アラン・パーカー 忘却エンドロール

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映画「バーディ」観ました

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Tag:アラン・パーカー

バーディ
原題:BIRDY
製作:アメリカ’84 120分
監督:アラン・パーカー
原作:ウィリアム・ワートン
ジャンル:★ドラマ/戦争/青春

【あらすじ】ベトナム戦争のショックで精神病院に入れられた青年バーディと、同じくベトナム負傷兵となったことで呼び寄せられた親友のアル。心を閉ざし、声をかけても何も反応しないバーディを立ち直らせるため、アルはふたりが楽しく過ごしていた頃のことを話して聞かせるが…。

とても幻想的で美しい反戦・青春映画でした。
ニコラス・ケイジ演じるおっぱい大好きな普通の青年アルと、マシュー・モディーン演じる鳥になりたい青年バーディの友情に心洗われます。
精神病院を舞台にしているのに、心を閉ざしたバーディに聞かせる想い出が楽しくてキラキラしているから、あまり重たく感じなかったのもよかったです。
むしろ、現実のアルの悲痛な想いや戦争への憤りが、一際ふたりの想い出を輝かせています。

まずは、伝書鳩にするため鳩を捕まえるエピソード。バーディ作の鳩スーツが二人分あると聞いて微妙な表情を浮かべるアルや、屋根から落ちるシーンがアクション映画みたいに何度も繰り返すのにはクスリと笑わせられました。
鳥になりたがっている彼のことだから、飛ぶのを楽しんでいたかも。(背中痛がってたけどね)

お次は、廃車を修理するエピソード。アルの父親が勝手に完成した車を売却してしまい、バーディはアルが止めるのも聞かずに父親に詰め寄ります。
幼い頃から”父親には敵わない”と思い知らされていた様子のアルも、この出来事で父親はもう力で自分を支配することはできないと気付けたんじゃないでしょうか。
車がダメになったら「今度は人力飛行機を!」という切り替えの早さも、ふたり一緒なら何をやっても楽しいという風で好きです。

といっても、そこに女の子が加わってくると、あんまり楽しそうじゃなかったりするんですけどね(汗)
アルは女の子がいるとそっち優先になってしまうし、バーディは女の子にまったく興味がありません。おっぱいを目の前にしても「ふ~ん、それで?」という感じ。親に言われて一緒にプラムに行った女の子なんて可哀想になるくらいでした。

でも、普通を求められ、自分の一番好きなものを認めてもらえないことが、余計に彼を現実から遠ざけたようにも。
唯一の理解者だったアルも戦争が始まってから変わってしまい、彼自身も戦争体験が決定打に…。爆音に逃げ惑う鳥の姿を見て、死体の中で悲鳴を上げるバーディの姿が悲痛です。
周囲の声に何も反応を見せず、中空を見つめ一言もしゃべらなくなってしまった彼が、演技をしているわけではないと納得できました。

そんな彼に、必死に語り掛けるアルの姿には涙が…。
もう時間がないと苛立つ彼が、途中で入ってきた看護師に「なんで入ってきた!」と詰め寄り、「仕事の一部だから」と言われて『俺にとっては人生の一部だ!』と怒鳴ってしまうシーンが切ない…。
そしてあのラストですよ。いつの間にか口元が緩んでました。
アルと一緒なら、バーディは自然体でいられるんですよね!

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「ミシシッピー・バーニング」観ました

映画「ミシシッピー・バーニング」観ました

 | 社会派  Comment(4) 
Tag:アラン・パーカー

ミシシッピー・バーニング
原題:MISSISSIPPI BURNING
製作:アメリカ’88
監督:アラン・パーカー
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】1964年の夏、公民権運動家行方不明事件の捜査のため、ミシシッピーにやって来たFBI捜査官ウォードとアンダーソン。だが、その町では人種差別が公然と行われており、KKKや保安官等らが捜査妨害を図る…。

小さいころから何度か目にしていて、あの白マスクの連中が火をつけて回るシーンばかり印象に残り、半分ホラー映画だと思ってました。
初めて最初から最後まで通して観たけども、やはり現実はホラーより恐ろしい…!
KKKはもちろん、普通の農家のおばさんやおじさんも普通に怖いです。当然のように「彼ら(公民権運動家)が死んでも自業自得」だと言ってしまうなんて…。周りに合わせないと自分も危険というのもあるかもしれないけど、目がマジっぽくて怖かったです。
ほとんど戦争?…ナチスと大差ないように思えました。
「憎しみはうまれつきじゃない、教えられたの」というセリフからも、アメリカの人種差別の根深さを感じます。

そんなミシシッピーで、ハックマン演じるFBI捜査官アンダーソンが犯人逮捕のために奮闘する姿に痺れました。ある種の諦めと(言葉で言っても通じない的な)、不屈の意思と、静かな怒りと悲しみ。彼の表情からそれが伝わってきて、最後まで目が離せません。
「真の敵は貧困」というセリフが印象的。
また、ペル保安官補の奥さんもステキです。あの立場で、良心に従う事ができるなんて…!
でも、どうしてこういう時、狙われるだろうと予想できるはずなのに護衛をつけないのか…。これは完全にアンダーソンの失態だったと思います。二人の間に愛が芽生えていく過程はよかったのに、どうして気付かないかなぁ。
終盤、怒り狂ったアンダーソンが手段を選ばず捜査を強行。…映画としては迫力があってドキドキしたけど、こういうやり方でしか解決できなかったのが哀しい。
ラスト、哀しくも力強いゴスペル「WalkOnByFaith」が心に残ります。

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「バーディ」観ました
「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」感想

映画「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」感想

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Tag:アラン・パーカー

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
製作:アメリカ’03
原題:THE LIFE OF DAVID GALE
監督:アラン・パーカー
ジャンル:ドラマ/サスペンス

【あらすじ】テキサス州。もと大学教授で、死刑制度反対運動の指導者だったデビッド・ゲイル。だが今は、レイプ殺人の罪で死刑執行を3日後に控える身だった。そんな時、女性記者ビッツィーは、大金と引き替えに独占インタビューを許可され…。

これは観てる間はそれなりに引き込まれるんですけど、最後で「う~ん?」となってしまいました。
死刑制度廃止を訴えていると見せかけて、マスメディアやそれに振り回される人を批判してる気がします。
以下、ネタバレ注意。

まず、最後のいらんネタばらしなんですが、あれはたぶんビッツィーが自分を責めないように、わざわざ入れたんだと思います。
でも、デビッドが全てを計画したんだとすると、動機は死刑制度批判というより、「冤罪があったと証明できるか?」とTV番組で挑発されたからのような。コンスタンスが言っていたように、自分の頭のよさを誇示したいだけだったのでは、と疑ってしまいます。ビッツィーにそれをばらしたのも、誰かにそれを知っていてほしかったとも取れますよね。
そして、出て行った奥さんに届いた大金と、「何でもする女」からの謝罪の手紙!
あれじゃ、「俺は無実だったんだ。お前はまた信じなかっただろう?」と責めているようなもんですよ。しかも、彼女には自分の意思で死刑になったとは知らせてないだろうから、夫は自分に見放されて孤独のうちに無実の罪で死んでいったんだ…と思い詰めるのは確実。ほとんど復讐です。
まあ、結局彼自身も、彼をよく知るコンスタンスの手の平の上で転がされていたような気もしますが。
ビッツィーの救済措置なんか考えず、きっぱり二つ目のビデオだけで終わらせておけば、まだ死刑制度廃止について思いをめぐらせながら見終われたと思います。真相はどうだったかなんて、観る側の想像力に委ねればいいじゃないですか。
あんなトリッキーな手段、アメリカなら誰かやりそうだけど(笑)、実際にやるんじゃなくて映画にして訴えるのは、いい方法だと思うんですけどね。

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