イタリア 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「ミスター・ノーボディ」観た

ミスター・ノーボディ
原題:MY NAME IS NOBODY
IL MIO NOME E NESSUNO
製作:イタリア・フランス・西ドイツ・アメリカ’74 115分
監督:トニーノ・ヴァレリ
ジャンル:コメディ/西部劇

【あらすじ】伝説の老ガンマンの前に現われた風来坊。彼は無敵と謳われたガンマンを自分の手で倒したいと語りながらも、老ガンマンとの対決を何故か避けようとする。そして150人のワイルドバンチを倒して伝説となるようお膳立てをはじめ…。

先が読めないユーモアあふれる作品。序盤で風来坊が雑魚敵に言われる「てめぇはツケが利くほど長生きしねぇ」というセリフから痺れました。画づくりもカッコいい!
とにかく主人公?の風来坊が何考えてるかわからないんですよ。伝説の老ガンマンと戦いたいのか、彼に150人のワイルドバンチと戦って死んでほしいのか、それとも…?

老眼鏡で目をしばたかせてる伝説の男が、150人の馬に乗ったガンマンたちと戦わなきゃいけないという状況に陥ったシーンの絶望感がすごかったです。主人公はサイコパスだったのか!?と、あの笑顔が怖く見えてきたり。
最後はそういうことか、と笑顔になれますが、ホント先が読めなかったです。

あと、途中出てくる遊園地みたいなところが面白かったですね。あの時代の西部って、意外と凝った出し物が多かったのかな。ミラーハウスでの対決とか、若干長かったけど西部劇としては斬新。
しかし、お墓にサム・ペキンパーって名前が…(笑)
ちなみに、ワイルドバンチは「荒くれ者」の意味で某作品のタイトルを意識しているだけでなく、アメリカ西部開拓時代末期に実在したギャング団の俗称らしいです。

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TVM「復讐のガンマン・ジャンゴ」観た

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Tag:イタリア

復讐のガンマン・ジャンゴ
原題:W DJANGO/VIVA! DJANGO
製作:イタリア’71 100分
監督:エドワルド・G・ミュラー
ジャンル:★西部劇

【あらすじ】トンプソンら3人の男が農場に押し入り、家にいた女を撃ち殺した。殺された女の夫ジャンゴは復讐を誓い、敵を追う。彼は手始めに、メキシコ人の山賊カランザが縛り首になるところを救い…。

導入からカッコよかったですね。悲惨な事件が起こるんですが、その拍子に落ちたオルゴールが鳴り始めて、その曲からキレイにOPテーマに繋がります。
で、本編もとにかくカッコいい。主人公ジャンゴがこれでもかってくらいカッコつけていて、ダイナマイトを投げつけられても優雅に拾ってたばこに火をつけ、ぎりぎりのタイミングで投げ返すシーンとか最高です。ベタすぎて笑えるのにちゃんとカッコいい!

全体的に痛快でコミカルなマカロニで、サービス精神旺盛です。かなり最初の方からクライマックスかよってくらいの銃撃戦があり、それが4回くらいありました。
それもただの銃撃戦ではなく、主人公が頭を使ってかわしつつ敵が翻弄されたところでお得意の連射!数の不利を覆していきます。

でも、丸腰の相手を撃つようなことはしなくて、基本的にはお人よしなところもよかったです。
妻の仇3人の元仲間だった男カランザを縛り首から救い出し、ジャンゴは敵の情報、そしてカランザは金のために手を組みます。即興コンビにしては息ピッタリで、それでいてベタベタはしてないギブ・アンド・テイクな関係なのがいいですね。
最後のどんでん返しは伏線がわかりやすすぎて、主人公がまったく気付いてなかったのが逆に意外だったけども、お人好しなところがあったのでまあ納得できます。

個人的には酒場の主人が良いキャラしていたので、あんな退場の仕方をして、その上それを主人公にも知られてなさそうなのが可哀そうでした。最後はジャンゴと祝い酒を交わしてほしかったなぁ。

映画「シルバー・サドル 新・復讐の用心棒」観た

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Tag:イタリア

シルバー・サドル 新・復讐の用心棒
原題:SELLA D'ARGENTA
製作:イタリア’78 94分
監督:ルチオ・フルチ
ジャンル:★西部劇

【あらすじ】富豪の依頼で、自分とも因縁のある相手を殺すため賞金首の待つ墓地に向った流れ者のガンマン。だが、そこに現われたのは小さな少年だった。事件に裏があると睨んだガンマンは少年を匿うが…。

「サンゲリア」の前の年にフルチさんが監督した作品。
グロホラーのサンゲリアとは別の方向性で面白かったです。8歳くらいの少年が可愛くてね~、ジェンマ演じるガンマンとのやり取りが微笑ましくて笑えました。
この少年、見た目はフリルとリボンつきの服を来たいいとこの坊ちゃんだし、口調も丁寧で育ちの良さがうかがえるんだけど、彼と親しい修道士が”撃たれる前に撃て”というタイプで、蛇の倒し方や護身の心得を教えられてるんですよ。
おかげでワイルドな一面もあって、坊ちゃん風の外見とのちぐはぐさがたまらない!
自分の命を狙っているガンマンたちに、ジェンマお手製の火炎瓶的な(銃で撃つとガスに引火する感じ?)ものを心底楽しそうに投げたり、こんなに楽しかったのは初めて!と嬉しそうに語ったりと、そこはかとなく狂気が垣間見えるというか(汗)

最初は因縁の相手の身内だからと冷たくしていたジェンマが、いつしか彼を息子のように世話しているのもいいですね~。彼をかくまった場所が馴染みの酒場兼娼館みたいなところで、少年と馴染みの娼婦の前で嬉々として手品を披露するジェンマが…(笑)
そして、楽しい時間を満喫した少年は、娼婦のお姉さんに「そうだ、ここを姉さんに買ってもらおう!」とか言い出すし。

ストーリーの方もなかなかで、二転三転する展開は飽きないし、最後にジェンマが名推理を披露して黒幕のたくらみを阻止する展開も痛快でした。
ラストはホントもう監督狙いすぎだろ!とつっこみたくなるくらい可愛い展開で、男性より女性におすすめしたい西部劇です。

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映画「バタフライルーム」観た

 | ホラー/パニック  Comment(0) 
Tag:イタリア

バタフライルーム
原題:THE BUTTERFLY ROOM
製作:イタリア・アメリカ’2012 87分
監督:ジョナサン・ザラントネロ
ジャンル:★サスペンス

【あらすじ】孤独な中年女性アンは、母子家庭で寂しい想いをしていた隣室のジュリーと親しくなる。彼女の家には「バタフライルーム」という蝶の標本を飾っている部屋があり、ジュリーはそれに興味を抱くが…。

肝試し企画6作品目。これも未公開の人間が怖い系サスペンスホラーで、なかなか引き込まれました。
主人公の設定や周りに配置したキャラクターが上手く嚙み合っていて、時系列を乱す構成で彼らの裏の顔が次第に明らかになっていくのが面白い。(巻き戻しの演出は作風に合ってなかったけど…)
OPは湯船に浸る少女の脚のシーンで、赤いクレジット表記がお湯に溶けていくオシャレな演出が目を引いたし、途中から湯船が真っ赤に染まって何事か!?というところで、別のシーンから物語が始まるところもよかった。

怖いかと聞かれればNOなんですが、先が読めても退屈にならないのは、登場人物とバックストーリーの魅力によるものだったと思います
お隣の自分勝手な母親や、アンを毛嫌いする女性、アンのアパート付近で仕事をする内装業者、そして生きるために自分の価値を最大限に活用する少女とその母親など、どんな人かわかるにつれて「実はまともな人がほとんどいない?」という状況になってきたり。

終盤はアンが本領発揮で不気味な魔女そのものと言った感じ。小悪魔少女の顛末も、彼女の家庭のことを知ると必死だったんだよなぁと哀れに思えました。
ラストの幸せなひと時に、急に陰りが見える負の連鎖も秀逸!
バタフライルームいっぱいの蝶の標本が、主人公のいびつな愛の虚しさと哀しさを表しているようで印象に残ります。

映画「殺人カメラ」観た

 | コメディ  Comment(2) 
Tag:イタリア

殺人カメラ
原題:LA MACCHINA AMMAZZA CATTIVI
製作:イタリア’48 83分
監督:ロベルト・ロッセリーニ
原作:エドゥアルド・デ・フィリッポ、ファブリッツィオ・サランザーニ
ジャンル:コメディ

【あらすじ】イタリア南部アマルフィ海岸の小さな漁村は、網元や流通業者、高利貸し、村長らによって牛耳られていた。気立てのいい写真屋のチェレスチーノは、老人に親切にしたところ”写した相手を殺す秘術”を授けられてしまう。恐れおののきながらも、老人が聖アンドレアだったと思うようになる彼だったが…。

<ややネタバレあり!>
イタリア・ネオリアリズムにそぐわないB級感あふれるタイトルが気になったので観てみました。…うん、これ「DEATH NOTE」だわ(笑)
もちろんストーリーは全然違うんですけど、人を殺せるアイテムを怪しい爺さんにもらって、最終的に独断で処刑を始めてしまう主人公というところがデスノートでした。
ルールとしては、1・標的の姿を写し取れれば被写体は写真でもよい。2・一部分でも映っていれば死ななくても呪いの影響が現れる。3・標的は写真に写ったポーズのまま死亡。
この3番目のルールがコメディ要素になってて、突然変なポーズで動かなくなったり、固まって戻らないから棺おけを特注したというくだりは不謹慎ながら笑ってしまいました。
ただ、主人公が暴走するまでがダラダラしていて盛り上がらないし、サスペンス要素はほぼ無くて、最後までゆるゆるです。肝試し企画とかで観てたら退屈してたでしょうね~。

しかし、今回はネオリアリズム作品を見る企画。どこがどうネオリアリズムなのか考えながら観ることができました。
舞台となる貧しい漁村には、主人公と同じく多くの貧しい人々と、それを仕切って搾取する一部の裕福層がいます。この金持ち連中が自分のことばかり考えている奴らばかりだし、不満を抱える貧しい人々もチャンスさえあれば他人を出し抜きたいと思っている。悪人が一人減っても、別の人間に取って代わるだけ。
じゃあどうするかというと、悪人と一緒に生きていくしかないという超現実的な結論に。物語としては「チャンチャン♪」と聞こえてきそうな顛末になってますが、教訓は得られるから寓話としてはOK。つまるところ善も悪も極端はダメってことですね。悪魔は誰の心にも忍び寄るものだから、こつこつ善行を積み、良く考えて行動しなさいという教訓でした。
いかにも寓話の世界というオープニングや、十字の切り方を教えるくだりもよかったです。

ちなみに、原題の意味は直訳で「悪人を殺す機械」かな。邦題だと無差別っぽいですね。
正直、退屈してる時間も長かったけど、ロッセリーニの珍しいブラックユーモアは一見の価値ありだと思います。

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第66回ブログDEロードショー「イタリア・ネオリアリズム作品」

 | ブログDEロードショー  Comment(28) 
Tag:イタリア

期間:2016年1月~
イタリア・ネオリアリズム企画
(白くじらさんが作って下さいました♪)
皆さま、新年明けましておめでとうございます。
さっそくですが、今月もブログDEロードショーを開催です!
お題はポール・ブリッツさんがリクエストして下さった「イタリア・ネオリアリズム」作品です。

戦後の映画界に衝撃を与えたという伝説はよく聞くものの、はたしてほんとに面白いのかどうか、その目で確認してみようではないかということであります。
のめり込んでイタリアへ行ってしまったイングリッド・バーグマンは正しかったのか。
こんなときでもなければ見るわけもないような深刻なイタリア映画で、冬の夜長を楽しみましょう!

詳しくは、こちらの「映画史ネオリアリズム」のページが参考になります。
ここで紹介されている作品の中で借りられそうなものをまとめました。

ロベルト・ロッセリーニ
無防備都市(1945)、ドイツ零年(1948)、殺人カメラ(1948)、アモーレ(1948)、ストロンボリ(1949)
ヴィットリオ・デ・シーカ
靴みがき(1946)、自転車泥棒(1948)、ミラノの奇蹟(1950)、終着駅(1953)
ルキノ・ヴィスコンティ
揺れる大地(1948)
ジュゼッペ・デ・サンティス
にがい米(1948)
フェデリコ・フェリーニ
白い酋長(1951)、青春群像(1953)、道(1954)

この中から選んでもいいし、ここに載ってないものでもイタリア・ネオリアリズム作品ならなんでもOKです。
ネオリアリズムを意識して観る機会は滅多にないと思いますので、これを機に一緒に挑戦してみませんか?
企画内容については、サイドバーにある「ブログDEロードショー」欄の”企画概要+参加者名簿”のリンク先をご覧下さい。

映画「青春群像」観ました

 | 青春  Comment(8) 
Tag:イタリア フランス

青春群像
原題:I VITELLONI
製作:イタリア・フランス’53
監督:フェデリコ・フェリーニ
ジャンル:★青春/ドラマ

【あらすじ】アドリア海沿岸のとある町。美人コンテストで優勝したサンドラは、突然の不調で遊び人ファウストの子を身篭ったと確信した。彼の厳格な父親のおかげで、めでたくふたりは結婚。だが、間もなくファウストの浮気の虫が騒ぎ出す。それを心配そうに見守るサンドラの兄モラルドだったが…。

邦題どおりの内容で、話の中心にもなってるファウストはクズ野郎なんだけども、なんだか目が離せなかったし最後はホロリときました。
色々と印象に残るシーンもあって、とくに故郷を去るモラルドの目に浮かぶ、友人たちの眠るベッドが次々と過ぎ去っていく光景は良かったです。どうしようもないところもあるけど、やっぱり自分を形作ったものはすべてここにあるんだ…という感じで。
あとは、天使像を預けられた浮浪者?が、それを海岸に立ててにっこり微笑むシーンとか、モラルドが駅で働く少年と語らうとこ、レオポルドが老俳優にからかわれたり、労働者を馬鹿にして追いかけられるくだりなども印象に残ってます。赤ちゃんも可愛かったし。

それに、浮気症のファウストの心理が意外とわかりやすく描かれてて、浮気してしまう理由ってこういうことなのか~と納得できました(誰もが彼と同じ理由とは限らないし、納得できたからといって許せるわけじゃないけど)
とりあえず彼の場合は、結婚してから家庭のことでも仕事のことでも惨めで満たされない状態にあって、代わりに別の何かで満たそうとした時、彼にとって一番手っ取り早いのが浮気だったということなんでしょうね。女好きというだけじゃなく、女性に評価されることで満足できる、みたいな。
失敗を盗みや嘘で取り繕うとするのも、彼にとって他人の評価が大きく、評価してもらえるなら中身がともなってなくても構わないという事だと思うし、中身がともなってないから自信が持てず、他人の評価を気にしてしまうという負のスパイラルはわからないでもないです。
後半はしみじみ「こいつクズだなぁ」と思いつつ、彼を突き放せないモラルドの気持ちもわかる気がしました。

浮気癖はそう簡単には治りそうもないけど、「次は私がぶん殴る」と宣言したサンドラと「それでいいんだ」と嬉しそうに笑うファウストを見たら、そんな心配は必要ないようで(笑)
ふたりとも社交的だし、小さな民宿でも始めればいいんじゃないでしょうか。美人のお客に見惚れるファウストに、3倍くらい横に大きくなったサンドラが「何よそ見してるのよ!」バシーン!!みたいな未来を想像したら楽しかったです♪
ちなみに、原題は”雄牛、乳離れしない仔牛”のことで「のらくら青年」を表すリミニ(フェリーニの故郷)の方言なんだとか。

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映画「華麗なる激情」観ました

華麗なる激情
原題:THE AGONY AND THE ECSTASY
製作:アメリカ・イタリア’64
監督:キャロル・リード
原作:アーヴィング・ストーン
ジャンル:★歴史劇

【あらすじ】1508年。シスチネ礼拝堂を建てた法皇は、天井に使徒のフレスコ画を描けとミケランジェロに命じる。気が進まない彼は描きかけのまま一度は姿を消すが、カララの石切場で突如構想がひらめく。法皇から旧約創生記を描く許可をもらったミケランジェロは、天井画制作に心魂を傾けてゆく。

これは見ごたえある作品ですね。とくに教会関係の芸術が好きな人にお勧めです。
ミケランジェロって、名前からしてキラッキラしてそうなイメージ持ってたんですが(笑)、映画では汗・砂埃・絵の具まみれで高貴な身分の人に仕えてるようにはまったく見えませんでした。戦争ばかりで資金難なのか、まともに給料ももらえず庶民以下の暮らしだったかも。
でも、のめり込んだら寝食も忘れて制作に励むタイプなので大丈夫。ホント頑丈な人だなぁと感心するほどで、上を向いて腕を上げて描く様子は見てるだけで肩と首が痛くなりそう。これを何年も続けるなんて常人には無理でしょう。
まあ人間なので、無理をしすぎれば当然倒れたりもするんですが…。彼を守ろうとする幼馴染に法皇が言った「奴の体には絵の具が流れている」というセリフがしっくりきました。

そんな身を削って絵を描き続けるミケランジェロに対し、そわそわしながら毎晩のように絵の進行具合を確認に来る教皇が可愛かったです。「私の絵はまだ完成しないのか?」という感じで(笑)
そんな二人が、芸術を介して不器用ながら友情を育んでいくのが良いですね。怖いもの知らずなミケランジェロはズケズケものを言うし、なんだかんだそれを許してしまう教皇もいつしか彼の前では本音で話せるように。こういう身分差を越えた友情って素敵です。
戦場で敵がすぐそこに迫ってきてるのに、二人して新しい天井画計画に夢中になるくだりは、ホント二人とも芸術を愛してるんだなぁと微笑ましくなりました。
終盤は教皇がいいこと言ってて、とくに「生まれ変わったら芸術家になりたい」という台詞は、ミケランジェロの才能を心から尊敬し、僧侶として自分がやってきた事について真剣に考えているのが伝わってきて感動しました。

ちなみに、原題の意味は「苦痛と恍惚」で、ストレートだけどわかりにくいかも。邦題はまったく内容が想像できないし、何か日本人にもわかりやすい粋な邦題にしてほしかったです(他力本願)。

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映画「異人たちの棲む館」観ました

 | コメディ  Comment(6) 
Tag:イタリア

異人たちの棲む館
原題:MAGNIFICA PRESENZA
製作:イタリア’2012
監督:フェルザン・オズペテク
ジャンル:★コメディ/ドラマ

【あらすじ】ローマの高級住宅地に格安アパートをみつけ、一人暮らしを始めた俳優志望のピエトロ。夜はパン屋で働き、夢の新生活に思いを馳せながら部屋の改装行うピエトロだったが、実はそこには先住者がいて…。

これはよかったですね~。gyaoはたまにこういう良作を発掘してくれるから好きです。地味ながら、コミカルでファンタジックで胸があったかくなるような私好みの作品。ゲイの主人公が受け付けないという人以外なら楽しめると思います。ホラーみたいな邦題だけど、怖くはないよ!

まず何が良いって、主人公ピエトロと借家の先住者たちが、愛すべきキャラクターになっているところでしょう。
ピエトロはゲイと言っても恋人いない歴=年齢という感じで、情熱は秘めてるけど上手く伝えられないタイプ。思いがけず先住者と出くわしても、押しが弱くて追い出せません。
しかも辛抱強い上に根が優しいから、いつの間にか彼らを受け入れてしまうんですね。
一方、その先住者というのが実はとある劇団の俳優たちで、どことなく「アダムスファミリー」に似た雰囲気。とくに、小太りな少年とダンディなヒゲの紳士、古風で品のある恰好をした団員8人がずらっと並んでいると、どこか懐かしさを感じます。

でも、あそこまで浮世離れした人たちではなく、主人公が怯えれば落ち着かせようとするし、失敗すればやんわり助言、オーディションに行く前にはみんなで演技指導までしてくれる気さくな人たちです。
ずうずうしいところもあって、居候のくせに練習の邪魔をしないでくれと言ったり、家を「ネズミの巣」呼ばわりしたり、ピエトロが欲しがっていた激レアなカード(イタリアの歴史上の偉人が描かれた実在するカード)をパクッたり…。
でも、いつの間にか彼の孤独を癒してくれる存在になっていくんですね。

とくに、ピエトロが彼らを受け入れるきっかけとなった詩人が面白かったです。夜、自室で寝ている主人公の顔をジッと見つめるという一歩間違えば変質者な人で、目覚めたピエトロに「私が画家なら、あなたの輝かしい寝顔を絵にできるのに…」とか、代わりに歯が浮くような詩でその寝顔を讃えたりするんですよ(笑)
ロマンティックすぎて聞いてるだけで恥ずかしいわっ!
まあ、初な主人公はそれですっかり気を許しちゃうんですけどね。それから進展するわけではないものの、彼のおかげで気持ちを切り替えられたのは確かです。

そして、彼らとの交流のなかで変わっていく主人公が、内面的な成長はあっても、一朝一夕で成功を掴むようなご都合展開がないのも良かったです。
まあ、俳優を目指すゲイの主人公が、名一座の団員&ゲイの詩人と出会うこと自体がご都合主義だと言われればそうなんですが、そこはすんなり運命と思えました。

以下、ネタバレあり!
あと、何気に台詞が良いんですよね〜。印象に残るフレーズだったり、哲学的だったり。
殴られて倒れていたオカマの人を手当てするエピソードも素晴らしかった…。
団員の一人が「何の役を演じてるんだ?」と尋ねると、「ただ自分を演じてるだけ。リアルな虚構が一番自然なの」と深いお言葉。このやり取りは、彼らの合言葉「虚構だ、虚構だ」「虚構ではなく現実だ」というのにもかかってるのかな?
最初は不思議な居候の存在を「よい孤独撃退法ね」と言っていた彼女が、帰り際には「こんな私が自分を信じてるんですもの。幽霊ぐらい」と見えない彼らの存在を完全に認めてくれるのが素敵。
主人公のいちばんの親友である女性(親戚)はまったく信じてくれなかったからね〜(当然だけど)

後半、頼まれた人探しを始めてからはコミカルさは薄れ、彼らの人生が垣間見えるドラマが展開されます。
過去と戦争の傷跡、そして大きな希望…。インターネットの向こう側でも、元気な姿が見られただけでどんなに嬉しかったことか…。
ラスト、束縛するものがなくなり外に出てからは、台詞がなく微笑みあうだけで気持ちが通じ合うように描かれているのが良かったです。
ピエトロに連れられてやってきた場所で、幽霊たちは彼のために演じます。

エンドロールではそれを観るピエトロの顔のアップだけが映されるんですが、劇に対する反応と、彼らとのこれまでの時間を振り返るような表情が繊細に表れ、感動で胸が一杯なのが伝わってきました。
これでお別れだったとしても、きっと彼らと過ごした掛け替えのない時間は彼の中でずっと息づいて、将来立派な俳優になるだろうと思えます。
あと、ご近所さんの青年との恋の予感もあったし、仲良しの親戚もたくましく生きていくでしょう。

ちなみに、原題は「素晴らしき存在」という意味。邦題はまあアノ作品を意識してるのかな。知ってる人にはネタバレな邦題だけど、そもそも映画情報サイトなどを見ると、彼らが幽霊だという事まであらすじに書いてあるからね…。
知っていても十分楽しめますが、どうせなら知らないまま観た方がいい気がします。

映画「ニュー・シネマ・パラダイス」観た

 | ドラマ  Comment(18) 
Tag:フランス イタリア

ニュー・シネマ・パラダイス
原題:NUOVO CINEMA PARADISO
CINEMA PARADISO
製作:イタリア・フランス’89
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】シチリアの小さな村で生まれ育った映画監督サルヴァトーレ。かつて慕っていた映写技師アルフレードの訃報を聞き、映画館パラダイス座が世界の中心のようだった頃の思い出がよみがえる。彼は帰郷を決意し…。

最初にみたのがこの124分版で、完全版のオンエアがあった時は評判を知らずに喜び勇んで観たらガッカリした記憶があります。で、久しぶりに完全版じゃないこちらがオンエアされたので、また喜び勇んで観ました。
…びっくりするほど感動しなかったです。あれ?
別に退屈したわけではなく、トトとアルフレードの交流なんかは微笑ましくてニマニマしてしまったし、いろんなシーンでノスタルジーを感じたんだけども、それだけだったなぁと。
初見時は感動した気がするのに、いろんな映画を観るようになって感性が変わったのか、それとも完全版によって修復不可能なくらいトトのイメージが壊れてしまったのか…自分でもわかりません。
そんなわけで、わりと冷静に見てしまったので変なところが気になりました。
時代だから仕方ないものの、九九ができずに教師に耳をつかまれて黒板に叩きつけられるシーンは洒落にならないですよね。周りの子が笑っているのが怖い…。
あと、父親の写真が燃えて母親が怒るくだりでは、「缶の中の写真とフィルムが燃えたという事は、妹がランプにフィルムを近づけすぎて火がつき、驚いて缶の中に落とし、蓋を閉じるとか濡れふきんを被せる、水をかけるなどの対処法が思いつかないままに燃え上がる缶を持って外に出たの???」と状況を考えてしまったり。あの子が火のついたものを持って外まで行くとは考えにくいから、母親がパニクって適切な対処が出来なかっただけのような気がする。
また、アルフレードが試験でズルするところは、きっと失明してから後悔したんだろうなぁとか。外の壁に映画を映すくだりでは、2箇所同時に映写できる構造を具体的に知りたいとか。キスシーンフィルムを繋げたのはトトにあげると約束した後なのか、目が見えなくなった後なのか、その時の気持ちと形見として遺すことにした時の気持ちを考えたり。
それと、兵士のエピソードってオチがついてないような…。完全版では最期の日に去った兵士の気持ちについて結論とかでてましたっけ?
「愛のテーマ」は良いとは思うものの、お涙頂戴もののドラマや映画で似たような(影響を受けた)曲が多い気がして、こちらも素直に楽しめなかったです。
一番印象に残ったのはライオンの口が動くシーンですね。幼いトトにはあの映画館自体がファンタジックで夢一杯な場所だったというのが伝わってきます。
あの映画館を完全再現すれば、結構な観光スポットになる気がする(笑)

追伸:後からじわじわ喪失感が…。楽しめなかったことが地味にショックです。

映画「見わたすかぎり人生」観ました

 | 社会派  Comment(4) 
Tag:イタリア

見わたすかぎり人生
原題:TUTTA LA VITA DAVANTITUTTA LA VITA DAVANTI
製作:イタリア’08
監督:パオロ・ヴィルズィ
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】就職難のローマ。大学の哲学科を優秀な成績で卒業したマルタがようやく見つけたのは、住み込みのベビーシッターの仕事だった。雇い主のシングルマザー、ソニアの紹介で、怪しげな浄水器を売る会社のコールセンターの職も得るが…。

Gyaoで鑑賞。
全体的にブラックコメディなノリで、たまにミュージカルっぽさも入るものの、なんだかグサグサくるストーリー。観ているのが辛いのに、何故か目を離せませんでした。
コメディという割りに笑えないし(唯一、ビッチなルームメイトが風呂上りに男性と出くわし、タオルで隠すけど胸しか隠れてないくだりは笑った)、でも暗いわけではなくてブラック企業の方針で毎回仕事前に歌って踊るのがシュールなんだけども…。
ラストはとくに何も解決してないにもかかわらず、大丈夫だよと言ってもらっているような気持ちになって泣けてきました。
就職難で高学歴でも仕事にありつけないマルタが、生きるために他人を騙すような仕事をはじめて、いつの間にか心が痛まなくなっていく(でも、心の奥底で悲鳴をあげているようでもある)。
そんなマルタの言葉を全部信じた上で、彼女のことを心から心配する老婦人の優しさが彼女を救ったんだろうなぁ…。
あとは、頑張って書いていた論文が認められたのと、なおかつ面倒を見ていた女の子が将来「哲学」をやりたいと言ったところも。
この作品に登場する人たちは良くない事をしている人ばかりだけど、それぞれ必死に生きているのが垣間見えて、現代社会で生きていく辛さが描かれています。
ラストの「ケセラセラ」が胸に迫ってきました。
ちなみにタイトルは、母親がマルタに言った「自分の事だけ考えなさい。見わたすかぎりお前の人生よ」という台詞から。

映画「サンゲリア」観た

 | ホラー/パニック  Comment(8) 
Tag:イタリア

サンゲリア
原題:Zombi 2
製作:イタリア/アメリカ’79
監督:ルチオ・フルチ
ジャンル:ホラー

【あらすじ】ニューヨーク湾に漂流してきたクルーザーの調査中に一人の警官が死亡する。特ダネの臭いを嗅ぎつけた新聞記者ピーターは、船の持ち主の娘のアンと知り合う。父親の謎の手紙を読んだ彼らは、父親がいるという島マツールへ向かうが…。

低予算ながら、グロさとか汚さ、生理的嫌悪感を煽る描写が徹底してますね。
役者さんは結構辛かったと思う、特殊メイクしているとはいえ顔にミミズ盛りとか(笑)
あと、海中でのサメVSゾンビは凄い発想ですね!
いきなり「JAWS/ジョーズ」的な展開(でもサメちゃんがまるっこくて妙に可愛い)で何の映画かわからなくなったところで、隠れてサメをやり過ごそうとした女性の後ろに…!!!
実際にサメと格闘した役者さんはもう凄いとしか言いようがありません。獰猛なイタチザメとの共演が一番の見所という謎のゾンビ映画(笑)
基本的に女性は脱いだり、キャーキャー言ってるばかりで役に立ちませんでしたが、死にっぷりはよかったと思います。一番印象的な死に様が目にグサーとか。
終盤やっとゾンビが大量発生し、地面からよみがえる様子はかなりカッコいい。あんまり唸らないゾンビで、動きはノロいけど気付くと後ろにいるから怖いんですよね。
でも、なんで急に一斉に島の遺体がゾンビ化したんだろうなぁ、ゾンビ化スピードもどんどん速くなってるし。「バタリアン」みたいな理由もなかった気がする。
ラストの絶望感は秀逸。後半になるにしたがって面白くなっていく作品でした。
にしても、医者の俳優がなんか見たことあると思ったら「ラストコンサート」のリチャード・ジョンソンなんですね。ギャップに驚きました。
ちなみに、邦題は日本の配給会社が作った造語で詳しい事はわからないです。sangはフランス語で血を意味しているらしいけど。原題はゾンビで、日本だと前年に公開されたロメロの「ゾンビ(1978)」と間違えそうですね。

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映画「リプリーズ・ゲーム」観た

リプリーズ・ゲーム
原題:RIPLEY'S GAME
製作:イタリア・イギリス・アメリカ’02
監督:リリアーナ・カヴァーニ
原作:パトリシア・ハイスミス
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】強盗殺人で数百万ドルの贋作絵画を手に入れ裏世界から身を引いたトム・リプリー。そんな彼の元に、昔の仲間リーブスが現れ、邪魔者の始末を強引に依頼する。一度はにべもなく断ったトムだったが…。

「太陽がいっぱい」や「リプリー」の続編の話の映画化です。
マルコビッチのリプリーがよかったですね。今までみた彼の中でも一番嵌ってた気がするし、ドロンのリプリーより謎の男って感じが好きです。
20年後という設定らしいけど、携帯電話が出てくるから舞台は現代でしょうか。はっきりとは言ってなかった気がするし、どうせなら携帯電話なしで曖昧なままにしておけばよかったのに。
で、リプリーは引退して豪邸(若干悪趣味 笑)で奥さんと幸せに暮らしてます。まあ、前からバイセクシャル匂わせてましたし、ちゃんと愛のある結婚生活を送ってるんですよ。
ハープシコード奏者の彼女といちゃいちゃ連弾するシーンとか、スフレが改心の出来だと奥さん&メイドの前で嬉しそうにする姿が可愛い。

→以下ネタバレ注意!

TV映画「戦火の奇跡~ユダヤを救った男~」観ました

 | 伝記/自伝/実話  Comment(0) 
Tag:イタリア

戦火の奇跡/ユダヤを救った男
原題:PERLASCA. UN EROE ITALIANO
製作:イタリア’02
監督:アルベルト・ネグリン
原作:エンリコ・デアグリオ
ジャンル:★戦争/伝記/ドラマ

【あらすじ】スペイン内戦時、国民戦線軍に義勇心から参加した事があるイタリア人ジョルジョ・ペルラスカ。商用でナチス支配下のハンガリーを訪れ、そこでユダヤ人の苦難を目の当たりにする。首都ブダペストで保護されるユダヤ人と数日を過ごした彼は、スペイン公使館から責任者が避難してしまったのを知り…。

Gyaoで鑑賞。持ち前の正義感と勇気、そして行動力やお金、コネなど使えるものは何でも使って、いまできる事をガンガンやっていく主人公に圧倒されました。彼の度胸と機転のよさ、意思の強さに度肝を抜かれます。
リストに名前が載ってる者を助けられるとなったら、知ってる名前は全部呼んで、さらにその人からもっと名前を聞き出すんですよね。
子供が収容所行きの列車に乗り込もうとしていたら、とっさに名前を捏造して話を合わせるようアイコンタクトで乗り切って。
でも、それに感づいていても「どうせ運ぶ途中で数%死ぬ。彼らはその中に含まれていたと思えばいい」と言い切ってしまうナチス将校が怖い…。
暴力描写は控えめなものの、仕事だからと淡々とユダヤ人を運び、殺していくナチスの怖さはしっかり伝わってきました。後編の河での処刑はよくもそんなことができるなというムゴさ…。
主人公の姿を間近で見て感銘を受ける弁護士さんや、故郷に帰るチャンスを捨てて戻ってきた主人公に一瞬で英雄を見る目に変わった若者、判断を誤ったことを後悔し続けていた医師、本来の自分を取り戻しきらびやかな生活をしていた頃よりいいと笑う伯爵夫人など、周辺の人たちもしっかり描かれていて見ごたえあります。
「彼は36人の一人だ。どの時代にも必ず36人の正しき人がいる。彼らがいるから神は地上を破壊しない」
ラストの言葉に、きっとそうなんだろうなぁと思えました。

映画「荒野の一つ星」観た

 | 西部劇  Comment(2) 
Tag:イタリア

荒野の一つ星
原題:WANTED
製作:イタリア’67
監督:カルヴィン・ジャクソン・パジェット
ジャンル:西部劇

【あらすじ】新保安官としてグリーンフィールドにやってきたライアンは、初仕事から優秀な仕事ぶりをみせた。だが、彼の赴任により保安官になり損ねたロイドは、彼に人殺しの罪をかぶせる。ロイドの背後に市長ゴールドがいると知ったライアンは、彼らの悪事の証拠を掴もうとするが…。

イマジカ無料放送で鑑賞。「暴れん坊将軍」や「水戸黄門」みたいな、安心感ある時代劇という雰囲気でした。
主人公は強くて当然、ピンチに陥れば優秀な協力者が現れるし、美人とは当然のごとく相思相愛、最後はカッコよく勝って、悪は倒されハッピーエンド!
テンポがよく、ジェンマは自信たっぷりに決めてくれるし、正義の心を持った協力者たちもカッコよくて痛快です。
とくに印象に残ったのは、協力者である牧師と賭博師。
牧師さんは、銃が必要というジェンマに「自分の信仰を信じろ!」と厳しく言うんだけど、決まり悪そうにするジェンマに「とはいえこれは必要だな」と使い慣れた様子でローブの下から銃を取り出し、くるくるっと回して手渡すんですよ(笑)
カッコいいじゃんか、おっさん!
あと賭博師の方も、追われる身で路銀に悩むジェンマを見かけ、さりげなく目配せして、他人の振りをしながら助けるとかね。
しかも、偽証した女をひっぱたいて自白させるも、彼女が殺されそうになったら身を挺して庇うんですよ。別に恋愛感情とかあるわけでなく自然体で…こりゃあ彼女、惚れちゃうわ~。
ラストは死者と遺族についてとくに触れてなかったのが物足りないものの、ジェンマのアクションも堪能できて満足でした。

映画「昨日・今日・明日」観た

昨日・今日・明日
原題:IERI, OGGI, DOMANI
   YESTERDAY, TODAY AND TOMORROW
製作:イタリア/アメリカ’63
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
ジャンル:★コメディ/オムニバス

【あらすじ】第1話「アデリーナ」妊娠中の女性は逮捕されないと知り、夫に頑張らせて妊娠し続ける。第2話「アンナ」富豪の人妻と若い青年との浮気の代償。第3話「マーラ」美しい女性に溺れた神学生の顛末を描く。

「アデリーナ」がいいですね。罪を免れるため妊娠し続けようとする、とんでもないお話ですが、そのあっけらかんとした明るさが楽しいし、そんな彼らを見守る町の人々のあたたかさがいい。なんせ、逮捕しに来た警官たちも、だんだん呆れるのを通り越して楽しみにしてるようだったし(笑)
キツイ奥さんですが、「やっぱりカルミネじゃなきゃ嫌!」と刑務所行きを選ぶところが可愛いです。にしても、小さい子がいる囚人は、母子専用の監獄があるんだね。子供用の公園とかもあるのかなぁ?
一度普通の監獄に入れられそうになって、幼い子供を見た女囚たちの表情がぱっと明るくなるシーンがあって、それが印象的。
げっそりしたカルミネも、あれだけ責められて罵倒されて、それでも彼女への愛は全く変わってないところがよかった。刑務所のアデリーナに”お金を集めて、嘆願書もだした。愛してる”と伝えるため、人を雇って歌で伝えてもらうシーンがロマンティック。これがまた美声なんだわ~。
釈放される日もみんなお祭り騒ぎで、情に厚いイタリア人の魅力が詰まってたと思います。

「アンナ」はソフィア・ローレンの最初の独白の声が超可愛いです。言ってる内容は相変わらず酷かったりしますが、声と発音が可愛い。これなら車ぶつけられても許しちゃうかも。
ストーリーはよくわからなかったけど、最後はちょっとマルチェロが可哀相でした。

「マーラ」では隣家の神学生を唆す色っぽいお姉さん役なんだけども、いまいち何をしたいのかわからなかったです。心変わり激しすぎ!
マルチェロの前でストリップをするシーンが印象的。彼女のセクシーなおみ脚もいいんだけど、それを興奮気味で眺めるマルチェロの様子が可愛かった(笑)

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映画「トスカーナの贋作」感想

 | ミステリー  Comment(0) 
Tag:フランス イタリア

トスカーナの贋作
原題:CERTIFIED COPY
製作:フランス・イタリア’2010
監督:アッバス・キアロスタミ
ジャンル:ミステリー/ドラマ/ロマンス

【あらすじ】南トスカーナ地方の小さな村で、英国作家ジェームズの新作「贋作」についての講演が行われた。聴衆の中にはギャラリーの女主人がいたが、メモを残し息子と共に退席する。やがて、彼女のギャラリーにジェームズが現われ、2人は散策に繰り出し…。

ミステリー企画4作品目。申し訳ないけど、何がミステリーだったのかすらわからなくてネットで調べました。わたしが思っていたのと全然違ってショックです…。
わたしの”顔認識能力の低さ”がここでも足を引っ張ってしまうとは!
てっきり二人は離婚した夫婦で、あの息子は、彼が話していた母子に何かあって、彼女が引き取ったとかそんな感じで、最後に母子と彼女の関係が明かされるのかと思ってたのに…。
調べたところによると、二人は途中から夫婦ごっこを始めたらしいんですよね~。
ちょっと違和感があっても、自信がないから自分の勘違いだと思って、夫婦なんだと素直に受け入れてしまいました。
だいたい、本当にごっこ遊びをしてたんだとすると、かなり始めのほうからヒロインが気持ち悪いおばさんにしか見えません(女優ではなく役が)。ずうずうしいというか、浅ましいというか…。
ジェームズもかなり嫌なヤツだと思いましたが、あんなのに付きまとわれたらあの態度も仕方ないですね。同情します。
むしろ、あそこまで付き合ってくれるなんて、いい人すぎ!
不毛な口喧嘩が長々続き、観てるだけで疲れる作品でした。

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映画「復讐のダラス(怒りの用心棒)」観ました

 | 西部劇  Comment(6) 
Tag:イタリア トニーノ・ヴァレリ

復讐のダラス(怒りの用心棒)
原題:IL PREZZO DEL POTERE
製作:イタリア'69
監督:トニーノ・ヴァレリ
ジャンル:西部劇/サスペンス/アクション

【あらすじ】1881年、南北戦争直後のテキサス州。人種差別がいまだ残るダラスを、大統領が訪れる。だが、大統領は何者かに暗殺され、ビルの黒人の友人が犯人として逮捕されてしまう。友人の無実を信じるビルは真相を解明しようとするが…。

ジェンマというと、かっこよくアクションで魅せる作品が多いと思ったけど、これは策謀や駆け引きがメインのサスペンスでした。
ケネディ暗殺を題材にしているらしく(登場するのは他の実在する大統領ですが)、事件のすぐ後にこういう形で疑惑を投げかけたのはすごいと思うし、ジェンマの復讐劇に政治的な駆け引きが加わって、いつもとは一味違う見ごたえある作品になってます。
大統領の影響で心を入れ替えた副大統領の命により、悪役どもを倒すのではなく封じ込める(ゆすりのタネを取り戻し、逆に弱点を握る)補佐官がステキ!
彼が目的のためなら感情も抑え任務を遂行できるひとだから、ジェンマの真っ直ぐな役どころが引き立つんですよね。
黒人の友人が大統領暗殺の濡れ衣を着せられようとしていた時、ジェンマの「彼は白人と黒人を同じだと言った大統領を尊敬していた。暗殺はそれだと困る奴の仕業だ!」というセリフが単純かつ的を得ていて響きます。裏をかいたり回りくどいことをしていた法廷で、一番説得力のある言葉でした。
ラストは、全てを明らかにしたいと一度は”ゆすりのタネ”を補佐官に渡すのを拒むも、秘密のままの方がいい事もあるという彼の言葉で、かつて北軍の父親に従わず南軍として戦った自分が(父親のために?)弁明を一切せずに服役した事を思い出したのか、「あんたに任せる」と返すシーンは痺れました。
多くを失い、虚しい気持ちを抱えながら、タバコに火をつけて汽車を見送るシーンが印象的でした。
邦題は何種類かあるみたいですね。個人的に「復讐のダラス」の方がお気に入り。原題の意味は「権力の代償」。こちらも渋いです。

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映画「ローラ(1960)」観ました

ローラ(1960)
原題:LOLA:DONNA DI VITA
製作:フランス/イタリア’60
監督:ジャック・ドゥミ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】仕事にあぶれたローランは、幼友達ローラに似た雰囲気の少女と出会う。そしてその矢先、10数年ぶりにローラと再会するのだった。初恋のひととの思いがけない再会に運命を確信するが、彼女は7年前に忽然と姿を消した恋人ミシェルを待ち続け…。

最初はケバイ女だなぁと思って観てたんだけど、彼女の母親としての素顔が見えるにつれ引き込まれてしまいました。主人公がちょっと頼りなげな根暗青年なのも私的に感情移入しやすくていいです(笑)
子供を学校へ送ったり、寝かしつけたり、主人公と再会して話してても子供から目を離さず、こまごまと母親としての描写が入り続けて、最後まで変わらなかったことに感動。さすが「子供のためにギャンブルやめて立ち直る!」と修行の旅に出た夫(恋人?)を7年も信じて待ち続けるだけあります。
強い母親であり、ダンサーとしても男たちを魅了してしまう彼女は、何事にもやる気がなかった主人公が生きる喜びを見出すのも納得なヒロインでした。
また、13歳の美少女を女手一つで育てつつ父親にふさわしい相手を探す女性や、みんなに甲斐性なしと思われている息子の帰りを待ち続けるお婆さんが良かった。母親がみんな素敵なんですよ。
それに、仕事ではふらふらしてる主人公も、彼女への態度や他の人との会話から他人への誠実さが伝わってきて好感が持てます。ついかっとなってヒロインに酷い言葉を投げつけてしまった翌日、きちん誠心誠意謝るのがよい。こういう描写は省略してはいけないよね。
モノクロの美しい映像が、ラストの切なさを際立たせてました。ローラ(ローランでした)のその後が語られるという「シェルブールの雨傘」もいつか観てみたいです!

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映画「地球最後の男(1964)」観た

 | SF  Comment(3) 
Tag:リチャード・マシスン イタリア

地球最後の男(1964)
原題:THE LAST MAN ON EARTH
製作:アメリカ・イタリア’64
監督:シドニー・サルコウ、ウバルド・ラゴーナ
原作:リチャード・マシスン
ジャンル:SF/ホラー/サスペンス

【あらすじ】1970年代、死者が吸血鬼として蘇る新種のウイルスが蔓延する世界。生き残ったロバートは、吸血鬼が眠る昼間の間だけ外に出て、生活必需品の確保と吸血鬼退治を行っていた。そんなある日、太陽の下で活動する女性を発見し…。

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に影響を与えた作品という事で観てみました。
淡々としていてだいぶ長く感じたけど、同一原作の「アイ・アム・レジェンド」と違って狂った怖さがあるというか、オリジナルに忠実だというラストも含めて印象的な作品でした。
前半の無表情に”日課”をこなしていく主人公が怖いんですよ。朝起きて、壁に描いたカレンダーに日付をつけ、食事、吸血鬼撃退アイテム(にんにくや鏡)の点検、木の杭つくり、無線チェックを行います。そして、家の周りに転がっている共食いした”ヤツら”の死体を車に乗せて、生活必需品の調達に出発。途中、焼却場で死体を燃やし、店で必要なものを揃えたら、今度は眠っている”ヤツら”を探し出して、胸に杭を打ち込んで殺し、帰りにまた焼却場に寄って行くんですよね。
もう、3年も続けている生活というだけあって、その”日課”に無駄も感情も一切ありません。
話し相手は一人もおらず、名前を呼ぶのは夜中に家の周りをうろつく吸血鬼たちだけ(この描写が「ナイト~」のゾンビそのもの!)。彼の絶望が不気味なほどリアルに描かれていました。
そんな彼が別人のように嬉しそうな表情を浮かべたのは、真っ黒い犬を見つけた時くらいでしょうか。そんなにも喜んでいたのに、血液検査で陽性だったというだけで(症状が人間と同じかどうかはわからない)殺してしまう描写のあっけなさも恐ろしい…。
ラストはやはり「ナイト~」を思い起こさせる絶望感が良かったんだけども、回避しようと思えばできた気もするし(ワクチン完成の事を伝えろよ!)、なんで今までやられっぱなしだったんだという疑問も浮かんできて、スッキリとはしなかったかも。でも、一見の価値はあったと思います。
二度目の映画化作品「オメガマン」も機会があったら観たいなぁ。

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映画「ある公爵夫人の生涯」観ました

ある公爵夫人の生涯
製作:イギリス・イタリア・フランス’08
原題:THE DUCHESS
監督:ソウル・ディブ
原作:アマンダ・フォアマン
ジャンル:★歴史劇/ドラマ

【あらすじ】18世紀後半のイギリス。スペンサー家の令嬢ジョージアナは、世界有数の名門貴族デヴォンシャー公爵と結婚する。だが彼は男子の後継者をもうけることにしか興味がなく、自分をまるで愛していないという現実を突きつけられ…。

これは凄かったですね~。ずっしりきたし、終盤はボロボロ泣いてしまいました。
最初はジョージアナを演じるキーラ・ナイトレイのキツイ表情はどうだろうと思ってたんですが、彼女の苦悩の日々を見るうちに納得。こんなに芯の強そうなひとでも、かろうじて耐えられるかという張り詰めた雰囲気が緊張感を増してました。
耐えるばかりの夫婦生活に沈む表情と、それを埋めるように社交界での八方美人な笑顔が増えていくんだけど、それが娘の前では別人のように幸せに満ちた表情になるんですよね。
イラストは娘が生まれて間もなくの頃。この作品のなかで初めて彼女を美しいと思ったシーンです。

一方、彼女に対してあまりにも無情であり続けた夫、デヴォンシャー公爵を演じるレイフ・ファインズも素晴らしかった。結婚は契約でしかなく、妻の役割は男児を産むことだけ。会話すら無駄な事だと思っているかのように、用がある時しか話さず、犬と戯れる時以外はほぼ無表情。
まるで苦痛に気付かないフリをする病人のようだと思っていたけど、彼を苦しめていたのは重すぎる家名…跡取りが生まれない間は常に、先祖代々の亡霊に押しつぶされそうな気持ちでいたんでしょうね、きっと。

そんな彼らの中に入ってきた強かなエリザベスも、辛い立場でした。
暴力亭主から子供たちを取り戻すためならどんな手段でも、と心に決めていただろうに、同じ様に結婚生活で苦しんでいたジョージアナを裏切った事、その罪悪感がひしひしと伝わってきます。ジョージアナの背中を押し、ひと時の甘い恋を味あわせたのも、少しでも償いたいという気持ちがあったからでしょう。
ジョージアナが娘たちのために戻った時、愛人との子供を手放した時、最も彼女の気持ちを理解し、子供への深い愛情と別れの苦しみを自分の事のように感じていたのは、エリザベスだったんじゃないでしょうか。
友情を裏切った事実は変わらないけど、彼女と寄り添う姿を見たらエリザベスがいてよかったと思ってしまいました。

でも、こんな彼らを見て涙しつつも、一番共感したのが屋敷の使用人たちだったりするのはどうなんだろう(笑)
どんなに近くにいても、見ていることしかできない辛さとか、映画を観ているわたしたちと近いものがある気がします。

映画「あゝ結婚」観ました

あゝ結婚
製作:イタリア’64
原題:MATRIMONIO ALL'ITALIANA
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
原作:エドゥアルド・デ・フィリッポ
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】経営する菓子屋のレジ打ち娘との結婚を控えた、金持ちの道楽息子ドメニコ。そんな時、内縁の妻フィルメーナが倒れ、瀕死の状態に。医者より神父を呼べという彼女に戸惑いつつ、彼ははふたりの出会いと今日までの日々を回想する…。

これ好きですね~。わたし的に苦手なタイプの男が好き勝手やってる時間が多いにもかかわらず、後味よくあたたかな感動いっぱいで観終われました。
まず、使用人のふたりがいい味だしてます。前半にイラつかなかったのは、このコミカルで良心的な存在があったからでしょう。
冒頭、「こうなると(倒れると)思ってた!」とメイドが言うたびに、両手を顎の下で組んで、顔を横に振る動きをするのが妙に印象的で可笑しかったなぁ。イタリアにはそういうジェスチャーがあるんでしょうか?
あと、フェルメーナが倒れて家の中があわただしい中、あわててやって来たドメニコをいないも同然に目の前でドアを閉めたり、あからさまにジト目を向ける様子にクスリ。「コイツは一体何者だ?」と思っていたら、彼とフェルメーナの関係が明かされていって、その自分勝手な振る舞いに、あの扱いも当然!と納得。不憫なフェルメーナには思いっきり同情してしまいました。
それが、後半になって「あっ」と驚かされます。いやぁ、彼女の強さには参りましたね~。強かな女性ってホント素敵です。立場逆転で、彼女にいいように操縦されているドミニコを見るのが楽しい!
子供に受け入れられる過程はあっさりしすぎでしたが、イタリア男はマザコンばかりという事なので、あれくらい簡単にいくものなのかな?
ラスト、どんなに辛くても泣かなかったフェルメーナが流す”幸せの涙”。それまでのいじらしい姿を見てきたので、「良かったね」と抱きしめたい気持ちになりました。
ちなみに、原題の意味は”イタリア式結婚”です。

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映画「フリックストーリー」観た

 | サスペンス  Comment(11) 
Tag:フランス イタリア

フリックストーリー
上司「報告書を書け、詳細にだ!」
製作:フランス・イタリア’75
原題:FLIC STORY
監督:ジャック・ドレー
原作:ロジェ・ボルニッシュ
ジャンル:サスペンス

【あらすじ】戦後まもない1947年。敏腕刑事ボルニッシュのもとに、殺し屋ビュイッソン脱獄の大事件が転がり込む。密告者への報復を済ませ、強盗事件まで起こすビュイッソン。ボルニッシュは情報屋からアジトの場所を突き止めるが…。

いつでも雨の後みたいな街を舞台に、キレてもイカレてもないドロンが強面の犯罪者を追っかける話。実話を基にしてるらしいです。
とりあえず、いたって普通の敏腕刑事を演じるドロンに違和感を覚えまくりでした。でも、犯人を追って屋根から落ちたり、上司に怒鳴られっぱなしだったり、恋人を大事にしてたり、こんなドロンの方が好きかもしれない。捜査を外されても、新しく担当になった事件がビュイッソンにつながれば、上司に報告せずにまた彼を追い始めるところが飄々としていて格好よかったです。
…まあ、らしくはないけれども。
彼の同僚がいきすぎた尋問をするものの、途中で必ず彼がたしなめ、飴と鞭でいいコンビに見えました。ヒステリックな上司も、淡々と仕事をする主人公とバランスが取れていたと思います。コメディ担当ってワケじゃないんだろうけど、なんだか笑えるし。
ただ、いろんな人が褒めている犯人役のトランティニアンの演技は、わたしには無表情な怖い顔のひとにしか見えなかったり。レストランで、逮捕に協力してくれた恋人(危なくない?)が弾くピアノの音色に、その強面がすこし緩むのは印象的でした。
ラスト、一年に渡る取調べをボルニッシュの独白で見せるところも面白い。犯人との間に、ある種の共感がうまれたというセリフは、原作者とドロンの両方の言葉だったんでしょうか?
脇役の顔をあまり見分けられずストーリーはわかったようなわからなかったような感じでしたが、作品の雰囲気はとても楽しめました。
ちなみに、フランス語フリックは「警官」「刑事」の俗語です。

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映画「グラン・ブルー 完全版/デジタル・リストア・バージョン」観た

グラン・ブルー 完全版
エンゾを描きたかったけど、夏なのでやっぱりブルー!
製作:フランス/イタリア’88
原題:LE GRAND BLEU: VERSION LONGUE
監督:リュック・ベッソン
ジャンル:ドラマ/ロマンス

【あらすじ】イタリア人の潜水チャンピオン、エンゾは、子供の頃に彼が唯一認めていたジャック・マイヨールを、シチリア島タオルミナで開催される競技会に招待する。自動車事故の調査でジャックに出会った保険調査員ジョアンナも追ってきて…。

久しぶりにこの作品を堪能しようとドキドキしながら観始めたものの…なんか記憶と違う!
そうか、わたしが高校生くらいの時に観たのは、ディレクターズ・カット版の「グラン・ブルー オリジナル版」だったのんですね…。記憶からすっぽり抜け落ちていたジョアンナが、今回は可哀そうで仕方がなかったということは、彼女のシーンが増えたんでしょうか?
まあ、細かい違いはわからなかったけれど、彼女へ感情移入すればするほどラストが哀しいので、わたし的にはエンゾが記憶に焼きついたオリジナル版のほうが好きです。完全版はやたら長いし。
でも、たぶん増えているはずのダイビングシーンは変わらず素敵でした。わたしもイルカさんと友達になりたい!!とマジで夢見てしまった(笑)
「海底の静けさの中でじっと沈黙して、人魚のために死んでもいいと決意すると、人魚たちがその愛を確かめに近づいてくる。その愛が真実で、純粋で人魚の意にかなえば、ぼくを永遠に連れていく…」というセリフがラストの行動に繋がるなら、”イルカ=人魚=海に命を捧げた者”ってことなんでしょうか。そうすると、あのイルカは父親でありエンゾでもあるのかな。
ダイビングをしていると、こんな風に海に誘われてしまうのかと思うと、ちょっと怖いです。天井から水面が迫るシーンはグッときたけど。
コインを潜って拾う子供時代のふたりや、小さな車から堂々と出てくるエンゾ、エンゾママの前でパスタをモリモリ食べるジョアンナ、イルカと戯れるジャックなど、楽しい雰囲気の前半が印象に残りました。

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映画「恋愛睡眠のすすめ」観た

恋愛睡眠のすすめプチ
原題:THE SCIENCE OF SLEEP(LA SCIENCE DES REVES)
製作:フランス・イタリア’05
監督:ミシェル・ゴンドリー
ジャンル:★ロマンス/ファンタジー

【あらすじ】ナルコレプシーでしばしば夢と現実の区別がつかなくなる青年ステファン。仕事はもちろん恋愛も失敗ばかりの冴えない人生を送っていた彼は、母が大家をするアパートに住むことに。そこへ、知的な女性ステファニーが越してきて…。

最初はアート系の雰囲気に一歩引いて観てたんですけど、夢か現実か区別がつかず好きな人の前で大失敗したり、嫌われているんじゃないかという不安から幻覚を見たりする様子に、この不思議で目茶苦茶な世界は重度睡眠障害(本人は病気だと知らない?)に苦しむステファンが見ている世界そのものなんだと思えたし、
夢の中のつもりで彼女の部屋に行ったら現実で(つまり不法侵入)、今度こそ嫌われたと泣きながら逃げていって、彼女からの慰めの電話に「70歳になったら結婚してくれる?…失うものはない。」というシーンが切なくて切なくて、思わずもらい泣きしてしまいました。電話で話しながら眠りにつき、夢の世界の彼と、現実の世界の彼女が電話で話しているのもよかった…!
ややとっつきにくい作品だったけど、恋愛で浮かれたり苦悩したりという部分は普遍的なものなので、一度入り込んでしまえば最後まで楽しめると思います。
ちなみにフランス語題の意味は「夢の科学」で英語題は「眠りの科学」。邦題はまあ可愛らしくていいんじゃないでしょうか。

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映画「友よ静かに死ね」観た

 | 犯罪  Comment(2) 
Tag:フランス イタリア

友よ静かに死ね
製作:フランス・イタリア’76
原題:LE GANG(DANS LES GANG)
監督:ジャック・ドレー
原作:ロジェ・ボルニッシュ
ジャンル:★犯罪

【あらすじ】1945年、戦争の傷跡が残るパリ。神出鬼没のシトロエン・ギャングのロベールらは、いつものように仕事に出ていた。だが、帰って来た時の様子から、ロベールの恋人マリネットは不安に駆られる。彼女は彼との出会いを思い返し…。

カーリーヘアのアラン・ドロンがノリと思いつきと運でギャングごっこをしている感じの作品。原題はどちらも”ギャング”の事なんだけどね。
計画性は皆無だし、みんな仲良しで裏切りの気配もない。銃撃戦が始まった時はやっぱりギャングモノかと思ったけど、どうも弾が当たってる気がしないんだ。実は作中で一人しか死んでないんじゃないだろうか。
そんなちょっとぬるいギャングモノなんだけども、アラン・ドロン演じるロベールがなかなか愛嬌があって好感が持てました。
やってることは目茶苦茶でも、優しさは人一倍持ってるんですよね。感化院出の自分を実の子供のように育ててくれた夫婦、とくに半身不随になってしまった老父(ボス?)の肩を抱き、子供の頃を回想するシーンはよかった。仲間が彼を信頼しているのも、彼が大事な人を大切にする人間だと知っているからでしょう。
友達の赤ちゃんの洗礼のパーティで、男たちでわいわい遊んでいるのを眺めながら「今が永遠に続けばいいのに」と呟くマリネット。これが長く続かないとわかっているから、よけいにその幸せに満ちた風景が美しく見えました。
彼女がロベールのもとへ必死になって駆けつけるラストが切ない。

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フリックストーリー

映画まとめ感想

この前、寝不足の状態で朝食を準備していたら、キャベツを刻んでいただけなのに爪の真ん中から先端に向かってザクっと(5mmくらいだけど)やっちまいました。どんだけ弱いの私の爪!
まあ、オロナイン塗って絆創膏で固定してたら、案外くっついてきたんで一安心。なんせ、しょっちゅう爪の(指の?)先端を切り落としていて、どんどん爪が短くなっていたので、これ以上なくなると困るんですよ。というか、いい加減包丁の使い方を覚えろって話ですが。
そんなわけで、イラストを描くのが面倒なのでまとめ感想です。

『伊豆の踊子(1974)』
(日’74、西河克己監督)
山口百恵ちゃん主演のやつですね。百恵ちゃんの可愛さもさることながら、他の役者さんも親しみを感じる方ばかりで安心して観られました。妙に吉永小百合版と被るなぁと思ってたら、同じ監督さんだ。そんなに「伊豆の踊子」好きなんですかね?
全体的によかったけど、カオルが刺青の男に絡まれるシーンで終わって後味悪かったです。原作では”いい思い出にしないで迎えに行けばよかった”みたいに後悔してたような気もするので、その苦い想いを表現したかったのかな。個人的には、映像よりモノローグで表現してくれた方がよかったです。
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『タイムライン:TIMELINE』
(米’03、リチャード・ドナー監督)
冒頭から入り込めませんでした。考古学熱を爆発させて勝手に過去に行ったじいさんが、息子や教え子を危険に巻き込むとわかって助けを求めるのがちょっとね。まさか素人ばかりで助けに来るとは思いもよらなかったのかもしれませんが。お姫様と教え子の恋愛模様は絵になっててよかったです。

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『ブーリン家の姉妹:THE OTHER BOLEYN GIRL』
(英・米’08、ジャスティン・チャドウィック監督)
貴族の醜いあれこれで子供が犠牲になる話はあんまり好きじゃないんですが、あんな浮気者の王様を愛そうと努力するメアリーは健気ですね。でも、金髪のスカーレット・ヨハンソンには興味ないんだ。彼女の賢い母親が可哀そうでなりませんでした…。

『この自由な世界で:IT'S A FREE WORLD...』
(英・伊・独・スペイン’07、ケン・ローチ監督)
いきなり解雇されて見返してやるって頑張っていたのが、だんだんと”弱い立場の人間を食い物にする”ことに味を占めていくシングルマザーのはなし。自分と息子の生活を守るために頑張ってる普通の人が、自分で気付かないうちに人間性を失っていくのが怖い。あんな母親の姿をみたら、息子はもっとグレるだろう。わたしの理解力が足りないのかもしれないけど、どんな悪事をして誰に裏切られたのか、お金を全部返してどうやってラストのように上手く仕事を軌道に載せたのか、いまいちわかりませんでした。

映画「夕陽のギャングたち」観ました

 | 西部劇  Comment(4) 
Tag:イタリア

夕陽のギャングたち
製作:イタリア’71
原題:GIU LA TESTA
監督:セルジオ・レオーネ
ジャンル:★西部劇/ドラマ

【あらすじ】革命の動乱が続く1913年、メキシコ。子供たちと山賊として生きるフアンは、鉱山を目指す発破屋ジョンと出会う。すぐにメサ・ヴェルデ銀行襲撃を思いついたフアンは、強引に彼と手を組むのだった。だが、彼はアイルランド革命の闘士で…。

ちょっと長い作品なんですけど、主人公ふたりがすっごい魅力的で最後まで画面に釘付けでした。
コバーン演じる発破屋が格好いいのはもちろんのこと、一人だったら絶対に好きになれないフアンという悪党が彼と組む事で一気に魅力を増しています。もう彼らの友情が輝いちゃっているんですよ。
彼らが組む事になるまでのコミカル前半と、革命に巻き込まれていくシリアスな後半のギャップで戸惑ったり、発破屋の回想で一人の女性を共有している関係が謎だったりするものの、二人を観ていられるならそれくらい気になりません。
負けず嫌いのフアンが涙を見せるシーン、そして”ダイナマイトしか信じない”発破屋がフアンに「友よ」と言うシーンではボロボロ泣いてしまいました。豪快な爆破シーンもあって、久しぶりに西部劇を堪能した~!って感じです。
ちなみに原題の意味は「伏せろ!」、英題は「一握りのダイナマイト」です。

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 | 犯罪  Comment(12) 
Tag:イタリア

黄金の七人
製作:イタリア’65
原題:SETTE UOMINI D'ORO
監督:マルコ・ヴィカリオ
ジャンル:★犯罪/コメディ

【あらすじ】銀行の真向かいにあるホテルの一室で、”教授”が6人の仲間に無線で指示を飛ばす。彼らの狙いは、ジュネーヴのスイス銀行に眠る7トンの金塊だった。妖しい美女ジョルジアを傍らに、”教授”の計画は滞りなく進められていくが…。

荒野の七人」みたいなタイトルだなぁと思って観始めたら、内容はむしろ実写版ルパン三世という感じでした。
もう、黄金強奪の手段とか、使っている道具のおもちゃっぽさとか、登場人物、とくにお色気美女ジョルジアのゲームを楽しんでいるような雰囲気が、まんまルパン三世なんですよね。いつ「ふ~じこちゃ~ん」とルパンが現れてもおかしくない、懐かしくて楽しいムードに溢れてました。
頭が切れて、ジョルジアにはぞっこんだけど、完全には信用していない”教授”。お金大好きで、手練手管によって男を操るジョルジア。そして、ヨーロッパ選りすぐりの盗みのプロであり、”教授”の頭脳を信頼する6人の男たち。
そんな彼らが、あくまでゲームを楽しむ感覚で、金塊を盗みだします。小さなミスや想定外の出来事にハラハラドキドキ、つい彼らを応援してました。…まあ、盗み出した後が本番みたいなもんなんだけどね!
オシャレで楽しい、気楽に観られる犯罪コメディだと思います。

映画「ひまわり」観ました

 | 戦争  Comment(6) 
Tag:ヴィットリオ・デ・シーカ イタリア

ひまわり
1mくらい離れて見てね!
製作:イタリア’70
原題:I GIRASOLI
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
ジャンル:★ロマンス/戦争

【あらすじ】貧しいナポリ娘ジョバンナとアントニオは、出会ってすぐ恋に落ち、間もなく結婚した。だが、第二次世界大戦が勃発し、アントニオは戦争へと駆り出されてしまう。終戦後、帰らないアントニオの生存を信じ、彼女はソ連を訪れるのだった。

今まで見た”戦争で引き裂かれた男女”の物語で、一番好きな作品になったと思います。
アントニオの生存を信じるために、魂をも消耗しているんじゃないか、というくらいのジョバンナの気迫が凄まじい。それと同時に、いつ燃え尽きてもおかしくない儚さも…。
それでも決して諦めず、夫を探し続ける彼女の姿に”見つかってほしい!”と祈るように観てました。
そして、待ち望んでいたはずの再会。駅で夫の帰りをずっと待っていた彼女が、こんな形で再会を果たすなんて。…遣り切れません。
何も言わずに列車に乗り込み、泣き崩れる彼女の姿は、涙なしには観られませんでした。
そんな彼女と夫の想いを悟って、静かに微笑んで夫を送り出す奥さんも切ない。

また、回想でしかでてこない、過酷なロシアの雪中行軍の様子も強烈でした。小さな家にぎっしり兵士が並んで、立ったまま仮眠。それすらもできず、雪の中でひとり、またひとりと倒れてゆく。
そして、この作品のタイトルであり、夫を追い求めるジョバンナの心を表しているかのような”ひまわり”も、その下に眠っているのは、ロシア戦線の犠牲者たち…。
生命力を感じさせる一面のひまわりも、これからは複雑な思いで見る事になりそうです。

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