イギリス 忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「パレードへようこそ」観ました

 | 伝記/自伝/実話  Comment(2) 
Tag:イギリス

パレードへようこそ
原題:PRIDE
製作:イギリス’2014 121分
監督:マシュー・ウォーチャス
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】1984年イギリス。不況の煽りで20ヵ所もの炭坑の閉鎖が決まり、炭鉱夫たちは4ヵ月以上もストライキを続けていた。ロンドンに暮らすゲイのマークは、いつも自分たちをいじめていた奴らが今度は炭鉱夫をいじめていると奮起。彼らを支援するため、仲間たちと募金活動を行い…。

実話を基にした作品。
炭鉱町を救うため、炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会が立ち上がるっていうのがイギリスらしいエピソードです。でも、今まで自分たちをいじめていた政府や警察が、今は炭鉱夫たちをいじめているから、という理由で立ち上がったというのが「なるほど」という感じで、こうやって周りを見て協力すれば大きな力になるということを教えてくれました。
最初に立ち上がったマークから活動が広がっていって、彼が途中で投げ出しても仲間たちや新しい仲間が引き継いでくれる。何かを始めるというのは偉大なことです。

この作品では炭鉱町ディライスの人々が魅力的で、とくに最初から彼らに対して偏見を持たず、理解し合おうと歩み寄っていたおばさんたちが素晴らしいですね。好奇心もあったんだろうけど下卑た感じはなくて、すぐに打ち解けてしまいます。
それでもやはり彼らを敵視する少数派はいて妨害行動をとることも。
しかし、「ゲイは悪口を大切にする」とヘンタイ扱いされたのを逆手にとって「炭鉱とヘンタイ」という炭鉱支援コンサートで一気に大金を稼ぐところはさすが。転んでもただでは起きないタフな生き方に勇気付けられました。

実話を基にしているため少々物足りないなぁと感じるところもありましたが、ラストのパレードは胸が熱くなります。実話だからこその説得力。現実でも、こんな風に受け入れ合い認め合うことができるんだなぁと嬉しくなりました。
全国炭坑労働組合の尽力によって、同性愛者の権利を認める議案が労働党大会で可決されたというのにホロリと来ます。

映画「映画ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」観ました

 | マンガ/アニメ  Comment(4) 
Tag:イギリス フランス

映画ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~
原題:HAUN THE SHEEP THE MOVIE
製作:イギリス・フランス’2015 86分
監督:マーク・バートン、リチャード・スターザック
ジャンル:★コメディ/ファミリー

【あらすじ】イギリスの片田舎にある羊の牧場。変わり映えしない毎日に退屈したショーンは、眠った牧場主を古いトレーラーに移し、自分たちだけで伸び伸び過ごそうと考える。だが、ふとした拍子にトレーラーは走り出し、大都会へと向かってしまう。あわてて後を追うビッツァーとショーンたちだったが…。

いいですね~、思わずホロリとさせられました。牧場主とあんなに深い絆があったなんて!
っていうか、若い頃から牧場主は牧場主だったんだと驚いたり。考えてみれば脱サラしたタイプには見えないし、親が牧場経営していて小さい頃から動物と一緒に育ったんでしょうね。
その割にはやる気なさげだけど(笑)

トレーラー大暴走のアニメ的表現が相変わらず躍動感あって、ストップモーションということを忘れます。
都会についてからは、動物アニメなどで定番な保健所の恐怖展開と、牧場主が新たな才能に目覚める予想外の展開が並行しつつ、牧場主を取り戻すために必死に頑張るショーンたちがしっかり描かれていて見ごたえありました。

笑いどころもたくさんあって、保健所で常に狂気の眼で見てくる犬とか(その正体はエンドロールで!)、人間に化ける羊たちの見事な変装ぶりとか、牧場主のカリスマ性とか最高でしたね。今風にインスタグラムでシェアされて、一気に時の人となって看板にも彼の写真が。刈り方がお客さんに対するものじゃないけどそれでいいのか(笑)

そして、「ウォレスとグルミット」シリーズでもお馴染みのサスペンスホラー展開もバッチリ。ショーンたちと牧場主が絆を取り戻すきっかけにもなって、ラストはジーンとしました。
ショーンとビッツァーのほっぺにチュッチュしちゃって、ホントに仲良しなんだなぁ。
「ひつじのショーン」が大好きになる映画です。

映画「SOSタイタニック/忘れえぬ夜」観ました

 | ホラー/パニック  Comment(5) 
Tag:イギリス

SOSタイタニック/忘れえぬ夜
原題:A NIGHT TO REMEMBER
製作:イギリス’58 124分
監督:ロイ・ウォード・ベイカー
原作:ウォルター・ロード
ジャンル:★パニック/ドラマ

【あらすじ】1912年、不沈の船と言われる豪華客船タイタニック号は、2200人以上の乗客を乗せ処女航海に出た。だが、氷山との衝突によって想定外の損傷を負った船体は、ゆっくりと黒い海の中に沈み始め…。

実は先月上旬に見ました。音楽がというか、演奏シーンがとても印象的だったので、そのつもりで見たわけじゃないけど音楽映画祭の作品にしようか迷ったくらい。
さて、邦題は”SOS”の部分がちょっとダサいけども、これは傑作だと思います。タイタニックの事故のことを知りたいならこれを観ればいいし、キャメロン監督の「タイタニック」が好きな人にもぜひ観てもらいたい!

まず、1958年に作られたのに映像でガッカリすることはほとんどないというのが素晴らしいです。ショボく感じたのは氷山くらいかな?
モノクロの映像をテレビの小さい画面で見たにもかかわらず、船が軋み真っ黒い海に沈んでいくシーンは圧巻でした。たぶん構図とかも上手いんだと思います(キャメロン監督が真似したぐらいだし…)

それでいて映像に頼り切りというわけでもないんですよ。「この船が沈むわけがない」と思い込んでいる人たちののんきな様子と、一等客室(の女子供)を最優先で助けるのが当然という空気、それをわかっていて最後まで人々のために音楽を奏でる演奏家たち、そして、すぐ目の前で起こっていることに最後まで気付かなかったカリフォルニアン号の船員たち…。その様子が淡々と描かれており、どうなるかわかっている鑑賞者の焦りと恐怖を掻き立てます。

ホントもう、救難信号を必死に送り続ける通信士や、海水が侵入してくるなか修理を続ける機関士たち、母親とはぐれた幼い子供と彼を必死に抱くおじさん(演奏家のひと?)などを観ていると、『カリフォルニアン号許すまじ!!』って感じですよ!!!
あの船の通信士が眠ってなければ、通信に気付いた人が通信士を起こしていれば、船長が報告を真面目に受け止めていれば、甲板にいた船員が異常に気付いていれば、…あと、タイタニック号も救命ボートを人数分以上用意していれば、きっとほとんどの人が死ぬことはなかったのに!
あの場にいたのがカルパチア号だったら、と何度思ったことか…。

この事件の後、救命ボートの数と通信士の24時間体制のルールが追加されたらしいけど、ナレーションのように「この事故は無駄ではなかった」とは素直には思えなかったです。むしろ、ここまで死者を出さなければわからなかった、ということが腹立たしいし哀しい。その2つが見直されるのは当然のことで、それ以上に事故の予防、事故が起きた時の被害を減らす方法を徹底的に話し合ったかどうかが気になります。

船に残ると決めた設計士アンドリュースと、ボートでも周りの人たちを救ったライトラー2等航海士の自戒の言葉が印象的でした。

映画「ロンドンゾンビ紀行」観た

 | ホラー/パニック  Comment(0) 
Tag:イギリス

ロンドンゾンビ紀行
原題:COCKNEYS VS ZOMBIES
製作:イギリス’2012 88分
監督:マサイアス・ヘイニー
ジャンル:★コメディ/ホラー

【あらすじ】祖父が入居する老人ホームが閉鎖されることになり、仲間を集め銀行強盗を決行したテリーとアンディたち。しかし、なんとか金を手に入れたところで、町中にゾンビがあふれかえっていることに気付く。兄弟は祖父を助けるため、ゾンビを掻い潜り救出に向かうが…。

これは良いゾンビ映画ですね。OPからカッコよすぎだし選曲もセンスあります。
前半は割と普通なんですけど、舞台がお祖父ちゃんたちがいる老人ホームに移ってからグッと面白くなってくるんですよ。数あるB級ゾンビ映画に埋もれないように個性発揮してます。
この作品のゾンビは昔ながらのノロノロ、知性なしで、怪力でもありません。ノロノロでも緊張感を出すには、数で勝負したり、人間側にも不穏分子を置いたり、逃げ場がない状況に追い込んだりしますが、この作品はまったく別の方法を編み出しました。動きがノロノロのゾンビには、同じくノロノロの老人で対抗すればいい!という新発想です(笑)
このノロノロ追いかけっこが、見せ方がいいのもあって大笑いなんですよ。ノロノロしてるのに物語のテンポも悪くなってないし、むしろここからが本領発揮。

若い方のチームでは割と早い段階で不穏分子が退場して、最強にクールな老人たちと合流してヒャッハー状態へ突入です。ミッキーとか言うイカレ野郎を仲間にした時は「バカなの?」と思ったけど、入れといて正解でしたわ。彼がいなかったら生き残れなかったもんね~。それに、頭に鉄板入ってる伏線があんな風に活きてくるとは。彼もこの物語に欠かせない人物でした。
戦争経験のある祖父もさることながら、他の老人たちもはっちゃけてて良かったです。歩行器に固定したマシンガンでゾンビを一掃する老人や、銃の扱いに妙に手馴れているおばあちゃんも良い。
ラストは妙な感動と爽快感もあり、若者と老人が手を組んでイギリスを元気にしていこうぜ!という力強さがあって、またいつか観たいなと思えました。
ちなみに、原題の意味は「ロンドン下町っ子VSゾンビ」。まさにそんな内容。

映画「キック・オーバー」観た

 | 犯罪  Comment(0) 
Tag:イギリス

キック・オーバー
原題:GET THE GRINGO
  :HOW I SPENT MY SUMMER VACATION
製作:イギリス’2012 95分
監督:エイドリアン・グランバーグ
ジャンル:アクション/犯罪

【あらすじ】マフィアから大金を強奪した”ドライバー”は、メキシコへ逃亡を図るが失敗。無法地帯と化した悪名高き刑務所エル・プエブリートに収監される。そこは、金さえあれば脱獄以外は思いのままという凶悪犯の巣窟だった。巧みに立ち回りつつ機会を窺うドライバーは”キッド”と出会い…。

これは作品の舞台となる、メキシコに実在した史上最悪の刑務所“エル・プエブリート”が主役ですね~。
刑務所の中なのに、まるで荒廃した街そのものなんですよ。そこでの待遇は金で買い、金さえあればなんでもあり。家族を呼び寄せて一緒に暮らすこともできるし、酒やたばこはもちろん、女やヤク、それに命だって手に入ります。
”ドライバー”と呼ばれるアメリカ人(メル・ギブソン)は、ここに入れられてゼロからのし上がっていこうとするんですが、その手口が巧妙かつ手慣れた感じでクール!
しかも、そこで親しくなる母子の背景が、またいかにも無法地帯っぽくて雰囲気ありまくり。
テンション上がるほど盛り上がるようなシーンはないものの、じわじわと別世界に引き込まれていく感じと、切れ者の主人公が飄々とピンチをかわしていく展開は小気味よかったです。

他にも、主人公が元狙撃手で「(狙撃の)パートナーになるか?」と少年に持ち掛けるところが微笑ましかったし、少年の母親と一緒にいたら、帰ってきた少年が「邪魔者は退散するよ」という顔で去るところは面白かったです。あと、手榴弾空中キャッチ&即投げ返すシーンがカッコいい(笑)
終盤は母子の深い愛情にホロリときました。少年のやり方は悲しすぎるけどね…。

ただ、汚職警官とマフィアのボス?の顔が似ていて混乱したのと、例のアレを取り出すところまでいっちゃったので素直にハッピーエンドと思えなかったこと、ラストにあの名前が復讐に繋がっていたとわかるくだりは個人的に微妙。
名前の件は好きな人が多いみたいだけど、あんまり復讐ものって好きじゃないし、同姓同名がいたら「ターミネーター」みたいなことになるのでは…?

ちなみに撮影を行ったのはメキシコのイグナシオ・アジェンデ刑務所で、「居住に適していない」ということで居住者を追い出している最中だったそうです。あの街みたいなのはセットじゃなかったり!?
グロイ描写もあるものの、この街みたいな刑務所の雰囲気を堪能できるだけでも価値があります。

名探偵ポワロ「ABC殺人事件」観ました

 | TV番組  Comment(6) 
Tag:イギリス アガサ・クリスティー

名探偵ポワロ「ABC殺人事件」
原題:The ABC Murders
製作:イギリス’92 103分
監督:アンドリュー・グリーブ
原作:アガサ・クリスティー
ジャンル:★ミステリー

【あらすじ】ポワロのもとに、ABCと名乗る人物から奇妙な手紙が届いた。やがて、アンドーバーでアッシャーという女性が殺され、続けざまに第2、第3の事件が起こる。どれもアルファベットのB、Cで始まる名前の街と被害者で、現場には“ABC鉄道案内”が残されていた。ポワロは被害者の接点を調べるが…。

今回はとてもミステリーらしいミステリーでした。何度か観たことがあるけど、ぼんやりトリックを覚えていても満足感が得られる見ごたえある作品になってます。
探偵ものの王道、犯行予告から始まる事件というのがいいですよね。うぬぼれが大嫌いらしいポワロさんが、自分が有名な探偵だから予告状を送ってきたとは限らないと、その理由を考えます。
それがしっかり事件解決のカギになっているところがさすが!
結局、自分の名声は関係なかったと、少しガッカリしていたようですが(笑)

探偵としてやりがいのある事件だったようで、積極的に動いてます。警察より先に話を聞きたいと被害者宅を訪れたり(ジャップ警部形無し…)
小さな手掛かりが犯人へと繋がる展開が心地よい。証言の食い違いが共通点を見つけるきっかけになったり、配達の遅れが何を意図しているかなど。
ただ、”彼”が強迫観念で動いているというプロファイリングはどこから出てきたのだろう。視聴者は”彼”の様子がおかしいのを映像で見ているけど、ポワロさんたちが見つけた手掛かりの中にそれを示唆するものなんてありましたっけ?

まあ、それはともかく、ある意味一番可哀想な人も救われてよかったです。
救っただけでなく最後まで気にかけてあげて。「きっぱり断り、500ポンドの値打ちがあると言いなさい!」というアドバイスが優しい。
その上、冒頭からアマゾンでワニを撃った時の話をしたくてうずうずしていたヘイスと意気投合♪
それをニコニコ見守りながら、速やかに退散するポワロとジャップ警部(笑)
…ここにミス・レモンがいないのが寂しい!
でも、ポワロとヘイスで事件の話をしながら皿洗いをしていたシーンで、上の空で洗うヘイスが渡した皿を、ポワロはしっかりチェックして突き返す。それを何度も何度も繰り返すくだりがとても面白かったので良しとします。彼女がいない時は二人で皿洗いとかしてるんだ~。

ちなみに、駅の場面で流れる曲は「ABC殺人事件」にちなんでABC(ラシド)のメロディが主題になってるらしいです。そんなこと言われても、音感ないからわかんないけどね~。

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短編アニメ「グラファロ もりでいちばんつよいのは?」観た

 | ファミリーアニメ  Comment(0) 
Tag:イギリス ドイツ

グラファロ もりでいちばんつよいのは?
原題:The Gruffalo
製作:イギリス・ドイツ’09 27分
監督:ジェイコブ・シュー、マックス・ラング
原作:ジュリア・ドナルドソン(作)、アクセル・シェフラー(絵)
ジャンル:★ファミリー

【あらすじ】外を怖がる子リスたちに、母リスは小さなネズミの物語を聞かせる。木の実を求めて森を歩いていたネズミは、道中でキツネ、フクロウ、ヘビという天敵に出会ってゆく。か弱いネズミは知恵を絞り、天敵をかわしてゆくが…。

小さいお子さんと一緒に見たくなるような短編アニメーション。絵本が原作なんですね。
天敵に追われる母を見て、食料を取りにいくのも怖がるリスの子たちに、母親が勇気の出るお話をしてあげるという流れ。
小さなネズミが、キツネ、フクロウ、ヘビなどの天敵と出会った時どうするのか?
知恵を絞って危機を乗り切る展開は王道ながら小気味良く、そのホラ話が実は…という展開とその後の機転の良さもあって、幼児向けですが意外と大人も楽しめるかも。
キャラクターの造形も案外可愛いし、まるでクレイアニメのような質感のCGも温かみが感じられます。キノコをぴょんぴょんと渡って行ったり、たんぽぽの綿毛を掴んでふわ~っと飛ぶシーンなど、森の描写も良かったです。
ちいさなネズミから勇気をもらった子リスたちが、率先して外の木の実を取りに行くラストに、「リスのお母さんやるな!」と思いました。
良作ファミリーアニメだったと思います。

ちなみに、続編の「グラファロのおじょうちゃん」も観ました。そちらは怪物の幼い娘が主役で、父親に「森には怖い怪物がいる」と教えられていたのに、夜中にその怪物を見に森へ、というお話。
何でも自分の目で確認しなさいという教訓なのかもしれませんが、危険だから行っちゃダメだという親の言葉まで無視されたら困るのでは…(汗)

映画「モンテ・クリスト-巌窟王-(2002)」観た

 | アドベンチャー  Comment(6) 
Tag:イギリス アイルランド

モンテ・クリスト-巌窟王-(2002)
原題:THE COUNT OF MONTE CRISTO
製作:イギリス・アイルランド’02 131分
監督:ケヴィン・レイノルズ
原作:アレクサンドル・デュマ
ジャンル:★アドベンチャー/ドラマ/ロマンス

【あらすじ】1814年、港町マルセイユ。船長となり婚約者メルセデスとの結婚を控えたエドモンは、何者かの陰謀で罪人として牢獄に幽閉されてしまう。やがて獄中でファリア司祭と出会い知恵を授けられた彼は、自分の身に起きたことを理解し復讐を決意。脱獄のうえ、司祭に託された巨額の財宝によってモンテ・クリスト伯となるが…。

巌窟王は、以前海外ドラマと深夜アニメで観てから気になってた作品です。映像化は何度もされているのに、今回ディーライフのおかげでやっとまともに観られました(アニメは息子目線だったし、ドラマはもう忘れた)…と思ったら、再見でした。観ている間、気付かなかった!(笑)
まあ初見は印象が薄かったようですが、131分の中でよくまとまってて面白かったです。
3人の性格や関係も短時間で伝わってきたし、獄中で司祭と出会ってからもぐいぐい引き込まれます。

とくに、脱獄という希望と、復讐という目的を得て、エドモンが眼に輝きを取り戻すくだりがいいですね。食事の時間には自分の房にいなければならないので、ギリギリで戻ってきて皿をスパーンと扉の前に投げるシーンとか、博識なフェリス司祭の知識すべてを吸収していったり、「酔拳」みたいな修行シーンで剣術を身につけるくだりなど、緊張感のある生活をそれなりに楽しみ始めるんですよ。
横から映したトンネルが延びるのと、彼の学ぶ内容が難しくなっていく描写で、時間が過ぎていったのを伝えるところも上手いと思いました。

ただ、ここで学んだ知識を活用する場面が後半ほとんどなかったのと(剣術はあった)、13年でやつれて別人のように風貌が変わってしまったというのが表現できてなかったのは残念だったかな。あれで恋人以外一目で気づけなかったというのは無理がある(笑)
ちなみに、海外ドラマ版についても調べ直したら、主演がジェラール・ドパルデューだったので、さぞ肉付きの良いモンテ・クリスト伯だったんだろうなぁ。こちらもいつか再見したいです。

そして、私的に一番の見どころは、血も凍るような復讐劇…ではなくて、彼が成り行きで命を救ったヤコボの漢っぷり。ホントもうカッコいいんですよ。
復讐で己さえも破滅しようとするエドモンに対し「オレは命をかけてあんたを守る。あんた自身からもだ!」とキッパリ言い切るところに痺れました。剣の腕では彼に全く敵わないと知っているのに、一歩も引かないんですよね。
ハッキリ言って、この作品で描かれる復讐劇は甘っちょろくて、おそらくアニメ版の方が原作にかなり忠実だったと思うんですが、ヤコボが素敵なのでこの作品はこれでいいと思います。(復讐劇はあんまり好きじゃないし…)

あと、フェルナンの動機が、恋というよりクソ貴族のプライドからというのも良くて、メルセデスの彼への仕打ちもクソ野郎だとわかっててやったんだからまあいいかと思えました。何も知らない善良な誰かを利用するよりかはマシ。
ただラストはさすがにね~、原作とは違うというだけじゃなく、このメルセデスに魅力を感じるか?と疑問に思いました。息子にほだされたのかな…。ここら辺はアニメの方が好みかも。
思いの外楽しめたので、いつか別の「巌窟王」も観てみたいです!

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名探偵ポワロ「エンドハウスの怪事件」観ました

 | TV番組  Comment(2) 
Tag:イギリス アガサ・クリスティー

名探偵ポワロ「エンドハウスの怪事件」
原題:Peril at End House
製作:イギリス'90 103分
監督:レニー・ライ
原作:アガサ・クリスティー
ジャンル:★ミステリー

【あらすじ】海辺の町セントルーにやって来たポワロは、若い女性ニックが命を狙われる事件に遭遇する。彼女は岬に建つ古い館エンドハウスの主人で、最近三度も事故に遭っているという。彼女の警護を始めるポワロだったが、花火大会の夜、ニックのケープを身につけていた従姉妹マギーが、何者かに殺され…。

今回は長編ということもあって犯人との駆け引きは見応えあったし、ポワロさんたちのユーモア溢れる描写もたくさんあって楽しめました。
冒頭では、畑が広がる様子をパッチワークのようだと表現するヘイスに対し、ポワロさんが「ノン!」と頑なに目を瞑っていて飛行機恐怖症だと発覚。レストランで「この卵は不揃いすぎる」と食べるのを拒否してしまうところは、いかにも自分なりのルールを持ってるポワロさんらしいです。
それに、田舎で名声が届いてなくて、ヘイスに紹介させるも素っ気無いのが気に入らず、自分で美辞麗句を並べ立ててしまうシーンも思わず笑っちゃいました。

一方、ポワロさんに「的外れ」だのなんだの言われて拗ねるヘイスも可愛いかったですね(笑)
殺人事件の捜査中にこっそりゴルフしに行こうとして見咎められてしまうくだりは小学生か!と思ったり。
…まあ、ポワロさんと旅行するたびに事件に遭遇してるから、少しでも遊んでおきたいという気持ちもわかるけど…(これも名探偵の宿命か)
それに、今回はミス・レモンとジャップ警部も応援に駆けつけてくれました。
あいかわらずオシャレだし(ポワロさんもブローチが薔薇だったね)、終盤にはポワロさんの無茶振りで交霊術師に成りすますミス・レモン。結構ノリノリで演じてるところがさすが!

事件の方は後味の悪いもので、犯人の豹変振りには嫌悪感をおぼえました。犯人をわかっていて見直すと、性格の悪さが言動や表情に表れてるのがわかります。
トリックは無理があるかもしれないけど、別のところで気持ちよく騙されたのと、いつものメンバーの仲良しっぷりを見られたので大満足でした。

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TVアニメ「スノーマンとスノードッグ」観ました

スノーマンとスノードッグ
原題:THE SNOWMAN AND THE SNOWDOG
製作:インドネシア/イギリス/フィンランド’2012 23分
監督:ヒラリー・オーデュス
原作:レイモンド・ブリッグス、ヒラリー・オーデュス、ジョアンナ・ハリソン
ジャンル:★ファンタジー/ファミリー

【あらすじ】秋も深まった頃、老いた愛犬と新しい家に引っ越してきた少年ビリー。だが、間もなく愛犬が亡くなり、寂しさからサンタクロースへの手紙に犬の絵を描くのだった。そんな時、たまたま床下から前の住人の思い出の品を見つける。それは、かつてスノーマンと冒険した少年の写真と、彼のスノーマンのパーツで…。

本当はこの前にもう1本記事を仕上げるつもりだったんですが、描く気が起きなかったので先にこちらを。
有名な「スノーマン」の続編ですね。前は躍動感あふれるアニメーションがすべて手描きだったんですが、今回は飛行機とか結構CGも使ってるようでした。もしかしたら、CGに手描きの絵を貼り付けてるところもあるかも?
でも、基本的には色鉛筆のやさしいタッチは変わらず、前作との違いは(テーマ曲以外は)気にならなかったです。スタッフさんは同じみたいだし。
ストーリーも素晴らしくって、私がクリスマスに観たかったのはこういう作品なのよ!と嬉しくなりました。元気出そうと思って観た青春作品で大ダメージくらった後だったので、やっと心が浄化されてきたよほんともうスノードッグ可愛い!!!

どこぞの作品紹介ではあらすじが間違ってるんですが、この作品で一番泣けるのは、少年がスノードッグを亡くなった愛犬の代わりにしなかったところなんですよ。
一番良く知る愛犬と似たような形にしたのは仕方ないとして、ちょっと悩んでから手袋でブチ模様をつくります。愛犬は模様のない茶色い犬で、このスノードッグは少年がサンタさんへの手紙に描いた犬でした。
もちろん愛犬の思い出を今でも大切にしていて、自分の部屋には愛犬の写真がベッドから眺められる位置にあるくらいです。その上で、前向きに新しい友達と歩き出そうと思ってるんですよね。
台詞はないけど、そんな少年の気持ちがひしひしと伝わってくるから、スノーマンとスノードッグが動き出してからはもうウルウルきちゃって…(涙)
ファンタジックな冒険の様子は、たぶん前作とそう違わないのに、わんこが一緒にいるだけでひときわ楽しそうに見えました。

ラストも本当に良かったね。エンドロールはやたらとしんみりしていたものの、前作を踏襲しているというか、あんな冒険のあとなら仕方ないというか。でも、テーマ曲はやっぱり前作には敵わなかったかなぁ。
短いながら心に染みるアニメーションでした。

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「風が吹くとき」観ました(同原作者)

映画「悲しみよこんにちは」観た

悲しみよこんにちは
原題:BONJOUR TRISTESSE
製作:イギリス・アメリカ’57
監督:オットー・プレミンジャー
原作:フランソワーズ・サガン
ジャンル:ドラマ/ロマンス

【あらすじ】何をしていても晴れることのない悲しみの中にいた少女セシルは、1年前、17歳の夏に想いを馳せる。彼女と父レイモン、そして若い恋人エルザの3人で過ごす楽しい時間に、突如割り込んできた亡き母の親友アンヌ。彼女が母親となる現実を受け入れられず、セシルはある計画を思いつくが…。

ヒロインが気持ち悪いくらいファザコンなんですが、何を着ても可愛くてファッションショーを見てるようでした。ベリーショートの女の子って好きなんですよね。
セピアカラーで始まって、物憂げな表情で太陽と青空がまぶしい去年の夏を思い返すという構成。この時に聞き入ってる曲の歌詞が良かったです。メモでも取ればよかった…観てから感想を書くまで間が空いてしまったので、もうすっかり忘れてます。割と楽しめたのに感想も淡白になってます。
ストーリーは、子供の出来心で済んだはずのものが、周囲にろくな大人がいなかったせいで最悪の事態になったというところでしょうか。
終盤の復讐ともとれる行動にスッキリしちゃった私は性質が悪いかも(笑)
セシルは「~を書かなかったのは私たちに対する優しさ」みたいな解釈をしてたけど、彼女に家族がいれば”家族のため”と解釈するだろうし、彼女には親兄弟はいなかったということかな。
もしそうなら、優しさというよりレイモンの罪悪感を増すためだったのでは。彼女がいい人であるほど効果的な方法ですし。もしくは、衝動に任せただけ?
まあ、この作品はストーリーよりセシルの可愛さを堪能する作品でしょう。読んだ事はありませんが、サガンを一躍有名にしたという原作と同じとは思わない方がいい気がします。

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映画「フローズン・タイム」観た

 | 青春  Comment(4) 
Tag:イギリス

フローズン・タイム
原題:CASHBACK
製作:イギリス’06
監督:ショーン・エリス
ジャンル:★青春ロマンス/ファンタジー

【あらすじ】失恋の痛手から不眠症となった画家志望の青年ベン。おかげで毎日8時間の暇ができ、スーパーマーケットで夜間スタッフのバイトを始め”キャッシュバック”することに。やがて、ベンの不眠症が限界に達した時、彼は周囲の時間を止められるようになり…。

失恋のショックで不眠症に陥り、時間を止める力を手に入れた青年ベンの青春ロマンス。
画家志望の彼が時間を止めて何をするかというと、なんと美しい女性たちを脱がせて一心不乱にデッサンすることなんですね~。…これほどまでに時間操作能力を有意義に使っている作品があっただろうか!?
監督がファッション・フォトグラファーなのもあって、美しい女性の裸体がたくさん見られます。とくに、ベンが美に目覚めたきっかけであるグラマーなスウェーデン人のお姉さんはインパクト大。子役の少年は役得ですね(笑)
でも、好きな女性シャロンに対しては触れるのすら躊躇し、子供時代には好きな子とのファーストキスを逃してしまうような、すごく奥手でピュアな主人公なのでエロくなりません。
しかも、時間をとめる能力があるのにワクワクするような展開もないんですよ。せいぜい、おバカな同僚や上司をからかう程度で。…時間を止めたまま年老いて死んだら、時間の狭間で消えるんだろうか、なんてアンニュイな事を考えてるほど。
シャロンに惹かれ始めた自分に戸惑っていて、不器用に恋をするので精一杯なところが彼の持ち味だったと思います。

以下、ネタバレですが…
実は、この能力の事はぜんぶ彼の夢か妄想なのではないかと思わせるところもありました。
そもそも寂れた夜のスーパーマーケットに、あんなプロポーションの良い若い女性ばかり来るわけないし、不眠症で仕事中は時間が過ぎるのを淡々とやり過ごすだけの毎日じゃ、アレくらいの妄想をしてもおかしくありません。
途中、止まった時間の中で誰かが逃げていっても、追うでもなく調べるでもなく投げっぱなしで、手をボキボキっと鳴らすと時間が動き出すというのも適当(笑)
大量のデッサンだって、地道に絵の才能を磨いてきた彼なら記憶だけでも描けそうです。
そんな彼の危うさが「恋愛睡眠のすすめ」と被って、余計に惹かれたんだと思います。

雰囲気映画に近いものがあるかもしれませんが、映像が美しく(とくに雪の舞うラスト!)、ロマンティックでユーモア溢れる作品でした。
彼女のキスで呪縛(不眠症)から解放されるくだりや、彼の想いのすべてが込められた絵が転機になる展開が素敵♪
ちなみに原題はキャッシュバックで、彼が余った時間をバイトでお金に換えることを示してます。邦題の「フローズン・タイム」の方が、時間と彼の心の二つにかかっているようで、この作品の雰囲気をあらわしているかも。
でも、主人公の台詞に「フローズン・セカンド」という言葉があるので、どうせならそっちで良かった気がします。

映画「マリス・イン・ワンダーランド」観た

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Tag:イギリス

マリス・イン・ワンダーランド
原題:MALICE IN WONDERLAND
製作:イギリス’09
監督:サイモン・フェローズ
ジャンル:ファンタジー/ドラマ/ロマンス

【あらすじ】夜のロンドン。追われていたアリスは走り出したタクシーと衝突する。ボスの誕生パーティに急いで行かなければいけない運転手ホワイティーは、気を失った彼女をとりあえずタクシーに乗せて走り出してしまう。気が付いた彼女は記憶を失っており…。

GyaOで鑑賞。舞台を現代のロンドンに置き換えた、ドラッグと欲望にまみれた街のちょっとブラックな「不思議の国のアリス」です。アリスを演じる女優さんはキレイだし、ブラックなアリスの世界がとても興味深い作品でした。
ただし、英語がわからないと面白みはあまりないというか、伝わってこないかも。どうやらスラングだらけで韻を踏んだ台詞が多く、字幕じゃよくわからないんですよね。
でも、アリスの世界のキャラクターがことごとく大人の世界の住人になっていて、なおかつそれが結構嵌ってて、その変貌ぶりを見るだけでもなかなか楽しかったです。
何者かに追われる記憶喪失のアリスや、腕時計を2本つけたタクシー運転手、紅茶が大好きな売春宿の女主人、ちょっとおバカな双子のガードマン、常に煙を漂わせてるジャンキー、血の色が大好きなゲイの麻薬組織のボスなどなど。
裁判の下りはむしろこっちの方がしっくりくるかも(笑)

人間の生首を飾ったりとブラックな作品ですが終盤はかなりファンタジーしていて、しかも恋愛や情愛などloveな展開で終わるのが意外。二本の腕時計が二人を結びつけるところはロマンティックだし、アリスの秘密にも驚かされつつ、胸が温かくなるような笑顔でほっこり。
現実のイギリスなどで社会問題になっている事が盛り込まれていて、おふざけもあるけど最後まで大人向けでした。
ちなみにタイトルは原題通りで、maliceには”悪意”という意味があるので「不思議の国の悪意」って事ですね…わかるようなわからないような?

映画「ジェイン・エア(1996)」観ました

 | ロマンス  Comment(6) 
Tag:イギリス

ジェイン・エア(1996)
原題:JANE EYRE
製作:イギリス’96
監督:フランコ・ゼフィレッリ
原作:シャーロット・ブロンテ
ジャンル:★文芸ドラマ/ロマンス

【あらすじ】幼い頃に両親を亡くし、自分を嫌う叔母の家や、過酷な環境の寄宿学校で子供時代を過ごしたジェイン。強く賢い女性に成長した彼女は、貴族フェアファックス・ロチェスターが引き取った少女アデールのガヴァネス(女性家庭教師)となるが…。

久しぶりに良い文芸ドラマを観たなぁという感じです。
内容は王道で、身分差ロマンスからの実は…な展開なんですが、ヒロインは当時にしては珍しい器量が良くないという設定。まあ、私から見たら十分美人でしたが。
静謐でしっとりした空気が感じられる映像と、雰囲気ピッタリの女優さんたち、イギリスの貴族社会を感じさせてくれる美術や衣装なんかが上手く調和して、見ごたえある作品になってました。
名前は出てこないけど見たことある俳優さんが多いなぁと思っていたら、成長したジェインを演じていたのはシャルロット・ゲンズブールだったんですね。「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」と「恋愛睡眠のすすめ」以来だなぁ。
原作は知らない(「ブロンテ姉妹」が作者か!)けども、ジェイン・エアという女性が今ここにいると思わせるくらいしっくりきて、聡い瞳をした子供時代からそのまま成長しましたように見えました。子役も良かった♪
意地悪な叔母もブレなくて良かったですね~。終盤でジェインに謝るものの、それは地獄に落ちるのが怖いからで悪いとは全く思っていないところとか。

あと、妙に印象に残るのが病人が本当に病人に見えることですね。青白くて細くて今にも倒れそうな感じ。ヘレンとかとくに。中には病人じゃないのにそう見える人も…(汗)
過酷な子供時代の描写もインパクトあって、洗面器の水が凍るような部屋で寝てて凍死しないのかと心配になったけど、これが実際に作者が通っていた学校をモデルにしたと後から知って更にビックリ。
ヘレンはその学校で亡くなったお姉さんがモデルのようで、この作品によって学校を告発して改善したんだとか。まるでジェインはシャーロット・ブロンテの分身のようです。
終盤は急展開すぎて物足りなかったけども(牧師さんと三角関係になるのかと思った)、それを差し引いても楽しめました。彼女とロチェスターの抑えた感情が繊細に描かれていてやきもきさせられたし、謎のうめき声とかミステリアスな展開も面白かったです。

「ジェイン・エア」は他にも映像化作品がたくさんあるようで、他の作品を観たらまた印象が変わるかもしれませんが、とりあえずゲンズブールのジェインを観られてよかったです。
機会があったら他のも見たい♪

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映画「チャタレイ夫人の恋人/オリジナル完全版(1993)」観ました

 | ロマンス  Comment(2) 
Tag:イギリス

チャタレイ夫人の恋人(1993)
原題:LADY CHATTERLEY
製作:イギリス’93
監督:ケン・ラッセル
原作:D・H・ロレンス
ジャンル:★文芸/ロマンス

【あらすじ】イングランドの名門貴族クリフォード・チャタレイと結婚したコニー。だが、戦争で彼が下半身不随となり、彼女への愛情は屈折していく。心も体も満たされない毎日に、コニーは森番のメラーズに接近していき…。

タイトルだけ知っていて初めて見たんですが、想像してたのとぜんぜん違って面白かったです。215分の長さもまったく感じず一気に見られました。
これはあれですね、看護婦ボルトン夫人の華麗なるサクセスストーリーってやつですよね?(笑)
コニーとクリフォード両方の信頼を得て、言葉巧みに二人の間にあった溝を修復不可能なレベルにしていく手口はもはやプロ!
心配しているように見せかけて煽ったり、協力的な態度で二人を誘導していくテクには感動すら覚えました。
コニーがメラーズの元へ行く決意をしたくだりで、「やった♪」とメイドと目配せするシーンはニヤニヤですよ。召使たちを”自分が生かしてやってる家畜”同然に扱っていたクリフォードに「彼女は召使じゃない」と言わせるほどの信頼を勝ち得て、さらには邪魔な”奥様”を追い出したんだから、すでにチャタレイ邸は彼女の支配下にあると言っても過言ではありません。
後は、クリフォードが馬鹿やって破産なんて事にならないように上手く操縦していくだけ!
ボルトン夫人の一人勝ち。スッキリ爽やかハッピーエンドでした。
たぶん2年以内にコニーが貧しさに耐えられず逃げ帰ってくると思うけど、クリフォードに子供を奪われて離婚されるでしょうね~。

だいぶ一般的な見方からはズレてしまったかもしれないけど、完全版というだけあってコニーやクリフォードの心情は丁寧に描かれており見ごたえありました。
はっきり言って二人ともどっちもどっちで、ボルトン夫人がいなくてもダメになっていたのは明白なので、感情移入できるのは彼らを冷静に見ているボルトン夫人だけ。むしろ、たきつけることでドロドロ期間を短縮してあげた二人の救世主なんだから、やっぱり彼女が主人公でいいと思うよ!

映画「吸血鬼ドラキュラ(1958)」観ました

 | ホラー/パニック  Comment(6) 
Tag:イギリス

吸血鬼ドラキュラ(1958)
原題:DRACULA
製作:イギリス’58
監督:テレンス・フィッシャー
原作:ブラム・ストーカー
ジャンル:★ホラー

【あらすじ】1885年、司書としてトランシルヴァニアのドラキュラ城を訪れたジョナサン。だが、親友の医師ヴァン・ヘルシング博士が駆けつけた時、彼は行方不明となっていた。既にドラキュラ伯爵は城を発っており、博士はジョナサンの手記を持って婚約者ルーシーの元を訪ね…。

ドラキュラ伯爵を題材にした作品はいくつか観たけど、これがいちばん娯楽性と原作重視のバランスが取れていると思いました。…原作読んだ事ないけど。
主人公はドラキュラとヘルシングさんなんだけども、お父さんが一番印象に残りましたね。
ドラキュラは寝込みを襲えば簡単に倒せる相手で多少拍子抜けするものの、その分、人間の弱いところを突くんですよ。
娘を愛しているからこそ、そんなことはできないとドラキュラを倒すチャンスを逃し、そのせいでさらに愛するものを危険に晒してしまった時の辛さ…。必ず守ると見張りをしていたのに、そんな彼らをあざ笑うかのように裏をかいて人間を襲うドラキュラには、リアルな恐さを感じました。
吸血鬼に一度噛まれると、心では嫌だと思っていても麻薬を求めるように自ら吸血鬼を招き入れてしまうというのが、とても憎たらしくて恐ろしいです。
必死に彼女たちを守ろうとしているお父さんの気持ちを考えると、もうやめてあげて!と思ってしまいました。
前半はこの時代の作品らしくゆっくりテンポなものの、後半になるほど緊張感が増してきて、最後のヘルシングvsドラキュラ伯爵は見ごたえあります。
灰になっていくシーンもこの時代ではよくできていて、当時は泣く子供もいたんじゃないかな。
ドラキュラ伯爵に興味があるなら、まずこちらを観るといいと思います。次は吸血鬼ものの古典「吸血鬼ノスフェラトゥ」かな。個人的にはベラ・ルゴシの「魔人ドラキュラ(1931)」が気になる~!

TV映画「名探偵ポワロ」最終シーズン観ました

 | TV番組  Comment(6) 
Tag:イギリス アガサ・クリスティー

「ポワロ」最終シーズン
初期?のふたりを描いてみた。
ついに最終シーズンが終わってしまいましたね。25年かぁ、長いような短いような…。
なにはともあれ、デヴィッド&ポワロさん、お疲れ様でした!

9/10「象は忘れない」
犯人は最初の印象どおりだったものの、人間関係の把握が自信ない。ただ、あの精神病院の治療はホントいつみても怖いよね。最先端医療って実験段階って事なのかなー。ポワロの「人間には忘れるという慈悲があります」というセリフが印象に残った。
9/30「ビッグ・フォー」
犯人の動機や秘密結社の活躍に関しては肩透かしだったけども、犯人がポワロを「気取ったひけらかし野郎!」みたいに罵るとこに半分共感(笑)ラストはヘイスティングスとミス・レモン、ジャップ警視監が集結~!ミス・レモンに叱られて、鉄砲玉だったヘイスティングスも帰ってきて、皆そろって良い場面でした。
9/30「死者のあやまち」
アリアドネが今回も女の勘で事件をかぎつけてました。この人とポワロの組み合わせって実は最強なのでは。「さよならポワロ」で最後に撮った作品という事で楽しみにしてたのに、結構後味の悪い事件だったんですが…。でも、アガサのお屋敷は素敵だったし、まあいいか。
10/1「ヘラクレスの難業」
原題を調べていて知ったけど、ヘラクレスってフランス読みでエルキュールだったんですね。冒頭の事件で救えなかった事をポワロが苦悩していて、その贖罪のためにある事件の捜査に当たるという流れ。ポワロの思い人も出てきて最後はちょっと切ないものの、カップルが救われて良かったです。
10/9「カーテン~ポワロ最後の事件~」
確かにこれを最後に演じたら落ち込むよね~。観てるだけで落ち込んだもん。この後にまた「さよならポワロ」を観るのがベストな順番。感想としては、こういう犯人は本当に憎たらしいものの、あの程度で本当にそそのかされちゃうのかなと思ってしまった。とくにヘイスティングスはどうなんだろ。…にしても、昔読んだはずなのに「そして誰もいなくなった」と記憶がごちゃごちゃになってたよ(笑)
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 | TV番組  Comment(2) 
Tag:イギリス アガサ・クリスティー

さよならポワロ!
原題:Being Poirot
製作:イギリス’2013
監督:クリス・マローン
ジャンル:★ドキュメンタリー

【あらすじ】25年間「名探偵ポワロ」の主演を務めてきた俳優デビッド・スーシェが、シリーズ最後の撮影に望む。舞台裏のエピソードや名テーマ曲誕生秘話を紹介しつつ、スーシェがポワロゆかりの地を訪れるドキュメンタリー番組。

デヴィッド・スーシェのポワロが大好きなら感動すると思います。
ポワロはもう彼自身と言ってもいいですね。
もう一人の自分であり、双子の兄弟で相棒で親友でもある。
徹底的に小説を読み込んで、ポワロという人物を自分の中に召喚した彼の役者魂は素晴らしいと思います。
ヒゲに小物、声の出し方や歩き方の癖、ポワロにとっての信仰と信念、そして人間らしさ…それらを突き詰めていったからこその完成度だったとわかりました。
その完璧なポワロが最終話の「カーテン」で死ぬのが、スーシェにとってどれだけ大きな事なのか想像しただけで泣ける…。
もちろん、ポワロを愛しているのは彼だけじゃなくて、撮影に携わった多くの人もアガサの娘や孫も、ベルギーの人たちや世界中のポワロファンにも、心から愛されてます。
スーシェの最後の撮影が楽しいものになるように「カーテン」ではなく「死者のあやまち」にしたというのも心温まるエピソードでした。
ポワロはもはや小説の世界のキャラクターではなく、実在する人間と変わらないんですよね。
スーシェ自身も言ってたけど、あんな風に自分の人生の大部分を占めてきた仕事を、最後までやり遂げられる俳優さんは本当に幸せだと思います。
熊倉一雄の吹き替えで観られたのも嬉しかったです♪

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映画「トライアングル(2009)」観た

トライアングル(2009)
原題:TRIANGLE
製作:イギリス・オーストラリア’09
監督:クリストファー・スミス
ジャンル:★サスペンス/ホラー

【あらすじ】自閉症の息子を持つシングルマザーのジェスは、気分転換にと友人たちとヨットセーリングに出かける。だが、天候の急変でヨットが転覆、漂流し、運良く現われた豪華客船に乗り込み助けを求めるが、船内には人の気配がまるでなかった。不審に思い始めた矢先、一行は覆面の殺人鬼に次々と襲われ…。

不快感を覚える人も多そうな内容ですが、意外と好きですね。「0:34 レイジ 34 フン」の監督でしたか。
即効で一人になってしまうのがびっくりで、その後、ひたすら伏線回収していくばかりなんですが、割とよくできてて頑張っていたと思います。
ただ、繰り返しになってしまうし、結局船内の出来事ってあんまり意味なかった気がするのが惜しいかも。重要なのは船の名前「アイオロス号」の由来くらいで。
それに、思い込みで行動する主人公に感情移入できないんですよ。最後まで観れば、それがある意味思い込みじゃないと分かるものの、視聴者には伝わらないですからね。
でも、終盤わかる真相というか入れ替わりのタイミングには驚かされました。そこからか、と。
ラスト、自分で望んであの場所へ行ってしまうのは、やはり息子のためなんでしょうね。「わたしの世界は母親を待つ子供中心?勝手なこと言わないで」とか言ってた気がするけど、やっぱりその通りなんだと思います。
それに付き合わされる人たちが可哀想な気がするけど、実際のところ彼らは何者なんでしょう?

→以下、ネタバレ考察

映画「モンスターズ/地球外生命体」観た

 | ロードムービー  Comment(4) 
Tag:イギリス

モンスターズ/地球外生命体
原題:MONSTERS
製作:イギリス’2010
監督:ギャレス・エドワーズ
ジャンル:★ロードムービー/ロマンス/モンスター

【あらすじ】2009年、地球への帰還目前の探査機が上空で大破し、メキシコの北半分が地球外生命体によって危険地帯となる。6年後、アメリカ・メキシコ両軍による封じ込め作戦が続けられる中、現地を取材中のカメラマン、コールダーは、社長令嬢サマンサをアメリカまで送りとどける事になり…。

ロマンスのカテゴリに入れたいくらいですね~。モンスター映画だと思って観てたら思わぬ着地点に涙が…。
ロードムービーや海洋ドキュメンタリーが好きな人にはおススメです。生命の神秘とふたりの切ない恋の相乗効果で、好きな人にはたまらない作品になってます。
モンスターの幼体を宿す動くキノコや、終盤の街の廃墟感、地球外生命体の神秘を目の当たりにするシーンなど、不気味で不思議な世界観がありました。
新作「ゴジラ」の監督さんか~。正直、最初はCGが微妙でどうなる事かと思ったけど、低予算なりに見せ方が上手ですぐ気にならなくなりました。
まあ、主人公達が惹かれあうまでの経緯がぜんぜん足りない気もしたけど…。
でも、 生活の為に戦場カメラマンみたいな事をしているコールダーが、少女の遺体を前に一瞬迷った挙句コートをかけて花を手向けるシーンとか良かったです。
その前に、彼女に「ひとが不幸にならないと成り立たない商売ね」みたいに言われて、「君のお父さんがかわいそうな子供の写真にいくら出すか知ってるか?幸せな子供の写真なら?」と返すところが効いてた。
彼も不幸な人を撮るためにカメラマンになったわけじゃないという事です。
それに、見方を変えると物事がまったく違って見えるという事の伏線にもなってると思います。
危険な陸路で彼らを護衛してくれる現地の人が、「モンスターたちは刺激しなければおとなしい。軍が攻撃してる時はとても危険だ」と話していて、気をつけなければならないのがモンスターではなく味方の軍の攻撃だというね…。
共存の道を感じさせるものがあるんだけど、軍の空爆?でやはり台無しに。

ややネタバレかもしれないけど、このモンスターズというタイトルが示すのは、地球外生命体ではなくアメリカ軍のことで、かなり反戦映画というか、アメリカ軍批判的なところのある作品でした。
この作品で人が死ぬ原因は、ほぼ軍による攻撃で凶暴化したモンスターによるものか、市民を巻き込んだ軍の攻撃によるもの。もちろん、主人公達の運命を決めたのも…。
ラストの恋が盛り上がったところで悲しすぎる事実に気付かせる構成も、余韻が残るし訴えかけるものがあります。
「第9地区」とかが肌に合わなかった人なら楽しめるかも。

映画「リプリーズ・ゲーム」観た

リプリーズ・ゲーム
原題:RIPLEY'S GAME
製作:イタリア・イギリス・アメリカ’02
監督:リリアーナ・カヴァーニ
原作:パトリシア・ハイスミス
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】強盗殺人で数百万ドルの贋作絵画を手に入れ裏世界から身を引いたトム・リプリー。そんな彼の元に、昔の仲間リーブスが現れ、邪魔者の始末を強引に依頼する。一度はにべもなく断ったトムだったが…。

「太陽がいっぱい」や「リプリー」の続編の話の映画化です。
マルコビッチのリプリーがよかったですね。今までみた彼の中でも一番嵌ってた気がするし、ドロンのリプリーより謎の男って感じが好きです。
20年後という設定らしいけど、携帯電話が出てくるから舞台は現代でしょうか。はっきりとは言ってなかった気がするし、どうせなら携帯電話なしで曖昧なままにしておけばよかったのに。
で、リプリーは引退して豪邸(若干悪趣味 笑)で奥さんと幸せに暮らしてます。まあ、前からバイセクシャル匂わせてましたし、ちゃんと愛のある結婚生活を送ってるんですよ。
ハープシコード奏者の彼女といちゃいちゃ連弾するシーンとか、スフレが改心の出来だと奥さん&メイドの前で嬉しそうにする姿が可愛い。

→以下ネタバレ注意!

映画「サン・ルイ・レイの橋」観ました

サン・ルイ・レイの橋
原題:THE BRIDGE OF SAN LUIS REY
製作:スペイン・フランス・イギリス’2004
監督:メアリー・マクガキアン
原作:ソーントン・ワイルダー
ジャンル:★歴史劇/ドラマ

【あらすじ】18世紀、ペルーの都市リマ。山奥の聖地へと続くサン・ルイ・レイ橋が落ち、偶然居合わせた5人が不慮の事故で命を落とす。目撃者の修道士は、彼らの死の理由…神の意思を知るため、6年もの歳月をかけて彼らの人生と共通点を探るが…。

Gyaoで鑑賞。ほんのりネタバレしてるかも?
宗教色の強い作品かなぁと身構えてしまったんですが、異端審問とかあるものの、一番大切なのは”愛”という普遍のテーマなので問題なかったです。
まあ、異端審問やこの時代の事をわかっていた方がわかりやすいですけどね。大雑把にまとめると、こんな調査をせずにはいられない神を疑う心の持ち主は、教会にとって不都合ということでしょう。彼の影響を受けて、信者たちが自分の頭で考え出したら扱いにくいという事です。
でも、この作品において彼の行動や理屈に大した意味はなくて、彼らの物語を伝える事が役目だったと思いました。

5人それぞれ思うところはありましたが、やはりキャシー・ベイツ演じる公爵夫人が印象に残りました。
おそらくユーモアのセンスのある頭のいい人なのに、それが誤解されて愚かな変人扱い(原作では吃音があるらしい)。頻繁に娘への手紙を書き続けているものの娘は冷たく、酒に溺れてふらつく(そして失敗して嗤われる)姿が哀しい…。
「ベラスケスの絵のネックレスが見事だったから、(絵の中の)王妃から貰い受けた」なんて表現してしまうお母さん、素敵ですよね?
映像化されたそのシーンも素晴らしかったです。

途中、彼女の世話をしていた修道女のペピータが、「帰りたい」という内容の手紙を夫人に見つかってしまうんですが、その時「美しい手紙ね」と言われて「こんなもの」とばかりに捨ててしまうのは、自分を恥じたからでしょうか?
夫人の届かない手紙を大事に全部とっておいたのも彼女だし、誰よりも夫人の才能と孤独を知っていたわけだから、自分の弱さや夫人には及ばない文章、夫人を悲しませたかもしれないという事で、いたたまれなくなってしまったのかなぁと思いました。

この作品、基本的に心情を表すセリフが少ないので(修道士の調査に基づいてるから)、何考えてるかわからないシーンが多いです。
想像力を働かせないと置いてきぼりくらうかも…。
でも、最終的には修道院の院長がまとめてくれるから難しくはないです。
「みな、誰かに愛され、そして忘れられる。
~生者の国と死者の国を繋ぐのは愛。愛だけは残る、唯一意義のあるもの。」

5人の犠牲者すべての物語を目にした後だと、このセリフが深く心に響きました。
衣装や美術は素晴らしいし、キャストも豪華で見ごたえある秀作です。

映画「列車に乗った男」観ました

 | ドラマ  Comment(8) 
Tag:スイス イギリス フランス ドイツ

列車に乗った男
原題:L' HOMME DU TRAIN
製作:フランス・ドイツ・イギリス・スイス’2002
監督:パトリス・ルコント
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】シーズン・オフのリゾート地。くたびれた革ジャン姿の中年男ミランが列車から降り立ち、ひょんなことから知り合った初老の男マネスキエの自宅に泊まることに。少年に詩の個人教授するだけの平凡な日々を過ごすマネスキエと、流浪のアウトロー・ミランという対称的な2人だったが…。

Gyaoで鑑賞。ベタベタしないふたりの男の友情が、ふっと笑みがこぼれるような可愛らしさとあたたかさを含みながら描かれてました。
もうね、マネスキエが可愛いんですよ!
水がなくて頭痛薬が飲めずに困っていた男ミランを自宅に招くんだけども、さっさと薬を飲んで去ろうとする彼に、話し相手がほしいというオーラを全身で発しつつも、おしゃべりは我慢してほどほどに切り上げるところとか。結局他に泊まるところがなくて帰って来た彼を、ウキウキしながら一番いい部屋に案内するところとか。冒頭から見ててニヤニヤしちゃいました。
他にも、こっそり彼のジャケットを着て、鏡の前でワイアット・アープごっこをする姿は胸キュンだし、ピアノを弾きながら「わたしは刺繍以外なら、20世紀初頭の女性の教養は身につけている」とか、床屋で「出所直後とスポーツ選手の中間みたいな髪型にして」とか、銀行で「一度でいいから銀行を襲ってみたい」と言って周りをギョッとさせたりと、とにかく可愛いくて面白いおじいちゃんなんです。
これだけ並べると最初に書いた”ベタベタしない友情”ってのが嘘っぽいかもしれないけども、基本的にマネさんが一方的に話しかけたりしてるばっかりで、ミランが心を開いた頃にはマネさんも落ち着いてきているので(笑)、描かれる友情はホントさらっとしてます。
お互い自分のなりたかった人生を送っていて、そこに憧れと敬意を抱くようになっていくんですよね。
お店で騒ぐ迷惑な客に注意したり、夫に我慢し続ける姉に本音をさらけ出すように言うといった、マネさんにとっての大冒険ができたのも、勇気付けてくれるミランという存在があったからです。
ミランも自分とはまるで違う価値観を持つマネさんの影響を受け、人生を振り返ってみたり。
ふたりが何気なく、でも大切にこの数日を過ごしているのが丁寧に描かれていました。
ラストは”旅立ち”をやや曖昧に描いていて最初は戸惑ったものの、やはり特別な出会いだったんだと感じられるもので良かったです。(おそらく贈り物の室内履きを履きながら)ピアノを弾く男と、列車に乗る男の表情がいい!
列車の音のようなリズムのED曲を聴きながら、余韻に浸れました。

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「髪結いの亭主」観た

映画「チキ・チキ・バン・バン」観た

 | ミュージカル  Comment(11) 
Tag:イギリス

チキ・チキ・バン・バン
原題:CHITTY CHITTY BANG BANG
製作:イギリス’68
監督:ケン・ヒューズ
原作:イアン・フレミング
ジャンル:ミュージカル/ファンタジー

【あらすじ】生活力はないが夢多き発明家ポッツは、二人の子供と老父と一緒に貧しいながら幸せに暮らしていた。子供たちのため廃車を修理た彼は、走る時の音から”チキ・チキ・バン・バンと命名。大手製菓会社の令嬢トルーリーも誘いピクニックに出かけ…。

ずっと「グレートレース」みたいなレースモノだと思ってたので、ファンタジー?と不思議に思ってたんですが、後半は改造車で一家が冒険するという空想のお話を描いているんですね。
確かに、あのピカピカの胸キュンな可愛い車でピクニックに行ったら、夢みたいな冒険を想像したくなります!
まあ、本当に親が子供に聞かせる思いつきみたいなストーリーなので、後半ちょっと眠くなりましたが…(汗)
見所は心躍る発明の数々!
発明家につきものの全自動朝食製造マシン(故障気味)とか、鳥人間ロケット(失敗)、全自動散髪機(大失敗)なんかが出てきて、それらを見ているだけで楽しい気分になれます。
ミュージカルとしても楽しく、「モダン・タイムス」みたいなレトロ感が素敵な工場で、従業員たちがいっせいに踊って歌い出すシーンはウキウキです。
馴染み深い「チキ・チキ・バン・バン」の歌も、車のエンジン音などを歌っていて、子供たちの車への愛着が詰まったものだとわかって一層好きになりました。

あと、個人的に面白かったのが、発明家である父親が、発明よりも人を楽しませる事で才能を発揮しているところ。
車を買うためのお金を工面する時も、散髪機で大失敗して逃げ回ってるうちにショーに紛れ込み、そこでお駄賃ゲットしてたし、空想の世界でも、人形のパフォーマンスで人々を魅了し、その隙に悪者を倒すという…。
発明よりパフォーマーの才能があると自覚してるあたり、ちょっぴり切ない!(笑)
ヒロインのオルゴール人形のフリも可愛かったし、子供たちの素朴な歌声も良かったです。
もしCG満載でリメイクしたらすごいのができそうだけど、この”人の手で作られた温かみのある感じ”が好きだなぁ。

映画「英国王のスピーチ」観ました

 | 伝記/自伝/実話  Comment(15) 
Tag:オーストラリア イギリス

英国王のスピーチ
原題:THE KING'S SPEECH
製作:イギリス・オーストラリア’2010
監督:トム・フーパー
ジャンル:★ドラマ/伝記

【あらすじ】英国王ジョージ5世の次男ジョージ6世は、幼い頃から吃音に悩んでいた。だが人前に出ることは避けられず、治療を受けるものの改善の兆しは見られず。妻エリザベスはスピーチ矯正の専門家というオーストラリア人のライオネルを訪ね…。

実話モノですが、英国王室に詳しい訳でもないし、政治的な意図がはたらいていてもわからないので、”どこかの吃音に悩むおじさんが、なんか大切なスピーチのために専門家と一緒に頑張る物語”という目線で観る事にしました(笑)
すごいね~、全国民に向けての失敗できないスピーチというとてつもないプレッシャーのなかで、最後までやり抜いて見事に成功させるなんて!
わたしだったら吐いてぶっ倒れるか、過呼吸でぶっ倒れるか、その前に逃亡してただろうから、素直に感動しました。
吃音といっても、今でもわかってないところが多いだろうし、同じ吃音の症状があっても原因は人によって違うみたいだから、ライオネルさんが言うような「本人にやる気があれば治る」というものでもなかったと思います。”克服(付き合っていく自信的な意味で)”ならできるだろうけど…(原語では何と言ってたんだろう?)
そんな中、弱音は吐いてもくじけずにやり抜けたのは、やはり彼の真面目さ、責任感の強さがあったからでしょうね。いい加減なひとなら「失敗しても知らん」とそもそもこんなに苦しんだりしないと思います。
どうしても果たさなければならないと真剣に考えていたからこそ、「自分でいいのだろうか、勤まるのだろうか」と不安になっているのが伝わってきました。
奥さんも子供たちもライオネルさんも、最後まで信じて見守ってくれて、心がほんわかします。それも彼の真面目で優しい人柄があったからでしょう。
全体的に見ると笑えるシーンや感動シーンは少なくて、最後の最後に爽やかな感動が味わえるくらいですが、私もコンプレックスの塊のような人間なので、見ている間中「頑張れ、頑張れ!」とハラハラしながら観られました。
主演ふたりの演技も素晴らしく、見ごたえあるドラマだったと思います。

映画「クリスマス・キャロル(1970)」観ました

クリスマス・キャロル(1970)
原題:SCROOGE
製作:イギリス’70
監督:ロナルド・ニーム
原作:チャールズ・ディケンズ
ジャンル:ミュージカル/ファンタジー

【あらすじ】クリスマス・イブの晩、ケチな老人スクルージのもとに、死んだ共同経営者マーレイの亡霊が現れる。その亡霊はスクルージに、過去、現在、未来の幽霊を紹介し、スクルージの行く末を見させるが…。

「クリスマス・キャロル」は有名なのに、まともに観たのは初めてです。こういうにぎやかであったかいミュージカルが好きなんだなぁとしみじみ思いました。未来での町の人々が歌い踊る様子はちょっと…だったものの、子供たちの歌声は反則もの可愛いさ!
クリスマスの楽しさと、コミカルかつ幻想的な幽霊たちも良かったです。
主人公は、クリスマスを呪い、人間を呪い、人生を呪うスクルージ。口は悪いしケチだし、空気は読まない主義らしいけど、そこまで悪い人ではありません。自分の過ちを許せず、自分とその人生を愛せなくなってしまった不幸な人だったんですね。
幽霊たちに突きつけられる忘れようとしていた過去…それを目の当たりにして、ふと昔の気持ちが蘇ってきたり、胸が張り裂けそうな後悔に襲われる様子が印象的。
でも、自分では気付いていないけれど、彼の周りには彼を信じていてくれる人が身近にふたりもいます。その上、最後のチャンスまで与えられるなんてややご都合主義っぽいですが、むしろ善良な彼らに対する奇跡がスクルージをも救ったのかも?
改心した彼が、今までの分も取り返さんばかりにクリスマスを皆と分かち合おうとするラストは、(今のところ)お金しかないという感じで物悲しさを感じたり、このままじゃすぐ無一文になって元の彼に戻らないかと不安がよぎったり、それで一家のパパを雇えなくなるんじゃないかと心配になったりもしたけど、あの一家の(とくに病気の坊や)の感謝の笑顔を見たら、前向きに頑張っていけるかもしれないと思えました(商売は得意だろうし)。
人生を愛することの素晴らしさを伝えた良作です。

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第44回ブログDEロードショー「オペラ座の怪人(2004)」

原題:THE PHANTOM OF THE OPERA
製作:2004年アメリカ・イギリス
監督:ジョエル・シューマカー
期間:2013/12/13~12/15
オペラ座の怪人(2004)告知
オペラ座に暗躍する怪人と可憐な歌姫の愛憎模様が、豪華絢爛な美術と音楽をバックに展開するミュージカル作品です。匿名の方からリクエスト頂きました。
企画内容については、左のサイドバーにある”ブログDEロードショーについて”のリンク先をご覧下さい。

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第42回ブログDEロードショー「クライング・ゲーム」

 | ブログDEロードショー  Comment(14) 
Tag:イギリス

原題:THE CRYING GAME
製作:92年イギリス
監督:ニール・ジョーダン
開催日:2013/10/4~10/6
クライング・ゲーム
人質となった英軍兵士とIRA闘士との友情ドラマや、ロンドンで出会った謎の美女との危険で甘美なラブ・サスペンスが描かれます。
匿名の方からリクエスト頂きました。
企画内容については、サイドバーにある「ブログDEロードショーとは」のリンク先をご覧下さい。

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映画「冬のライオン」観た

 | 歴史・実録ドラマ  Comment(2) 
Tag:イギリス

冬のライオン
原題:THE LION IN WINTER
製作:イギリス’68
監督:アンソニー・ハーヴェイ
原作:ジェームズ・ゴールドマン
ジャンル:★歴史劇/ロマンス

【あらすじ】1183年、イギリス国王ヘンリー2世は、後継者を決めるために一族を召集した。リチャード、ジェフリー、ジョンの息子三人のほか、幽閉状態の王妃エレノア、さらにフランス国王フィリップと彼の姉でヘンリーの愛人アレースも呼ばれ…。

まさに私の持つ王族のイメージぴったりで、ぐいぐい引き込まれました。とくに前半のヘンリー2世の、家族や愛人とのやりとりもすべて政治のための謀略の一環で、自分の言うとおりにしていればこの国は平和は保たれるという自信に満ちた態度がいい。係わり合いにはなりたくないものの、彼のような人がいないと国は成り立たないのかもと思えてきます。
まあ、自信の割に問題の多い人でしたが(笑)

この夫婦(家族)はあまりにも謀略に慣れてしまっていて、愛を戦争と同じように思考しているように見えるんですよね。
みんなして後継者を自分の思う者に(もしくは自分に)決めさせようとして、家族内で腹の探りあい、騙し合いを繰り返し、まるで権力を手にすれば愛に飢えた心が満たされると思っているような節がありました。
彼らでなくとも、王族とは家族の問題と政治の問題を切り離せないものなんでしょう。
でも、ほれた弱みを隠すかのように「一度もあなたを愛した事はない」とお互いに傷つけあう姿には、歪んでいるなぁと思わざるを得ません。
ラストは夫婦で共倒れしつつ、なんとか夫婦として、好敵手として、あらたな?関係が始まったようでよかったような、未解決問題山積みでぜんぜんダメなような…(笑)
ぶっちゃけ、彼らの駆け引きについていけなかったけど、なんだか王族の苦悩がわかったような気になれる作品でした。
にしても、王族の女は強い!
タイトルの意味は晩年の王様のことだろうけど、彼女たちも充分ライオンでした。

映画「リトル・ブッダ」観た

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Tag:イギリス フランス

リトル・ブッダ
原題:LITTLE BUDDHA
製作:イギリス・フランス’93
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】シアトルに暮らす一家の元に、三人のラマ僧が現れる。9歳の息子ジェシーが、亡き師の生まれ変わりだと言うのだ。父と共に未知のチベットに旅した少年は、そこで太古の偉大な王子ゴータマ・シッダールタの伝説を学び…。

シッダールタ王子、キアヌ・リーヴスだったのか!!
気付かなかった…どこ人だろう?とかなり観察したつもりだったのに…ショック!
…それはともかく、映像とチベット仏教の世界観と子供たちの想像が素晴らしくマッチしている作品でした。ドラマ的には物足りないものの、チベット仏教の雰囲気を感じるにはちょうどいい感じ。
ジェシーに会いに来たラマ僧たちがくれた、子供向けの本と同じ”入門編”ですね。
主人公親子の心理描写はあまり描かれておらず、突然訪ねてきたラマ僧を家に上げたり、子供を半日預けたり、チベットに行ったり、わたしだったら無理だなぁという展開が多かったり。
でも、細かい変化は描かれてないのに、アメリカの冷たく寂しい風景と、幻想的な世界やチベット寺院の色鮮やかな風景のギャップのおかげか、彼らが何かを求めていてこうなっているというふうに思えるんですよね~。建築家の父親は、大いにインスピレーションを受けたんじゃないだろうか?
印象的だったのは、ジェシーと他のふたりの転生者候補が、伝説の一部を目撃するイマジネーションのシーン。子供たちの純粋な心が感じられます。
そしてラストの遺灰をまくくだり…三人とも心を込めてお別れしてるのが伝わってきて、その光景の美しさに感動してしまいました。
肌に合えば楽しめる作品だと思います。