずっていた。そんな時、冴えない同級生ローラからプロムに誘われる。恋人がいるからと当然のように断ったブレントだったが…。

<ネタバレあり>
こんなほのぼのイラストだけど、きもだめし企画の5本目のホラー作品です。
何気にかなり狂ったシーンなんですよ!
グロというより痛々しく、血はたくさん出てるものの犯人のズレた思考回路の方が怖い作品。
この作品の面白いところは、イケメンなブレント君と冴えない友人(名前は忘れた…)それぞれの、まったく違うプロムナイトが並行して描かれるところですね。
キチガイ親子に誘拐されて血みどろになっていくブレント君と、またとないチャンスで童貞卒業できそうな友人Aの対比がもう!!可哀想すぎて泣ける!(笑)
しかもこの友人、”○○してると殺される”というホラーのお約束にけっこう抵触してるので、この二人がどうなるのか結構ハラハラ。
ホッとしたところを、またブレント君パートで恐怖のどん底に落とされる緩急の付け方も上手いです。

また、「ミザリー」系監禁ホラーかと思いきや…な展開には思いっきり心を鷲掴みにされてしまいました。
ホラーのなかでも監禁系や拷問系はあんまり好きじゃなかったのに、この犯人の狂い方がちょっといじらしいというか…それでいて思いっきり被害者のブレント君に同情できて最後まで目が離せないんですよね。
ここからは完全にネタバレなので、未見の方は知らずに観た方がいいと思います。

この愛が重い系ヒロイン(犯人)のローラちゃん、最初はプロムに誘ったブレント君を無理やり誘拐してラブラブするのが目的かと思われたんですが、実はブレント君なんて端から眼中にありませんでした。
それじゃあ何が目的かと言うと、溺愛する娘のために自宅でささやかなプロムパーティーを開こうと、何から何まで準備してくれたパパの気を引くためなんですね〜。
むしろパパもローラのムチムチバディに目が釘付け状態で(嫌われるのがまだ一線は越えてないっぽい)、今の関係からステップアップするためのきっかけというか、前戯みたいなものなんですよ。

このパパがローラに負けないくらい、いやそれ以上にイカれていて、実はローラのママもブレント君と同じ被害者。ローラは大好きなパパの気を引くためにパパと同じことをやっているわけです。
ただ、彼女がそうなってしまったのも、考えてみればロボトミー手術をされた母親がまともに子育てできるわけもなく、キチガイな父親の愛情のみを受けて育ったためで、ある意味可哀想な子なんですよね。
でも、一番可哀想なのは、間違いなくそんなことのために利用されたブレント君や被害者、そしてその遺族たち。終盤の反撃は思わず応援してしまいました。
…まあ、遺族の女の子がホント最後まで救われないので、見終わってスッキリとはいきませんでしたが、オーストラリア産ホラーも侮れないです!

映画「トライアングル(2009)」観た

トライアングル(2009)
原題:TRIANGLE
製作:イギリス・オーストラリア’09
監督:クリストファー・スミス
ジャンル:★サスペンス/ホラー

【あらすじ】自閉症の息子を持つシングルマザーのジェスは、気分転換にと友人たちとヨットセーリングに出かける。だが、天候の急変でヨットが転覆、漂流し、運良く現われた豪華客船に乗り込み助けを求めるが、船内には人の気配がまるでなかった。不審に思い始めた矢先、一行は覆面の殺人鬼に次々と襲われ…。

不快感を覚える人も多そうな内容ですが、意外と好きですね。「0:34 レイジ 34 フン」の監督でしたか。
即効で一人になってしまうのがびっくりで、その後、ひたすら伏線回収していくばかりなんですが、割とよくできてて頑張っていたと思います。
ただ、繰り返しになってしまうし、結局船内の出来事ってあんまり意味なかった気がするのが惜しいかも。重要なのは船の名前「アイオロス号」の由来くらいで。
それに、思い込みで行動する主人公に感情移入できないんですよ。最後まで観れば、それがある意味思い込みじゃないと分かるものの、視聴者には伝わらないですからね。
でも、終盤わかる真相というか入れ替わりのタイミングには驚かされました。そこからか、と。
ラスト、自分で望んであの場所へ行ってしまうのは、やはり息子のためなんでしょうね。「わたしの世界は母親を待つ子供中心?勝手なこと言わないで」とか言ってた気がするけど、やっぱりその通りなんだと思います。
それに付き合わされる人たちが可哀想な気がするけど、実際のところ彼らは何者なんでしょう?

→以下、ネタバレ考察

映画「ブラッディ・ガン」観ました

 | 西部劇  Comment(0) 
Tag:オーストラリア

ブラッディ・ガン
やっぱり西部劇は青空だよね~。舞台はオーストラリアだけど。
原題:QUIGLEY DOWN UNDER
製作:アメリカ・オーストラリア’90
監督:サイモン・ウィンサー
ジャンル:★西部劇

【あらすじ】凄腕のガンマン、マシュー・クィッグリーは、アメリカから遥々海を渡り、腕の立つガンマンを求める豪州の大牧場主マーストンの元へやってくる。しかし、彼の目的が原住民アボリジニ狩りだと知ってマシューは取引を拒否。マーストンと対決することとなるが…。

邦題が地味というか、内容にあまり合ってません。原題の意味は「クィグリー、オーストラリアにて」みたいな感じですかね?
最初はぼーっと観てたんですが(後で最初から観なおしました)、ヒロインが過去を語るシーンで泣いてしまいました。ほんの短い、回想シーンすらない身の上話だったのに…。
クレイジー・コーラと呼ばれ、会話がかみ合わず主人公をロイと呼び続ける彼女が、どうしてそうなってしまったのか、それがわかって一瞬で彼女の印象が変わります。
その後も、普通かと思えばわざとおどけているように見えたり、本当に過去と現在の区別が付いてないようだったり、彼女から目が離せなかったです。
もちろんクィグリーも素敵で、ヒロインとのかけあいもコミカルで面白いし、射撃(狙撃?)の名手でも失敗は結構あって、完璧なヒーローじゃないところがよかったです。
砂漠で助けてくれたアボリジニや、匿ってくれた一家も、ヒーローとしてじゃなく友人として迎え入れてくれたから、巻き込まれても彼の事を恨んじゃいないんだろなぁ。
西部劇だけどドンパチやるばかりでなく、仕掛けておいた丸太やロープを射撃で上手く使いつつ敵を排除するという、彼の戦闘スタイルも面白かった。
西部かぶれの敵ボスも地味ながらよくて、相手にあえて銃を取らせて一騎打ちを楽しむ性格がラストに繋がって痛快です。
ラストは「愛し合う前に二つの言葉を言えといってたでしょ」の後のキスシーンがロマンティック!
「この映画では動物を傷つけてません」と注意書きで終わるところも好感持てました(崖から落ちたお馬さんがいたので)。
西部劇の名作だと思います!

映画「ピクニックatハンギング・ロック」観ました

ピクニックatハンギング・ロック
原題:PICNIC AT HANGING ROCK
製作:オーストラリア’75
監督:ピーター・ウィアー
原作:ジェーン・リンジー
ジャンル:★ミステリー/青春

【あらすじ】1900年2月14日、ピクニックに出掛けた名門女子学園の生徒たちの内、ミランダを始めとする数名が忽然と姿を消してしまう。町の人々の必死の捜索もむなしく、手がかりのないまま一週間が過ぎるが…。

いかにも実話を基にした作品のようにみせかけて、(おそらく)創作だということでビックリしました。幻想的なのに妙に説得力あったから、本気で実際にあった事件なのかと…。
確かに、冒頭の少女たちの様子は浮世離れしてたけどね~。恋の話をしたり、詩を口ずさんだり、4人くらいで一列になってきゃっきゃしながら前の子のコルセットを締めたり、切り花がいっぱいの洗面台で美少女が顔を洗ってたり、もう甘美としか言いようがないその世界にうっとりしてしまいました。
美少女ミランダとルームメイト・セーラのやり取りはとくにキュンときて、「私以外も愛しなさい…ずっと一緒にはいられないかもしれない」というミランダの別れを予感させるセリフと、ミランダや生き別れの兄しか心の支えがない孤児セーラの不安げな表情が印象的。
ピクニックに行ってからも、野原で思い思いにくつろいで、ケーキを食べたり、お昼寝したり、本を読んだり、その光景はまるで絵画のよう…。
日の光の下、輝くようなミランダをみて、美しい女教師が「わかったわ。ミランダはボッティチェリの天使よ…」とつぶやく程で、そんなセリフにまったく違和感を覚えさせないんですよ。
それが次第に不気味さをみせ始め、彼女たちが岩山の奥へ引き寄せられていく展開はややオカルトめいていて、ぐいぐい引き込まれてしまいました。
↓以下、ややネタバレ。

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映画「英国王のスピーチ」観ました

 | 伝記/自伝/実話  Comment(15) 
Tag:オーストラリア イギリス

英国王のスピーチ
原題:THE KING'S SPEECH
製作:イギリス・オーストラリア’2010
監督:トム・フーパー
ジャンル:★ドラマ/伝記

【あらすじ】英国王ジョージ5世の次男ジョージ6世は、幼い頃から吃音に悩んでいた。だが人前に出ることは避けられず、治療を受けるものの改善の兆しは見られず。妻エリザベスはスピーチ矯正の専門家というオーストラリア人のライオネルを訪ね…。

実話モノですが、英国王室に詳しい訳でもないし、政治的な意図がはたらいていてもわからないので、”どこかの吃音に悩むおじさんが、なんか大切なスピーチのために専門家と一緒に頑張る物語”という目線で観る事にしました(笑)
すごいね~、全国民に向けての失敗できないスピーチというとてつもないプレッシャーのなかで、最後までやり抜いて見事に成功させるなんて!
わたしだったら吐いてぶっ倒れるか、過呼吸でぶっ倒れるか、その前に逃亡してただろうから、素直に感動しました。
吃音といっても、今でもわかってないところが多いだろうし、同じ吃音の症状があっても原因は人によって違うみたいだから、ライオネルさんが言うような「本人にやる気があれば治る」というものでもなかったと思います。”克服(付き合っていく自信的な意味で)”ならできるだろうけど…(原語では何と言ってたんだろう?)
そんな中、弱音は吐いてもくじけずにやり抜けたのは、やはり彼の真面目さ、責任感の強さがあったからでしょうね。いい加減なひとなら「失敗しても知らん」とそもそもこんなに苦しんだりしないと思います。
どうしても果たさなければならないと真剣に考えていたからこそ、「自分でいいのだろうか、勤まるのだろうか」と不安になっているのが伝わってきました。
奥さんも子供たちもライオネルさんも、最後まで信じて見守ってくれて、心がほんわかします。それも彼の真面目で優しい人柄があったからでしょう。
全体的に見ると笑えるシーンや感動シーンは少なくて、最後の最後に爽やかな感動が味わえるくらいですが、私もコンプレックスの塊のような人間なので、見ている間中「頑張れ、頑張れ!」とハラハラしながら観られました。
主演ふたりの演技も素晴らしく、見ごたえあるドラマだったと思います。

映画「デイブレイカー」観た

 | ホラー/パニック  Comment(8) 
Tag:オーストラリア

デイブレイカー
原題:DAYBREAKERS
製作:オーストラリア・アメリカ’09
監督:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
ジャンル:SF/ホラー/アクション

【あらすじ】2019年。謎のウイルスの蔓延により、人口の95%がヴァンパイアとなった世界。人間は血液供給源として管理・飼育されていたが、人類の減少による食糧問題が深刻化していた。代用血液を研究するエドワードは、ある夜、追われる人間たちを助け…。

ヴァンパイアもので、そんなに後先考えず人間を狩ったり、仲間を増やしたら、将来やばいんじゃね?という素朴な疑問に応えるがごとく、人類絶滅の危機に焦るヴァンパイアたちの世界を描いた作品。
ヴァンパイアの社会といっても、元人間なので(感染したり、咬まれたり、死を恐れて自分からなったり、先立たれるのを恐れた身内に無理やりされたり)、ほぼ人間と変らない生活なのが面白いですね。
ほとんど不死身と言っても貧富の差はあるし、社会を動かしているのが金の亡者というのも哀しいくらい変わりません。
悪人も生き続けるし、人血不足でモンスター化するし、子供は(生殖機能的にも、人口問題的にも)産めなさそうだし、こちらの世界のほうが絶望的かも。
代用血液の開発にいそしむ主人公の苦悩や、弟とのすれ違い(主人公ニブすぎ!)、金の亡者の社長が娘を失う事を恐れているとか。そういうところは「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」的で好みなものの、描き込み不足で物足りない。

治療法は画的に神の祝福って感じが面白かったです。治った人の血液も…というのは終盤のグロ描写をやるためという感じだったけど。
しかし、食糧危機で正気を失いかけている人類を治療するには、どうしても人工血液は必要だったと思うんですが…。あの施設を捨てたらいかんでしょ。
っていうか、そもそも生き残った人間と協定でも結べばよかったのでは。命と生活を保障する代わりに、定期的に血液を提供してもらうとか。人間の人口増やす努力もしてないようなのが謎。
一見ハッピーエンドだけど、まったく未来が見えず、ちょっとラストはつまんなかったな~。もったいない!

映画「メアリー&マックス」観ました

 | アニメ/人形アニメ  Comment(0) 
Tag:オーストラリア

メアリー&マックス
製作:オーストラリア’08
原題:MARY AND MAX
監督:アダム・エリオット
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】メルボルンに住む8歳の少女メアリーは、電話帳から変わった名前を選んで手紙を出した。コミュニケーションが苦手で孤独な日々を送っていたNYの肥満男マックス・ホロウィッツは、それにタイプライターで丁寧な返信を綴り…。

人形のストップモーションアニメです。
手作り感あふれるキャラクターや街並み、最初は少女と中年男の微笑ましい手紙のやりとりから始まる事などから、ほのぼのストーリーを思い描いていたんですが、案外重くて深いドラマで驚かされました。重いというか、けっこうな鬱展開です。
デフォルメされたキャラクターから、変なところも個性なのかと思いきや、実はアスペルガー症候群というリアルな理由があったり。かと思えば、車椅子のおじいちゃんが家を出ようとすると、何かしらトラブルが発生して出られないというコメディ要素もあって、予測が付かないところが怖い。
でも、大きな障害を乗り越えて、ふたりが数十年にわたり心を通わせていくのには心あたたまりました。幼い頃のメアリーの手紙の文章から伝わってくる純粋さと健気さと孤独感。それに共感し、精一杯自分なりの返事を出すマックス。何もかもが灰色の街ニューヨークと、セピア色が優しいメルボルンの町を、ふたりの手紙と想いとチョコレートが往復します。
彼らの友情は、鬱展開をも乗り越える、感動を与えてくれました。
印象に残ったのは、泣けないマックスのためにある贈りものを用意するエピソードと、精神的に参ったメアリーが、フラフラとサイドテーブルの上に立つシーン。世にも哀しい「ケ・セラ・セラ」が響き、彼女が指揮者のように腕を振ると、壁にかけられた幸せな頃の写真が踊りだします。
最後までほろ苦いドラマに魅せられました。

映画三本立てで疲れました…

『明日、君がいない 2:37』

2006年オーストラリア、ムラーリ・K・タルリ監督
誰が自殺するのか当ててみろと言わんばかりの構成(最終的には違う)に、とてつもなく嫌な気分になりました。登場人物それぞれに暗い部分があって、一人社会的に抹殺して欲しい奴がいたんだけども、どうなるわけでもなく。ラスト、そいつのインタビュー形式の独白?には吐き気がしました。自殺シーンを無駄にしっかり撮っているのも気分が悪い。
友人が自殺して自分も自殺未遂したという19歳の監督の作品だそうで、撮る事に意味があったのだろうとは思います。19歳が撮ったとは思えないところもあるので、彼が明るい作品を撮れるようになったら観てみたいかな。

『ラスト・マップ/真実を探して:AROUND THE BEND』

2004年アメリカ、ジョーダン・ロバーツ監督
口直しに観始めたロードムービー。最初は「サン・ジャックへの道」みたいなノリで、お祖父ちゃんの遺灰を撒く旅を始めます。少しカーネルおじさんに似ているお祖父ちゃんの指示で、ケンタッキーのお店で灰を撒いたり、途中出会った夫婦に遺灰を任されるのが可笑しい。でも、後半は感動への積み重ねが足りず微妙でした。素材は良かったのに、料理する時に手を抜いた感じ。ちなみに、冒頭でホラー好きの看護婦が「ゴーストシップ」の惨劇シーンを観てます。少女の悲鳴をバックに、祖父の死後のことを相談する親子の微笑ましい光景(笑)

『世界でいちばん不運で幸せな私:JEUX D'ENFANTS』

2003年フランス/ベルギー、ヤン・サミュエル監督
口直しには物足りなくて、もう一本観始めたんだけど…。
最初は「アメリ」っぽい雰囲気だったものの、どこまでも周りや自分たちを傷つけあう悪趣味なゲームに嫌気が差しました。本っ当にこいつら最悪!!
子供の頃は、辛い事を忘れるための遊びで済んでいたけれど、大人になってからの彼らの行動はまったく理解できません。”素直になれなくて”じゃ済まない、悪意に満ちたものでした。ラストもお互いの家族をさんざん苦しめてポイッ!
あんまりすぎて泣けてきました。「ラスト・マップ」でやめておけばよかった…。

気分を変えて、最近庭でみつけた昆虫の写真でも。
虫嫌いのひとは逃げて!

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映画「ポビーとディンガン」観た

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Tag:オーストラリア イギリス

ポビーとディンガン
製作:オーストラリア・イギリス’05
原題:OPAL DREAM POBBY AND DINGAN
監督:ピーター・カッタネオ
原作:ベン・ライス
ジャンル:ファミリー/ドラマ

【あらすじ】オパール採掘を夢見て田舎町で暮らし始めて一年。アシュモルの9歳の妹ケリーアンは、町に馴染めず空想の友達ポビーとディンガンと遊んでばかりいた。心配した父親は2人を連れ出した事にして、生身の友達をつくらせようとするが…。

娘とイマジナリーフレンドを引き離したら「帰ってこない」と大騒ぎされ、夜中に他人の採掘場まで探しに行ったら盗掘で訴えられさあ大変、というお話。
町の人々の悪意にあてられ、ケリーアンがどんどん弱ってゆくのが可哀相で見てられません。そして、少しでも彼女を元気付けようと、信じているわけでもないポビーとディンガンを捜し奔走するお兄ちゃんの姿にじ~んときました。妹だけでなく両親もちゃんと気遣っていて、ホント聡い子です。
ただ、最後に町の人々が集まってくれるのは、彼の言葉にこころ動かされたというより、ここで行かなかったら冷血人間と思われるから、という世間体を気にする大人たちの行動に見えてしまいました。
ちょっと出来すぎな感は否めませんが、全体的には面白かったと思います。

それにしても、どこぞの感想を読んだら「嘘つきは嫌い、イラついた」みたいなことが書かれていて軽くショックでした。あれは本人にはハッキリ見えてるから、嘘なんかじゃないのになぁ。こういう人は熱にうなされて幻覚みたり、夢か現実かわからないほどリアルな夢を見たりした事ないんだろうか。(私は目覚ましが鳴った夢でよく夜中に起きてしまう)状況はぜんぜん違うけど、ない物をあると認識する能力が人間の脳にある事ぐらいはわかると思うんだけど。
日本人にはあまり馴染みがないけど、実際には見えてる人は多いらしいから、子供の頃の写真を引っぱってきて「あれ、あの子がいない?」なんてことがあったら、その子はイマジナリーフレンドだったかもしれない。

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映画「ピーター・パン(2003)」感想

 | ファミリー  Comment(2) 
Tag:イギリス オーストラリア

ピーター・パン(2003)
製作:アメリカ・イギリス・オーストラリア’03
原題:PETER PAN
監督:P・J・ホーガン
原作:J・M・バリー
ジャンル:ファンタジー/アドベンチャー

【あらすじ】弟たちに冒険の話をするのが大好きな13歳の少女ウェンディは、大人たちにレディになるための準備が必要だと言われ動揺する。その夜、影をなくした少年ピーター・パンと出会い、永遠に子供でいられる島”ネバーランド”へ行く。

小さい頃に何処かしらで目にしている「ピーター・パン」ですが、改めて観てみると残酷な点が目立つことに驚きました。フック船長が平気で人を殺そうとするのはまあいいとして、ティンカーベルがウェンディに嫉妬して子供たちに射落とさせたのにはぎょっとします。…そういえばそんな事してたなぁ。
そんな子供らしい残酷さは、フックを倒すシーンで最も発揮されているんですが、それは自分の目で確認してみてください。
思わずフックに同情してしまうと思いますから。

ただ気になったのは、何故かこの作品が「恋愛」をテーマにもって来ている事です。ウェンディは大人になるのが嫌だと言っているのに、ピーターと出会った途端に「キス」を捧げようとしたり(「キス」はたったひとりの人に捧げる大人の象徴のように描かれています)、ダンスでいい雰囲気になってビビッたピーターに大人になれと言ったり、やたらとピーターにアピールするんですよ。まあ、ピーターがウェンディを連れ出すときも、まるで悪い男が小娘をたぶらかすような感じだったんですけど。
こういうのが好きな人には楽しめる作品かな?

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